ルパンレッド及びリュウソウレッドの正体がペルソナ使いの怪盗、雨宮連であることがわかってしばらく時間が経った。
バンたちはバトルオリオンシップに戻り、なのはたちはアミタとキリエたちに事情を説明し、イリスたちも二人からの情報を共有していた。
ヴィータは先ほどのことを信じられず個室に引きこもっている。
はやても暗い顔をしていた。
一方バンたちパトレンジャーは右京と亀山と霞と一緒に、直接エリスのいるところに空間転移して報告していた。
「そう、だったんですか」
「バンくんから事情を聴いた僕たちも驚きでしたが、今までの記録などから納得はいきました」
「けど、何で心の怪盗団のリーダーが、転生者との戦いに…」
「もっとわからないことがあるとすれば、そのメンバーよ」
そう言って霞が資料を取り出した。
それは今現在判明してるリュウソウジャーの情報だった。
「ブラックのジンガと、グリーンの人喰いグールのカグネ使いよ。
グリーンはまず存在自体がアマゾンズみたいなものだけど。
でも中でもジンガについては全くわからないわ。
あいつ、人間に家族を殺された恨みから闇に落ちてホラーになって、大勢の人間を殺してきたのに、今更…」
「でも雨宮連は彼らと出会う前からルパンレンジャーとして活動してましたよね?」
「確かにね…」
「けど、ヴィータの言ってた、はやての弟のような存在ってのも引っ掛かるよね…」
「その事についてですがアストルフォくん。
恐らくは、多次元融合の影響なのではと、考えます」
「えっ、じゃああれってまだ続いて…!」
「いえ、多次元融合自体はもうなくなってます。
しかし、中にはそのままの状態で残ってるものもあります。
つまり、その影響ではやてさんは彼を自分の弟分と見ているかもしれません」
「じゃ、じゃあ…」
「今となっては彼らの関係を覆すことはできません。
それに彼女の反応から、他人の空似でもないそうですからねぇ…」
「でも、どちらにしても、あいつらがいるってことは、この事例も未だに報告されてるのが絶えないわね」
「…桜の件か?」
「正確には桜のように、失ったはずの特典絡みの事件に巻き込まれたり、他にも特典を奪われた苛立ちから犯罪を犯すようなケース、よ」
「どちらにしても、メンバーに危険人物がいることや、今言ったようなケースのことを考えると、放っておけませんね」
「俺たちも転生者とその家族から無理やり繋がりを消してることに変わりはないけど、それでもあいつらのやってることもまた、人を苦しめてるようなものだからな」
「エリス様、彼らを指名手配にはできませんか?」
アストルフォはエリスに言うと、少し考える。
「…そうですね。
できないことはないですが、指名手配という選択肢も」
「そんなこと、僕がさせないよ?」
『っ!?』
突然聞こえてきた声にバンたちは警戒する。
足音が聞こえて、やがて姿を現した。
それはウサギを模した鎧を纏った戦士だった。
「お前は、それにその姿は…!」
「仮面ライダーエボルのラビットフォーム、だね…!」
「まさか、エボルトなのか!?」
「おいおい、俺はエボルトじゃねぇよ。
この声とこの姿に覚えはないか?」
そう言って変身を解除すると、そこにはルパンXこと石堂がいた。
「お前は、石動惣一!」
「でも、さっきと声が…」
「今は石堂だけどな」
「どうして怪盗の一人がここに、しかもここはエリス様が許可しないと入れないのよ!?
出ていきなさい!!」
「待って霞ちゃん!」
霞は砲台を出して構えるが、亀山が制止に入る。
「…そう邪険にすんなって。
俺は今回、ある人をここに連れてくるために来たんだから」
「ある人、ですか?
そう言えば先ほど、あなたとは別の声が聞こえましたねぇ」
そう言うと、石堂は手を開き、そこから黒い何が石堂の前に立って形が変わる。
その姿は死神のような出で立ちだが、顔は可愛くデフォルメされた骸骨のような仮面を着けていた。
「やぁ、エリスちゃん久しぶり。
そしてパトレンジャーもといキュウレンジャー初めしましてー!」
「死神様…」
「お前は、ソウルイーターの死神様!?」
「死武専の校長先生が、どうしてここに…!?」
「まさか、この人が怪盗についてた神様!?」
「さっすが、察しが良いね。
そう、僕がルパンレンジャーもといリュウソウジャーの神様だよ?
今回はちょっとした警告と、恩返しに来たのさ」
「警告?」
「恩返し?」
死神様の言葉に思わず呆けるバンたち。
「そ、まずは警告からだけどさ…。
君たちは、リュウソウジャーを何だと思ってるのかな?」
「えっ、えーと…」
「特典を奪って転生者を普通の人間にしてるやつらだな。
なぜか経歴とか種族的な意味で危険人物がいるけど。
当然、その人間の中には家族と一緒に幸せに暮らしてるやつもいれば、奪われた特典絡みの事件に巻き込まれたり、逆恨みなどで犯罪に手を染めてるやつがいて、結果的に転生者絡みの事件は絶えないけど。
…まぁ、それについては俺たちも似たようなものだけど」
「なるほど、君たちは自分のやってることは決して良いことではないと理解してる上で、彼らのことをそういうんだね?」
「あぁ。
けど、目の前で人を襲ってる転生者がいたら、迷わず戦うつもりだ」
「なるほどねぇ…」
死神様は納得したかのように頷く。
「確かに、君たちの言ってることは間違ってはいないし、君たちの方針も、それで良いんじゃないかな?
君が今言ったように犯罪が減らないのも否定しない。
けどね、彼らもまた、人を守るために戦ってるんだ。
君の言った危険人物も、生前のことを後悔しながらも、自身の体質を気にしながらも、前を向いて戦っているし。
だから、僕たちとしても、彼らを捕まえようとしないでほしいのさ」
「そんなことして、そいつらが何かやらかして暴走してもか?」
「それこそ、こちらのレッドくん、いや連くんたちが何とかするさ。
それに、君たちと協力関係を結んでる管理局の管理外の世界にいるから、指名手配はできないよ。
だから、君たちは彼らを捕まえられない」
「そんな…」
死神様の言葉にバンは歯噛みをする。
管理局の管理外の世界にいることで、指名手配も逮捕もできないことを。
「もし、そちらがこちらの世界に来て彼らを捕まえようものなら、容赦はしないよ?」
『…!』
バンたちは死神様から発せられる威圧感に思わず圧されそうになる。
目の前にいる彼は、今言ったことを本気でやりかねないからだ。
そう思わせるほどの威圧感を感じたのだ。
「…それに、僕は君たちには感謝してるから、あまりそう言うことはしたくはないんだ。
その辺りは、わかってもらえるかな?」
「感謝?」
「ギャングラーの件だよ。
君たちは、幹部の一人を撃破し、僕たちでも認識できなかった暗殺部隊をも倒した。
何より、これまで幾度となく彼らと協力して数々の転生者を倒した」
「確かにこれまで協力して戦ったことはあるけど…」
「…なるほど、つまりこれから言うことが、あなたたちの言う恩返しということでしょうかねぇ」
「え?」
右京の言葉にバンは疑問を抱くが、一瞬で納得はした。
最初に二人は警告をしに来たのはそうだが、同時に恩返しに来たのだと言っていたことを。
すると、死神様がエリスに近づく。
バンたちは警戒はするが、まるで悪いことはしないと言うかのように手で制止する。
「…やぁエリスちゃん。
君なら、僕がこれからすること、言わなくてもわかるね?」
「あなたのことですから、これのことじゃないですか?」
エリスがそう言うと、あるものを書物の中から取り出した。
それは、バンたちがパトレンジャーとして活動してた時に使っていたVSチェンジャーとXチェンジャーだった。
死神様はそれを撫でるように触る。
「…なるほど、未だ修理中ということだったんだね?
まぁ君は元々特典を直すよりも、特典と転生者の管理が専門だったから、直すのが時間がかかるのはわかるよ。
それに、これらの壊れ具合から、君たちがどんな敵と戦ったのかもよくわかるよ」
「…その恩返しとは、これらを直してくださるということですか?」
「そういうことになるね。
じゃ、ちょっと失礼」
死神様は手を翳すと、VSチェンジャーとXチェンジャーが光って傷がどんどん直っていく。
そして直し終わって手を放し、再びエリスに返した。
「応急処置だったからすぐに直せたよ。
これで、君たちは再びパトレンジャーの力が使えるようにしたからね」
「…ありがとうございます」
「礼なんていらないよ、そもそもこれは君たちに対する恩返しなんだし」
「じゃあ死神様、要件も終わったし、俺たちもそろそろ戻らないか?」
「そうだね石堂くん。
じゃあ、僕たちはこれで失礼するよ。
今後とも彼らと共闘してくれることを祈ってるよ」
「…必要だったらな」
二人は姿を消し、バンたちだけになった。
「…何か、すごかったね今の人たち」
「あぁ、もし今この場で戦ってたら、俺たちは確実に負けてたかもな」
「けど、これでまたパトレンジャーの力が使えますから、私たちが持ってるトリガーマシンも使えますよね?」
「はい。
今機能を確認したところ、本当に損傷した機能を直しただけみたいですので、問題なく使えます。
ですがその前に、やっておきたいことがあります」
エリスはそう言うと、トリガーマシンを集めて何かをしていた。
「エリス様、これは一体…」
「今はキュウレンジャーですので、セイザブラスターに対応できるようにします。
ですので、しばらくしてから皆さんにお渡しします」
「なるほど、そうですか。
では僕たちはミッドチルダに帰るためにも、バトルオリオンシップに戻りましょうか」
「わかったわ。
じゃあ、私と亀山で整備の手伝いするから」
「うっす」
「わかりました。
さて、はやてとヴィータに何て説明しようか…」
バンたちはそう言いながら、バトルオリオンシップに戻っていった。