今回は前作の『転生者を更生する警察集団』の続編として、新しく物語を書かせていただきます。
また、今回はいりごま塩さんのリクエストを書かせていただきました。
ギャングラーが壊滅し、世界が元通りになって、バンたちが生還してから数か月後
バンたちはVSチェンジャーが壊れてしまったが、あの一件以来、転生者による犯行もほとんどなくなった。
今ではエリスが他の神々に協力を仰ぎながら転生者の管理している。
また、壊れてしまったVSチェンジャーとXチェンジャー、トリガーマシンはエリスに預けて修理してもらっている。
それからバンたちはパトレンジャーの力が使えなくなったが、これまでの転生者と戦った経験とバン以外の各自が持っている特典を生かして機動六課のサポートに回っていた。
バンはある出来事で本来持っていた特典を失っているが、管理局から拝借した武器などで補っている。
もちろん、サポートには右京も霞も亀山も回っている。
そのために本部も交番も機動六課の隊舎の近くに置くことになったのだ。
それゆえより一層バンたちはなのはたちと交流を深める機会が増えたため、なのはたちも多少敬語が砕けている。
それはそれだけ親しみがあるという証なのだろう。
また、ジェイル・スカリエッティという犯罪者との戦いもあったが、どうにかこれの確保に成功した。
その時になのはたちはヴィヴィオという少女を保護し、面倒を見ている。
そんな感じでしばらくの間、平穏な日々が続いていた。
ある日、エリスは水晶を通して様々な世界を見ている時だった。
「えーと、こっちの世界では特に異常はないみたいね。
じゃあこっちの世界は…!?
こ、これは…!?」
水晶で別の世界を見ようとした途端に異変が起きた。
次に見ようとした世界も、そのまた別の世界も、先ほど見た世界も、恐ろしい速度で支配されているのだ。
しかも、どの世界も共通してある旗が掲げられていた。
「この旗は、まさか…!」
エリスはその旗を見た途端、驚愕し腰を抜かしてしまう。
一方その頃バンたちは。
「…はぁ、ひどい目にあったぜ」
「でも、あんなに辛いの完食するなんてバンさんはすごいと思うよ?」
「いやぁ、さっきのあれすごく辛かったけどおいしかったな。
ねぇ、また今度行こうよ、今度は皆で…」
「うるせぇ!
一人で食ってろ!」
「まぁまぁ、落ち着いてくださいよバン隊長」
「ねぇエリオくん、さっきのあれ、味どうだったの?」
「…ごめんキャロ、こればっかりは言いたくないんだ」
「あたしは甘いのが好きだから、今度はスイーツが良いなぁ」
「それあんたが食べたいだけでしょ」
昼食を終えて管理局に戻っている途中だった。
何でもアストルフォが見つけた中華料理店で昼食を取ったのだが、そこにあった激辛麻婆豆腐を食べて項垂れているのだ。
というのも、最近辛い物にはまったアストルフォが、激辛に挑戦しないかって話になり、バンとアストルフォ、スバル、エリオが食べることになった。
一応断ることもできたが、好奇心もあったので挑戦してきたが結果がこれである。
全員完食したが、バンとエリオが辛さのあまり項垂れ、アストルフォとスバルはケロッとしていた。
「ったくよぉ…!?
何だ、この血の匂いは…」
バンは突然匂ってきた血の匂いに驚く。
それはなのはたちも同じだった。
「あっ、隊長あれ!」
「なっ!?」
アストルフォの指した方向を見ると、一人の男が複数のナイフを持った怪人を連れて人々に襲い掛かっているのだ。
中には体を貫かれたりして殺されている人もいた。
しかも男と怪人たちの手には、夥しいほどの血しぶきが飛んでいた。
「あれは…!」
「ちぃっ!」
「バン隊長!?」
バンは拳銃を取り出して男たちの前に立った。
「やめろ!
てめぇら、何者だ!」
「うん?
お前は誰だ?
…まぁいい、俺の前に立つ時点で全ては悪だ。
消えろ」
男は瞬時にバンの目の前に立ち、左肩に目掛けて手刀を繰り出す。
「ふっ…!?」
バンは男の手刀を反射的に掴んだ。
しかし、それと同時に壮絶な痛みと違和感を覚えた。
「ぐっ、この腕…、お前…まさか…!」
「バンさん!!」
すると、変身したスバルが駆けつけて距離を放した。
かこもなのはたちも駆けつける。
「バン隊長、大丈夫ですか!?」
「そうだよ隊長、一人で突っ込んだら…」
「わ、悪い…、けどさっきのは…!?」
バンは先ほど手刀を掴んだ手を見ると、血が吹き出し深々と切り裂かれたような傷跡があった。
つまり、バンは手刀で切り裂かれたのだ。
こんな芸当、普通の人間には不可能だ。
だから、バンは知ってる中で一つだけ、ある存在が頭に浮かんだ。
「ば、バンさん、これは…!」
「…おそらくだが、転生者だな?」
「ほぉ、俺の正体を今ので理解したか…。
さてはお前らが、かつてギャングラーを倒した片割れの、パトレンジャーだな?」
「…っ!
だったらどうしたってんだ。
いや、というかお前何者だ、そんなロボットを引き連れてよ」
「ふっ、俺たちは転生者組織、ジャークマターだ。
ここには支配するために来たのだ」
「ジャークマター?
確か、キュウレンジャーの…」
「でも、転生者組織って…!」
「でも、あいつの後ろのロボットを見れば、何となくだけど、納得はできるよ」
「さすがはかつてギャングラーの暗殺部隊を壊滅させて、ギャングラー崩壊の一役を担っただけはある。
…だが、見たところ力を失い変身もできない状態の雑魚。
決めた、まずはお前たちから潰してやるよ!」
「くっ!」
「下がって、バンさん、かこさん、アストルフォさん!!」
「軍団は私たちが…!」
「私たちもこいつらを倒したらすぐに行きますから!」
「なのは、スバル、ティアナ…」
「行きましょう、バン隊長!」
「ボクたちにはパトレンジャーの力はないけど、ボクたちには特典が、隊長には武器がある。
だから、なのはたちが来るまでに持ちこたえよう!」
「…!
あぁ、そうだな。
だが、俺たちでもできることを探すぜ!」
そうしてなのはたちは怪人を、バンたちは男を相手に戦うことになった。
だが、男はとても手強く、武器も持たない経験ゼロな蹴りや拳、手刀なのに、その一撃一撃が重く、まるでそれ自体が兵器を思わせるほどの威力で、バンたちはほとんど手も足も出ない状態だった。
怪人たちは一人一人はそれほど強くはないが、集団で囲んでくるためかなり厄介である。
空中に飛んで攻撃しようにも飛んできて地面に引き摺り戻されるため、なのはたちは苦戦している。
「くそっ!
俺たちには何も出来ないのか…!
いや、何かあるはずなんだ、俺たちにできることを、見つけるんだ!」
「ここには、大切な人たちがいる。
だからこそ、皆の居場所を守らなきゃいけないんだっ!!」
「ほらほら、その程度かパトレンジャー!?
やはり変身しないとなんもできないんじゃないのか!?」
「ぐっ!」
「きゃあ!!」
「うわああああ!!」
男の拳の衝撃でバンたちは壁に叩き付けれてしまう。
しかもかなり強い衝撃だったのか、バンが持っていた拳銃や棍棒などが壊れてしまった。
「こいつ、ただの下手くそなパンチとか繰り出してるのに、何でここまで強いんだ!
…、いや待てよ、お前のそれ、人を殺せば殺すほど強くなる特典か!?」
「ほぉ、さっきの襲われて殺された奴らを見て、そこまで行ったか。
勘が良いな」
「良いから答えろ、どうなんだ!」
「ふっ、正解だ。
まぁ、正確には自分で悪人だと思ったやつら限定で殺せば殺すだけ強くなるんだけどな。
もっとも、俺の思う悪人は、目に映る邪魔な連中だ、俺にとってはそいつらは存在そのものが悪なんだ」
「…では、それほどの力を手にするまでに一体どれほどの人を…!」
「お前は、今までに食べたごはんの米粒を数えるのか?」
『っ!?』
男の言っていることに、バンたちは背筋を凍らせる。
いくら数えていないからと、殺した人を米粒に例えて言っているのだ。
そういう感覚で人を殺しているのだ、人をそのように見ているのだ。
だが、それと同時に怒りと吐き気を催したのだ。
それほどの力を手にするということは、ここに来るまでに大勢の人を、自分勝手な基準で殺戮してきたということなのだから。
「…てめぇ、ふざけてんじゃあねぇぞ…」
「は?」
バンはフラフラと立ち上がり、怒りに満ちた目で男を見る。
かこもアストルフォも、足が震えながらも立ち上がる。
「…俺たちはな、お前ら転生者からすれば殺人鬼と何ら変わらないだろうさ。
今まで更生してきた転生者の中には、家族がいて、友達がいて、その人たちと一緒にいたいって願ったやつがいた。
そのことで時々頭を悩ませたことがいくらかある」
「…それで?」
「けどな、そんな俺たちでも、吐き気を催す邪悪な転生者ってやつはわかるぜっ!
特にてめぇのような、自分の目的のために他人を食い物にするようなやつのことを言うんだ!!」
「私たちが転生者のことで悩むこともありますし、涙を流すこともありました。
ですが、あなたのような人が、人から笑顔も命を奪おうというのなら、戦えます!」
「そうだよ、ボクたちはこれからも悩み続けるかもしれないけど、君のようなやつを相手にするなら躊躇わない。
ボクたちは、君を絶対に逃がさない!」
「ふっ、吐き気を催す邪悪、か。
面白い、ならば今すぐお前らを殺せば俺が正義だ!」
男は拳を振り上げて、バンたちに攻撃を仕掛けようとした瞬間だった。
空から、強い光がバンたちの元へと飛んできたのだ。
「ぐっ!?」
「これは…!」
その光は、バンたちの左腕に当たったと思ったら、籠手型の光弾銃と小さな球状のアイテムだった。
「な、何や!?
この異常な反応は…!」
その強い光は、機動六課でも確認できていた。
小さいながら、強烈な三つの反応が宇宙から降り注いでいるのだ。
それは、ロストロギアに酷似していたのだ。
「これはラッキーが使っていた奴と同じ…!」
「バン隊長、これは…!」
「これを、ボクたちに使えってこと?」
バンたちは空から降ってきたそれに驚きを隠せないでいる。
特にバンはかつてそれを持っていた者と会ったことがあるため、なおさらである。
だが、同時に頭の中に、それの使い方が流れ込むのを三人は感じた。
「…何だか知らないが、これでも喰らって死ね!」
男は攻撃しようと一気に距離を詰めるが、バンがその光弾銃を構えて男の肩を撃ち抜いた。
「うぐっ!?」
男は肩を撃ち抜かれた痛みにバランスを崩し倒れ込む。
「…どうやらこれを使えってことらしいな。
何でかわからねぇけど、頭の中に使い方とか流れ込むしよ」
「はい、こうなったら、やるしかありませんよ」
「…色々とよくわからない状況だけど、行こう!」
三人は球状のアイテムを手に取って球のパーツを回す。
それにより、バンにはシシ、かこにはカメレオン、アストルフォにはワシの紋章が浮かび上がり、光弾銃の窪みに装着させる。
『シシキュータマ!』
『カメレオンキュータマ!』
『ワシキュータマ!』
『セイザチェンジ!』
バンたちは光弾銃のトリガーを起こして銃口を下に向けて、トリガーを引いた。
すると、三人の足場に星の模様が浮かび上がって、それが光になってバンたちを包む。
三人の体は赤、緑、ピンクのスーツに覆われ、その後で頭部に変わった形のバイザーのヘルメットが装着されて完了する。
ちなみにアストルフォには翼が生えていた。
「ば、バンさん!?
それにかこさんもアストルフォさんも、その恰好は…」
「あれは…!」
三人の姿を見たなのはたちも驚いている。
「…やっぱりこれは、キュウレンジャーの…」
「これ、この光弾銃の他にも武器がありますよ?」
「でも、なんだろこの三つのパーツは…。
何かボクだけ翼が生えてるし」
「おい、何だその姿は!」
「…さぁな、とりあえず、これでは少しはまともに戦えるかもだ!
行くぞ!」
「「りょ、了解!!」」
バンは多少戸惑いながらも、未だに驚きが隠せないかこたちに声をかけて、男に向かって走っていく。
「ふっ!!」
「オラオラ!!」
男と拳をぶつけたバン。
「ど、どういうことだ!?
なぜ俺の拳をまともに撃ち合ってもお前の拳が砕けないんだ!」
「…さぁ、な!!」
「ぐほぁ!?」
「ええい!」
男が殴り飛ばされた場所に、かこが光弾銃で撃ってさらに打ち上げる。
「がはっ!」
『キューレイピア!』
「てりゃあ!!」
そこからアストルフォは先ほどの武器の一つを変形させてレイピアにし、背中の翼を使って高く打ち上げられた男を突き刺して地面に叩き付ける。
「ぐほあ!?」
「さて、これで終わりにしてやるぜ!」
「「了解!!」」
『ギャラクシー!!』
バンたちは球状のアイテムを後方に二回傾かせて、強烈な光弾を浴びせる。
「ぐおおおあああああ!!!???
お、俺を倒したところで、良い気になるなよ…!
…ジャークマターに、栄光あれぇ!!!!」
男は光弾を直撃し爆散して、その後で光の粒子になるようにして、消えた。
「…今のは」
「まるで、私たちがいつもやっていた更生と同じ光…」
「でも、これで敵はいなくなったわけだし、ね」
「そうだな。
…そういえばなのはたちは…!」
その言葉と同時に光線や光弾などが入り混じるように怪人たちが吹き飛び、消滅した。
その光線や光弾が飛び交っていた方向に目を向けると、なのはたちがいた。
どうやら、なんとか倒せたらしい。
「バンさん、皆さん!」
「おお、なのはたちも無事か!」
「それにしてもバンさん、その姿は…」
「…それについてなんだが」
バンたちは球状のアイテムを光弾銃から外して変身を解除する。
「俺たちにもよくわからないけど、いきなりこれが空から飛んできたんだ。
しかも頭の中に使い方とかが流れ込んでくるしよ。
けど、これ自体は、前に一度会ったことのある奴が使ってたのとそっくりなんだ」
「…どういうこと、ですか?」
「さぁな、流石に俺にもわからねぇよ。
とにかく、長官とはやてのところに向かおうぜ」
「じゃあバン隊長、長官たちにも連絡しますね」
そう言って、バンたちは管理局へと向かうのだった。