修行を始めてから一週間が経った。
あれからジャークマターが支配している次元世界で転生者と戦って、その転生者が拠点としていたモライマーズを撃破して解放したりと戦いながら、バンたちは鍛えていた。
もちろん、その他にもドギー・クルーガーとの組手もあれば、身体能力を鍛えるための体操や走り込み、そして戦法などを学んだ。
当然、手元にある特典やデバイス、神器、キュータマを使っての応用も考えた。
また、エリスからバンたちパトレンジャー組に、VSチェンジャーとトリガーマシンを改造したキュータマやセイザブラスターの増設パーツが与えられた。
これにより、バンたち三人のセイザブラスターの後方にはVSチェンジャーを思わせるパーツが装着されて、そのパーツにもう一つキュータマをセットして発動できるスロットが設けられた。
そうして、ジャークマターに支配されようとしていると連絡があって、バトルオリオンシップである次元世界に向かった。
「何か、ものすごく静かですね」
「うぅ、何だか静か過ぎて逆に背筋が凍るよ…」
バンたちはある次元世界の街に降り立った。
街の中央に、モライマーズが突き刺さるように設置されていた。
しかし、連絡はあったとは聞いたが騒ぎがなかった。
まるで、街から人が消えたように。
そんな時だった。
突然遠くからうめき声を上げながら、大勢の人々が襲い掛かってきたのだ。
しかも、よく見ると、腕が人間のものではなく、異形の怪物のそれだった。
「こいつら、まさかヒューマンビースト!?」
「てことは、この次元世界にいる転生者は、スペースビーストの!?」
「ちっ、こうなったらやるしかねぇ!
かこ、アストルフォ、ここは俺と一緒に行くぞ!
スバルたちはセンサーキュータマで生存者の確認と保護してくれ!」
『了解!』
スバルたちが走り去ったことを確認した後、バンたちは改めて迫り来るヒューマンビーストを見る。
「…お前ら、行くぞ」
「はい!」
「うん、わかったよ。
このヒューマンビーストたちを倒して、スペースビーストの転生者を探さないとね!」
「それだけじゃねぇ。
ヒューマンビーストにされた人たちの供養だ!
行くぞ!!」
『マワスライド!!』
そう言って、バンたちはそれぞれのキュータマを取り出して回した。
そのキュータマはいつものとは違う紋章が浮かび上がった。
『パトレンキュータマ!
警察チェンジ!!』
『警察チェンジ!!』
いつもと違う言葉といつもと違う音声、バンたちは違和感なくトリガーを引いた。
すると、いつもの星の紋章ではなく、盾にSの字が堀込まれた紋章が浮かび上がった。
そう、それはバンたちがかつて変身していた、パトレンジャーのマークだった。
バンたちの体をそれが通過すると、バンたちはいつもと違う姿へと変わる。
それぞれで赤、緑、ピンクとスーツに代わり、そこから肩に装甲が装着される。
頭には三人の頭がすっぽりと嵌まるように、警官帽みたいな黒いバイザーが付いてるヘルメットが装着されて、太ももにそれぞれライオン、カメレオン、ワシをイメージさせる銃が懸架される。
さらにバンはバイザーの両端がライオンの鬣を思わせるような切れ込みが入り、かこのバイザーの両端にカメレオンの目を思わせるヘッドホンらしき装飾が装着され、アストルフォのバイザーの両端にワシの翼を思わせる切れ込みと羽飾りが追加された。
そして三人の胸に装甲が追加されてその上からネクタイの模様と星のエンブレムがつけられた。
「パトレン1号!」
「パトレン2号!」
「パトレン3号!」
『警察戦隊 パトレンジャー!!』
「この世界の平和を守るために、実力を行使する!」
そう言ってバンは太股に懸架された銃を取り出してヒューマンビースト向ける。
すると情報と音声がバンの頭の中に流れ込んできた。
『パトレンライフル 機動。
対象 ヒューマンビースト。
転生特典による殺害後、細胞を埋め込みヒューマンビーストと化する。
推奨 速やかにこれらの撃破』
バンがすぐに走り出してクレシューズを取り出してヒューマンビーストを蹴散らす。
「ほぅおおお!!」
さらに手に持っていたパトレンライフルを構える。
「いっけぇ!!」
パトレンライフルで、クレシューズの軌道に当たらないように、ヒューマンビーストを撃ち抜いていく。
片手にクレシューズ、片手にパトレンライフル、この両手で握られてる二つの武器を使いこなして、バンはヒューマンビーストを倒していく。
「私も行きます!
えぇい!!」
『キュークロスボウ!』
かこはパトレンライフルとキュークロスボウの二丁拳銃で撃ち抜いていく。
かこは2つにマシンガンの連射機能を再現して撃ち抜いていく。
また、自らの視力をも常人よりも高いレベルの度数を再現して、二丁のマシンガンと化した上で精密にヒューマンビーストを撃ち抜いていく。
「ボクも行くからね!
来て、ヒポグリフ!!」
アストルフォはヒポグリフを召喚し、凄まじい風を巻き起こしてヒューマンビーストを吹き飛ばし、また身動きが取れないヒューマンビーストを自らキューレイピアで刺し貫いていく。
また、取り逃がしそうになったヒューマンビーストを見つけた時には、キューレイピアの伸縮機能を利用して突き刺していった。
バンたちはそんな感じでヒューマンビーストを倒していった。
「…ふぅ、何とかこれで全部だな」
「けど、これだけの数の人たちが、ヒューマンビーストにされてきたんだよね…」
「一刻も早く、スペースビーストの転生者を探さないと、ですよね」
「おいこのくそ野郎どもが!
何俺の駒どもを潰してくれてんだ!?」
「…?」
バンたちは振り向くと、いかにも気障な男が現れた。
「俺の駒ってことは、ここの人たちを殺してヒューマンビーストにしたのはお前だな?」
「はっ、よく気づいたな!
そうだよ、俺はこの世界を支配するために、全員を俺の駒としてヒューマンビーストにしてやったんだ!
すげぇだろ、俺さこの作業で駒にして従わせるの結構好きなんだよ!」
「…君は、こんなことをしても、何とも思わないのか?
人をヒューマンビーストにするってことは、人を殺してるんだよ!?
そしてその人の遺体を、こんな風に操り人形にしてるんだよ!?」
「だから何?
俺にとってそんなのただの作業ゲーなんだけど?」
「くっ…!」
「ムキになるなアストルフォ。
…パトレンライフル、起動」
あまりの身勝手さに怒りを覚えそうになったアストルフォを制してからバンはパトレンライフルを男に向ける。
すると、バンのバイザーを通して男について様々な情報が送り込まれてきた。
『転生者
特典名 スペースビースト・ノスウェルの強化版。
再生器官は存在し、場所は相手から見て下腹部左側面、人体の膵臓部分に当たる。
経緯 本次元世界に襲来後多くの住人を殺害、またそのヒューマンビーストに殺した相手をヒューマンビーストにする力を付加させてハザードを引き起こしパニックに貶めた。
理由 本次元世界の侵略及びヒューマンビーストの入手、ゲーム感覚による殺戮願望。生前は廃人ゲーマーであることを踏まえ、特典の力と所業に反省も後悔の意志は皆無。民間の更生では更生不可能。
推奨 上記のことを踏まえ、直ちに対象をキューエナジーによる更生すべし』
パトレンライフルを通して流れる転生者の情報から、バンたちのやることは決まった。
「…今のでお前の本性とか色々見させてもらったが、どうも反省する気もないみたいだな。
お前、これだけのことを仕出かしたんだから覚悟しろよ?」
「はっ、たかが三人で俺をどうするって?
まぁいいや、どうせお前らみたいなレア物相手にするの、結構楽しみにしてたんだよね」
根角は指を鳴らすと、どこからともなくヒューマンビーストが現れた。
「こいつら、まだいたのか!」
「おいおい、勘違いするなよ。
こいつらはただの俺の経験値だ。
少し待ってろ」
その瞬間、根角の姿が変わって、王冠のような角とマントのような羽が生えた醜悪な鼠の怪物になった。
「あれは、ノスウェル?」
「でも、ボクたちの知ってるノスウェルとは…」
「ノスウェル?
違うな、この姿はキングノスウェルだっ!!」
そう言うと、根角が変身したキングノスウェルは口から長い舌を使ってヒューマンビーストを素早く捕食し、あっという間に全部食べてしまう。
すると、キングノスウェルの体は巨大化して背後のモライマーズと同じぐらいの大きさになった。
「ふひひひひ…!
さぁ、早くかかって来いよレア物ども!」
「…言われなくてもそのつもりだぜ。
かこ、アストルフォ、行くぞ!!」
『了解!』
『ダンプ パトレン1号 パトレン2号 パトレン3号 キュータマ!
警察ゴー!!』
『代・行・発・進!!
轟・音・爆・走!!
百・発・百・中!!
乱・撃・乱・打!!』
『警察ドッキング!!』
それぞれのキュータマを操作すると、かつてのトリガーマシンたちが召喚されてバンたちは乗り込み、トリガーマシンダンプを中心に変形合体していく。
『完成 パトカイザーアナザー!!』
パトカイザーアナザーに合体を終えて、キングノスウェルに目を向ける。
すると、キングノスウェルが飛び掛かり長い爪で攻撃を仕掛けてきた。
しかしパトカイザーは警棒で受け止めて振り払う。
さらに振り払ったと同時にキャノン砲でキングノスウェルに砲撃する。
「はっ、そんな攻撃きかねぇよ!!」
その瞬間、キングノスウェルはその攻撃を読んでいたようにマントを広げて飛び上がった。
そしてパトカイザーの背後に降り立ったキングノスウェルは口から光線を吐き出して攻撃して、パトカイザーは怯んだ。
「がっ!」
「きゃっ!」
「ぐっ!」
中にいるバンたちは何とか耐えながら体勢を立て直し警棒で殴りにかかる。
だがキングノスウェルはあざ笑うように再び高く飛んだ。
その瞬間だった。
「同じ手を何度も通じると思わないでよ!」
パトカイザーは警棒を地面に突き刺して、勢いよく振り上げる。
それと同時に舞い上がった猛烈な土埃が、キングノスウェルの視界を奪った。
「がっ!?
な、何だこれは、見えねぇ!?」
「そんなところに留まってると、危ないです、よっ!!」
空中で身動きが取れなくなったキングノスウェルにキャノン砲による砲撃を浴びせる。
それによって、背中の羽に数発もの大きな風穴を、胴体に強烈な弾痕が付いてそのまま地面に叩き落される。
「がはぁ!!?」
「これでてめぇは空を飛べねぇな」
「た、たかがレアものが、調子に乗るんじゃねぇ!」
そう言うとキングノスウェルは長い舌でパトカイザーに巻き付かせて自由を奪い、両手の長い爪で切り裂こうと走り出した。
「死ねぇ!!」
「こんなんでくたばるかよ!」
バンのその言葉と共に、当たる直前に躱し、その長い爪で巻き付いていた舌を切り落とさせる。
「ぎゃあああああああ!?
お、俺の、俺の舌がぁああああああ!!!!!?????」
「最後にてめえにはこれだけは行っとくぜ。
今の俺たち、負ける気がしねぇ!!」
『警察ギャラクシー!!』
『パトカイザーアナザー メテオブレイク!!』
痛みに悶えるキングノスウェルに目掛けて、強烈なエネルギーを溜めた警棒とキャノン砲を構える。
そしてすぐさま狙いを定めた上で警棒でキングノスウェルの、人間で言うところの膵臓部分を刺し貫いて破壊した。
「がぁああああ!?
な、なぜ、俺の再生器官がそこにあると…!?」
「さっきこの銃をお前に向けた時に、ノスウェルの再生器官が別の場所にあることが分かったんでな。
これで、終わりだぜ!!」
そう言ってパトカイザーは一度距離を放してからキャノン砲をぶっ放して背後のモライマーズもろとも、キングノスウェルの体を貫いた。
「ぐぅおおおおおおおおお!?
まっ、まさかっ、このゲーマーな、これの俺がっ、こんなレアものにぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」
その言葉を最後に、キングノスウェルはモライマーズもろとも爆破して、光となって消えたのだった。
「…任務完了!!」
「どうにかピリオド打てました…」
「オルヴォワール(さよならだ)」
キングノスウェルの根角を更生し、モライマーズの破壊を確認したバンたちはスバルたちと合流した。
「お疲れ様です皆さん!」
「あぁ、そっちはどうだった?」
「大丈夫です、生存者は確認できました!」
「今は地下にある施設で避難していたそうです!」
「そうだったんだ、よかったぁ…」
「そう言えば今回の戦いのときに女神さまから渡されたというキュータマ、どうだったんですか?」
アストルフォが生存者がいることにほっと安堵を覚えているときに、エリオから今回使ったパトレンキュータマについて聞かれた。
「これか?」
バンたちはそう言って今回自分たちが使ったキュータマを取り出した。
「まぁこれ元々俺たちパトレンジャーが使ってたアイテムをセイザブラスターに使えるようにした奴だからな。
キュウレンジャーみたいに何かに特化してたってわけじゃないが、元々パワーと防御がメインで、戦闘能力もそのまま俺たちの力で反映されてるからな」
「えっ、じゃあ今まで見たことのあるアストルフォさんの足の速さも、かこさんの銃の腕も…」
「うん?
元々ボクは足が速いんだ。
だから隊長にもかこにもかけっことかして負けたことがないんだ」
「私はその、生前は銃なんてものを使ったことはなかったのですが、転生してから初めて撃った時は正直びっくりでしたよ」
「逆に俺は特に特化してるのはねぇけど、状況に応じてある程度こなせる、いわばオールラウンダーってところだな」
「そうだったですか…」
「まぁ、それでも変身した方が強いってところだが、な」
そう言いながらも、バンは自分の手を強く握りしめる。
今はまだ強くなってる途中だが、それでも前よりも強くなってきてる感じが湧いてくる。
だから、これからも強くなって、雨宮連にも、リュウソウジャーにも、他の転生者にも負けないぐらいに強くならなければならない。
そう言う思いを込めて。
パトレンライフルの見た目はパトライズ(つまりトリガーマシンをセットした状態した)状態のVSチェンジャーでその下にライオン、カメレオン、ワシ型のトリガーマシン型のパーツが装着されています。
また、相手に向けた時の分析能力ですが、サイコパスというアニメのドミネーターを参考にしてます。