バンたちは隊舎に向かい、右京とはやてに今回のことを説明した。
ジャークマターを名乗る転生者と、突然空から降ってきた光弾銃と球状のアイテムのことを。
右京も隊舎に来る前にジャークマターの存在をエリスから聞いていたので、あまり驚きはしなかった。
ちなみに、二つのアイテムについて調べてもらったところ、これは宇宙を飛来していたロストロギアであることが判明した。
光弾銃の名前はセイザブラスター、球状のアイテムはキュータマというらしい。
バンたち、特にバンは驚いた、かつて会ったことがあるキュウレンジャーの物と、瓜二つだったのだ。
能力については更正の他にも、何やらもう一つの力が隠されているようだが、それ以外はキュウレンジャーの物と同じだった。
また調べているときに、通信機と転生者探知機の役割を持っているのがわかったので、右京たちと連絡が取れたりできるように、設定したのだそうだ。
なぜこれが自分達の元に降ってきたのか疑問に思うバンたちだったが、自分達の意思に応えて、降ってきたのではと、右京たちは言うのだった。
それ故に、以降はバンたちの武器として持つことになったのだ。
「まさか俺たちがキュウレンジャーとはな…」
「そうですね、この前までパトレンジャーだったのに、今度はキュウレンジャーなんですから」
「でも、キュウレンジャーって言うならさ、他にも仲間とかいるんじゃない?
確かキュウレンジャーって九人だったんでしょ?」
「正確には十二人だがな。
まぁとにかく、これでまた転生者と戦うんだ。
しかも今度はジャークマターとかいうやつらだ。
それに、いくらこのキュウレンジャーの力があるとはいえ、俺たちはまだこの力も、セイザブラスターとキュータマを使いこなせてねぇ、油断はできねぇぜ」
「それもそうですよね、まだ武器のキューザウェポンも使いこなせてませんから…」
話を終えたバンたちは隊舎の通路を歩きながら話をしている。
ちなみになのはたちはその後で分かれた。
特になのははヴィヴィオの世話があるので、急いで帰ることになったのだ。
そんな時に、バンたちはスバルとティアナにあった…
「あ、スバルさんにティアナさん」
「お前らは仕事終わりか?」
「なのはさんから、今日はもう休むようにと。
けど、バンさんたちのことが気になって」
「じゃあ、エリオとキャロも?」
「二人は今回のことを、フェイトさんに報告してから帰るそうです」
「そうか、それでどうかしたのか?」
「いえ、バンさんたち、新しい力というかアイテムを手にしたので、良ければその練習に付き合えれば」
「良いんですか?
これ、スバルさんやティアナさんのデバイスとは、勝手が違うんですよ?」
「そうですけど、それでも何か役立てればいいなって。
私たちって、協力関係ですし」
「一応、シミュレーションルームも使えるようにしてますので」
「そうかよ。
じゃあ、ありがたく…」
スバルたちの誘いに乗ろうとした途端、セイザブラスターから警報が鳴った。
『バン、皆!
街の近くで転生者が出現して無差別に人に危害を加えてるわ、急いで出撃して!
反応のパターンから、ジャークマターの可能性があるわ!』
「ジャークマター…!」
「…練習どころじゃないですね」
「そうらしいな。
仕方ねぇ、実戦でどうにかするぞ!」
『了解!!』
バンたちが駆けつけると、一人の男が一本の刀で、逃げまどう人たちを切り裂いていた。
「ぎゃははははははははは!!!
オラオラ、もっと強くて骨のあるやつはいねぇのかよ!」
「そこまでだ!」
「あっ?」
バンたちがセイザブラスターを、スバルとティアナはそれぞれのデバイスを構えて、男に制止をかける。
バンは制止をかけながら、地面に倒れた人たちや、人を斬られるところを見て恐怖で腰を抜かしている人たちを見た。
「…これをやったのは、お前なんだな?
なぜこんなことをしたんだ!」
「はっ、知れたこと。
俺はジャークマターに忠誠を誓った身、それ故に、手始めにこの街の人間どもを皆殺しにしてやるのさ!」
「ジャークマター…!
やはりお前もか!」
「あぁそうさ!
邪魔をするというのなら、お前らから切り殺してやるぜ!!」
「ちっ、こうなったらやるしかねぇ!
行くぞ!」
『了解!!』
「「「マワスライド!!」」」
「マッハキャリバー!」
「クロスミラージュ!」
『シシキュータマ!』
『カメレオンキュータマ!』
『ワシキュータマ!』
『セイザチェンジ!!』
「「「スターチェンジ!!」」」
「「セットアップ!!」」
キュータマを装着したセイザブラスターの光弾が、バンたちを包み、星の紋章や動物をもとにしたバイザーが特徴の鎧を身にまとった。
スバルとティアナの、デバイスを使っての変身を終える。
「スーパースター シシレッド!」
「シノビスター カメレオングリーン!」
「スピードスター ワシピンク!」
「マッハキャリバー!」
「クロスミラージュ!」
「究極の救世主!」
『宇宙戦隊 キュウレンジャー!!』
「キュウレンジャー、だと?
はっ、それがどうした!!」
男は刀を構えて走ってくる。
「はぁっ!!」
それを迎え撃つように、スバルが前に出て拳で刀を弾いていく。
「くっ!」
「ホレホレ!」
「スバル!」
ティアナがスバルを援護するように、拳銃を構えて射撃を行う。
そしてその間に、キュウレンジャーに変身したバンたちは素手とセイザブラスターでは刀相手だと分が悪いと思ったのか、キューザウェポンのパーツを取り出し、それぞれで瞬時に武器を組み立てる。
『キューソード!』
『キュークロスボウ!』
『キューレイピア!』
バンは大剣型のキューソード、かこは弩型のキュークロスボウ、アストルフォは刺突剣型のキューレイピアを手に、スバルたちと一緒に戦う。
かこはティアナと一緒に援護射撃を行い、アストルフォはスバルと一緒に左右から攻撃を仕掛ける。
そしてバンはアストルフォとスバルが離れた瞬間を狙って重い斬撃を喰らわせようとする。
だが、そう簡単にはいかないものだ。
いくら射撃が得意なかことティアナの射撃でも簡単に避けられ、足の速いアストルフォとスバルの攻撃でも簡単に捌いてしまう上、徐々に動きが早くなってきている。
バンも近付くことはできても、男の素早い動きに躱され、キューソードの刃幅を盾にして防ぎながらセイザブラスターでけん制するしかない。
それでもバンは一度だけ男とつばぜり合いになり、その時に違和感を感じた。
「何だよこれ…!
お前から、何の反応もねぇ!
まさか、その刀が本体なのか!?」
「ということは、君は、ジョジョのアヌビス神!?」
「ほぉ、俺の正体に気づいたのか?
だがっ、正体がわかったからって、俺を、この男から引き剥がすことはできるかなぁ~!!!???」
その言葉と同時に、アヌビス神に操られている男は刀を構える。
その様は、まさに剣の達人そのものだった。
「…どうしますか、さっきから刀の動きが速くなってますが」
「あぁ、確かにあれはやべぇよ。
けど、弱点はないわけじゃない。
だがな、それはあいつを取り押さえてからだ!」
「わかりました!
ティア、行くよ!」
「わかったわ!」
「アストルフォちゃん!」
「わかってるよ、せめて取り押さえれば…!」
バンたちは接近しながらセイザブラスターでけん制していく。
「くだらん、たかが五人がかりでかかってこようと、ぜぇ~~~~~ったいに負けない!!」
アヌビス神は刀で光弾を弾き返し、高速で移動する。
しかし周りを囲むようにバンたちが移動しているので、その行動は制限される。
「ちっ!」
やがてかことティアナに両腕を、アストルフォとスバルに胴体と足を取り押さえられ、身動きが取れなくなる。
「おらぁ!!」
「なっ!?」
バンはキューソードを力強く振り下ろし、アヌビス神の本体である刀の刃先をへし折った。
それによりアヌビス神に操られていた男はそのまま力なく倒れる。
「ぐっ、あぁああああああ!!!」
だがその瞬間、スバルは苦しみ悶えて絶叫する。
それは痛みというよりも、内部から強い干渉を受けているかのような苦しみだった。
やがてスバルは叫ぶのをやめたと思ったら腕をだらんと下げて、奇妙な光を灯した目でバンたちをにらみつけた。
「…俺の正体を知ってる癖して、理解してねぇみたいだな」
「…まさか!?
てめぇ、やりやがったな…!」
「ば、バンさん、これは…!」
「あいつ、へし折った瞬間に、破片を透過させて体内に潜って、スバルを操りやがった!」
「…っ!?」
ティアナが驚愕している隙に、スバルに憑りついたアヌビス神は、スバルの体を動かしている。
「なるほど、これがうわさに聞いた戦闘機人ってやつか」
「お前、まさかスバルの体のことを…!」
「ヒヒッ、お前らには感謝しているぜキュウレンジャー。
刀をへし折られたんで焦ったが、その直後に破片に意識を入れたんで、勢いつけてこいつを操ることが出来たんだぜ?」
アヌビス神はニヤリと笑いながら、拳を構えて、バンたちに攻撃する。
バンたちはアヌビス神の攻撃に避けるしかなかった。
バンたちには、仲間であるスバルを攻撃することができないのだ。
「この、スバルを解放しなさい!」
「誰が解放するかよぉ!
てめえらを皆殺しにしたあとで、刀を回収して、この街の人間どもを、切り刻んでぶち殺すんだからよぉ!!」
「…!」
スバルの顔で狂気に満ちた笑みを浮かべるアヌビス神。
もはやバンたちは手が出せなくなり、悔しそうにしている中で、ティアナは一人下を向いて、拳を強く握った。
ティアナとスバルは、訓練生時代からの付き合いだった。
当時から執務官になるべく必死で努力をしていたティアナですらも、スバルのことを見ていた。
スバルはとても優秀な成績を修めている裏で、自分自身が、戦闘機人と呼ばれる存在であることに苦悩していた。
それでもなお、誰よりも人間らしく在ろうとしたスバルの背中を見てきたのだ。
そしてスバルが自分の体で、誰かを助けれたらと、救助の勉強も打ち込んでいた。
そんな彼女の意思を踏みにじるようなことをするアヌビス神に対する怒りが混み上がってきた。
「…ふざけんじゃないわよっ!!」
ティアナの心底からの怒りの籠った怒号が、響いた。
「あんたなんかに、スバルの何がわかるのよ!
スバルは、誰かを助けたくて、その力を、体を奮ってきた。
あいつの意思と尊厳を、これ以上踏みにじるんじゃないわよ!!」
そう言ってティアナは、銃を構えてアヌビス神を睨み付ける。
「私は、あんたみたいなやつは絶対に許さない…!
あんたみたいな、人の意思を嬉々として踏みにじるようなやつは、絶対に!!」
「ティアナさん…」
バンたちはティアナの覚悟の籠った目に呆けていると、空から何かが降ってきた。
それはティアナの左腕に取り付けられ、手にはオレンジ色のキュータマが握られていた。
「ティアナ、それってまさか…」
「セイザブラスターとキュータマ!?」
「…」
ティアナはキュータマを睨むように見て、すぐに構えた。
「…マワスライド!」
『サソリキュータマ!
セイザチェンジ!!』
「スターチェンジ!!」
キュータマを回して、サソリの紋章が出たと同時に、セイザブラスターに装着したティアナは、地面に向けて光弾を撃つと、ティアナの体が光に包まれる。
するとティアナの体は、オレンジ色のスーツを纏い、背中にはサソリの尻尾が生え、頭にはサソリ型のバイザーの付いたヘルメットを装着し、変身を完了する。
「ティアナ…!」
「ティアナさん!?」
「変身しちゃったよ…」
バンたちの驚きの声をよそに、ティアナは前に出る。
「ティ、ティアナさん…」
かこが何か言おうとした途端、ティアナが制止をかける。
「大丈夫です、スバルは絶対、私が助けますから」
「ティアナ、お前…」
「大丈夫なの?」
「任せてください、一応、方法は今思いつきましたので」
「でも…!」
「やらせてやれよ。
…任せたからな、ティアナ」
ティアナは無言で頷き、アヌビス神に憑りつかれたスバルを見る。
「はっ、一対一ってわけか?
いくら変身できたからって調子に乗ってんじゃねぇのか?」
「あんたなんかと一緒にしないで。
今すぐ引き剥がしてやるんだから」
「…そうか、よっ!
死ねぇ!!」
アヌビス神はすさまじい速度で右腕のリボルバーナックルを回転させて、ティアナの頭を捉える。
「…スバルの魔力の中にあるあいつの反応。
そこねっ!!」
ティアナは当たる直前、デバイスとセイザブラスターを一瞥した瞬間、背中の尻尾がティアナの手足のように動き、一瞬でスバルの胸を突き刺した。
「うぐっ!
き、貴様、まさか…!」
「そうよ、さっき言った方法は、これだったのよ。
そう、ティアナが狙ったのは、スバルの胸の中にあった小さなアヌビス神の破片だ。
とても小さく、下手すれば急所を狙っていたかもしれないが、デバイスとセイザブラスターの探知を併用して、正確に見つけたのだ。
それ故に、スバルの傷はとても浅い物で済んだのだ。
「そ、そんな、バカな…!」
その言葉と同時に、スバルの目にあった怪しい光は消えて、スバルは倒れ込もうとする。
だが、ティアナがスバルの体を支えた。
「…ティア?」
「スバル、もう大丈夫よ」
スバルは体を操られていた影響か、うまく体を動かせないでいる。
ティアナはスバルを安全なところに休ませる。
「…バンさん」
「わかってるぜ、あいつはまだ…!」
バンたちが見つめる先、それは先ほどの男、アヌビス神に操られていた男である。
先ほどまで倒れてたはずなのに、男はゆらりと折れた刀を持って立ち上がった。
だが、どことなく、息が荒くなっているのだ。
「…っはぁはぁ!
ちくしょう、あいつ何てことしやがる…!」
「またあの男に乗り移ったか」
「でも、どうします?
また折るにしても、さっきみたいに破片が透過して侵入したら…」
「だったら、あいつから刀を手放させて、そこで破壊するのは、どうなの?」
「…そうですね、刀を取り上げるんじゃ、それで誰かを操るかもしれませんからね」
「甘く見るなよ、以前の俺なら不可能だったが、こんなこともできるんだ!」
アヌビス神は折れた刀を構えると、折れた断面から盛り上がるように刃が再生する。
「刃先が、再生している…!?」
「不味いよ、刃先が元に戻ったら、リーチも折れた時よりも長くなる!」
「さて、見せてやるぜ。
ここから先はさっきよりも速く、最高の刀の技をな!」
アヌビス神は改めて刀を構えて、バンたちに攻撃を仕掛ける。
バンたちも、それを迎え撃つために構える。