どうぞ、読んでいってください。
かこがトショカンキュータマを手に入れて、そこから解析できた資料にあったキュータマを探し始めて三日が経った。
ここのところはキュータマと思しきものの反応がなくて、ましてや、他の転生者との戦闘もなかった。
だが今日に限って、ある事件が起こった。
「シグナムが行方不明?」
「あぁ、そうなんや。
これを見てくれへん?」
機動六課のの隊舎に呼び出されたバンたちキュウレンジャーは、はやてに言われて、その映像を見ていた。
シグナムは、ヴィータやシャマルと同じく、夜天の書の持ち主であるはやての守護騎士の一人で、フェイトの補佐を務めていた女性だ。
もちろん、バンたちパトレンジャーとも交流もある。
それで現在は、キュータマを探すためにバンたちと同様に様々な場所を移動していたのだが、突如として姿を消したのだ。
話を戻すが、はやてが見せた映像は、昨日のシグナムとの通信と反応の記録だ。
『こちらシグナム、私の方でもキュータマとやらを探しているが、未だに見つかってない。
しばらく、捜索を続けよう』
『むっ、何だ貴様、何者だ?
…っ、貴様何をするっ!?』
『これで終わりだ、大人しく投降してもら…っ!?
な、何だこの鎧はっ!?
まさかこいつ、鎧だけで!?
体にっ、纏わりついてっ、あがぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!』
シグナムの悲鳴と共に通信が切れて、当時の座標やそこでの記録が映された。
当然、なのはとフェイトと、守護騎士であるヴィータやシャマル、狼のザフィーラも暗い表情だった。
聞き終えた後で、はやては暗い表情になりながらバンたちを見る。
「…通信は、ここまでのようや。
一応、シグナムの反応が消えた場所の調査をしたんやけど、誰もおらへんかった」
「しかし、そこには誰もいなかったとしても、何かしらの反応または痕跡はあったのではないですか?」
「…!
そうや、確かに誰もおらへんかったけど、この記録の反応を見て」
右京の言葉に、はやては心当たりがあったかのように、手元のパソコンを操作すると、そこには見たこともない反応があった。
「何だこれ?」
「ちょうど、シグナムが何者かと接触した時の反応や。
転生者でも暴走した特典でもなかったから、私たちにもわからへんもんやったけど」
「でも、これがシグナムさんを襲った何者かの反応ですよね。
おそらく、それを辿って追いかければ…!」
「そこにシグナムがいるかもしれない、そうだよね?」
「だったら、早いところ助けに行かねぇとな!」
「そうですねぇ。
では霞ちゃん、反応を探してもらっても構いませんか?」
「ふん、わかってるわよ!
けどシグナムとその反応を探るから、あんたたちは仕度でもしなさい。
私も、反応を探知できたらすぐに言うから!」
こうして、霞はすぐに機動六課の職員たちと共に探知を始めて、その座標にバンたちキュウレンジャーが向かうのだった。
その場所に向かうと、そこには紫の鎧を身に纏い、どこか見覚えのある兜と剣と、見たこともない盾を持った騎士が佇んでいた。
特に何をするわけでもなく、近づいてきたバンたちを見つめていた。
「…今度はリュウソウジャーではなく、別の戦隊の者、か」
「そういうお前は何者だ、見たところあの怪盗たちの仲間か?」
「怪盗?
あぁリュウソウジャーのことか、残念ながら俺は違うぞ」
「…何だと?」
「我が名はガイソーグ、リュウソウジャーを倒すため強者を倒し、その高みを目指すものだ」
「ガイソーグ、だと?」
鎧は自らをガイソーグと名乗って、剣を構える。
だがバンは、身構えながらガイソーグに聞いた。
「強者って言うなら、シグナムを襲ったのはお前か?
あいつをどこにやった!」
「シグナム?
あぁ、あの小娘のことか。
さて、どうなってるだろうな…」
まるで心当たりが有るかのような口振りに、バンたちはガイソーグがシグナムを何らかの手段で連れ去ったと察して、キュータマとセイザブラスターを構えた。
「ちっ、だったらお前を倒して、居場所を聞くまでだ!
行くぞお前ら!」
『マワスライド!』
『シシ カメレオン ワシ サソリ オオカミ カジキ テンビン ヘビツカイ オウシキュータマ!
セイザチェンジ!』
『スターチェンジ!!』
「スーパースター シシレッド!」
「シノビスター カメレオングリーン!」
「スピードスター ワシピンク!」
「ポイズンスター サソリオレンジ!」
「ビーストスター オオカミブルー!」
「フードマイスター カジキイエロー!」
「トリックスター テンビンゴールド!」
「サイレントスター ヘビツカイシルバー!」
「リングスター オウシブラック!」
「究極の救世主!」
『宇宙戦隊 キュウレンジャー!!』
「俺たちがお前に勝てるか、試してやるぜ!」
「ふっ、良いだろう。
相手になってやる!!」
ガイソーグは剣を構えてバンたちに目掛けて走り出す。
バンたちはキューザウエポンやセイザブラスターを構えて迎え撃つ。
バンやギンガ、フリードリヒは接近戦に持ち込みながら重い一撃をかまして、アストルフォやスバル、エリオは素早い動きでバンたちの間を縫いながらガイソーグに攻撃を仕掛け、かこやティアナ、キャロはバンたちに当たらないように注意しながら後方から射撃を行う。
「ぬっ、中々の連携だな!
リュウソウジャーとは違った強さを感じるほどのものだな」
「それはどうも、だな!!」
バンたちはさらに攻撃を仕掛けるが、かつて更生したことのあるアヌビス神とは比べ物にならない剣捌きで、盾で、バンたちの攻撃を防いでいく。
「おらぁ!」
「はぁっ!」
「えーい!」
「なっ!?」
しかしバンたちも負けじと攻撃し、ガイソーグの剣を大きく弾いて、そこからアストルフォたちが隙を突いて連続攻撃を仕掛け盾を弾き、そこから追い打ちをかけるようにかこたちが撃ち抜いていく。
「がはっ!?」
ガイソーグは今のでダメージがあったのかよろめいてしまうが、態勢を整える。
「ぐっ、強いな。
だが、これならどうだ!」
ガイソーグは剣と盾を捨てると、空いた手に見たことのある剣が出現した。
「それはレヴァンティン…!
何でお前がそれを!」
レヴァンティン、それはシグナムの使っているデバイスだ。
何でガイソーグが、それを持っているのだろう。
そんなことを考えていると、ガイソーグがレヴァンティンを関節剣に変えて、バンたちを凪ぎ払った。
「ぐぁ!!」
「きゃあ!!」
「きゅくるー!!」
アストルフォたちはすぐに避けたの無事だったが、近くにいたバンとギンガとフリードリヒが吹き飛ばされてしまった。
「バン隊長、ギンガさん、フリードさん!!」
「俺は、大丈夫だ…!
それよりも、お前らは?」
「私も、傷は浅いです!
しかし、何でシグナムさんのが?」
「あたしも大丈夫、だけど…、何であんなやつが持ってるかなんてわかんないよぉ!」
「ふふ…」
バンたちが困惑している中で、ガイソーグは不敵な笑みを浮かべる。
それにバンはある予感を覚えた。
「ちっ、何か嫌な予感がするぜ!
おい、あいつの兜を引き剥がすぞ!」
『了解!』
バンは全員にそう言って、自分も行こうとした時に、自分のいる場所に、特に足元に違和感を覚えた。
「これは…?」
バンは自分の足元、いや影と周りの物や建物の影を見る。
今は昼間の快晴であるため、日が昇っている。
影は日が当たることでできるもので、それとは正反対の方向に伸びてできるのだ。
だが、今回はそれらの中の一つの影が違っていた。
「何であの影は、別の方向に向いているんだ?」
バンが見た影は、先ほどバンが吹き飛ばされて、物が散乱した物置の影だ。
その影だけが他の影の正反対の方向に伸びているのだ。
しかも、その影にセイザブラスターが反応している。
これは転生者の反応ではなかった。
今までにない反応にバンは内心焦っている。
バンは恐る恐るその影に手を伸ばすと、手が影の中に沈んだ。
何とも言えない感触だったが、沈んだ手の中に、何かが握られているのがハッキリとわかる。
思いっきり手を引っ込めると、そこには真っ黒なキュータマが握られていた。
「何で、キュータマが影の中から!?」
バンは先ほどの影を見ると、その影は他の影と同じ方向に向いていた。
「…」
その一瞬だけそのキュータマを見たバンは、キュータマを回すと、影を思わせる紋章が浮かび上がった。
そしてガイソーグの方を見ると、ガイソーグはレヴァンティンを弓矢に変えて、かこたちを射ようとしていた。
「…まずい!
これで何とかしてくれよ!!」
『カゲボウシキュータマ!
セイザアタック!!』
バンはキュータマ、カゲボウシキュータマをセイザブラスターにセットしてトリガーを引いた。
その瞬間だった。
「なっ!?」
突然、周りの影が飛び出して、ガイソーグの体を縛り付けたのだ。
しかも、他の方向から飛び出した影が、ガイソーグからレヴァンティンを引っ張る形で取り上げる。
「こ、これは…!
まさかこのキュータマが影を…!」
バンは思わずセイザブラスターにセットしたカゲボウシキュータマを見る。
「…とりあえずこれであいつは身動きができないってことか!
おい皆!
あいつにとどめだ、ただしあの鎧を引っぺがすつもりでな!!」
『了解!』
『ギャラクシー!!』
「喰らえ、オールスタークラッシュ!!」
「ぐっ、ぐおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
バンたちは一斉にオールスタークラッシュを、影で縛られて身動きが取れないガイソーグにぶつけた。
それにより鎧が砕け、縛っていた影も消えた。
その中から出てきたのは行方不明になっていたシグナムだった。
「う、うぁ…」
「シグナムっ!」
バンはシグナムが倒れる前に駆け寄り体を支える。
様子を見た限りでは、気を失っているようだった。
「どうして、シグナムさんが!?」
「やっぱり、そういうことだったんだな」
「え?」
「シグナムは、この砕けた鎧に操られていたんだ。
…そうだな、ここに来る前に見た記録を覚えてるか?」
「…っ、そういえば!」
つまりはバンが感じた予感とは、こういうことだったのだ。
どういう理屈でかは流石のバンでもわからないが、任務中にシグナムは、鎧だけのガイソーグと遭遇し、操られたのだ。
レヴァンティンを使えたのは、自らをシグナムに着させていたからこそできたことなのだ。
だからガイソーグを引き剥がそうとしたのも、中のシグナムまでダメージがあるからだ。
「まあ、俺もさっきレヴァンティンを見たときに、さっきの記録のことを思い出したんだけどな
「そ、そうだったんですか…」
「でもシグナム、大丈夫かなぁ?」
「とりあえずは、気を失ってるだけみてぇだ。
早いところ、シグナムを連れて…」
「…なるほど、これが魔導士の力か」
『っ!?』
バンたちは声のした方向に向くと、そこにはいつのまにか鎧が集まって再生している、鎧だけのガイソーグが自らの手を見ていた。
「こいつの力はとても強い、そしてお前たちもな。
まだまだ伸びしろがあると見えたぞ?」
「お前、鎧自体が本体だったのか!?」
「ふっ、そうだ。
だが、俺はもっと多くの強者に憑りついて、強くなるぞ。
リュウソウジャーを倒すためにな!」
「ま、待て!!」
バンは手を伸ばすが、一瞬でその場から離れたのかもうそこにはガイソーグの姿はなかった。
「ガイソーグ、彼は一体何者なのでしょうか?
反応を見ても、転生者とも特典とも言えませんが」
「…さぁな。
とにかく、今はシグナムを連れて帰ることだ。
行くぞ」
バンはかこたちに言って、シグナムを担いで、機動六課の隊舎へと向かった。
謎の存在 ガイソーグ。
あの鎧は一体何者なのか、なぜリュウソウジャーを倒そうとしているのかなどを頭に過りながら。