けものフレンズ2の、にじそーさくだよ!   作:ヒラメもち

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第10話 それが強さに

黙々と作業を続けている。

 

夕日が差しこんできたし2時間以上は機械いじりをしているだろう。かばんさんが住んでいる場所は塀に囲まれていて、『コピー』セルリアンが入ってくることはない。ここなら安全な暮らしができる。

 

「はぁ」

 

でも、ここに留まらせてほしい、留まってほしいという提案をすることはない。カラカルやサーバルにとって適した環境は、サバンナ地方であるのだ。住んでいる世界が違うという言葉がまさにあてはまる。

 

 

彼女たちのことを考えるのなら、旅はまちがっていた。

 

 

「かばん、いる~?」

 

「うん! 倉庫だよー!」

 

「おおっ、いたいた!」

 

かばんさんが大きな声で所在を知らせると、鳥のフレンズたちがやってくる。灰色を基調としたブレザー制服を着たフレンズと、赤を基調としたバスガイド服を着たフレンズだ。

 

「博士たちぐっすり寝ててねー。……ほえ? だれ?」

 

「彼はイッキ。ヒトのフレンズだよ。」

 

「おお~」

 

「お仲間を見つけることができたのですね!」

 

なんだかもの寂しげなフレンズだが、声は明るい。

しかし、成り行きで出会っただけであって、そこまで自分の事のように喜ばれると、なんだかむず痒い。カラカルたちもいたことだし、俺個人としてはヒトのフレンズを探すことにあまり躍起になっていたわけではないのだろう。

 

「ど、どうも。」

 

「申し遅れました。私はリョコウバトです。」

 

「私はカワラバトだよ~。」

 

「今回はどこまで行ったの?」

 

「えっとねー、うみだっけ。」

 

「うみの近くにある、ジャパリホテルまで行ってきたんですよ。」

 

「そうそう。一緒に、つあーしてきたんだ。」

 

「さすがだね。かなり遠いと思うんだけど。」

 

『渡り鳥であるリョコウバトはもちろんだけど、カワラバトも伝書鳩としての役目を担うことはあるからね。体力があるんだよ。』

 

「えっへん。」

 

ラッキービーストの解説で、とりあえず褒められたことはわかった鳥のフレンズたちは嬉しそうだ。

 

「でも、セルリアンが現れたよね。なんていうか、生まれたてぽかったよ。」

 

「そうですね、シャチさんたちが倒してくれたようですが。」

 

「海底火山は、ジャパリホテル近くなのか……。」

 

 

ドタドタという足音。

 

 

ラベンダーっぽい色を基調とした服を着たフレンズが駆け込んできて、それを桃色を基調とした服を着たフレンズが冷静に追いかけてくる。

 

 

「かばんさ~ん! パークの危機なのだ~!」

 

「『流しの芸人』……?」

 

「なんだかバカにされている気分なのだ!?」

 

「なんだか聞き覚えがあるね~、アライさん。」

 

「ご、ごめんな? 急に思い浮かんだだけなんだ。」

 

「ま、まあ? アライさんはてん」

「何があったの~?」

「言わせてもらえないのだ!?」

 

マイペースなカワラバトに言葉は遮られた。

 

「こうざんのこと、そろそろどうにかしないとって言いにきたんだよ。」

 

「そう!ぱー」

「パークの危機、なんですよ。」

 

「久しぶりだね!」

 

探偵コンビがやってきて、言葉を遮る。

落ち込んでしまったフレンズは慰められているし、今はパークの危機のことを気にしよう。

 

「こうざん、そしてうみの件。あまり猶予はないでしょう。」

 

「なにか解決策はわかったのかな、博士たち?」

 

「……それが、まだなんだ。」

 

「そうですか。あなたが噂の助手なんですね。」

 

「あはは……。研究仲間ではあるんだけどね。」

 

「かばんさんは、とにかくすごいのだ!」

 

「そうだよねぇ、アライさん。」

 

 

 

またもやドタドタと誰かが走ってくる。

凄まじいスピードで、その影は勢いよく飛びつく。

 

 

 

「た、たべ」

「かばんちゃーん、ここにいたんだーっ!」

 

「サーバル!?」

「ほんとだねぇ。」

 

「あっ、久しぶりだね。アライグマ、フェネック。」

 

「おおーっ! サーバルもいれば、これでむてきのふじんなのだ!」

 

「え? なにかあったのー?」

 

「セルリウムが、各地から漏れ出しているのですよ。」

 

「ほんとっ!?……う、うーん……どうすればいいかな?」

 

 

その言葉に、

その視線に、

かばんさんは一度目を閉じて微笑んだ。

 

どうやら、『答え』を見つけたらしい。

 

 

「フィルターを貼り直そう。」

 

「それって、あの石のことだよね?」

 

「そうだ! あのおたからを移動させるのだ!」

 

「そういうことになるね。」

 

「おおっ、褒められてよかったねぇ。」

 

「えっへん。」

 

かばんさんたちがかつて貼り直したというフィルターは火山の噴火口から出るセルリウムをサンドスターに変えるものだ。その噴火口以外からセルリウムが放出していることが現状。

 

 

「どういうこと?」

 

「4つの石板からフィルターはできている。だから、石板の場所を各方角に移動させるんだ。」

 

「なるほど。」

 

 

どこまで有効かはわからないけれど、少しでも範囲を広げることでセルリウムの放出量を減らすことができるはずだ。

 

「方角のことなら、カワラバトさんにお任せですね。」

 

「うん。やっぱり平和が一番だからね、手伝うよ。」

 

 

 

さて、俺にできることを考えたのなら。

「……カワラバト、ジャパリホテルはどっちだ?」

 

「あっち。」

 

 

指差した方向に意識を強くする。

方向音痴ではないフレンズだからな、俺は。

 

 

「かばんさん。海底火山の方は俺が見てきます。だから、フィルターのことはお願いします。」

 

「うん。気をつけてね。」

 

「はい!」

 

 

 

かばんさんたちが火山に向かおうと準備する中、俺はさっきまで修理していたバイクを倉庫から出す。フィルターを貼り直すことはかばんさんたちに任せておけばなんとかなるはずだ。

 

 

 

 

 

海底火山の様子を見にいったとしても……、いや黒セルリアンと戦闘になったとしても足手纏いにしかならないかもしれない。でも、何もしないで、目の前で傷ついていくフレンズはもう見たくないから。

 

 

 

 

「行くんでしょ?」

 

「カラカル、イエイヌ……、かばんさんたちの方を手伝いに行ってほしい。」

 

たぶん、そっちの方が何倍も安全だ。

 

「はぁ……、どういうことよ。」

 

「あー、話せば長くなるんだが……」

 

「移動しながら教えなさい。」

 

「そうか……。そういうやつだったよな。」

 

「そうよ。旅に出たことも、セルリアンと戦うことも、あたしが決めたの。」

 

成り行きとはいえ、本来旅をする種ではないのだ。リョコウバトとカワラバトにどんな過去があるかは分からないけれど、その絆はちゃんと伝わった。

 

サーバルも、カラカルも、楽しいことを気の向くまましているだけなんだ。旅の楽しみを知ることができたフレンズなのだから、止めることはできない。

 

 

「私もできることを、……いえ、やりたいことをやります。たぶん彼女も助けを求めていますから。………ビースト、いえアムールトラさんの臭いはちゃんと覚えています!」

 

「ああ、お互いにがんばろう。」

 

「はい!」

 

ジャパリパークの一員なんだ、みんな。

イエイヌの中でまだ人のことは決着はついていないだろう。同じように孤独を味わっていて助けを求めるフレンズと会って、答えを見つけにいくのだ。

 

 

森の中へ、走っていった。

 

 

「あたしたちを守ろうとするあんたは、あたしが守ってあげるわよ。」

 

「どっかで聞いたセリフだな。」

 

自然と、俺の腰に腕が回された。

 

 

「カッコいいでしょ?」

 

ずっと憧れてきたんだ。

ヒーローってやつに。

 

 

 

もうすぐ夜だけれど、

旅のおかげで夜行性になりそうなくらいだから、

 

大丈夫だろう。

 

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