けものフレンズ2の、にじそーさくだよ!   作:ヒラメもち

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評価や感想をくれると、投稿が優先されます。ていうか、同時並行で執筆を進めるのは気分屋なフレンズだから。


第2話 通りすがりの

下の風景は竹藪が目立ってきた。

車両はここで各駅停車のようで、一度ここに止まった。

 

「うっ…うーん、止まったの?」

 

「ああ、おはよう。」

 

時刻はたぶん9時を過ぎている。

 

あくまで腹時計だとか勘だとかで、太陽の位置から時刻を推測することなどできない。こういうときスマートフォンがあればなと思う。異世界転生ものなら、基本的にくれるだろうに。ていうか、他の『転生特典』の方が欲しい。赤龍帝の籠手じゃなくて黒い龍脈とか、サポートによさげだよな。

 

まあ、所詮はないものねだりだ。

それに俺には、このバールがある。

 

「うみゃあ~」

 

「サーバルも起きなさい。」

 

「え? 着いたの?」

 

「そうみたいよ。」

 

「そっか。冒険だね!」

 

この夜行性の2人、朝まではしゃいでいそうだ。

昼休みは長そうだな。

 

 

一度車両から降りて、駅から出る。

未知の世界にカラカルもキョロキョロしている。

 

「ね! なにこの木!?」

 

朝から元気ハツラツなサーバルが見たことのないものに興味を示す。

 

「竹だな。木ではない。」

 

「そうなんだー!」

 

サーバルが面白がって揺さぶれば、ガサガサと音を立てている。

その音でさらに喜ぶ。

 

「よく知ってるわね。」

 

カラカルも、片手で握れるほどのサイズを揺らしてみている。

 

「ヒトのフレンズだからな。」

 

純粋に褒められると、むず痒い。

 

 

「ね! もっと奥に行ってみよ!」

 

はやる気持ちを抑えられず、竹藪の道の果てを指差している。

ていうか、ぴょんぴょん走っていった。

 

「はいよ。」

 

「あんたたち、目的を忘れてない?」

 

「そうだな。建物を探すことと、水場を探さないとな。」

 

「結構考えているのね。」

 

「まあな。でも、旅って楽しむものだし、サーバルのはしゃぎ具合も間違ってはいない。」

 

「それもそうだけどね。」

 

「ね! あなた、なんのフレンズ? この小さいのは尻尾なの!?」

 

白と黒を基調としたセーラー服を着ている。

丸い耳と尻尾を持つフレンズが、平たい岩の上で横になっていた。

 

 

「パンダのフレンズか?」

 

「ねぇねぇ、寝てるだけなの? お腹痛かったりしない?」

 

「だ~れ~?」

 

「あっ、ごめんね。起こしちゃったみたいだね。」

 

「いいよ~、わたしはジャイアントパンダ~」

 

のんびりとした話し方で、そういう性格が滲み出ている。

 

「わたしはサーバルだよ!」

 

「あたしはカラカルよ。」

 

「俺の名はイッキ。通りすがりの冒険者だ。」

 

「そうなんだ~」

 

イケボを華麗にスルーされた。

 

 

気を取り直して。

 

「質問なんだが。この辺りに、珍しい場所だとか、ヒトが作った物とか、ないか?」

 

「う~ん、あるよ~」

 

「ほんと!?」

 

「どこにあるの?」

 

「えっとねー、ここをまっすぐいって~」

 

「うんうん!」

 

「大きな岩を、右に曲がって~」

 

「うんうん!」

 

「えっと~~……スヤ~」

 

「あんたね……」

 

「眠るのが得意なフレンズなんだね!」

 

しかし肝心の情報が途切れたとはいえ、あることは確かめられた。

 

 

「あー!ジャイアントパンダちゃん、またこんなところで寝ちゃってるんだ。」

 

黒を基調とした服、髪や尻尾は茶色の美少女だ。

全体的に少し細い体つきをしている。

 

「あんた、だれ?」

 

「レッサーパンダって言います。」

 

「はじめまして。俺の名はイッキ。とおりすが」

「わたしはサーバル!」

 

「カラカルよ。よろしくね。」

 

「はい、よろしくお願いします。」

 

「あなたもパンダのフレンズなんだね!」

 

「ええ。ジャイアントパンダちゃんと比べて、地味、ですよね……」

 

「えー、そうかな?」

 

「わたし、ジャイアントパンダちゃんみたいに、魅力、ないですよね……」

 

「だいじょーぶ、フレンズによって得意なことは違うから!」

 

「でも、お役に立てるかどうか……」

 

まあ、そういう悩みは俺にもわかる。

戦える勇気も力もまだまだなくて、いまだに『転生特典』を求めてしまう。

 

「じゃあ、質問なんだが。珍しい場所だとか、ヒトが作った物とか、見たことないか?」

 

「ヒト、ですか?」

 

「ジャイアントパンダちゃんが知ってるって言ってたんだ!」

 

「あっ、でもでも、珍しいものなら知っています!」

 

「どこにあるかわかる?」

 

「わかりました! 案内しますね!」

 

「やったーっ!」

 

「助かるわ。」

 

竹藪の道を歩いていくけれど、そういう場所は見当たらない。

ていうか、レッサーパンダ本人がキョロキョロしている。

 

少しずつ霧が立ち込めてきていて、明らかに山登りをしている。

 

「すっごーい! たかーい!」

 

「いい眺めね。」

 

遠くの風景を一望できる。

モノレールの先も見えていて、まだまだ先は長そうだ。

 

老朽化で欠落していないかどうか、実は心配だった。

 

「あの、その……ごめんなさい!」

 

「どうかした?」

 

「実は、わからないんです……」

 

「まあ、薄々感じていたわ。」

 

「でも、レッサーパンダちゃんのおかげで、ここに来れたよ!」

 

「そ、そうなんですね。」

 

「俺としても、いろいろ知ることができた。」

 

「そうらしいわよ、よかったじゃない。」

 

カラカルやサーバルもあまり気にしていないらしい。

まあ、まだまだ続く旅なのだ。

 

「うえええーん、役に立てたんだ~~」

 

「あーもう、泣かないの。」

 

「ね! 一度休憩しようよ!」

 

「水場とか知らないか?」

 

「ぐすっ、それならわかります! こっちです!」

 

さっきよりもうきうきと案内してくれる。

 

 

 

 

このマーキングは……、フレンズの習性なのだろう。

ともかくレッサーパンダのおかげで川までたどりつけたし、流れもちゃんと穏やかだ。

 

「ここが、オススメなんですよ!」

 

小魚や虫は、いないんだな。

 

「ありがとう。喉がからからだったのよ。」

 

「冷たくておいしいね!」

 

標高が高いこともあって水が澄んでいる。

腹は壊さないだろう。

 

俺も手で掬って飲めば、ひんやりとしていて美味い。

 

 

「イッキ!はやくはやくー」

 

「はいよ。」

 

バッグから、ジャパリまんを手渡していく。

もちろん、レッサーパンダにもだ。

 

「えっ、いいんですか?」

 

「もちろん!」

 

「まだまだあるわよ。」

 

「ほらな。」

 

バッグの中にある大量のジャパリまんを見せる。

 

「持ち運びしているなんて。イッキさんって、すごいんですね!」

 

「ヒトのフレンズの、知恵だな。」

 

すでに中身のないジャパリソーダの容器に、川の水を汲む。

 

「なにしてるの?」

 

「旅には、水が必須だろ。いつでも飲めるしな。」

 

「……あんた、天才?」

 

カラカルですら、水場は探して飲むものらしい。

 

だがサーバルは川に口をつけてゴクゴク飲んでいるし、水場はその都度探す必要がある。この量では圧倒的に足りないだろう。

 

「きっもちーい!」

 

フレンズたちが、汗や汚れを流すために飛び込み始めた。

 

しかも衣服を着たままである。つまり、すけ……

そもそも、服を脱ぐという習慣がないのだろう。

 

「あんたも来なさいよー!」

 

「ぜひとも!!」

 

あくまで、水浴びしただけだ。

 

 

 

夜行性たちのために休憩も挟んだ後、一度ジャイアントパンダのところへ帰ることにした。

 

 

「ここって なになに!」

 

公園の遊具、その部品が散らばっている広場を偶然にも見つけた。

 

「ヒトの作った物の、残骸だな。」

 

「ジャイアントパンダが言っていたのは、これのことかしらね。」

 

 

「あ~いた~」

 

「あっ、ジャイアントパンダちゃん!」

 

「ここなんだ~、教えようと思ったとこ~」

 

「そっか!」

 

「ヒトのフレンズはいなさそうね。」

 

「まあな。」

 

この広場には、生活している感じはない。

ヒトのフレンズだったら、道具を集める習性があるはずだ。

 

現に、なにか使えそうな物がないか俺が探している。

 

 

「なんかくるよ!」

 

「セルリアンね!」

 

一早く、サーバルやカラカルが大きな耳で危機を察知した。

昨日会った個体より小さいが、数が多いし宙を浮いている。

 

 

俺たちではなく、壊れた遊具を襲ってきたように見えた。

しかしその攻撃対象は、俺たちに向いた。

 

まるで、極上の餌を見つけたような。

 

 

「いくよー!」

 

「あんたたち、動かないでね!」

 

腰を沈めて、駆けていく。

自慢の爪で切り裂いていけば、次々と消滅していく。

 

「わ、私も!」

 

ブランコの成れの果てに軽々と登って、勢いをつけて爪で引っ掻く。

 

「きゃっ」

 

しかし倒せたのは1匹。

地上に降りたレッサーパンダを数匹のセルリアンが襲おうとする。

 

「わたしのトモダチに、なんてことするの!!」

 

ジャイアントパンダが、力強い拳で、消滅させていく。

その威力は、明らかにオーバーキルである。

 

「一緒に、やるよ~!」

 

「うん!」

 

背中を守り合う2人を見て、俺もバールを引き抜く。

 

「おりゃあ!」

 

他のフレンズと比べれば、非力で拙い振り下ろしだ。

それでも、1匹は消滅させることができた。

 

「イッキ、やればできるじゃない!」

 

「やったね!」

 

「サンキュ」

 

各自20匹は討伐しただろうに。

まあ、自分の力でちゃんと一歩は進めた。

 

「疲れたから~、寝るね~」

 

「ジャイアントパンダちゃんったら!」

 

「そうそう~、いつもこんな私に構ってくれて~ありがとうね~」

 

「ううん、大切なトモダチだから。」

 

「そっか~、こちらこそ、これからもよろしくね~」

 

「はい、よろしくお願いします!」

 

今回出会えたフレンズたちは、さらに仲が深まったようだ。

俺たちもほっこりとした気持ちになる。

 

 

「じゃあ、あたしたちは行くわね。」

 

「旅をしているんでしたね。」

 

「そう! ヒトを探しているんだ!」

 

「そういえば、ヒトを探しているというフレンズさんに、会ったことがあります。」

 

「それはヒトじゃないのか?」

 

「いいえ。えっとー、ヒトではなかったですね!」

 

「忘れてるんじゃないの……」

 

「てへっ!」

 

こういう生き生きしている姿が、レッサーパンダは輝いている。

 

 

「じゃあ、またな。」

 

「はい! いつかまたここに来てくださいね!」

 

「ジャイアントパンダにもよろしく言っておいて。」

 

「まったねー!」

 

 

 

夕暮れの中、またモノレールに乗り込んだ。

海賊コスプレラッキービーストが運転してくれる。

 

「あー、楽しかったー!」

 

「次は、どんなところに行くのかしらね。」

 

カラカルもまた、うきうきしている。

 

「な、なによ?」

 

「旅って、いいだろ。」

 

「イッキがいるからかしらね。」

 

「な、なんでだ?」

 

「いろいろ知ってるからよ。」

 

「ま、任せな!」

 

そう褒められると、頬が熱い。

 

「ね! なにかおもしろい話をしてよ!」

 

「じゃあ、竹に関する話とかどうだ。竹取物語っていうんだが。」

 

「聞かせて?」

 

今夜は、寝かせてくれなさそうだ。

 

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