「そういえば司令官、あれなんですか?」
執務を手伝ってくれている今日の秘書官、春雨が見つめる先には小さめの袋が置かれている。前回のとは違い、今度のはやr……やましいものではない。
「ん?ああ、それは……」
「……もしかしてまたコスプレですか?」
「違う!」
確かに春雨のメイド服姿は可愛かったけども!俺、そんな趣味ないから。忘れて~。
「鈴谷と熊野が差し入れと言って持って来てくれてな」
「わぁ、チョコレートです!」
「ちょうどいい、少し休憩にしようか。コーヒーを淹れてくれるか?」
「はい!お任せください、ですっ!」
甘いものにはコーヒーと相場が決まっているのだ。
春雨が席に着いたのを確認して、まずは一つ目を食べる。ふむ……。俺が甘いものが得意でないということを考慮してくれたのか、少し大人っぽいビターな味わい。そして中から出てくるのは……酒か?なるほど、これはいいものだ。
「あっ、このチョコ美味しいです!」
春雨も気に入ったようで、上機嫌そうに口の中でチョコを転がしている。
「だな、あとで鈴谷と熊野にお礼言っておくか」
「はい!私も言わなきゃですね!」
俺は二つ目チョコを口に放り入れた。うん、やはりうまい。にしてもブランデーチョコか。いや、まさかな……。
俺が三つ目を食べようとしたとき、目の前には既に大量の空の包装が破り捨てられていた。
「おい、春雨?そのくらいで止めといた方が……
「いやれす!」
呂律の回らぬ舌足らずな声
額を流れる汗が不快感を脳内に伝える。いやいや、たかがブランデーチョコだぞ?そんなことあるわけ――。
「しれぇかん?」
キョトンと首を傾げ、蕩けた目で俺を見つめる春雨。
あかんこれ。間違いなく酔ってる。
「しれーかん!」
春雨は正面から移動して俺の隣に座った。しかしそれだけではとどまらず、しばらくの間じっと俺の顔を見たかと思えば、にへらと笑って俺の膝の上に乗ってきた。
「えへへっ♪」
可愛い。……じゃなくて。
「春雨、おりt」
「だめですか……?」
涙目+上目遣い。それはずるいと思うのです。これで断れる奴男じゃねえよ……。
「いや、いいよ」
「やったぁ!」
春雨は嬉しそうに、俺の膝の上でパタパタと足を揺らす。
スーパー可愛い。
「~~♪」
「はぁ……」
懐いてくれるのは嬉しいんだが、この状況は少し慣れないな。
俺は複雑な感情をため息に込めて吐き出す。まあたまにはこんなのもいいかな。
だが、甘えんぼう春雨の要求はそこで終わらなかった。
「しれぇかん、頭、撫でてくれませんか?」
「はいはい……」
今の春雨に話は通じない。酔いが覚めるまではある程度なら好きにさせてあげよう。
「んっ///」
春雨の頭に手を置くと彼女は艶っぽい声を漏らし、俺は身体を震わせた。心臓に悪いからそういうのやめよう、な?
「ふあぁ……」
そのままいつも夕立にやっているように前後にさすると、春雨は気持ちよさそうに背中を預けてくる。
ハイパー可愛い。
この後遊びに来た夕立が羨ましがって撫でるよう迫ってきたのはまた別のお話。
はるさミン補給完了。そろそろ他の艦も出してみたいですね。