白露日和   作:夜咲ひつぎ

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タイトル通りです、ブクマ百人いきました。本当にありがとうございます。これからも緩い感じでやっていくつもりですのでよろしくお願いします。


ブクマ百人記念 百人目の艦隊員

 私が深い海の底にいるかのような暗闇から目を覚ますと、そこは鉄と油の匂いが充満した無機質な部屋でした。

「えっと……ここどこだろう?」

 状況を確認するために辺りを散策しようと階段を降り――

「はぅゎ!?」

 ――かけたところで足を滑らせてこけてしまった。

「いったた……」

 幸いにもあまり高くはなかったので傷はないみたいだけど、それでも痛いものは痛いです。

 私がこけたままの体勢から戻ろうとすると、ちょうど正面にある扉が開いた。

「そろそろかな~……って大丈夫ですか!?」

 慌てて駆け寄ってくる桃色の髪の女の子。その姿は知らないけれど、彼女が誰かはわかる。姉妹の名前など忘れるはずもない。私は無意識に震える口をゆっくりと動かした。

「……春雨?」

「あなたは――」

 

×  ×  ×

「この先で司令官が待ってるよ」

 春雨に連れられて鎮守府の中を歩いていると、彼女は他の部屋のと比べると少し大きめのドアの前で立ち止まった。

「あわわ…。えっと、大丈夫かな?またドジしちゃったりしたら……」

 私はすっごく鈍いしどんくさいからいつも失敗ばかりです。それを提督の前でもするかもと思うと、途端に足が重くなってしまう。

「司令官はそんなことで怒るような人じゃないから安心して」

 春雨はそういうけど……、うぅ~。

「失礼します!司令官、新しい子を連れてきました!」

「えっ?あっ!」

 私が心の準備をし終わる前に春雨はドアを開けてしまった。平然と中に入った春雨のあとを慌てて追いかける。

 春雨の後ろに隠れながら部屋を見回すと、あまり飾り気のない簡素な室内が目に映った。

それから視線を正面に戻すと私を奥の椅子に座る男の人が見つめていた。

 体格はあまり軍人っぽくなくすらっとしてるけど、その風格はまさに歴戦のそれでした。

「さ、五月雨って言います!よろしくお願いします!」

 気迫に負けて一瞬怯んでしまった私は咄嗟に言葉が出なくなり、少し口ごもってしまう。そんなことを気にする様子もなく、提督は立ち上がって私に手を差し出してくれました。

「ようこそ我が艦隊へ。私がここを指揮する提督だ。君を歓迎するよ」

「はっ、はい!」

 私は恐る恐る両手でその手を掴みました。がっしりとした男らしい手を。

「……くくっ」

「……姉さん、笑ったらだめじゃないか。……ふふ」

 私がいつ手を放すべきか待っていると、後ろから聞こえてくる笑い声。振り向くと笑いをかみ殺している二人の艦娘の姿があった。

「白露!?時雨まで!?」

「着任おめでとう!お姉ちゃんをいっぱい頼っていいからね!」

「これからよろしくね五月雨」

「うん、迷惑いっぱいかけると思うけど頑張る!」

 ふと、私を歓迎してくれる二人の姉妹を見ていると誰かが呆れた顔で室内を覗いているのが見えた。

「……またやってるんですか司令官?」

「来るなって言ったのに……」

 提督はどこか気まずそうに眼をそらしながら顔の前で組んでいた手をほどきました。その表情は何かを諦めたかのようなものでした。

「春雨ちゃんの時にもうやらないって言ってたじゃないですか!」

「いや、だが、やはり最初くらいは威厳のある姿でだな」

「それでまた怖がられたらどうするんですか?」

「うっ……」

「それにだいたい――」

「あの、止めなくていいんですか?」

 剣呑な雰囲気、というには艦娘の方に提督が一方的に言われていますが、どちらにしてもあまりよくない状況です。

 早く止めないと、と逸る私と対照的に、隣に立つ春雨は落ち着いていました。

「まあいつものことですから……」

「いつものことなんだ……」

 私が着任した鎮守府は少し変なところみたいです。

 

×  ×  × 

 

 

「そういえば五月雨でちょうどうちの艦娘も百人になるのか」

 しばらくして吹雪さんと提督の話し合いが終わると、提督が感慨深そうにつぶやきました。

「それは大変です!」

「うお!?どっから出てきた青葉!?」

 すると突如室内に一人の女性が姿を現しました。その人は淡い紫色の髪を後ろでまとめていて活発な印象をうけます。

「そんなことはどうでもいいんです!早速歓迎会&百人目のお祝いをしないと!!」

「お前がはしゃぎたいだけだろ」

「というわけで青葉、鳳翔さんたちのところにいってきます!」

「好きにしてくれ……」

 慌ただしく去っていった青葉さん。なんだかすごく個性的な人たちだ。

「ふふっ」

「やっていけそう?」

 思わず漏れた笑い声が聞こえていたのか、吹雪さんが微笑みながら私の顔を覗き込んで、そう聞いてきます。

「はい!!」

 私は力強くうなずいた。

 きっとここでなら楽しい日々を過ごせる。そんな確信に似た予感が私の胸を埋め尽くしていた。

 




吹雪に叱られたい
ps 新しい試みで視点変えてみたのですが違和感がすごい……。時々やるかもしれませんが生暖かい目で見守ってください。
ps2 五月雨より先に春雨がいる鎮守府?とかいうつっこみは受け付けません
追記 今イベントで春雨が落ちるという情報を頂いたので、お迎えできたらまた記念ss書きます
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