ずっと室内にいても肩が凝ってしまうので、たまには散歩でもしようと外に出ると、ちょうど非番だった春雨もついてきた。
「司令官、今日のお夕飯何がいいですか?」
「う~ん、麻婆……豆腐か春雨か」
「頑張って作りますね」
「楽しみにしてるよ……って雨?」
せっかくだからとついでに買い出しに来ており街中をぶらぶらしていたのだが、首筋に冷たい物が当たる感触がした。次第に雨足は強くなり、ついには大きな音とともにコンクリートの地面を黒く染め上げる。
「春雨こっち」
「はい!」
慌てて近くの軒下に春雨と駆け込んで一息つくと、雨足はさらに強くなってきていて当分やみそうにない。
隣を見ると急いで雨から逃れたものの間に合わなかったようで、ぐっしょり濡れた服にうっすらと桃色の下着が透けていた。
俺は彼女から顔を背けながら、暑くて脱いだ上着を取り出しその小さい肩にかけた。
「春雨、これ着とけ。いくら夏でも濡れたままじゃ寒いだろ」
「でも司令官だって……」
「いや、その……春雨の服が、な?」
「~~っ!?」
春雨は顔を熟れたリンゴのように赤く染め、横目で俺の様子を窺う。
「み、見ました……?」
「まあ見えていないと言えば嘘になるが……」
「そこは嘘でも見てないって言ってくださいよぉ……」
それからしばらくそこで春雨と雨宿りをしていたが、雨は一向にやむ気配を見せない。「雨、やみませんね……」
「傘持って来てないのが痛いなぁ」
「そうですね……」
春雨が空を仰ぎながら呟く。
「……?」
ふと何かを思い出したようで、彼女は両手で持っていたハンドバッグの中に手を入れた。
「……あぅ」
「どうかしたか?」
「いえ、なんでもないです!はい!」
それで何もないはちょっと無茶があるぞ?
そのままじっと春雨の目を見つめていると、彼女は所在なさげに視線を逸らした。それでも見つめ続けているといたたまれなくなったのか、ついに事情を白状した。
「すみません司令官、実は一本だけ折り畳み傘があるんです」
「ん?よかったじゃないか。なんで隠したんだ?」
「その……、もうちょっと司令官とお話ししていたくて……」
顔を俯けながら聞こえるか聞こえないかくらいの声でぼそぼそと話す春雨。嬉しさと微笑ましさを感じていると春雨が両手に乗せて傘を差しだしてくる。
「使ってください司令官!」
「いやいや、置いていけるわけないだろ」
とはいえ二人で入るには折り畳み傘は少々狭い。春雨だけ先に帰れと言っても絶対帰らないし。それなら現状維持でいいか。急いで帰る理由もあまりないし。
「どうせこの雨だと折り畳みじゃびしょ濡れになるだろうし、もうしばらく雨宿りしてようか」
「は、はい!」
俺がそう提案すると春雨は少し食い気味に首を縦に振った。
「~~♪」
上機嫌に鼻歌をすさむ彼女の姿につい、口元が緩んだ。
× × ×
「すっかり遅くなっちゃいましたね」
「今から夕食の準備してもらうのも申し訳ないな」
「いえ!春雨は大丈夫です!」
「あー、その食材明日までもつか?」
「?。大丈夫です、はい」
「じゃあたまには外食でもしようか」
「え?司令官とお夕飯外でご一緒でいいんですか!?嬉しいです///」
はるさミン補給。いついかなる時、どんな姿でもやはり春雨は可愛いです。