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「……はぁ?」
少女は読んでいた本から顔を上げた。自慢げな本条の手には二枚のチケットが握られている。
「だーかーら!アマゾンランド、行こうよ!」
ため息代わりに眉をひそめるも、本条は一切気付いていなかった。その事実に心の中でため息をつく。
別に少女も”面倒くさい”などといった、怠慢な理由でアマゾンランドに行きたくないわけではなかった。少女の体質たる”文系以外の人間と話すことが出来ない”というものがあるからだ。この体質は単に広義的に”文系以外”というわけではない。
例えば文理選択で文理を選んでいる中の文系というわけではなく、”少女の目から見て理系の気配があるもの”は全体的に話すことが出来ないのだ。一応学校には前野経由で話を通してあるのだが、遊園地となればそうはいかない。”文系以外の人間と話すことが出来ない”なんて体質、理解してもらえるはずはない。
「……ごめんなさい、遊園地とか苦手で」
なるべく傷つかないようにと考慮した上での言葉。察しの良い本条ならばこの真意を理解してくれるだろうと期待した少女だが、返ってきた言葉は予想外だった。
「んーここ遊園地じゃないよ?ほむんくるす君あったでしょ?あれの展示なの!」
ほむんくるす君。少女の脳内検索であのゲームセンターでのぬいぐるみが思い浮かんだ。あれから本条との帰路でほむんくるす君に関して「偶像界のピカソ」や「神聖ローマ帝国をもっとも恐れさせた偶像」などと熱弁されたが、少女の心には全く響かず、いつも本を読みながら適当に返答していた。あの造形なので本条以外の人間で好いている者など一握りだと信じていたが、どうやらかなり人気の商品らしい。前野に聞いた所では一クラスに五人はほむんくるす君のストラップを付けているらしい。軽く狂気では、と少女は強く思う。
「……あ、そうだわ」
ふと、少女の脳裏に一つの案が思い浮かんだ。
「えっ、行く気になったの、アイアイ!?」
「……一つだけ、条件を飲んでくれたらいいわ」
ちょうど、その日にある用事があることを思い出したのだ。
「条件?」
「そう、条件。一緒に行くなら、一つだけ条件を飲んでくれたら行くわ」
「ほんと!?それでそれで、条件って?」
少女はポケットから四つ折りにされた一枚の紙を、本条に渡した。本条は頭を傾げながら受け取ると、紙を展開した。……なるほど、どうやらそれはチラシみたいだ。チラシに書かれているのは、本、本、本。少女の目を見ると、キラキラと目を輝かせていた。
「帰りに……一緒に、本屋に寄らないかしら?」
市販の蒸しパン食べたら軽く胸焼けした、寄る年波感じました……私何歳だ……