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展示も後半になってくるとほむんくるす君の写真や設定資料がしっかり出てきて、何も知らない少女にとっては退屈なものになっていた。暇潰しにほむんくるす君の設定についての文も少し読んでみたが、『カレーとシチューの両親から生まれた生き物』という文を読んだ時点で、読むのを諦めた。それにしても少女は浮足立って仕方がなかった。たとえ少し惹かれる展示があっても、時折目の前をワンピースの女の子が通ってきて、全く集中できていなかったのだ。
「ねぇねぇアイアイ、これやばくない!?ほむんくるす君の秘密結社バージョンの等身レプリカだよ!」
「……えぇ」
といったやり取りが、幾度も繰り返されていた。その度に本条もまた、暗い顔をした。
「……ねぇアイアイ、どうかしたの?」
「……何でもないよ」
「そっか」
また変わらずにほむんくるす君の展示を見つめる本条。幾度も繰り返していく内に、段々楽しんでいるという情熱が失っているのが明らかであり、反比例して、わざとらしさだけが増加しているのが強く感じられた。少女は空気が腐ってしまったようで辛かったが、指摘すれば全てが壊れてしまう気がして、口が開かなかった。今、この関係を壊すわけにはいかないのだ。そう思い込もうとしている間も、目の前のワンピースの女の子は楽しそうに走り回っている。少女の心の器には、モヤモヤが溢れかけていた。ちょうどその時、ワンピースの女の子がつまづいて、転けてしまった。
「……あっ」
「あっ……?」
本条が肌に汗を伝わせているのなんて気にも留めず、少女の心の器はついに洪水を起こした。
「本条さん、ごめん。やっぱり私気になる」
「えっ……何が?」
女の子に駆け寄ると、少女は手を出した。女の子は少女の手を借りて、立ち上がる。触れられる、ということは存在する者、幽霊ではない。その事実に、少女はほっと一息をついた。
「ねぇ、君、大丈夫……?」
未知の生物でも見たような顔をする女の子に、少女はじぃと目線を送る。だが女の子の視線の先はどこか遠く、少女の背後であった。何を見ているのかしらと振り向こうすると、チクッと何かが刺さったような痛みがした。咄嗟に繋いだ手を離してしまうと、女の子は猛スピードで走り去って行ってしまった。本条の元に戻ると、どこか思いつめたような顔で少女を見つめていた。
「……ねぇアイアイ」
「……うん、何でもないの。さっ、続きを見に行きましょ!」
「……そ、そっか!」
少女はすっきりとした心持ちで、また本条と共に歩き始めた。その姿を、女の子は展示の影から不安げな目で見つめていた。
ソルティライチくんクソ好きだけど、友達は嫌いらしいの悲しい