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目が覚めると、少女は床で寝ている本条の姿が確認できた。その横に、昨日少女が着ていた服も。布団から起き上がった少女はやれやれと思いつつ、自分にかけられていた布団を代わりに本条にかけてあげた。えへへと本条が寝言を漏らす。枕元の目覚まし時計を見ると、まだ朝の五時。本条の顔と少女に着せられたほむんくする君Tシャツを交互に見ながら、何をしようかと考える。今日は土曜日であるし、これと言って差し迫った用事もない。ただ、何もしないというのも退屈である。
「……少し、この家を探索しようかしら」
人は時に、普段とは違うことをしたくなる衝動に襲われることがある。その強い思いに突き動かされて、少女は部屋の扉を開けた。昨日までの記憶の通り、とても綺麗な内装で、新築マンションであることが窺がわれた。本条を起こさないように、抜き足差し足で、まずドアが開きっぱなしになったリビングへと足を向ける。でも、それは異様だった。これだけ広い部屋を有しているというのに、リビングにあったのは小さなちゃぶ台だけだった。そこには椅子もない、座布団もない、テレビもない、まるで引っ越し初日の部屋のような部屋だった。付属されたキッチンにも何も置かれておらず、冷蔵庫すらもなかった。恐怖、とはまた違った感情。畏怖、とでも言うべきだろうか。いつも、あんなワイワイしている人間が、ここまで非文明的な生活をしていることに驚きを隠せなかった。朝から身体に冷や汗を流していると、ガタンとリビングの奥の方から音がした。本条はまだ部屋で寝ているはずだし、この部屋には別の誰かがいるのか。心臓の音が聞こえる。瞬きが多くなって、恐怖で呼吸がしづらくなる。途端に足音が私の方に向かってくる。ドタドタドタという足音はおよそ人間のモノとは思えないほど速いように感じられ、少女はどうにかリビングから逃げようとした。ドアへと向かって、足音を立てないように後ずさりしていく。しかし、背中に何かがガァンと当たる感触。恐る恐る後ろを向くと、真っ白な壁。もうどうしようもなくなって、頭を抱え込む。
「わぁぁぁぁぁぁ!」
「……落ち着いてください、私はあなたの敵じゃありません」
「……へっ?」
目の前にはあの、ピンクのワンピースの少女が立っていた。それも、普通に言葉も話している。やはり幽霊ではなかったのだという安心感と共に、なぜという疑問が少女の頭を包む。
「貴方はアマゾンランドのあの……なんで?」
「それは……」
「それは、私から説明するよ。……アイアイ」
ドアの向こうから、寝ぐせで髪がスーパーサイヤ人のようになっている本条がひょこっと顔を出した。
ヨーロッパ旅したい