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人は言葉を軽んじる傾向にある。その重みや責任は知っているはずなのに、感情が先走って言葉が漏れてしまう。それは憎しみであったり、怒りであったり、幸せであったり。ただ、それは言葉を使う限り付き纏う呪いでもあるのだ。電化製品を使い始めた人間がそれなしで生きることが出来ないように、私達はその呪いを振り払うことは出来ない。
だからこそ、告白という呪いは相手と自分を死ぬ瞬間まで呪い続けるのだ。例え、どんなに忘れようとしても。
少女にかけられた一つ目の呪いは"憎しみ"だった。それは彼女を異端たらしめる原因に至らせた。二つ目の呪いは"幸せ"だった。これは周知の事実たる本条の告白である。そして今、かけられた三つ目の呪いの名は"哀愁"であった。目の前の本条に浮かぶ表情は後悔や絶望などではなかったのだ。哀愁、何かを悲しみ憂う感情。何故にそのような表情を浮かべるのか。少女には全く理解が出来なかった。
「ねぇ、本条さん。それってどういうことなのかしら。また"嘘"でもついてるの?」
「違う!今回は本当なの。私が貴方の慕う彼を刺したの」
「どうして……だったら、どうしてそんなことをしたの!」
「"前野がアイアイを殺そうとしていたから"だよ」
本条は少女を騙し、実質的に誘拐した。でもそれは行き過ぎた愛故の行動であり、今回前野を殺そうとした事との関連性が掴めなかった。
二人を応援することはあれど、邪魔するような人ではないのだ。なのに目の前の本条の表情には、嘘偽りが全くないように見える。いつものふざけたことばかり言う本条とは違い、どこまでも真っ直ぐなのだ。
「前野さんが殺そうとしていたなんて……そんなこと」
「信じられないよね。でも本当なの。アイアイ、何度か殺されかけたことあるでしょ?」
「えっ。どうしてそのことを」
「だから言ってるんじゃん。それを、前野がやったの」
庭に埋められそうになったり、お風呂に閉じ込められたり。あの昼間の太陽みたいに優しい前野がそんな酷いことをした、なんて。少女のは得体の知れない真実に身を落とした。
「無理。信じれない。そんなの……そんなの嘘よ!そうやって、私をまた騙して……騙し」
呼吸が出来ない。この感じ、少女には覚えがあった。それは一回目の呪いを受けた時、少女に引き起こされた症状。"過度に理系の人間と話して、引き起こされると思っていた症状"だった。最近ではまず"話せなくなっていた"のだか、何らかの理由で話せていた本条との会話がトリガーになってしまったようなのだ。
「アイアイ!しっかりし……て……」
目の前が暗くなってくる。普段なら大問題なのだが、目の前に叩きつけられた真実からも逃れられるような気がして、少しホッとした。少女は今回だけは、この呪いに助けられたような気がした。
間に合った……いやクリスマスには間に合ってないけど……因みに受験に受かりました。おめでとう、私。
でも合格書類無くしました、シンプルにやばいけど、どうしようもない……