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暗転した世界では嫌なことばかり思い出す。例えば体育の時の失敗で影で悪口を言われたこととか、大好きなぬいぐるみが壊れてしまった日のこととか。確かにこの世界は良いことも沢山あるけど、それ以上に嫌なことで溢れている。だからこそ、あの呪いもそんなありふれた嫌なことの一つのはずなのだ。なのに、呪いはいつまでも私を追いかけてくる。ふとした瞬間に、背後から少女の頬に触れてくる。そっと耳元で呪詛を呟く。「お前は逃れられない」「決して忘れさせない」そんな、心を拘束してくるような呪詛を。
「Old Story……」
ふと、あの物語の名を口に出す。カウンターの人に勧められ、前野がなるほどと納得した物語。少女にはなんのことか分からなかったが、前野を納得させたあの物語、そこにこそ"答え"があるのではないか。そうすれば、"前野の無実が証明されるはず"だ。少女は酷く焦っていた。早く証明しないと、少女の元に誰もいなくなるような気がして。
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気が付くと、自分の部屋のベッドの上だった。起きるや否や、少女はあの物語が今どこにあるかと思案した。確か……そう、無くしてしまったのだ。無くしたことに気付いた後、ちゃんと図書館に謝って弁償代を払ったのだが。そんなことは重要ではない。あの本はどこにいったのか、それが一番の問題である。そもそも紛失した場所は家の中である。仮に盗られとしたら廃棄されている、またはどこかに隠されているだろう。前者だったら新たなモノを探すしかないが、”ある理由”でそれはないと少女は思っていた。
「まずは……亜鈴の部屋かしら」
おそらく亜鈴のことだ、前野の病室に泊まっていることだろう。一応足音を立てないようにして、廊下を歩いてい行く。亜鈴の部屋は二階の前野の部屋の隣にある。少女にとって、亜鈴は目の上のたんこぶのような存在だった。亜鈴は前野にこの場所に連れてこられた時から住んでいた。
「前野さん……誰?奴隷?」
第一声から少女から嫌っており、前野にきつく叱られていたのを覚えている。少女は亜鈴がどこ出身であるとか、どんな家庭環境に晒されていたのかは知らない。この家では前野以外は境遇をすべて理解しているモノはいなかったし、暗黙の了解として互いに聞こうともしなかった。また互いの部屋に入ることも、それが相手の”領域”に入るようで避けるようにしていた。
少女はドアノブに手をかけた。ついに私は暗黙の了解を破るのだ。一筋の背徳感と高揚感を身に感じながら、少女はドアを開けた。
とろろ昆布をそのまま食べたら美味しいよね……分かり合える人少なそうだけど。
ふりかけを個体で食べる変態なので……