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数多くの謎が生まれたと共に、本条のあの言葉が脳裏に蘇る。
『私が前野翔太をあんな目に合わせたの』
少女とてこの目で見ていた訳では無いので、この手紙は誰かの妄言かも知れない。けれどあの手紙に書かれていた文字は少なくとも、前野の筆跡でないのは明らかである。隣にいた亜鈴も、その点について口を出さなかった事からも明らかだ。それに、どうしてあんな文言の妄言を手紙で送る必要があるだろうか。亜鈴も少女も二人がここにやってくる前の前野については何も知らない。一人暮らしをしていたのか、彼女がいたのか、などなど、何も教えてくれたことがなかった。だが少なくとも、手紙の文言から察するに前野に"彼女はいた"。それは紛れもない事実だ。その彼女は前野の狂人的部分を恐れて別れたのだ。恋のゴタゴタならいざ知らず、終わった恋に対して妄言を書く必要などあるだろうか。おそらく、ないはずだ。少女は星のオブジェを握りしめると、ゆっくりと立ち上がった。後ろにいる亜鈴の方を向く。いつもと変わらない表情だ。少女は奇妙な違和感を感じた。
「ねぇ亜鈴」
「なんだよ」
「"知ってたでしょ"」
「……だったらそれがどうしたんだよ」
「亜鈴は……これが真実だと思う?」
亜鈴は黙り込んでしまった。どこか遠くを見るような目をして、深く瞬きをした。まるで自らの思考の奥深くを見つめるように。少女は何も言わずに、亜鈴の言葉を待った。亜鈴はゆっくりと言葉を漏らした。
「俺は……真実だと思う。ずっと前野さんを見てきたけど、時折、あの人、変な表情になる時があったんだ。なんつーか……"小学生になったばかりの頃に抱いていた、学校や世界への甘い幻想"、みたいな。童心と言ったら簡単なんだけど、それとはちょっと違う……みたいな」
分かる、何ともなしに理解出来てしまう。亜鈴の言う通り、前野は時折そんな表情を見せるのだ。初めて会った時も前野はその表情を見せたの強く覚えている。少女は深呼吸をすると、暫し目を瞑った。信じたくないという感情と、それでも非情に証拠だけが揃っていく現実。このまま前野を信じ続けるべきなのか、そうでないのか。今の少女には分からなかった。それでも一つの決意が胸に灯った。
「……んで、どうするんだ。俺は正直、前野さんがどんな事をしていようと関係ない。過去にどんな残虐なことをしていようと、今の俺があるのはあの人のおかげだから。これ以上は協力出来ない」
少女はふっと息を吐いて、目を見開いた。
「私は……」
窓の向こうでは、灰色の雨が地上に降り注いでいた。
あとは1984年という本……ジョージ・オーウェルの本を読んだのですが、エグいね。
日本もいつかこうなるのかなぁと、監視カメラの必要性と孕むデメリットに思いを馳せたり、
思想管理の仕方に胸が高鳴りました(物理)深夜に読むのは、やめよう!(提案)