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風を感じる。本条の祖母は一体、私をどこに連れて行こうとしているのか。バイクは商店街を抜け、街の小さな小道をすり抜けていき、今はトンネルの中を走り抜けていた。期待感と焦燥感だけが少女の心の中で渦巻いている。
「さっ、ここを抜ければ目的地はすぐそこだよ!」
前方に出口の光が見えてきた。バイクはモーターをブルンブルンと響かせながら、光の方へと進んでいく。ぎゅっと本条の祖母の腰を掴む手に力を入れた。トンネルを潜り抜ける。途端に鼻の中を通っていく潮の匂い。トンネルの向こうにあったのは海だった。海開きをしていないらしく海水浴客の姿は見えなかったが、それがかえって海本来の静けさと心を慰安する波の音を際立たせているように感じた。人が多いと、何かと波の音よりその声の方へと心が行ってしまうものだ。そのままつづら折りの道路を駆け抜けて行くと、本条の祖母はその先にあった駐車場にバイクを止めた。
「ほら、ヘルメット脱ぎな」
「は、はい……!」
スイッチを押して脱ごうとしたが、汗と極度の緊張で指先がツルツル滑り、スイッチが上手く押せない。しばらくバイクの上で格闘を続けていたが、あまりに出来な過ぎて本条の祖母はため息をついてしまった。
「ほら、貸しな」
自分の事を情けなく思いながらも、少女は顎をクイっと上げて突き出した。本条の祖母は慣れた手つきでスイッチを押すと、何事もなくヘルメットを外した。
「あ、ありがとうございます……」
「いいんだよ、このぐらい。そんなことより、さっさと行くよ」
ヘルメットをバイクの持ち手に括り付けると、本条の祖母は早歩きで先々と進んでいった。少女も慌ててその後を小走りで追いかける。本当に、どこに連れて行くつもりなのだろうか。周りを見渡しても、あるものは海と砂浜だけだ。アラジンみたいに「開けゴマ!」と叫んだら、開く岩の扉でもあるのだろうか。期待感は異様なほどに膨らんでいた。けれど同時に、こんなことで何かが変わるのか、このまま本条の祖母に付いていくだけでいいのかという焦燥感も膨らんでいた。砂浜の中腹に来た辺りで、本条の祖母は足を止めた。少女も足を止める。
「さて。今アンタは”なぜここに来たのか”と思っていると思うが、理由は簡単だよ。”このままここにアンタを置いていく”ためさ」
「へっ……?」
「まさかアンタ、私が魔法使いか何かと思っていたんじゃないだろうね。ここら辺に実は私の隠れ家があって、そこには今の状況を打開する魔法のアイテムが……みたいな」
図星な指摘に少女は何も言えなくなってしまう。胸の中にあった期待感と焦燥感は膨らんだまま、弾けてしまった。それも少女の心をズタズタに切り裂いて。その姿にまた、本条の祖母はため息を零した。
「まぁなんにしても、ここには電波も届かない。徒歩で帰ろうにも、家に着くころにはアンタの脆弱な身体じゃ餓死しちまうんじゃないかい?ともかく、私は行くからね。じゃあね」
あっと思った時にはもう遅い。本条の祖母は猛スピードで駆けていくと、少女が辿り着くころにはバイクに乗って走り去ってしまった。ゼェゼェと肩で呼吸をしながら、つづら折りになった道を走り抜けていくバイクを呆然と眺めていた。
他の推しの話しますか。最近ゲーム大賞取ったメギドくんのフルーレティというキャラなんですが。
アムトゥギアスちゃん可愛くありませんか(突然の飛躍)フルーレティを尊敬する眼差しとか、アンドロマリウスとメアリー・チェリーについて話す時とか。メギドくんは芸術に対する見方が趣深いので、皆も芸術組を推して行こうね