AI   作:海沈生物

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 バイクを走らせてやってきた先は山奥にある廃工場だった。その前には見覚えのある車……いつか、少女の家で見たことがある車があった。間違いない、ここに前野と……少女がいる。ポケットの中にスタンガンがあることを再確認すると、本条は建物の中へと入って行った。

 

「……アイアイ、どこ?」

 

 声だけが静寂に支配された空間に響く。声は返ってこない。段々、ここにいるか不安になってくる。でもあの紙を信じるなら、ここしかないわけで。本条はヨシッと声を出して自身に気合を込めると、張り切って工場内の探索を始めた。

 工場内部の構造はいたってシンプルだ。一階と屋上しかなく、一階は工場スペース。ほとんどの機械は撤収されていてそれがあったという黒い跡だけが残っており、残っているのは中央部分にある……謎の巨大な貯水タンクだけだった。天井が抜けているので、おそらく何かの拍子に天井から崩落してきたのだろう。本条は必死に探した。柱の影から、崩落した壁の残骸の中、そして屋上も。ざっと見た感じは、いないように感じた。

 

「やっぱり、ここにはいないのかなぁ……アイアイ……」

 

 屋上のベンチに座り、一息つく本条。実はあの車はフェイクで、本条をおびき出して時間を稼ぐための罠だったんじゃないか。今頃少女はもう……と頭に過るも、すぐに振り払う。少なくとも、教会の時点で少女は生きていたのだ。

本条はベンチから立ち上がると、また探索しよう……と思った瞬間だった。それは本当に一瞬の事で、気付かなかった。

 

「背後ぐらい、確認したらどうだい?……本条紗耶香」

 

 強烈な電気が身体に走る。スタンガン。身体が動かなくなる。

 

「せめて、警察にリークしておけばこの後助かる見込みがあったかもしれないが……まぁ”物語のキャラ”としての自覚のない君には、分からないことだったね」

 

 高笑いする前野に強烈な殺意がわいたが、どう足掻いても身体は動かないのだ。あぁ、これで私は殺されてしまうのか。本条は悔し涙を零しながら前野を見つめていたが……倒れる本条を眺めるだけで、前野は何もしてこない。

本条が意識を失うのを見ると否や、前野は本条を背負った。

 

「さて……私の物語の通りなら、”しかし健闘虚しく、夜の神様の心は不動で、絶望した昼の神様はどこかに姿を隠してしまった”………となっているが、まぁ”姿を隠す”も”死んでいる”もさして変わりはないだろう」

 

 世闇の中に響くのは前野の高笑いだけだった。




指輪物語の話はさておき、他に読んだ本の話でもしますか。
あと読んだ本は……塩の街ですね。前半はそんな好みじゃなかったけど(失礼の塊)、後半まで頑張って読んでみたら展開熱くてつい夜中まで読みふけっちゃいました。いやぁ……でも実際、隣にいる人が塩になったら驚きすぎて心臓止まるよね。私は限界オタクだから、いつでも心肺停止してるけど
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