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少女は今ほど心臓というモノを煩わしく思ったことはなかった。手に握るナイフと、それを見つめる前野と……そして、手足を縛られて胸と胸の間に”Critical!”と文字が書かれた本条の姿。少女が深呼吸していると、前野が少女に微笑みかけてくる。
「さっ、藍くん。目の前で項垂れているだけの”彼女”を殺すのは容易いよ。”死にたい”なら床にナイフをおいて、”死にたくない”なら彼女の胸を気持ちよく一刺しするんだ。あんまり長く生かすと苦しいだけだからね、上手く殺すんだよ?」
「はい……わかり、ました」
少女の気持ちはこの時点で既に強固なモノになっていた。ゆっくりと意識を失ったままの本条に近づいていく。やがて身体が密着するほどまで近づくと、少女は本条の頬に触れた。今まで手を繋いだりまではしたことがあったが、自分からこうやって密着して触れ合ったことは初めてかもしれない。大きな瞳、少し焼けた色の肌、そして……。前野からの強い視線を感じながら、少女は本条の顔を見つめた。……それはほんの一瞬の交わりで、唇と唇が互いの温かさを伝えあい、少女の冷え切った身体に一時の安らぎと、一億の冨よりも胸に染みる”感情”を与えた。少女は唇を離す。そのままナイフを持って立ち上がると、護身用のスタンガンを腰に差した前野の方を振り向く。
「……”もういいです”、本条……いや、”紗耶香”を解放してあげてください」
ナイフが固い床と擦れ合う音。驚いた表情で見つめる前野に少女はニコリと微笑む。
「私には……前野さんや紗耶香の感情は分かりません。どうして物語なんかにこだわるのかも、こんな面倒な私を追いかけてきてくれるのか。でも、私は少なくとも二人から沢山の”温かさ”を貰えたのはこの胸が、心が、魂が、感じています。だから」
「……そうかい。つまり、これは”平等な取引”というわけだ」
前野は微笑を携えながら、床に落ちたナイフを取りあげる。器用にクルクルとナイフを回すと、フッと少女の心臓部にナイフを突き立てた。
「でもね、藍ちゃん。”物語”の進行上、キミだけが死ぬと話が成り立たないんだ。だからね……”キミと本条紗耶香には一緒に死んでもらう”よ」
少女の動揺の声など聞こえないように、前野は少女を本条の上に押し倒す。そしてナイフを少女の心臓に突き立てた。
「正直二人分の遺体を処理するのは中々手間がかかるのだが……”物語”の為だ、致し方ない。……それじゃあね、藍ちゃん」
少女の胸に勢いよくナイフが突き刺さる……そう思った時、少女に降り注いだのは赤色の液体に成り代わっていた。胸から血を垂れ流す前野の背後には、”いつも”の顔した男の姿。
「……さようなら、”翔太”」
はてさて、もう書くネタがないんだけど……なんだろ、次回が最終回になるんだけど。
ワンピースが1984年にしか見えなかった話とか、絶対聞きたくないでしょ……?
うーん……パスタに水ぶっこんで、トマトジュースぶっこんで、チーズぶっこんで、適当な具材ぶっこんだら中々美味しいよ!(適当)