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目が覚めると、本条の目の前にはぼんやりと虚空を見つめる少女の姿が目に入った。その背中は遠い誰かを見ているようで、今にもどこかに姿を消してしまいそうな雰囲気を纏っていた。本条が冷たい身体を持ち上げると、少女は先程までのオーラを引きづったまま少女に向かって苦笑いをしてきた。
「……起きた?……おはよう、紗耶香」
本条は一瞬誰の事を呼んでいるのか分からなかった。でもすぐに自分の名前が呼ばれていたことに気付くと、今できる精一杯の笑顔でおはようと返す。それから、二人の間にはしばしの無言が続いた。互いが互いを見つめ合い、ただ何も考えずに互いの疲れた表情を鑑賞しあった。でもそのうち、ふと少女がクスクスと笑い始めた。理由は分からない。でも少女にも、本条にも、疲弊した胸の奥の底からムラムラと笑いが巻き起こってきたのだ。どうしてこんなに笑えるのだろう、色々あって、言いたいことや聞きたいことも互いに沢山あるはずなのに。ただそこに、互いが存在して無事である事実しか分かっていないというのに。二人は雨の止んだ狭い空間の中、ヒィヒィと誰かが聞けば狂ったと思われるほど笑い続けた。けれど、そのうちに笑いが覚めてくる。本条は目から零れる塩水を服の袖で拭いながら、あぁそうだと少女に顔を寄せる。
「アイアイ、私にキスしてきてなかった?」
少女は一瞬暗い顔をした。でもすぐに顔色を明るくして、微笑む。
「……さぁどうかしら?それより今日はもう寒いから、紗耶香の家に泊まりに行きましょう?私、今家無し少女だからさ」
本条はその言葉の意味を考えようとしたが……すぐに考えるのを止めた。多分、全ての物事は終わってしまったのだ。”物語”は幕を下ろして、今は大団円なのだ。終わったことを蒸し返しても、それは多分何にも解決にならない。本条はヨシッと気合を入れる。
「家無し少女……ってちょっと興奮する単語じゃない?これはもしかして、アイアイからの……そう確か……いん……」
「……隠喩?」
「そう、それ!つまり”襲って欲しい”ってことのい……」
パシッと軽いチョップが少女から飛んでくる。ムッとした顔で少女を見つめると、いつもの十倍ほど少女の顔が官能的に見えた。こんなに疲れているはずなのに、どうしてだろうか。帰るわよとなぜか先導していく少女を見つめながら、今夜はきっと耐えられないだろうなぁ……と思いつつ、本条は彼女の跡を追った。その廃工場に残されたただ一つの存在を知らずに。
最終回ですよ、最終回!久しぶりに作品完結まで持ち込んだ気がする。
はてさて、作品内容には相変わらず口出しはしないんですが……次回作の話でもしますか?
まぁ見てくれても見てくれなくても全然書くんですが、予定としては夏には投稿したいなぁ……とか考えてます。予定では、ちょっとファンタジーちっくな話でも書こうかと。まぁ異世界転生とかはしないので、相変わらず人気でないこと必至なんですが。
まぁともかく、ここまで読んでいただきありがとうございました!次回作も読んでくれたら、私の二次創作モチベが上がります(一次創作は?)