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なんとか教師の魔の手を免れる為、二人はひとまず校舎裏に隠れることにした。
「ひぃひぃふぅぅ……いやぁ……こうやって誰かと一緒に逃げるの楽しいね!」
「ど……こ……が……よ……はぁ。もう、体力が尽きたわ……」
少女は息を切らせながら校舎にもたれかかり、本条を見上げた。本条は未だ元気満点と言った様子で、この分だとあと三時間弱は走り続けられそうだと類推出来た。その無駄な元気さに少女の口からため息が漏れた。
「……それで、本条さん。勢いで逃げちゃったけど、ここからどうするの?大人しく怒られに行く?」
「うーん。……あっ、そうだ!どうせならこのまま授業サボらない?」
「……はぁ?」
「いーじゃん。どうせ今日の授業、アイアイの苦手な理系教科と体育のオンパレードだよ?」
とても生真面目な性格の少女は風邪などの所用で休むことはあれど、サボるなんて理由で休んだことは一度もなかった。無論、サボりなどする人間は成績表に一や二が並ぶ低能な人間しかしないと軽蔑したぐらいには。だからこそ少女は本条の誘いを聞いた途端、そんな人間たちと同種族にはなりたくない一心で、断ろうと決めた。
「確かにそうだけど……まえ……じゃなくて、両親に心配かけてしまうから、お断りさせてもらうわ」
「むぅ……つまんないなぁ。でも、無理強いは出来ないからね。とりあえずは先生に見つからないように教室に行こうか」
「……え、えぇ」
いいよというまで、「一緒にゲームセンター行こうよぉー」などと粘って来ると踏んでいたので、こんなにあっさり本条が折れてくれたことに少女は少し戸惑った。ただよく考えてみれば、今までも少女が嫌と言えば、本条は基本折れていてくれたことを思い出す。少女は少し……ほんの少しだが、本条の事を見直した。
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校舎裏の屋外廊下から校舎内部に侵入し、二人はそのまま先生にバレないように息を殺して教室へと歩を進めた。途中までは順調に進んでいた二人だったが、教室前の廊下に差し掛かろうとした時、本条が少女の行く手を遮った。
なんだろうかと少女がこっそりと教室のある方を隠れ見ると、教室の前に先程の教師が陣取っていた。本条と少女はうーんと唸りながら、その場に座り込んだ。
「うーん。あれじゃあ通れないし、例え通れたとしても指導部行きになりそうだなぁ。どうする、アイアイ?どうせ見つかるのは時間の問題だったし、もう大人しく捕まりに行く?」
「……」
少女は頭の中で熟考していた。確かにこのままあの教師へ正直に謝り、指導室でお叱りを受けるのが安泰なのは確実だ。しかし、本当にそれでいいのだろうか。いつもの少女ならその選択を選んでいたはずだ。しかし、少女の中の形容し難い感情がそれを許容しまいとしていた。その何かは少女をサボり……非行への道へと誘おうとしていた。少女は”世間体を守りたい感情”と”形容し難い感情”の間挟みにされ、とても葛藤していた。
「……どうしたの、アイアイ?具合でも悪いの?」
少女を心配そうに見上げる本条を見て、少女は本条についても熟考した。きっと私が世間体を優先したとしても、本条はいつものように「うん、分かったよ」と言って了承してくれるだろう。しかし、それに甘えさせてもらってもいいのだろうか。いつも少女の気持ちを優先してくれている本条に、こんな時まで甘えてしまっていいのだろうか。たまには本条の気持ちも優先してあげるべきではないだろうか。少女は悩みに悩んだ。その末、一つの答えを出した。すっと本条と目を合わせる。
「……仕方ない、本条さん。行くわよ」
「……あーうん。それじゃあ説教地獄に」
少女は教師の方へ行こうとする本条の手を掴んだ。
「違うわ。一緒にサボりに行くのよ」
「……えっ。本当にいいの?私はいいけど、アイアイの両親が心配するんじゃ……」
「大丈夫。……私、本当は両親いないから」
「……そ、そうなんだね。う、うん、分かった。そ、それじゃあ、行こうかアイアイ!」
「えぇ!」
前野に迷惑がかかるであろうことだけが少し気掛かりだったが、今は本条の太陽のような満面の笑顔を見れて良かったと少女は優し気な微笑みを零した。
長芋丸かじりしたい