遠い音楽   作:冴月

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☆☆☆☆

 

 放課後。有咲の蔵に、4人で集まった。

 今日は打ち上げでは出来なかった商店街ライブの反省会。また、いくつかの新曲を作る打ち合わせとなっていた。

 というのも、香澄達は、学園祭のイベントステージにバンドとして参加することになっていたからだ。学園祭ステージは、学年関係無しの希望者が何かしらの演目を行うステージ。制限はかなり緩く、演劇やコント、合唱など内容は様々だった。

 そんな中、香澄達は「Poppin’Party」としてステージに参加することになった。2回目の正式なステージ。時間は約15~20分程。多少オーバーしても問題ないと、学校からは言われていた。

 オーバー可能な理由は、ライブステージの順番が抽選制であり香澄が最後を引き当てたからだった。しかも、CHiSPA、Glitter*Greenというバンドの流れの中のトリ。その上香澄達は学園祭初ステージ。皆に香澄達を知ってもらいつつも、盛り上げたまま終わらせなければならない。

 その為、新曲のイメージを練ってくるというのがちょっとした課題となっていた。ポピパらしい、新曲。1番とラスサビを上手く繋げて、それらを数多く披露しようという魂胆を香澄は考えている。

 ……そんな、緊張するステージとなった訳だがまずは蔵に入り、小休止。学校での疲れを癒すべく、やまぶきベーカリーのパンと、お菓子をつまみながらガールズトーク。幸せな時間である。

 

「みんな、前に言ってた新曲。考えられたか?」

 

 よもぎ餅を食べながら、有咲が言った。

 にしても……新曲かぁ。私は素敵な曲を作りたいなーくらいしか思いつかなかったけど、みんなはどうなんだろう。

 香澄がメロンパンを頬張っていると、たえが「はい」と一番に声を上げた。

 

「私は、これかな」

 

 たえがポッケからなにか取り出す。

 

「涙……涙滴。さしずめ、『ルイテキ革命』って感じかな」

 

 それは、涙滴。ティアドロップ型のネックレスだった。それを目に当てて、まるで涙が垂れているようにたえは見せた。

 

「……私は、私達は、泣いちゃうんだけど、それは革命。泣いて泣いて泣いて泣いて。涙が全部溢れたら、新しい夢に会える。どこよりも眩しいと場所に行けるはず!」

 

 ジャラン! いつの間にか持っていたギターを鳴らす。

 

「……なるほど。そこまでテーマが出来てるなら曲は出来そうだな」

 

 ウンウンと頷く有咲。次に、有咲の視線はりみに向かった。

 

「りみはどうだ?」

「……え、えと、その」

 

 なんだか歯切れが悪い。……と言うよりかは、恥ずかしがっている?

 りみは、カバンから音楽プレイヤーを取り出すと、恐る恐る差し出した。

 

「もし、良かったらこれ……」

 

 音楽プレーヤーを差し出すりみ。プレーヤーの画面には、『チョココロネの歌(仮)』と表示されている。

 

「む、昔お姉ちゃんと作った曲なんだけど! これならあんま難しくないかなって……」

「マジか!」

 

 ガバッと有咲が食いつく。りみは恥ずかしそうにしながらも、プレーヤーを再生した。

 

「……そっと耳に当てると、聞こえるココロの波音~」

 

 可愛らしいリズムと、りみの歌声が合わさって、とてもりみらしい曲であった。

 

「……可愛い! いいかもこの曲!」

「うん! すっごくりみりみしてていいかも!」

 

 たえも頷きながら言う。たえは早速、ギターのリズムを奏で始めていた。

 

「……なら決まりだな。そしたら、スコアに起こして」

「それならうちにあるかも。お姉ちゃんに聞いてみるね」

 

 早速一曲、セトリが決まりそうであった。

 

「有咲は?」

「私は……シャッフルのリズム曲だな。仮題『じゃんぴんしゃっふる。』」

 

 なんでも、女子高生の踊り出したくなるような日常がテーマらしい。月曜の朝は、金曜日の続き。終わらない歌は、明日へと続いていく……。そんなテーマらしい。

 素直にすごいと思った。有咲の事だから、恥ずかしがって隠すのかと思ったが、そうでも無いらしい。

 

「香澄はどうなんだ?」

 

 有咲が香澄にふってきた。……隠してもしょうがない、素直に打ち明けよう。

 

「んーまだ特に……。とりあえず、ステキな曲がいいなぁってくらい。あとは、歌い出しをララララーってみんなで歌いたいかな」

「なるほど」

 

 有咲がふむふむと頷いた。それを聞いていたりみが香澄に寄ってくる。

 

「それなら、私と香澄ちゃんの合作にしようよ!」

 

 いい提案かもしれない。香澄は思った。私が歌詞を作って、りみりんがメロディを作るーーうん、上手く行きそう。

 

「いいかも! ……じゃありみりん、メロディお願いしていいかな?」

「うん! 出来たらすぐ渡すね!」

 

 名付けて、『走ろう(仮)』。ポピパも結成したし、その走り始めた最初の曲みたいなものを作ろうと今決めた。

 

「んじゃあ、その方向で行くか。そしたら、商店街ライブの反省だけど……」

 

 有咲がライブの映像をパソコンで流し始める。香澄達はは、商店街ライブを思い出しながら、その映像に見入り始めた……。

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