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放課後。有咲の蔵に、4人で集まった。
今日は打ち上げでは出来なかった商店街ライブの反省会。また、いくつかの新曲を作る打ち合わせとなっていた。
というのも、香澄達は、学園祭のイベントステージにバンドとして参加することになっていたからだ。学園祭ステージは、学年関係無しの希望者が何かしらの演目を行うステージ。制限はかなり緩く、演劇やコント、合唱など内容は様々だった。
そんな中、香澄達は「Poppin’Party」としてステージに参加することになった。2回目の正式なステージ。時間は約15~20分程。多少オーバーしても問題ないと、学校からは言われていた。
オーバー可能な理由は、ライブステージの順番が抽選制であり香澄が最後を引き当てたからだった。しかも、CHiSPA、Glitter*Greenというバンドの流れの中のトリ。その上香澄達は学園祭初ステージ。皆に香澄達を知ってもらいつつも、盛り上げたまま終わらせなければならない。
その為、新曲のイメージを練ってくるというのがちょっとした課題となっていた。ポピパらしい、新曲。1番とラスサビを上手く繋げて、それらを数多く披露しようという魂胆を香澄は考えている。
……そんな、緊張するステージとなった訳だがまずは蔵に入り、小休止。学校での疲れを癒すべく、やまぶきベーカリーのパンと、お菓子をつまみながらガールズトーク。幸せな時間である。
「みんな、前に言ってた新曲。考えられたか?」
よもぎ餅を食べながら、有咲が言った。
にしても……新曲かぁ。私は素敵な曲を作りたいなーくらいしか思いつかなかったけど、みんなはどうなんだろう。
香澄がメロンパンを頬張っていると、たえが「はい」と一番に声を上げた。
「私は、これかな」
たえがポッケからなにか取り出す。
「涙……涙滴。さしずめ、『ルイテキ革命』って感じかな」
それは、涙滴。ティアドロップ型のネックレスだった。それを目に当てて、まるで涙が垂れているようにたえは見せた。
「……私は、私達は、泣いちゃうんだけど、それは革命。泣いて泣いて泣いて泣いて。涙が全部溢れたら、新しい夢に会える。どこよりも眩しいと場所に行けるはず!」
ジャラン! いつの間にか持っていたギターを鳴らす。
「……なるほど。そこまでテーマが出来てるなら曲は出来そうだな」
ウンウンと頷く有咲。次に、有咲の視線はりみに向かった。
「りみはどうだ?」
「……え、えと、その」
なんだか歯切れが悪い。……と言うよりかは、恥ずかしがっている?
りみは、カバンから音楽プレイヤーを取り出すと、恐る恐る差し出した。
「もし、良かったらこれ……」
音楽プレーヤーを差し出すりみ。プレーヤーの画面には、『チョココロネの歌(仮)』と表示されている。
「む、昔お姉ちゃんと作った曲なんだけど! これならあんま難しくないかなって……」
「マジか!」
ガバッと有咲が食いつく。りみは恥ずかしそうにしながらも、プレーヤーを再生した。
「……そっと耳に当てると、聞こえるココロの波音~」
可愛らしいリズムと、りみの歌声が合わさって、とてもりみらしい曲であった。
「……可愛い! いいかもこの曲!」
「うん! すっごくりみりみしてていいかも!」
たえも頷きながら言う。たえは早速、ギターのリズムを奏で始めていた。
「……なら決まりだな。そしたら、スコアに起こして」
「それならうちにあるかも。お姉ちゃんに聞いてみるね」
早速一曲、セトリが決まりそうであった。
「有咲は?」
「私は……シャッフルのリズム曲だな。仮題『じゃんぴんしゃっふる。』」
なんでも、女子高生の踊り出したくなるような日常がテーマらしい。月曜の朝は、金曜日の続き。終わらない歌は、明日へと続いていく……。そんなテーマらしい。
素直にすごいと思った。有咲の事だから、恥ずかしがって隠すのかと思ったが、そうでも無いらしい。
「香澄はどうなんだ?」
有咲が香澄にふってきた。……隠してもしょうがない、素直に打ち明けよう。
「んーまだ特に……。とりあえず、ステキな曲がいいなぁってくらい。あとは、歌い出しをララララーってみんなで歌いたいかな」
「なるほど」
有咲がふむふむと頷いた。それを聞いていたりみが香澄に寄ってくる。
「それなら、私と香澄ちゃんの合作にしようよ!」
いい提案かもしれない。香澄は思った。私が歌詞を作って、りみりんがメロディを作るーーうん、上手く行きそう。
「いいかも! ……じゃありみりん、メロディお願いしていいかな?」
「うん! 出来たらすぐ渡すね!」
名付けて、『走ろう(仮)』。ポピパも結成したし、その走り始めた最初の曲みたいなものを作ろうと今決めた。
「んじゃあ、その方向で行くか。そしたら、商店街ライブの反省だけど……」
有咲がライブの映像をパソコンで流し始める。香澄達はは、商店街ライブを思い出しながら、その映像に見入り始めた……。