遠い音楽   作:冴月

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 高まるボルテージの中。香澄達Poppin’Partyは、静かに入場した。

 楽器を構えるも何も言わない彼女達に、観客達はザワつく。いよいよ何もしない彼女たちを見て、観客は静まりかえっていった。

 それを合図に、5人はアイコンタクトを交わす。皆が付けた星のイヤリングが、カシャリとなった後。彼女達の音楽(キズナ)は始まった。

 

 

「……"ティアドロップス"!!」

 

 音圧が、会場を押し潰さんとした。

 電撃のように走るサウンドが観客達の間を走り抜けた事で、人々の間で鳥肌が立つ。

 彼女たちはもう止まらない。赤から青に変わった事で、より一層勢いをましていく。

 一瞬にして、観客は彼女たちの虜だった。

 

 ギターをかき鳴らしながら、たえは思う。

 ずっと、こんな風に演奏することが夢だった。本気で向かい合ってる皆と、一つ一つの音が重なることが、こんなにも痺れるものなんだと。

 ーーずっと、ずっとこの音楽(キズナ)を奏で続けたい! みんなで、"どこよりも眩しい所へ"と一緒に駆け上がりたい!

 

 

 

 

 曲が終わり、ステージが明るく照らされる。キラキラしたスポットライトを浴びながら、香澄は声を張り上げた。

 

「……こんにちは! 私達!」

 

「「Poppin’Partyです!!」」

 

 今までで、1番の紹介だったかもしれない。商店街ライブよりも、SPACEでの突発ライブよりも、彼女たちはひとつだった。

 

「今日は、私達の音楽(キズナ)を……最高の夢を聞いて言ってくれると嬉しいです!」

 

 再びアイコンタクトを交わす。

 

 

「次! "ぽっぴん'しゃっふる!"」

 

 ジャンプしてステップするシャッフルリズムが広がっていく。

 ノリノリな音調に、観客たちは段々と乗り始め、次第にコールも増えていく。

 

 キーボードをテンポ良く叩きながら、有咲は思う。

 やっぱり、大好きだった。このメンバーが大好きで、このメンバーが奏でる歌が愛しくて、ポピパを誇りに思っているんだと。

 ーー"どんな景色が見えるか分からない"けど、これだけは変わらない。私は、"Poppin’Party"が大好きだ!

 

 

「まだまだ行くよ! "夏空 SUN! SUN! SEVEN!"」

 

 印象的な三三七拍子から始まるお祭囃子。

 思わず拍手をしたくなるような音調に、香澄は観客達を煽る。すると、まるで最初から分かっていたかのように、オーディエンス達は拍手でリズムに乗る。

 ベースでメンバーを支えながら、りみは思う。

 やっぱり、あの時覚悟を決めてよかった。人前に立つことが怖かったけど、みんなと一緒なら絶対大丈夫だと。

 ーーみんなとなら、きっと大丈夫。"夢を超えて、自分を超えて、駆け上がれる!"

 

 

「……皆で、歌って下さい!"STAR BEAT!~ホシノコドウ~"」

 

 会場が一体となり、歌う。

 ポピパたちが感じた星の鼓動。いつまでも愛して、愛されるような決意の籠った勇気の歌。

 ドラムで背中を押しながら、沙綾は思う。

 バンドは運命共同体なんだ。忘れかけていた遠い音楽を、夢を。共有することは、こんなにも楽しい事なんだと。

 ーー"指を繋ぎ始まった全てを、私はもう二度と離さない。離したくない!"

 

 

「……最後の曲! "Yes! BanG_Dream!"」

 

 さぁ、飛び出そう!

 Poppin’Partyが集まるきっかけとなった、夢を撃ち抜くための序曲(オーバーチュア)

 指で銃を作り、いつか見ていた夢を皆で一つ撃ち抜く。

 情熱的な歌声を響かせながら、香澄は思う。

 私の、忘れかけていた星の鼓動。それはきっと、今この瞬間。皆と、バンドをして、演奏をしている事なんだと。

 ーー"輝きとキラメキをその手に抱き締めて。"もっと、もっとキラキラドキドキしたい!

 

 

 ……最後の1音、バスドラムが合図となり、歓声、歓喜の声があがっと。文化祭のメインステージ、その大トリを香澄達は見事にやりきったのだ。

 止まないオーディエンス。止まらない拍手。その中で、息があがりながらもポピパの面々は星の鼓動を感じていた。

 

 香澄は、未だかつて感じたことの無い高揚感を覚えつつも思った。

 

 ーーこれが、Poppin’Partyのスタートなんだ。ときめく未来への、第1歩なんだ!

 

「……ありがとうございました!」

 

 惜しまれつつも、Poppin’Partyは笑顔で舞台を降りた。

 舞台袖で見ていたグリグリ、CHiSPAの面々に賞賛の言葉を貰う。恥ずかしさを覚えつつも、ポピパ達はそれを素直に受けとった。

 

「……アンコール、アンコール!」

 

 ……思ってもないことが起きている。アンコールを、Poppin’Partyは受けていたのだ。

 初めての5人でのライブ。最初の夢。最高のスタートラインを、与えてくれたのだ。

 

 グリグリ、CHiSPAの面々に勧められる。あなた達のステージだからと、あなた達がここまで盛り上げてくれたのだからと、背中を押してくれる。

 

「……みんな! 行こう!」

 

 香澄達は、もう一度ステージへと向かう。

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 先程とは打って変わって、可愛らしい曲調から始まる。

 お客さんたちは、雰囲気の違う彼女達に見入ることになった。

 

「……"私の心はチョココロネ"!」

 

 色々な曲を披露するPoppin’Party。拙いながらも、楽しそうに演奏する姿に、人々は見惚れていく。

 ゆっくり、大切な時間は色々な気持ちを弾かせた。

 

「……アンコール、ありがとうございます! またまたPoppin’Partyです!」

 

 心の底から嬉しそうに、楽しそうに。香澄は語る。

 

「そう言えば! 私、メンバー紹介してなかった!」

「……はっ! そういえばしてねぇ!」

 

 有咲のツッコミが後方から刺さる。あははーと、楽しそうに声上げながら、香澄は続ける。

 

「リードギターのおたえ! ベースのりみりん! キーボードの有咲! ドラムのさーや!」

「そして、私! ボーカルの香澄です! 5人で……」

 

 

「「Poppin’Partyです!」」

 

 あはは!

 楽しかった。ただひたすらに、この瞬間が愛おしい。

 キラキラドキドキを、Poppin’Partyはただただ感じていた。

 

「本当に、本当に! 次で最後の曲です!」

 

 えー! と、残念そうな声が席から上がる。

 まるでドームでライブしているみたいだなと、香澄は思った。

 

「次の曲は、皆で作った曲です。私達の、決意の曲ーー。聞いてください」

 

 "走り始めたばかりのキミに"

 

 

 この先、どんな道が待っているかは誰にも分からない。私たちが五線譜の上で止まらない限り、果てない道は続く。

 今はまだ届かないかもしれない。誰に届くかも分からない。けれど、けれど。彼女たちは一つだけ決めことがあるーー。

 

 

 "私達は、いつまでも。止まらない音楽(キズナ)を奏で続ける!"

 

 

 まだ、まだはじまったばかりだ。

 彼女達の物語は、これからも長く、楽しく、いつまでも続いていく。

 

 Believe dream come true!

 

 いつか夢が叶うまで。彼女達は走り続ける。




1章終わり。
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