ONE PIECE ANOTHER STRONG WORLD!   作:はむらび

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デッドエンドの冒険 4

「よう、ガスパーデ。殺しに来たぜ。」「いつだって相手くらいはしてやるんだぜ?暇つぶしにゃア丁度いい。」

2人の男が相対する。1人は黄色の服に黒い帽子の、顔に刺青を入れた青年、つまり俺、「海賊処刑人」シュライヤ・バスクード。1人は背中の「正義」に血でバツ印を入れた、海兵服の大柄な男、「将軍」ガスパーデ。

その間に漂う不穏な空気を象徴するかの如く、空は黒雲に覆われていく。

 

「と、言いてェところだったんだが。どうしてもニードルスがお前を消したいと言ってるんでな。見物させてもらうぜ。」「フン。どっちが先かってだけだ。」

かつて。8年前。俺の住んでいた町は、コイツの一味に滅ぼされた。親も、妹も、友達も。造船で栄えていた町だったにもかかわらず、たった100人を残して全滅。その時に居た奴らの憎い顔は、全員覚えている。懸賞金5700万B。奴の側近、ニードルスもそのうちの一人。(アデル)の死の原因となったという点では、ガスパーデ以上に憎いともいえる。

 

ニードルスが走り出す。奴の戦闘方法は簡単だ。「残像ができるほどの高速で走り抜け」「両手の鉤爪で仕留める」。それだけで脅威となるのは、ひとえに奴の異常な速度あってこそ。単純ではあるが、単純故にその速度に対処するのは困難。故に当初の計画では、「奴の鉤爪を仕えなくする」という搦め手を想定していた。

 

だが。今は。「俺の方が速ェ。」今の俺は、やつの鉤爪を、見てから躱せる。やつが鉤爪を振るう。おれが受け止める。金獅子の野郎の船から分捕ってきた武器の1つ。スコップは、俺の「最も得意な武器」の1つだ。斬るも良し殴るも良し。薙ぐも投げるも突くもよし。盾にもなる。おまけにどこでも手に入る。

 

そして俺はニードルスの顔面を薙ぐ。この能力を得る前の俺なら、やつをよろめかせる程度にしかならなかっただろうそれは、やつを吹き飛ばし、船のマストに「埋めた」。その衝撃でマストは、さながら中身の腐りきって侍従を支えられなくなった倒木のようにへし折れた。イヌイヌの実 モデルコヨーテ。おれに力を与えた獣。ある国の言葉では「よそもの(coyote)」を意味するという、俺に似合いの獣。あの日以来。帰る場所を失った俺は、どこにいてもよそ者(コヨーテ)だ。

 

奴が立ち上がる。こちらに向けて走ってくる。ああ。だが遅い。無傷の俺に対し、満身創痍の奴はあまりにも遅く、奴ができることなど、なにもないのだ。そして……「あばよ。」その爪は、(おれ)の爪より、弱かった。人獣と化したおれの背後で、やつの鉤爪が斬られ、落ちる。そして、8年前のあの日。やつがおれの背中にそうしたように。奴の背中には、獣の爪痕が、赤黒い血の跡となって残され、そしてやつは倒れ伏した。

 

 

「借り物の力で、楽しませてくれそうじゃねェか。」「そんなに楽しいのが好きなのか。地獄は楽しいといいな。」残るはガスパーデ。俺は実のところ、奴が戦うところを見たことがない。能力者であることは知っているが、それがどのような能力なのかも知らない。だが、わからないものは仕方がない。

 

仕方がなかった。だが、これは聞いてねぇぞ。間違いなく、俺は奴の脳天をスコップでカチ割ったはずだ。だが、やつは不敵に笑っている。勝ち割ったはずの部位はドロドロの液状に変わり、頭を再構成していく。規格外の再生能力……いや、『実体をとらえられてない』。

 

「おい、それは聞いてねェぞ……」「当然だ。そんなものあらかじめ敵に教えるカスがどこにいる。」

背後にいるガスパーデの船員ども。自分も粛清対象だと知らず、呑気に戦いを見物にしに来た野次馬共が言う。「あれは船長の『アメアメの実の能力』」と。

「教えてくれるカスどもはたくさんいるようだが?」「あらかじめと言ったろうが。もうお前にゃあ何もできねェ。絶望して死ね。」

 

ガスパーデの腕は艶めく流体に変わり、蠢き、硬化し、鋭利な槍となった。そして俺の元に、やつの腕力を載せて向かってくる。ニードルスと比べても早くはない。対処できる。俺はスコップを奴の「硬化した」左腕に、あらん限りの力で叩きつけた。ゴン、と、まるで鉛の塊を殴ったような、鈍く、重い音が響く。

 

「硬ってェ!」

その硬化した飴の硬度は鉄にも匹敵、あるいは凌駕するだろう。やつの腕には多少のへこみができた程度で、俺のスコップは半ばから折れ、使いものにならなくなった。おれは小舟に戻り、武器を手斧に持ち変える。だが……

 

「だが、硬化している間はダメージが通る……とでも思ったのか?」奴の腕は、ドロドロに溶け、元の腕の形に再構成されていく。そう。戦闘前と同じ形に。

 

「バケモノめ。」「生憎、お前もバケモノになったようだったが、俺は殺せねェみたいだな。」

ああ。だが。例えそれが無為に終わるとしても。俺は奴を殺さねばならない。それが、俺の復讐だ。

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

「おいルフィ。これはアイツの戦いだ。邪魔をしてやるな。可哀想だろうが。」「知らねェ。俺が気に食わねェから、アイツをぶん殴りに来たんだ。」

シュライヤの戦いを見るために、おれが船を、ガスパーデの奴の船の近くに泊めていた時だ。ルフィの奴が、「ガスパーデをぶん殴ってやる」とかいう理由でここまで来たわけだ。

「お前たちも知ってるだろうが、お前たちはガスパーデに偽の永久指針(エターナル・ポース)を掴まされて()。だがそれはもう、おれがちょっと縄を飛ばして(・・・・)分捕ってきたから問題ない。奴の邪魔をしないなら、この永久指針(エターナル・ポース)をお前にやろう。そうすればお前たちは3億Bが手に入る。どうだ?」「やだ」「じゃあ力づくで止めることになるが、いいか。」「いいよ。」「じゃあ、やるか。」おれの背後に、千の刀が浮かび上がる。『千刀流『獅子類…「やめてくれよ!」』』

 

「誰?」

 

そこには、泣きわめく少年がいた。「こいつらはいい奴なんだ!おれがじっちゃんを助けたいって言ったから!おれのために、じっちゃんを助けるために、アイツと戦うつもりなんだ!」「えーっと、最初から話してほしいんだが、いいか?」

 

 

 

 

 

 

「つまりコイツは「元々ガスパーデの元で釜焚きをしてた爺さんの助手で」、「爺さんは病気になったけど薬も貰えず死にそうで」、「だから薬代を稼ぐために銃持って飛び出して」、「あろうことかルフィの船に忍び込んだ」と?」「うん。そうよ。で、ルフィが、ならお爺さんを連れ出せばいい……みたいなことを言い出してね。それで私たちはここまで来たわけ。」

なるほど。つまりルフィが勝手に義憤募らせてぶん殴りに行こうとしてただけで、別にぶん殴るのが目的じゃないわけね。

「ならいいぜ。2人までだ。2人までなら連れてってやるし、行かせてやる。そいつらで爺さんを助けるなりなんなりして来い。ただし手出しするなって言われてるから、あの船の奴らに手は出すなよ。出したとしても最低限だ。それでいいか?」「ならおれが行く。」「サンジ君!」「レディを危険な目に合わせるわけには行かねェし、ルフィやマリモを行かせちゃあおそらく戦闘になる。」「おれも行くよ!」「オイオイやめとけって。危ないに決まってるだろうが。」「いいやウソップ。爺さんのいる場所までの道を知ってるのはコイツだけだ。おれがきちんと守って手早く脱出すれば、船に長居しないぶんむしろそれが一番安全だ。」

 

「決まったみたいだな!じゃあ、乗り込むとするか!」




アメアメの実が普通に反則過ぎる奴 アラバスタ直後の劇場版で出しちゃダメなレベルの能力よねこれ
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