さくら荘のペットな彼女と錬鉄の英雄   作:あるにき

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プロローグ
第1話 召喚


私は今、いわゆる誘拐をうけている。

場所は具体的にはわからないけれど、どこかの倉庫。

今までの人生でしてきたことといえば絵を描いてきたことだけれど、思いつきに外に出てみれば…

 

私の心は今ひとつの感情に支配されている。

 

——————————恐怖

 

その感情の名は恐怖

死の恐怖。まだやりたいことが残ってる。リタにパソコンのやり方を教わっている途中だし、それが終わったら漫画を描きたい。

 

「これで身代金を要求すりゃ借金も返せるぜ」

 

「あぁ、これでオレたちゃ自由だ!」

 

私を誘拐した2人の痩せ型男と太った男。

何やら話している。

身代金目当てらしい

なら…命まで取られることはないのかもしれない、と少し気が楽になる。

しかしそんな想いもつかの間

私は絶望に直面する。

 

「にして、この女…かなりかわいいよな…」

 

「かなり、なんでもじゃねぇよ…へへへっ」

 

男達が下衆な笑みを浮かべる

 

「この上玉…ヤっちまってもいいよなぁ?」

 

「??!!」

 

先程とは全く違う意味での恐怖。

死、ではなく女性として大切なものを失う、ある意味で身の危険。

 

「〜〜!!」

 

私は今縛られているので身動きも取れなければ声を上げることもできない。

 

嫌だ、嫌だ、嫌だ

 

 

「へへへ、嬢ちゃん。あんまし抵抗するんじゃねぇぞ?抵抗すると…わかるよなぁ?」

 

鳥肌がたち、変な汗が出てきた。

 

男達が私に向かって滲み寄ってきた。嫌だ。

誰か…

 

「———」

 

全てを覚悟するかのように目を瞑る。しかし思考の片隅でこんなことみ考えてしまう。

 

誰か……………たすけて

そう願った瞬間、右手の甲に痛みを感じる。そして、倉庫の自分が縛られている柱の少し後ろが光った。

 

「あ?なんだ?!」

 

「どうなってんだ?!」

 

その輝きはどんどん増していきやがては目を凝らすほどのまばゆいものとなり倉庫全体を光で覆う。

 

 

 

 

光が消えたと思えば私の目の前にしたのは紅い外套の騎士だった。

 

—————————————————————————

 

エミヤシロウは『座』にて次なる呼び出しを待っている。

いや、彼自身は自分のことをハズレだと考えているため呼び出されたくない、と考えているのかもしれない。

 

しかし、彼の思いなど汲むこともなく、彼に呼び出しがかかった。

 

「——まったく、私を呼び出すとは、飛んだ物好きもいたものだ。」

 

彼はやれやれ、とでもいうように肩をすくめ、呼び出しに応じることにした。

 

「いったいどんなマスターなのか…」

 

まぁ、呼ばれ方からにはできることをするさ と

彼は自身を呼び出したマスターのもとに向かうのだった

 

———————————————————————

 

「サーヴァント・アーチャー。召喚に応じ参上した。」

 

私が呼び出された場所は…どうやらここは倉庫のようだ。

 

縛られた少女が1人。それを囲む男2人。

いかにもアレな状況である。

 

「ふむ…どうやらこちらの少女が我がマスターのようだが…」

 

そう言いながら少女の口を塞いでいたテープを痛くないように、丁寧に剥がす。

 

「怪我はないかね?」

 

この国はわからないが、彼女の見た目から察するにおそらくイギリスあたりか。英語で話しかけた。少女の髪の色は金。染めたような有機的な色ではなく天然のものだとわかる。

それと少女のとても整っていて可愛い、綺麗そのどちらにも当てはまるような容姿。普通の男であればこの子と一緒に居られるだけでも幸せなものだろう。

 

「だ、大丈夫よ。…それより貴方は」

 

「ん?私かね。先も言ったとおり私はアーチャーだ。どうやら魔術師ではないようだし、聖杯戦争に巻き込まれた一般人なのだろう、君は。

私の存在も含めてのその話はまた後ほど。まったく、私はどうしてこう通常の召喚というものに恵まれないのかね…

それより今は——」

 

私は少女の目をまっすぐ見据え

 

「私は君の味方だ。君が願うのであれば私にできるその限りを尽くそう。まだ状況も理解できないだろうが、まずはその証明に。マスター、指示を。この男どもを片付けるなぞ、私には容易いことだ。」

 

少女の願いを聞こう。

少女はこの危機的状況に置いて唯一の救いであるところの私に願いをこう。

 

「たすけて」

 

「了解した」

 

私は彼女に背を向け、男達に向き直る

 

「悪いが。お前たちのような下賎な輩にはマスターに触れてもらいたくない。なによりマスターの指示なのでね。少しの間眠ってもらうぞ」

 

「………はぁ?!ふざけてんじゃねぇぞ!!さっきから何言ってるのかワカンねぇんだよ!」

 

「そうだ!もしてめぇが邪魔するってんなら…」

 

男の片方がナイフを取り出す。

 

「死ねっ!!!」

 

そう言った男はナイフを振りかぶり私を刺そうとする。

しかし、

 

「全く…私たち英霊をたかが一般人が殺せると思うなよ?」

 

それは一瞬だ。

私はナイフを振りかぶった男の振りかぶった方の腕を片手で押さえつけナイフを取り上げ、左足で男の脇腹をひと蹴り。そのままもう1人とも6メートルほど先の壁にぶつかり気を失う。

 

「ふぅ、こんなものか。存外、手加減というものは難しい」

 

「驚いたわ…貴方とても力が強いのね」

 

「その発言は少しズレているような気がするが…そうだ、大事なことを忘れていた。」

 

「大事なこと?」

 

「あぁ、マスター。君の名を聞いても?」

 

私はそう尋ねると。

少女は

 

「椎名ましろ。好きなものはバームクーヘン」

 

「ふむ、では今度作ってやろう。」

 

「え?貴方バームクーヘンが作れるの?貴方もしかしてバームクーヘンの神さま?」

 

「……なるほど実に個性的だ。いわゆる天然というやつなのだろう。私は神ではないよ。別段なんの逸話も残さなかった無名の英雄だよ。」

 

「そうなの…よくわからないわ。」

 

「まぁ、そうだろう。あとでそれは詳しく話す。それより今は寝たまえ、マスター。気が滅入っていることだろう。少しだったら起こすよ」

 

「そう、ありがとう……じゃぁ…」

 

「あぁ、おやすみ」

 

それが私とそのマスター。椎名ましろとの出会いだった。

 

 




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