いつものことですが
ではどうぞ
目が醒める。時間を見れば6時を指している。
本来サーヴァントに睡眠は必要ないが、こうして寝たり食事をとったりするのは存外気分がいいものだ。そこら辺フリーダムなマスターを毎回引ける代わりにマスターの性格は一捻りも二捻りもあるのだからやはり幸運Eは伊達ではない。
もぞ……。
はぁ……またか。
布団の中から音がして、布団をめくれば私の腕を抱き枕にして寝ている、我がマスターの姿がある。
この光景はもはや見慣れたものだし、私自身もうすでに容認しつつあることでもある。いくら注意しても辞めないため、寝ているときマスターの気配を感じても気にしないようにしていたら。そのうち本当に気にならなくなってしまった。
とはいえマスター、ましろの裸体に見飽きているわけでない。断じて。
漫画を描いている途中暑くて脱ぎ捨てたりしたのだろう。もはや裾に腕を通しているだけで着ているのか怪しいワイシャツに薄緑色のパンツ。
私はマスターからそっと離れ、朝ごはんを作り終わった後にまた呼びにくればいいかと考えたのだ。ベットから身を退けてましろに布団を被せて、少し頭を撫でる。自身の夢に向かって一生懸命に走るその姿はビジョンこそ明確ではないが凛のような強い人間のソレを感じる
「頑張れよマスター……キミが夢を叶えられるよう、私は全力でキミのサポートをしよう。キミの夢はきっと叶う。何故なら、私のような無謀過ぎる夢なぞではないのだから」
そしてマスターが気づかないように着替えを済ませて、リビングに出る。
「昨夜はもう少しで、お楽しみだったのにね……どんまい後輩くん!」
「アレは別にお楽しみとかそういうんじゃないですよ!だいたい途中で
「ガーーン………それを聞くのかい後輩くん……」
口でガーンといいながらガーンという効果音を後ろから出して鬱なオーラを放っている。
神田空太と上井草美咲の会話だ。
「あ、ご、ゴミ出して来ますねー」
「いや、神田空太。ゴミ出しは私が行こう」
空気を察して逃げようとした神田空太を呼び止める。
「あ、衛宮さん………」
ん? 何か怖がられているように感じるが、ああ、昨日のか。
「昨日の件ならばもう水に流そう。私からは何もない。しかし………次同じようなことがあった場合は……」
「分かってるんで許してください!!」
昨日も若干言い過ぎたような気がしないでもないので、流石にもう追及はしない。
「フン……まあよい。私はゴミを出してこよう。朝食はその後に作る」
「はーい、いってらっしゃいですー」
「行ってくるんだよえみやん! 宇宙を超えて!」
神田空太のツッコミがあったようにも感じたが無視だ。
それよりも上井草美咲はかなり真剣に三鷹仁とのことを考えているようだな……。
神田空太こそ気づいていなかったが、一瞬だけ見せた、素で悩んでいる表情。上井草美咲も人の子、というわけか。
そんなことを考えながらエプロンを付けたままさくら荘の外に出て、さくら荘のすぐ脇にあるゴミ置場に向かう。
ちなみに今の格好は黒いワイシャツにジーンズ、左手に腕時計。そしてエプロンという格好だ。本人は知らぬことだが、あたりの通行人や主婦の方々にはイクメンか何かだと勘違いされたらしい。
ゴミ捨て場について、ゴミを置くと、スイコーの学生服を着ている少女と目が合う。
「あ、あの人………たしか作業員の……」
……私の朝は誤解を解くところから始まるようだ。
年号変わりますねぇ
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