エミヤ食堂、オープン!
初登校のましろは空太にものすごい迷惑をかけ、そのせいでその日はさくら荘会議結果、前日にシロウが言ったようにシロウがましろ当番となるが、空太は複雑な顔をしていた。おそらく、さくら荘は出たいがなんの才能も目標もない自分に嫌気がさしていたのだろう。思春期特有のそれだ。ましろがきたことで自分を変えられる、とでも思っていたのかも知れない。しかし、ましろのサーヴァント(オカン)は錬鉄の英雄。かつて正義の味方を目指し、かなった夢に絶望した男。今の空太が彼のお眼鏡に叶うほど優れた人間であれば、譲ることも考えただろうが残念ながら叶わなかったようだ。とはいえ空太の顔を見て妥協案として、「まだ始まったばかりで食堂が忙しいから、明日も同伴してやってくれないか?」と助け舟を出すところさくら荘においてオカンと言われる日も近いかも知れない。シロウの言葉に否定的な発言をしながらも心のどこかで嬉しいそうにしていたのはシロウ以外、誰も気づいていないだろう。
士郎に任された日。「昼は食堂にこい」と言って一足先にさくら荘を出たシロウ。ましろと一緒に登校した空太はましろの買ってもいないコンビニのバームクーヘンを勝手に食べては「シロウのより美味しくない、でも美味しし」なんて呟きながらバームクーヘンを勝手に食べ、あまつさえもう一つ勝手に開けては空太に食べる?と渡してきたりした。店員が同級生の七海であったことから頭を下げてお金を払うことで許してもらえたが、そのあとの「空太がはじめての男子なの」発言は回避できなかった。本来なら「イギリスでは周りは女子ばかりだったから仲良くなった男子は空太がはじめて」という意味だったのだがそれを知らず誤解した七海を止めることはできなかった。この誤解をシロウが知ったら一体空太はどんな目にあうのだろうか。ここで疑問なのだが、ましろの中でシロウはどういった存在なのだろうか。友達ではない。しかしベットに忍び込むような仲、本人はおそらく気づいていないがこれは……
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俺は椎名のせいで昼飯を買えず、水でも飲んで腹を膨らませようとしたがそこで、衛宮さんに食堂に来るように言われていたことを思い出した。お金もないから食べれないが、衛宮さんの料理はすごくうまいと千尋先生が言っていた。…腹減ったなぁ…
トボトボと食堂に向かうが、その異変に気づくのは早かった。
食堂が忙しいとは聞いていたが、量が…圧倒的だ。学校の人全員いるのではないかと思うほど人がいる。騒音もかなりのもので、中には鳴き声も聞こえる。焼き飯パンで喜んでいたのが馬鹿みたいだ…と。あぁ、俺も思ったよ。昨日の夜、衛宮さんが作ってくれた鮭のホイル焼きは圧倒的だった…
いままで自炊してきた料理はなんだったのだろうか…
食堂の前に着く。
『エミヤ食堂』と書かれている学食は学校とは少し違いメタリックというか、近未来的なデザインの食堂(カルデアイメージ)
暖簾をくぐり中に入れば、皆が美味しそうにご飯を食べ、人間離れした速度で料理を作る衛宮さんがいた。黒いポロシャツ、黒いズボン。エプロンに三角巾がよく似合っている。よく似合っている。
「む、神田空太か。よくぞきた。そこの席はさくら荘のものように開けておいた。千石千尋はもうきているぞ。ましろが迷惑をかけたそうだな。あとで金は払おう。せっかくだ唐揚げ定食でも作ってやろう」
「え、でも俺お金ないですよ?」
「なに気にするな、そのぐらいの甲斐性はある。」
唖然としながら席に座り、千尋先生と少し話した後に、衛宮さんが料理を運んで来る。ちなみに千尋先生はオムレツ。
「さあ、食べたまえ。文字どうり腕によりをかけて作った品だ。味ば保障しよう。」
「じゃ、じゃあいただきまーす」
見た目は普通の唐揚げを一口パッと口に含むと
「ッッッ?!」
「「うまい!!」」
「ってなに勝手に俺の唐揚げ食ってるんですか千尋先生!!」
「いいじゃない神田のなんだから」
「あんたそれでも教師かっ!」
「だいたいなんでアンタ、衛宮におごってもらってんのよ。」
「椎名のおやつ代に消えたんですよ!先生椎名の保護責任者でしょ!衛宮さんが払うって言ってくれましたけど、金払ってくださいよ」
「あ、そいやアンタ進路調査表出してないんだって?」
「話そらそうとしても無駄です。それより椎名——」
「あんなの適当に『パイロット』って書いとけばオッケーなのに」
「俺は小学生か…」
「少しは上井草を見習いなさいよ、けつの穴の小さい男ねぇ」
「アレは宇宙人です。人間には真似できません…」
「うだうだ言ってないで 進学 の二文字で職員室は安心するわよぉ〜」
「それは…」
「たかだか進路調査も、アンタを見てると意味があるような気がするわ」
「は?普通は無意味ってこと?」
「とりあえず進学って書かない生徒を発掘するためにやってんのね、きっと」
「とりあえずに続く言葉はビールだけで十分」
「は?」
「それじゃあね」
「………はっ!……見事に話そらされた……」
「お疲れのようだが神田空太。早く食べてしまってほしい。冷めてもうまいが、やはりあったかいうちに食べるに越したことはない」
「あっと、すみません衛宮さん。…はむっ、うまっ!」
やれやれ…と言ったように肩を透かしながら食べる姿を見守る衛宮さんはオカンそのものだったという…
なおその間も衛宮さんの料理に唸る声は食堂中に広がっていた。
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