火継ぎの魔術師 作:フロム崇拝者
地下鍛錬場。現在、蓮火が住んでいる家の地下に存在する空間の事を彼はそう呼んでいる。
「今日はこれの練習をやるか...」
そう言うとフルスクリーンPCから一つの動画を再生させる。そこには敵の兵士を投げ飛ばす男の姿が映っていた。
いや、それだけでは普通だろう。だがおかしな点がその動画には存在していた。
「しっかし毎回思うけど、なんでこんな動きが出来るんですかねぇ...」
そう、問題は兵士を投げ飛ばす男の動きだ。
さて、皆さんは【亜空間CQC】をご存知だろうか?別名【宇宙CQC】とも呼ばれた存在であり、CQC(Close Quarters Combat:近接格闘)の上位に位置する格闘術だ。これは通常のCQCとは違い、相手をこちらに引き寄せるという前段階がある。その際の相手の動きが明らかに物理法則を超えているため、この名が着けられたと言われている。また、自分の行った格闘行動と相手の喰らった動きが一致しない事もあるのが特徴だ。
ちなみにこれが出来る存在は、今迄確認された中ではたった1人しかいない。
これらの説明から分かる通り、彼がやろうとしているのはこの【亜空間CQC】だ。だが彼自身、普通のCQCとはどう言う物か分かっていないため、これが普通のCQCだと勘違いしているのである。
「取り敢えずCADを使って...」
彼はCADを操作し、鍛錬場に出した人型藁人形に加速術式をかけてこちらに引き寄せる。来ると同時にローコンバットに入り、人形を地面に叩きのめした。もう一度動画を見直す。
「でもこれ、見た所CAD使っていないよなぁ。てことは何らかの引き寄せる方法があるって事か?」
動画の中で兵士を制圧する男の姿を確認し、改めてその動きに舌を巻く。どうやって物理法則を超える様な動きをしているのか...
さらにもう一度動画を見直し、再び練習を開始した。
入学式も終わり、後は下校するのみとなった。達也は昇降口近くで本を読んでいると、深雪が走ってやって来る。
「お兄様、待たれましたか?」
「いいや、大丈夫だ」
「なら良かったです」
「にしても答辞は素晴らしかったな。内容が何か言われそうな気もするが...」
「別に好きな様に言わせておけば良いのです!」
「はは、たくましいな」
「もう、茶化さないで下さい!」
2人並んで校門を出ようとすると、一科の生徒達に道を遮られた。
「おい、ヴィード風情が司波さんと一緒に帰れると思うなよ!」
「そうよ!司波さんは私達、ブルームと一緒に下校すべきだわ!」
...全く、選民意識も甚だしい。彼はそう思うと一瞬だけ殺気を表に出す。
「っ!ううっ...!」
「済まないが道を開けてくれるかい?これからまだ私達には用事があるんだ」
「くそっ!」
道が開いたので達也は深雪の手を握り、足早に校門を抜けて行った。
校門から駅までの道を抜け駅に着くと、丁度二人乗りのキャビネットが来ていたのでそれに乗る。しばらくすると深雪から質問がかかった。
「お兄様、本当に用事ってあったのですか?」
「ああ。実は式が始まる前にお母様から連絡があってね。叔母様が【彼】の魔法に関する有力な文献を見つけたらしい」
「本当ですか!?」
「落ち着け深雪。本当に有力かどうか確かめる為に、今からそれを取りに行くんだ」
「そう言う事でしたか...」
深雪が慌てるのも無理はないだろう。達也自身もそれを聞いた時は焦ったのだ。
「深雪、降りるぞ」
キャビネットは既に最寄り駅まで着いていた。2人はキャビネットから降りると改札を出て、四葉本家へと向かって行った。
次回未定。とか前回ほざいてたけど、意外と筆が乗った。
多分次回は一週間後。