火継ぎの魔術師 作:フロム崇拝者
「づがれ"だ...」
蓮火は地下鍛錬場から上がって来ると、そんな事を言いつつPCを立ち上げる。OSが起動しログインするまでの間にお湯を沸かし、レトルトパウチのカレーを作る。
「さてと...やるか!」
PCの前に陣取ると凄まじい勢いでキーボードを叩き始める。すると携帯が鳴った。相手はどうやら将輝の様だ。
「ほい、もしもし?」
『蓮火、暇か?』
「暇といえば暇だし、暇じゃないといえば暇じゃない」
『どっちだよ...とにかく今大丈夫か?』
「仕事始めるとこだけど?」
『こっちに来れるか?』
「うーん、そりゃ無理だ。残念だけど」
『そうか...済まん。暇になったら連絡してくれ。後、いつもの奴を送ってくれよ?』
「りょーかい」
通話が切れると再びPCへと向き合う。現在彼が何をしているのかと言うと、【ハッキング】だ。
「新ソ連は特に動きなし。スターズの連中もないな...ん?チャイナマフィアが何かやらすかな?」
かつて彼は流浪の旅に出ていた時に自分の持つ魔術を使って各国の政府や組織のサーバールームに侵入し、物理的にバックドアを仕掛けていた経歴がある。現在はそれを利用しハッキングをしていると言うわけだ。
「こいつは...九校戦か。それと第一高校ではブランジュの影響下に置かれた生徒が増えつつある、と。こりゃ一悶着ありそうだ」
ハックして集めた情報を報告書に纏めつつ、温めたレトルトカレーを食べる。報告書と言っても2、3枚レベルなのですぐに終わり、印刷すると折りたたみ封筒へ入れる。
「お仕事おーわり!」
今度はこちらから将輝に電話をかけた。
『もしもし?』
「将輝?終わったから持ってくわ」
『今から来るか?』
「そうだねぇ。後耳寄りな情報が一つ」
『俺に話すって事はそこまで大事じゃなさそうだが?』
「...四葉の一族が第一高校に入学したと言ったら?」
『!?』
蓮火はそこで電話を切ると、ある程度しっかりとした服と流浪時代の黒コートを着て一条邸へと向かった。
入学式の帰りに四葉本家へ向かい資料を貰った達也は、夜遅くまでその資料を読み込んでいた。
「【火の時代】。そして【薪の王】か...」
彼が読んでいる資料は海外の古い書物であり、各地の伝承や民話を蒐集した物だ。だが、そこに書かれた全ての話は共通した単語が出てくる。それが【火の時代】と【薪の王】だ。話自体には一貫性はないが、これらの単語には似た様な役割や意味が振られている。
「やはり情報が足りないか...」
足りない情報に頭を悩ませていると、そこへ寝ぼけ眼を擦りながら深雪がやって来る。
「お兄様...?」
「...ああ、済まない。起こしてしまったかい?」
「はい...お母様も早く寝なさいと言われてますよ...」
改めて時間を確認すると、時計の針は既に1時を回っていた。毎度何かに熱中すると時間が経つのを忘れてしまうな、と彼は思うと深雪に話しかける。
「明日も早い。俺も寝るから深雪ももう一度寝ようか」
「はい...では、おやすみなさい...」
深雪が部屋から出ると彼も寝支度に入る。とは言え気ている服は就寝用の物のため床につくだけだが。
「...必ず見つけ出してみせる」
本を睨むと彼はベッドへと倒れ、眠りへと入って行った。
次回も未定。1週間以内には出したい。