なんでもするので許してください(なんでもするとは言ってない)
曜(千歌ちゃんの親が、鞠莉ちゃんの跳満ツモで終わった)
曜(鞠莉ちゃんといいダイヤちゃんといい、なんであんなに高打点でポンポン上がれるんだか……私なんて鳴いて速度を上げないと皆に追いつくこともできない)
曜(千歌ちゃんは昔から結構色んな打ち方ができる人だったから、追いつけないとかではないと思うけど……)
千歌「……」
曜(千歌ちゃんの顔が曇っている。これ以上ないほどに)
曜(たかが子供の麻雀くらいで、そう笑う人がいるかもしれない)
曜(でも違うと思う。それ以上のものを千歌ちゃんはこの麻雀を通して感じている。絶対そう、私にはわかる)
曜(いや……分かるというよりは、そうであって欲しいのかもしれない)
曜(なんてったって、私がそう感じているのだから)
鞠莉「このまま、ダイヤみたいに上がりまくって終わらせてしまおうかしら?」
ダイヤ「あら鞠莉さん、わたくしのことをお忘れでは? そうはさせませんわよ」
果南「二人とも、何事もやりすぎはよくないんじゃないかな……」
ダイヤ「あなたがそれを言いますの? 昔南場でされた事を忘れたとは言わせませんわよ」
鞠莉「そうデース! あの時は三日三晩ご飯も喉を通りませんでした!」
果南「そんな訳ないでしょ……まぁ、あの時はやりすぎたとは思うけどさ」
曜(三年生……この三人は本当に強い)
曜(でもこの強さに違和感はない……いつも感じていたことだから)
曜(三年生は、私達Aqoursをしっかりと支えてくれていた)
曜(この頼れる強さを、麻雀を通して相対することで、感じてしまったんだ)
曜(三年生が卒業した後は、この支えが無くなる……?)
曜(千歌ちゃんもきっと、このことを感じているんだろう)
曜(いや、千歌ちゃんだけじゃない。梨子ちゃんや一年生三人もきっと同じだ)
曜(だからこそ今、自然と三年生対一、二年生みたいな構図が出来上がりつつある)
曜(私達は、早速敗北しそうになってるわけだけど……)
花丸「……」
善子「……」
ルビィ「……」
梨子「……」
千歌「…………」
曜(あぁ! もう! こういうのイヤ!)
曜(遊んでる感じがしない! Aqoursらしくない! なにより!)
曜(千歌ちゃんらしくない!)
曜(いつもみたいに、やめる? で千歌ちゃんを煽ってもいいけど……)
曜(さすがにこの状態じゃ、火に油かなぁ)
曜(ここは……)
曜(私が上がって、千歌ちゃんのやる気を出させる)
曜(千歌ちゃんは私と違って、この場を打ち砕く強さがある)
曜(この場で私がやるべきは、その火付け役だ。いや)
曜(それは私にしか出来ないことだ!!!)
曜「チー!!!」
ダイヤ「っ!」
花丸「そういえば、ダイヤちゃんからの鳴きも、今までなかったずらね」
善子「確かに。でも千歌が鳴かなかっただけじゃないの?」
花丸「あれだけダイヤちゃんの点数減らそうとしてたのに、鳴きは封印してたずら?」
善子「まぁ……それもそうね」
曜(なんかよくわかんないけど、ダイヤちゃんからの初鳴きゲットだよ!)
曜(一度でも私が上がって、千歌ちゃんに火をつけるまでは安心できない!)
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鞠莉「リーチ!」
曜(来た……鞠莉ちゃんのリーチ!)
曜(私みたいな凡人が、三年生に付け入る隙があるとしたら、リーチ後の無防備な捨て牌しかない)
曜(ここで引かずに攻める!)
曜「ポン!」
鞠莉「あらぁ~ 一発消されちゃったわ」
ダイヤ「そう何度も一発ツモされてはたまりませんわ」
千歌「曜ちゃん……?」
曜「鞠莉ちゃん、ロンだよ! 2600!」
鞠莉「わお! 曜もやるわね」
曜「鞠莉ちゃんほどの打点じゃないけど、さっきのダイヤちゃんの振り込みを参考にしてみたよ!」
曜「うまくいって良かったぁ~」
千歌「はー 曜ちゃんすごいなぁ。鞠莉ちゃんからも出あがり出来るなんて」
花丸「鳴き麻雀の天才ずら!」
曜「それは違うよ、千歌ちゃん」
千歌「……え?」
曜「私が上がれたのは、きっと最後まで諦めなかったから」
曜「未来はきっと輝いてるって信じていたから」
曜「だからこそ、今の私があって、今のAqoursがある」
曜「それは千歌ちゃんが一番よく知っていることのはずだよ」
千歌「でも……」
曜「確かにその途中では、色んな壁が立ちはだかってくるかもしれない」
曜「以前と比べて力不足を感じたり、寂しさを感じるかもしれないよ」
花丸「……」
善子「……」
ルビィ「……」
曜「でもそれでも前を向いて走ってきた。それが私達じゃん」
梨子「……」
ダイヤ「曜さん、あなた何の話をして……」
鞠莉「ダイヤ、shut up」
果南「……」
曜「……それでも、私は千歌ちゃんがそれでいいというのなら止めはしないよ」
曜「……千歌ちゃん」
曜「やめる?」
曜(千歌ちゃんはしばらく手牌を見つめている)
曜(……私にできるのはここまでだ。この後は本当に、千歌ちゃんの心次第)
曜(麻雀も、……Aqoursも)
千歌「……ない」
千歌「やめない。やめないよ! こんなところで、負けてやるわけにはいかない!」
千歌「それにまだ東場が終わっただけだからね! 親もまだ一回残ってるし、まだ全然逆転のチャンスはある!」
千歌「ダイヤちゃん、鞠莉ちゃんに勝って、三年生がいなくても大丈夫ってところ、見せてやるんだ!」
梨子「……そうね」
ルビィ「うん!」
鞠莉「あらぁ、なんだか随分敵視されちゃってるみたいだけど、どうする? ダイヤ」
ダイヤ「決まっていますわ。受けて立って差し上げましょう。格の違いを思い知らせてあげますわ。でしょう? 果南さん」
果南「え? 私? 私は予選落ちしてるから何とも言えないけど……どちらかと言えば鞠莉とダイヤに勝ってほしいかな」
曜(なんだかとても大ごとになってしまった感は否めないけど……千歌ちゃんを復活させることには成功した)
曜(半荘はまだ折り返し地点、南入するところだ)
曜(全然チャンスはあるよ! 千歌ちゃん!)
東四局終了時点
南:ダイヤ 33300
西:曜 20100
北:千歌 8300
東:鞠莉 38300
実際には、こんな重い気持ちを背負って麻雀する人なんていないでしょうね……