のどか様は告らせたい   作:ファンの人

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今回はいつもと違う二人が主役


15 染谷まこは生き延びたい

清澄高校麻雀部!

麻雀に携わる者でその名を知らない人間はいないどころか、世間一般的にもその知名度は異常!

昨年まではまともに活動していなかったのだが、彗星の如く現れ、魔境長野を荒らしに荒らして決勝へ!

その決勝戦を天江衣という怪物を下して見事勝ち抜き、全国でも中堅戦でトビ終了という衝撃的デビュー!

そして来たる決勝戦では、激戦に次ぐ激戦!衝撃的な先鋒戦から始まり、次鋒中堅副将でも一進一退どころではない激しい攻防

そして大将戦では魑魅魍魎集う異次元麻雀が披露され、最終的にトップに立ったのは、この清澄高校麻雀部。

その波乱万丈で話題性満載なこの高校はメディアにも取り上げられ、『奇跡』として世間へと広まったのである。

 

そんな部活を来年へと引き継いだのはこの少女――染谷まこ

昨年においては目立たないものの、きちっとプラスにして後ろに繋げる次鋒の役割を完璧に果たした。

広島弁が特徴的であり、少し古臭いメガネがチャームポイント。実家は雀荘を経営しており、彼女自身も働いている。

卵料理が得意であり、性格はしたたか、その年齢の割には落ち着いており、周りの人には安心感を与えてくれる。

 

そんな彼女は今――

 

「わし、もうダメかもしれん」

 

病んでいた!!

 

「どうしたのまこ!??」

 

「もうダメじゃ…わしには纏めきれん…」

 

そんな彼女と対面するのは竹井久。

頼れる後輩の思いも寄らぬ姿に困惑する。

 

「あなたがダメになったら、誰が部活をまとめるのよ!?」

 

「須賀にでもやらせりゃええじゃろ」

 

「須賀君も出来なくはなさそうだけど、やっぱまこじゃないとダメよ!」

 

「お前はどうやってこんなのこなしてたんだ…」

 

「まこ、口調が崩れてる」

 

あまりの疲労に広島弁を忘れ始める!

メガネを外し、ぐったりと俯き、顔に手を当て絶望ポーズ。

 

「でも、顧問の先生は事務的なことはやってくれてるし、練習試合の調整とかも粗方終わったんでしょ?」

 

「そうじゃ…」

 

「じゃあもう、心配することないじゃないの、今まで忙しかっただけでこれからは楽に…」

 

そんな彼女をなんとか宥めようとする元部長。

現在の状況をしっかり整理させ、そんな悲観することはないと励ますが

 

「この部活……人が死ぬかもしれん……」

 

「し、死ぬ!!?」

 

突然のサスペンス!

事務作業が大変どうこうかと思いきや、全く別方向に飛んでいく!

 

「い、いったいどういうことよ!?」

 

「……」

 

「も、もしかして…咲が麻雀で魂を…?」

 

心当たりを探すものの、あの魔王がついに魂にまで――という発想しか思いつかず。

確かに彼女ならやりかねないが……

 

「和じゃ…」

 

言葉を絞り出す染谷まこ。

 

「え?」

 

「和がヤバい……」

 

「な、なにがあったの?」

 

尋常じゃない彼女の様子に固唾を飲み込み、恐る恐る尋ねる。

彼女はこんな時に冗談を言う人間ではない、そのことを知っているため余計に緊張感が増していく。

 

「目じゃ」

 

「め?」

 

「あいつ、たまにわしらを家畜を見るような目で見つめとるぞ…」

 

「ま、またまたー…そんなわけ…」

 

「咲に向ける視線とか特にやばい」

「殺意籠っとるというか…末代まで呪い殺す気じゃありゃあ」

 

「咲に!?」

 

「あの眼光……広島のヤーさんよりもヤバいけぇ……ありゃ二、三人は殺っとる……」

 

「そんなわけないでしょ!まこ落ち着いて!?」

 

体をガタガタと震わせつつ証言していく現部長。

その呟きは止まらない。

 

「それに、たまに動きが変なんじゃ」

 

「変?」

 

「何もないところをジーっと見つめてたり」

 

「誰もいない部室で突っ立ってたり」

 

「コソコソと廊下を移動してたり」

 

「ロッカーにあのデカいペンギンを押し込んだり」

 

「え、えぇぇ……」

 

その口から溢れ出る奇行の数々!

ホントに訳が分からないものが大半であり、流石の竹井もこれにはドン引き。

 

「極めつけには、言葉を喋らなくなったんじゃ」

 

「へ?」

 

「いや、わしも上手く説明は出来ないんじゃが……」

 

「こう…日本語なんじゃが、文法がメチャクチャというか、適当に並べただけというか……」

 

「え、えーと、とりあえず、おかしくなったの?」

 

「そうそう、そしてわしは確信した」

 

「な、なにを」

 

そして彼女は一呼吸置き、真剣な表情でこちらを見つめ――

 

「あいつはターミネーターに違いない」

 

――もう彼女はダメかもしれない

 

「はぁ!?」

 

「あいつ、未来から咲を抹殺するために送られてきたターミネーターじゃ、間違いない」

 

「ま、まこ!?」

 

「全てについて合点がいくぞ、奇行の数々は機械特有の行動、言語破綻はプログラム異常……」

 

「どうしたのまこ!?しっかりして!?」

 

「じゃっておかしいじゃろ、なんでこんな高校にインターミドル覇者が入ってくるんじゃ」

「というか、打ち方も機械っぽいし、ターミネーターに違いない」

 

「正気になって!というか、なんで咲が狙われるのよ!!」

 

「未来で魔王として世界に降臨して、恐怖政治でも敷いとるんじゃろ、知らんけど」

 

「じゃあ和は英雄じゃないの!」

 

「わしらも抹殺対象かもしれんぞ、お前も射殺さんばかりの目で見られてたし」

 

「えっ、私も?」

 

原村和ターミネーター説!

色々と病んでしまった染谷まこによって打ち立てられたこの説。

ただでさえ大変な時期に、原村和の奇行を目の当たりにしてSAN値が急降下!

そんな彼女の自衛本能が働いたのか、彼女の奇行を説明するために創り上げられた!

この説、微妙に筋が通っているため、完全に否定することは難しい!

そして元部長も、『あら案外話になるわね』といいネタだとして笑い話にしたいのだが

目の前で錯乱しているかわいい後輩を見てしまってはそれどころではない!

 

「と、とにかく現実見ましょ!和がまさかそんなわけ……」

 

「ここら近辺の熔鉱炉は…」

 

「まこ!!」

 

そこでゆっくりと開かれるドア。

 

 

 

ぎぃいと軋む音、その方向を見ると

 

 

 

 

 

 

「ぶちょう」

 

 

 

 

 

ピンク色の髪を垂らした少女が

 

 

 

 

 

 

 

「ふたりでそうだんですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

真っ黒な瞳でこちらを覗き込んでいた。

 

 

 

 

 

 

「ぎゃあああああああ!!!で、出たあああ!!!」

「きゃあああああああ!!!!」

 

「きゃあ!?な、なんですか!?」

 

 

ドアから出てきたのは話題の少女、原村和。

部室に入るや否や、突然の悲鳴に驚かされる!

 

「おおおおおおう和!ゆっくりしていけ!」

 

「まこ、落ち着いて!」

 

「?」

 

ガタガタと震えながらもなんとか普通に対処しようとする染谷まこ。

そんな彼女をなんとか押さえつける竹井久。

そしてキリッとした表情でその元凶に顔を向け

 

「和、最近何かあった?」

 

真っ向からぶつかっていく!

 

「最近ですか?」

 

「ええ、咲とケンカしたとか、なにか上手くいかないとか……」

 

「?、いえ特に」

 

「そう、ならいいのよ」

 

「はぁ…?ではこれで失礼しますね」

 

そして何事もなくあっさりと去っていく。

この事実を現部長に見せつけ

 

「ほら、別に普通じゃないの、まこの勘違いよ」

 

こう元気づける

 

 

 

 

 

 

「……なぁ、久」

 

 

 

「なーに?」

 

 

 

「の、和は、何のために部室に来たんじゃ……?」

 

 

 

「えっ……あれ?」

 

 

 

「や、やっぱ、正体がバレそうになったから……」

 

「お、落ち着いてまこ!まこーーー!!!」

 

――彼女の苦難は続く

 

 

 

 

【本日の勝敗】

竹井久の負け

理由:治療失敗




いつも感想やお気に入り登録等ありがとうございます!
まこさんは心労見せないけど,なんかとても心配してそう.

原作でもこれの元の回はとても好きでした,ホラーちっくなかぐや様がお可愛いこと…

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