のどか様は告らせたい   作:ファンの人

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23 片岡優希はくっつけたい

今まで、清澄高校麻雀部の数々の部員たちを紹介してきた。

この物語の主人公であり天才美少女の原村和、思春期拗らせた天然ジゴロのモンスター童貞須賀京太郎

更には、魑魅魍魎をまとめて全国を制覇した元部長の竹井久、そんな部活を引き継ぐことになり色々と頭を抱える現部長の染谷まこ。

 

だが、まだ具体的な紹介をされていない部員がここに一人――

 

清澄高校麻雀部の先鋒をつとめ、個人戦県予選においては大暴れ!

団体戦においてもエース集う先鋒戦において大旋風を巻き起こし、全国決勝戦においては天和を披露!

そのインパクトある打ち筋と異常なほどの強さによって、多くの人々の記憶に名を刻んだ。

 

そんな彼女の名は――

 

「タコスうまー!」

 

片岡優希である!

 

ちびっ子少女でタコス娘、子供っぽい性格であり、肩書からは想像できない風貌である。

そんな彼女は原村和と中学からの仲であり、お互いに親友だと認めて合っているほど。

その友情は固く、強く、ちっとやそっとでは崩れない。

また、彼女は須賀京太郎とも非常に仲が良く、二人でふざけ合ったり遊び合ったりしている。

それゆえ、たまに親友から射殺さんばかりの視線で見つめられているのだが

彼女は頻繁にのどか様の恋路を手助けしているため、多少の交流は許されている。

 

そんな彼女は今日も今日とてタコスをもぐもぐ、そして見つめるは

 

「和、一昨日はありがとな」

 

「いえいえ」

 

原村和と須賀京太郎である。

流石に両者ともに一日インターバルを置いたからか、落ち着いた大人な対応をしている。

そんな二人をぼんやりと――

 

「じゃ、俺はネトマしてくるぜ」

 

「わかりました、頑張ってください」

 

(むむむ……)

 

 

 

 

(なーにしてるんだじぇ!!)

 

 

 

この少女、部内で唯一全てを把握している!!

 

 

皆さんおかしいと思わなかっただろうか?

この少女、あまりにもサポートが完璧であることに!

映画チケットの時も、多少強引ながらもホラー映画を回避させ

お弁当交換会の時も、原村和の誘導に乗って企画開催を担当し

付け耳事件の時も、京太郎の後ろでぴょんぴょんしている原村和の意向を汲み取り

相合傘未遂の時も、スッと傘を奪った原村和の思惑を汲み取り、邪魔な魔王と一緒にフェードアウトした!

 

そう、片岡優希は親友の恋心を知っている!

そして、そんな彼女の恋路をひっそりと応援している!

 

なぜ、ひっそりとなのか?

彼女は親友のことをとても大事に思っているがゆえに、その気持ちや恋路に介入したくないという思いがある。

そのため、最初はのどちゃんの恋路を見てニヤニヤしようと思っていたのだが

 

『須賀君、文化祭……』

 

『ん、なんだ?』

 

『の日は晴れそうですね』

 

『お、おう……』

 

待てと待てども、全くもって進展しないどころか

もはや京太郎からのアプローチも減っていき、むしろ後退する始末!

これではいかん!と思い、少し前から密かにのどちゃんのアシストを行い始めた。

それが効いたのか、少しずつ彼女も積極的になり、色々と策を講じるようになっていった。

彼女はその作戦の穴を塞いでいき、進展させ、そしてようやく先日のお誕生日で距離が近づいたかと思いきや

 

 

(京太郎の誕生日はせーっかくいい感じになっていたのに)

 

(ちょっと時間が空いたらこれか)

 

(まったく……のどちゃんはダメダメだじぇ)

 

 

また逆戻り。

親友は意中の彼とひと言ふた言言葉を交わし、そしてパソコンに向かうのを見送っただけ。

 

 

(ケーキ渡した後の京太郎なんてメロメロだったんだし)

 

(ここでドンドン攻めて攻めて攻めて押し切るべきだじぇ!!)

 

 

片岡優希はどうやら恋愛事においても生粋のアタック思考である。

攻めて攻めて意識させたらこっちのもん!さらに攻めて攻めまくる!!

この戦法、相手によっては非常に有効であるどころか、今回の親友の境遇ではほぼほぼ最善手である!

 

だが、親友は全くもって動こうとしない。

そんな状況に痺れを切らしたのか

 

(しかたない、ここはいっちょ一肌ぬいであげるじょ!)

 

片岡優希、出撃!

まずはラインを起動!

そして竹井先輩に『今日はちょうど四人集まるから来なくて大丈夫です!』とメッセージを送り

宮永咲には『買い出し頼む!内容は~』とパシリを強要!そして迷子も誘発!

染谷部長は元から実家の雀荘のお手伝いで本日は欠席。

 

これによって部室は三人だけとなった!

 

(あとはこの二人を……)

 

そしてニヤリと笑いつつ、パソコンの前に座る彼とソファーで本を読む彼女をチラリと見る。

親友はチラチラと彼を見ては、全く読み進まない教本とにらめっこを開始する。

一方で彼はパソコンに向かって集中している様子。

こんなんだから半年近く進展しないんだ、と心の中で飽きれつつ

まずは親友を動かす!

 

「のどちゃん」

 

「っ!な、なんですかゆーき?」

 

「竹井先輩は用事があって、今日は来ないらしいじぇ」

「あと、買い出しは咲ちゃんに頼んでおいたじぇ!」

 

「そうですか……ありがとうございます」

 

「それでのどちゃん、京太郎に教えてやってくれ!」

 

「え?」

 

「ほら、ちょうどネトマしてるし、京太郎も喜ぶと思うじょ!」

 

邪魔者は排除したと暗に伝え、そして彼にアプローチするよう誘導する!

彼女に足りないのは勇気。それを見抜いているため、少し強引でもいいから彼女の背中を押しまくる!

 

「ですが、須賀君の邪魔になるかも――」

 

「細かいことはきにしなーい」

 

なんかモゴモゴと言っているのを無視して、彼女の手を引っ張って

スッと椅子も用意をして、パソコンに向かう彼の隣に設置して、その上に原村和を設置。

 

 

「おい京太郎!のどちゃん大先生が見てくれるとのことだじぇ!」

 

「へ?」

 

「そ、その、これはゆーきが」

 

 

そのことを京太郎に知らせ

あわあわしているところを――

 

 

「ほれ、もっとくっつかないと画面見えないじぇ」

 

「ちょっ!?こここれは近すぎじゃァ…」

 

「京太郎がデカいから画面が隠れるんだじぇ!」

 

「それはそうだけど…」

 

「のどちゃんもこれでいいよなー?」

 

「え、ええ、私は構いません」

 

パーソナルスペース!

他人に近づかれると不快になる空間のことであり、主に自分からの直線距離によって定めされる。

仲が良い人とはパーソナルスペースが狭いため普段接する距離は近く、逆に嫌いな人はパーソナルスペースが広くなり距離が遠くなる。

そしてこれは、とある特定の人物との距離を詰めたい時、あえてほんの少しだけ侵害するように近づくことにより、精神的距離を近づけさせることもできる!

 

片岡優希はこれを使った!

慌てふためく彼に追い打ちをかけるように原村和をグイグイと近づけさせ、その距離は30㎝未満となる!

これはもはやごく親しい人にのみ許される空間であり、もはや恋人の距離感!

お互いに好意を持っているため、この距離感を保つだけでも効果は絶大!より精神的距離は近づいていく!

 

(ふっふっふ、我ながら完璧な作戦)

 

全くもってその通りである。どこぞのピンクに見習わせたい。

そして様子を横目で確認すると

 

「ここはですね~」

「ふむふむ」

 

真面目に麻雀をしている二人の姿が見える。

これも作戦のうちである。

ただ単に近づけさせただけだと、片方が何か理由をつけて距離を取る可能性があるものの

こうして麻雀という互いに熱中できるものを接着剤として利用することにより、固定化に成功!

 

だが、策士片岡はこれだけでは止まらず。

 

(このままでも十分だけど…)

 

(ちょっとスパイスを……)

 

そうしてトテトテと備品の確認……のフリをし始め、様子を伺い

狙うはピンク髪の少女、原村和の背中!

そこを掠めるように歩いていき

 

「っと、すまないじぇ」

 

ドンっと肩を背中にぶつける!!

 

「へ?」

「え?」

 

そして後ろで聞こえるマヌケな声

その声を確認し、すぐさま

 

「あー!咲ちゃんが迷子になってるから捜索しに行ってくるじぇ!」

 

「たぶん、小一時間は帰ってこれないから、二人でネトマでもしといて!」

 

と大きな声で報告し、有無を言わさず部屋を飛び出す!

これによって、京太郎にのどちゃんの胸を触れさせた上、そのことをなぁなぁで済ませることに成功!

 

(ふっふっふ、これならいくらのどちゃんでもガンガン攻めて)

 

(いや、もしかしたら京太郎が我慢できなくなって)

 

(……戻ってきた後が楽しみだじぇ!)

 

そんな想像をしつつ、迷子にさせてしまった友達――宮永咲の捜索を開始すべく

スマホを耳に当て、電話をし始めた――

 

 

~~一時間後~~

 

 

「疲れたぁ」

 

「そりゃ咲ちゃん、あんなところまで歩いてたら疲れるじぇ……」

 

「べ、別に私だって好きで行ってるわけじゃないから……」

 

 

宮永咲の捜索に思いの外手間取ったが、買い出しも終え、約束通り一時間で戻ってくる。

隣の文学少女はぐったりしながら荷物を持っているが

 

(さーて、のどちゃんと京太郎はどうなってるか……)

 

(万が一があってもファブリーズあるからへーきだじぇ!)

 

こちらの少女は仕込んで後に一時間寝かしておいた二人がどうなっているか楽しみで楽しみで仕方ない!

テクテクと二人で歩き、そしていざ部室前

 

「ただいまだじぇー!」

「ただいまー」

 

ばん!と勢いよくドアを開き、そこにあった風景は――

 

 

 

 

 

「イーピンイーピンイーピンイーピン……」

 

「ワタシハ……ワタシハ……」

 

 

 

 

パソコンをジッと見つめて呪文を唱える彼と

雀卓に一人で座り、光を失った目で天井を見つめる親友がそこに居た。

 

「きょ、京ちゃんどうしたの!?」

 

「イーシャンテン……リーチ……リーチ……」

 

「の、のどちゃん、なにがあった?」

 

「モウオシマイデス……キエテシマイタイデス……」

 

何があったのか想像がつかないほどの大惨事

両者ともにうわ言のように何かを呟くのみ。

 

 

(ど、どうしてこうなるんだじぇぇぇ!!)

 

 

「あはっ、あははははは」

 

「和ちゃん!?ど、どうしたの急に」

 

「トン……ハク……パッソ……」

 

「咲さん……私が余ったら貰ってください」

 

「うぇぇ!?」

 

 

片岡優希

原村和唯一の味方であり――一番の苦労者である。

 

 

【本日の勝敗】

片岡優希の負け

理由:あの二人が予想以上に予想以下だったため




いつもお気に入り登録等ありがとうございます!
のどか様もとても喜んでいます!

感想の返信に関してですが,話によってはのどか様以外が返信しますが,ご了承ください

今回は優希回
実は優希だけは恋心を知ってたんだけど,皆は気が付いたかな?
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