ローグハンターにとって、
彼らがどこに忍び、どこを進み、何を成すのか。それら全てがだいたいはわかるし、どう対処すべきかもわかってはいる。
そして、それが例え人の道を外れるような手段であっても、今のローグハンターに躊躇う理由はない。
葡萄尼僧を侮辱した怒りと、銀髪武闘家との約束が、彼にとっての超えてはならない一線を軽く飛び越えさせたのだ。
初手から問答無用の
対アサシン用の、一切の痕跡さえも残さず、音もない歩法で街を東へ西へと歩き回り、タカの眼を通して下手人を──目的の
悪い噂の消し方は、貼り紙を剥がす、買収すると色々あるが、一番手っ取り早いのはその噂を流した人物を消すことだ。流石に街中で堂々と殺しをするわけにもいかないから、できるのは捕らえて狐に引き渡す程度だが。
目深く被ったフードの下で蒼眼を細め、抱く殺意を一切外に漏らすことなく、ただ一点に注ぎ込む。
人込みの中、ビクリと肩を震わせ、怯えた表情で辺りを見渡しているのは一人の男。髭面で、朝から酒でも飲んでいたのか頰が朱色に染まっている。
だが破れやほつれが目立つ服を着ており、稼ぎがいい身分には見えない。その癖して足取りは確かで、そういった心得のあるもののそれだ。
「──見つけた」
ローグハンターはフードの下で不敵に笑み、人込みの流れに身を任せてその男に近づいていく。
あと五歩。気づかれた様子はない。
あと四歩。やはり気づいた様子なし。
三歩、二歩、一歩、ああ、全くど素人が。
「喧嘩を売る相手と、場所を間違えたな」
「へ?」
背後から聞こえた絶対零度の声に男が振り向いた瞬間、ローグハンターはその男の鳩尾に拳を叩き込み、一撃で昏倒させ、半ば引きずる形で強引に路地裏に連れ込んだ。
通りの人々は誰一人として異常に気づかず、皆がいつもの日常の中で先を急ぐ。
そんな人々の喧騒の中、男の悲鳴が聞こえたことにも気づくこともなく。
狐にとってその仕事は酷く久しぶりなようにも感じて、珍しく血が騒いでいた。
別に酒場の店主というのが嫌いなわけでも、やり甲斐がないわけでもないのだが、やはり自分はこちら側の人間なのだと改めて認識させてくれるからだ。
場所は『眠る狐亭』が所有する倉庫。彼の目の前には後ろ手で手を縛られた状態で椅子に座らされた髭面の男がいた。
殴られたのか、蹴られたのか、鼻が歪に曲がって大量の鼻血が口元と服を赤く汚している。
怯え顔でこちらを見つめ、助けを求めるように譫言を繰り返すその様は、まだ何もしていないというのに心が折れているかのよう。
「で、ローグハンター。何をした?」
「自決用の毒を飲まないように、顎を外して奥歯を抜いた」
「随分と物騒なことで」
そんな髭面の男をここまで連行した人物──ローグハンターは柱に寄りかかりながらその時引き抜いた奥歯を指で弾き、男の目の前に落とした。
ひぃ!?と情けない悲鳴を漏らす男を他所に、狐はローグハンターに問うた。
「それで、何を聞き出す?」
「こいつを寄越した
「依頼人と言っても、もう目星はついているんだろ?」
ローグハンターが爪を剥がす用の小さな鋏のような道具を手に取りながら告げた言葉に、狐は肩を竦めながら問いかけた。
ローグハンターもまた肩を竦め、「まあ、そうだな」と苦笑を漏らす。
彼が真っ先に頼った狐は、既に部下たちを使って情報収集を始めていた。
アサシン教団の一員として、そして地母神の葡萄酒を愛する者として、絶対に今回の騒動の黒幕の尻尾を掴み、吠え面をかかせてやろうと決めていたのだ。
だが、そんな彼の努力はあっさりと無駄に終わった。
『あんな曰く付きの酒より、うちの酒を仕入れませんか?』
水の街から訪れたという酒商が、いきなり自家製のワインを勧めてきたのだという。
普段なら商魂逞しいなと鼻で笑うが、今回は
ある程度日にちが経ち、騒ぎが大きくなり過ぎてから来るのならわかるが、まだ街の中で広まり始めた程度の時機だ。いくら何でも早すぎる。
ローグハンターと狐は、その酒商がだいぶきな臭いと睨んでいるのだ。
念のための裏を取るため、そして噂の拡散を少しでも遅らせるために連行したが、まだ他にも雇われた連中がいるかもしれない。
「とりあえず指を折るか。爪を剥がすか。目玉を抉り出してもいいし、鼻か耳を削いだっていい。……どれからするか迷うな」
狐は布ではなく肉を解体する用の巨大な鋏を手に取り、ジャキジャキと刃を鳴らす。
怯えて声も出ない男を他所に、ローグハンターは「そうだな」と眉を寄せて僅かに思慮した様子を見せると、顎に手を当てながら微笑んだ。
「なら、全部やるか。この際ナニを落としても構わんだろ」
「おっと、怖い。話すなら早めに頼むぞ、俺だって血は見たくなく」
不気味に笑う頭巾の男たちに髭面の男が涙を流す中、二人は見せつけるようにそれぞれの拷問道具を構えて躙り寄る。
「ま、待ってくれ!俺は知らない!知っていても、喋ったら殺されちまう!!」
「言わないのなら、俺が殺す。今死ぬか、依頼人が殺されるのに賭けて協力するか、さっさと選べ」
死にたくない一心で叫ぶ男に、ローグハンターは淡々とした声音でそう返し、男の膝に手を置いた。
そのままいっそ清々しいまでの柔らかな笑みを浮かべ、解体用の短剣を振り下ろすのだった。
さわさわと川のせせらぎは、薄闇の世界においても心地よいものだ。
時間に余裕がないとはわかっているが、微睡みの誘惑は耐え難い。だって人間だもの。
光差し込む至高神の神殿、その最奥にある中庭で、剣の乙女は恥じらいながらと欠伸を漏らす。
夜明けから日の入りまでずっと仕事をしていたのだ。流石の英雄とて疲れるし、眠くもなる。
一刻、二刻、うたた寝をしても世界は滅びないだろうし、このまま寝てしまっても……。
そうしてぼんやりと微睡みの誘惑に身を任せようと脱力しようとした瞬間に、彼女はそっと天秤剣を手繰り寄せた。
廊下に反響する足音。がちゃがちゃと武具の連なる音。統一されていない、雑多な、種族も性別もばらばらだろう。
だがその中に二つだけ、聞き馴染みのある足音が紛れていることに、耳ざとく剣の乙女は気づいていた。
「お久しぶりですね、魔術師様」
顔も向けずに声をかけると、冒険者達が立ち止まったのがわかった。
声をかけられた女魔術師は特に驚いた様子もなく、「お久しぶりです、大司教様」と恭しく一礼。
彼女に続いて重戦士とその一党も頭を下げる中、敦賀の乙女はゆっくりと振り返り、かつての戦いに同行した冒険者たちに微笑みを向けながら、誰かを探すように眼帯の下で視線を巡らせた。
薄闇の中でも煌々と燃える蒼い炎は見当たらない。それがわかった剣の乙女は僅かに不満顔となった。
それに目敏く気づいた女魔術師が「頭目が不在で申し訳ありません」と謝意を口にしつつ、前に出た。
「折り合ってお話がございます。頭目も助力を請うている筈です」
「ええ。ならやりましょう。すぐにやりましょう。お話とはなんでしょう?」
そして、ここに来たのは頭目の──ようはローグハンターの頼みだと告げた瞬間、不満げだった剣の乙女の表情に気迫が満ち、ずいっと前のめりになりながら女魔術師に詰め寄った。
彼のことを出せば嫌でも協力してくれるだろうと読んでのことだったが、ここまで食いついてくるとは少し意外。
後ろの重戦士と女騎士が『別に頼まれていないだろ』と視線で訴えてくるのを無視し、女魔術師は一旦距離を取りながら話題を切り出すのだった。
水の街の大通り。辺境の街とは比べ物にならない人通りでごった返す中を、銀髪武闘家と槍使い、令嬢剣士が進んでいた。
「私が大司教様の方に行かなくて良かったの?」
「仮にも恋敵だぜ?それにこっちの方が話が早ぇ」
「先生も罪なお方ですわね……」
大司教に交渉という一番の面倒事を任せてしまい、若干の罪悪感を感じる銀髪武闘家に、槍使いが嘆息混じりにそう返し、令嬢剣士もまた溜め息を漏らす。
恋敵とはいうが、こちとら結婚しとんじゃいと勝ち誇るようにドヤ顔を浮かべた銀髪武闘家は「そういえば」と振り向いて槍使いに問いを投げた。
「時間と場所、大丈夫?まあ、私も時計ないから何にも言えないけどさ」
「そんなん向こうも……、いやあっちは持ってそうだな。お嬢ちゃんは?」
「
彼女の問いかけに槍使いは今更な事を思い出し、この中で時計を忍ばせていそうな令嬢剣士に声をかけるが、彼女は申し訳なさそうに首を横に振った。
元より複雑怪奇で脆いにも程がある懐中時計を持ち歩く冒険者などいやいない。そもそもそんな物を持ち運ぶのは時間に厳しい王族や貴族連中なものだ。
──ローグハンターの野郎は持ってそうではあるが……。
そんな貴族連中と
「ま、昼過ぎに約束の場所でって手紙を送っただけだしな。まだ昼前だし、どうせいねぇって」
魔女に頼んで使い魔を放ってもらい、昼過ぎに広場で会おうと一方的な約束を取り付けただけだ。もしかしたら来ないかもしれないし、あるいはもう来ているかもしれない。
「約束した時間よりも早めに行って待っておくのが紳士の務め、らしいよ?」
そんなどこか適当な槍使いに、銀髪武闘家がどこか吟遊詩人めいた言葉運びで苦言を呈すると、彼は腰に手を当てながら首を傾げた。
「誰の言葉だ?」
何か有名な詩人の言葉か、あるいは二人の冒険の道中で聞いたのか、とにかく何かに使えそうだと引用元に探りを入れる槍使いだが、返された言葉は意外なもの。
「
ようは惚気である。私の旦那は約束を破らないどころか、それよりも早く来て待っていてくれるのだと、自慢してきてきるのだ。僅かに遅れて発言の意味に気づいたのか、顔を赤くし始めるが知ったことか。
槍使いは「そうかよ」と嘆息混じりに肩を落とした。確かにあいつならそんな事を言うだろう。特に最愛の妻との約束となれば、日の出前からその場所で待っていそうな雰囲気さえもある。
冒険者らしくない冒険者。ローグハンターを一言で纏めるならそんな人物だろう。
ほとんどの冒険者が貴族位を貰うか、貴族の家に嫁ぐ事をある種の
事情を知らない冒険者が聞けば、『何を馬鹿な』『余程の阿呆だな』と蔑まれそうではあるが、彼にとって地位など興味がないのだ。
ただ愛する者と静かに暮らせれば、それでいいのだろう。
今も冒険者を続けているのは、そんな暮らしのための資金繰りでしかないのだと、槍使いは思っていた。
「お?でっかい魚泳いでるよ」
「え、どこですか?うわ、本当に大きいですわね」
「お前ら、普段からそんな感じなのか?」
だが肝心の妻は通りの縁から顔を出した運河を覗き込み、そこを泳ぐ魚にばかり注目し、令嬢剣士もまた同じ。
街中だからと油断している──わけでもなく、視線こそ魚に向いているがその心は背後や周囲の人込みに向けられているのだが、流石に滑稽にも程があるだろう。
はあと溜め息を吐いた槍使いが「そろそろ着くぞ」と広場を示し、令嬢剣士が返事と共に縁から離れた直後だった。
「おねぇぇぇぇええええちゃぁぁああああああああん!!!」
三人の鼓膜を破壊する喜色満面の声と共に、銀髪武闘家の背中に小さな人影がぶち当たった。
全く反応ができないことはおろか、接近さえも気づかなかった三人が目を見開いて驚愕する中、銀髪武闘家はずるりと縁に添えていた手を滑らせ、
「「あ……」」
背後から飛びつき、腰に抱きついている人物諸共、運河に頭から落ちていった。
バシャン!とけたたましい音と共に水柱があがり、大量の水滴が雨のように周囲に降り注ぐ。
周囲からは「人が落ちたぞ!?」と悲鳴があがり、人込を掻き分けて警邏中だった衛兵たちも集まってくる。
「これ、私たちのせいですか?」
「俺、知〜らね」
困惑する令嬢剣士。我関せずに背を向ける槍使い。
運河の方からは慌てて近くの船に飛び乗った銀髪武闘家と、彼女に飛びかかった少女の黄色に悲鳴が漏れ出ていた。
そんな騒ぎも、冒険者たちのじゃれあいの結果と分かればすぐに治まるというもの。
お騒がせしましたと、集まってきた衛兵たちに令嬢剣士が頭を下がる横で、救出された銀髪武闘家は濡れた髪をかきあげながら息を吐いた。
鎧を着ているとはいえ、動きを阻害しないように両腕や太腿が露出している軽装であるため、濡れて瑞々しさを強調された肢体が惜しげもなく晒されている。
一部の通行人から邪な視線を向けるのを構わず、彼女は自分を突き落とした人物に目を向けた。
緑の外衣を纏い、その下には鎖帷子。背中には鉄の槍を携えた黒髪の少女。
彼女は悪びれた様子もなく縁に腰をかけてぶらぶらと足を揺らしており、その目は銀髪武闘家を舐めるように見やる男たちを睨み返している。
「もう、お姉ちゃんをこんな格好を見ていいのはお兄ちゃんと馬鹿だけなのに!!」
「そのお姉ちゃんを落としたのが君でしょうが」
ぷんすかぷんすかと頬を膨らませて怒気を滲ませる少女に、銀髪武闘家は溜め息混じりにそう告げて膨らんだ少女の頬を抓った。
きゃ〜と大して痛そうな反応をしない少女に対し、銀髪武闘家は問いかけた。
「それで何でそんなありきたりな格好してるの?勇者ちゃん」
「んぇ?ボクは勇者じゃないよ〜。どこにでもいる普通の冒険者だよ〜」
「じゃあ、私の義妹じゃな──」
「わー!わー!ボク、勇者、勇者だよ!たまにこうやってただの冒険者してるだけの、通りすがりの勇者だよ!!」
勇者じゃないから他人の空似かと、頬をつねりながら半目になった銀髪武闘家に向けて、少女──正体を隠している勇者は、声を潜めつつも慌てて訂正した。
彼女にとって、ローグハンターの妹であるというのは何よりも重要なのだ。
銀髪武闘家も流石に弄りすぎたかと反省しつつ、それはそれとしての声に怒気を込める。
こちとら水の街に来てはしゃいでいたというのに、いきなりずぶ濡れなのだ。苦言のひとつも言いたくなる。
「うん。それはいいんだけどさ、流石にびっくりしたよ……」
「え?あ、ごめんなさい」
真正面から、割と本気の怒りを込められた声に勇者が素直に謝ると、銀髪武闘家は「次からは気をつけてね」と苦笑しながら許しの言葉を告げた。
「わ〜い!お姉ちゃん大好き〜!」
その言葉にパッと表情を明るくした勇者が再び抱きつくと、銀髪武闘家は困り顔を浮かべながら濡れた勇者の髪を撫でてやった。
撫でる度に濡れた髪が指に絡みつき、変な感触ではあるが、不思議と心地よい。
そして撫でられる勇者も気持ちいいのか、目を細めて猫のようにゴロゴロと喉を鳴らししていると、不意に周囲に視線を向けてローグハンターの姿を探した。
彼女にとっては銀髪武闘家がいるとはつまり、兄がいることと同義だ。なら、どこかにいる筈と考えるのは当然のこと。
「それで、お兄ちゃんは!?お姉ちゃんがいるなら一緒に来てるんでしょ!?」
「ううん。別行動中」
「え……。二人が別行動って、嘘でしょ?」
そして告げられた意外な一言に狼狽え、思わず神妙な面持ちとなって問いかけた。
銀髪武闘家が首肯すると、今度こそ信じられないと言わんばかりに目を見開くが、まあ姉と会えたのならいいかと再び彼女を抱きしめた。
「鎧越しで痛くないの?」
「あんまり気になんないかな〜」
とはいえ、銀髪武闘家は新調した鎧を見に纏っている。それなりに露出が多いにしても、その防御力は上の森人のお墨付きだ。
それでも勇者は構う事なく抱きしめ、開いている胸元に顔を埋めた。何故かはわからないが、森の香りがしてすごく落ち着く。
「でさ〜、ボクに聞きたいことってなに〜」
姉に頭を撫でられながら、不思議と落ち着く森の香りを堪能していた勇者は、気の抜けた眠たげな声で槍使いに問いを投げた。
二人の邪魔をしないようにと距離を取っていた彼が、ようやくかと溜め息を吐き、銀髪武闘家もハッとした。
「あ、知り合いの冒険者ってこの子だったの?」
「ああ。まさか、噂の勇者様だったとは知らなかったけどな」
世の中狭いぜと苦笑した槍使いは、乱暴に頭を掻きながら二人の方に足を向けた。
槍使いと勇者が知り合ったのは本当に偶然だ。とある依頼で水の街に訪れた際に、同じ馬車に乗っただけの間柄だ。まあ、そのおかげでその後の戦いで少女が勇者だと判明しても挙句、こうしてやり取りができているのだが。
「ちょいときな臭いことになっててな。他の街だとどうなのか確かめたくてよ」
「きな臭い?むむむ、それは真面目に聞かなきゃ駄目だね」
槍使いの言葉に表情と意識を引き締めた勇者が、名残惜しそうに銀髪武闘家から離れると、勇者として、そしてローグハンターの妹としての威厳溢れる──ように見えるが、単に格好つけているだけ──表情を浮かべ、銀髪武闘家、槍使い、令嬢剣士の三人に向き直った。
それぞれがそれぞれのやり方で状況を打開しようとする中で、もちろんゴブリンスレイヤーも動き出していた。
仲間たちと相談し、師匠の伝手を頼って
今回は依頼を受ける側ではなく頼む側。それも正規のギルドではなく、裏稼業の者に頼むというのは妙な気分ではあるし、ローグハンターに見つかりでもしたらそれこそ口を聞いてもらえなくなる可能性もある。
だが、やらねばならん。できることをありったけ。それが不器用で無愛想な
そして、彼のその心配は意味をなさないものとなった。
「それじゃ、例の酒商に探りを入れるとするか」
「おう。ちょうどいい、新米どもを使え。お前の動きを見れば、いい刺激になる」
「別に一人で構わないんだがな」
ゴブリンスレイヤーが
眠る狐亭の倉庫で拷問を終えたローグハンターは、ちょうどよく飛び込んできた
探りを入れる相手は噂の酒商。あまりにもいい時機のため、知り合いが依頼を出したのでは直感するが、誰からの依頼かは考えないでおくのが
そんな神妙な面持ちで書類を睨むローグハンターの後ろでは恐怖に目を見開き、気絶しながら失禁してしまった髭面の男が座らされており、どうやって処理するかを狐と彼の部下が話し込んでいた。
別に爪を剥がしたり、指を落としたり、目玉をほじったりはしていない。単に短剣をちらつかせながら殺意をぶつけ、言葉巧みに恐怖を味合わせただけなのだが……。
「それなりに綺麗に済むように考えていたんだがな」
一応は世話になっている店主の前だからと手加減していたのだが、気絶と失禁させてしまったのはこちらの不手際だ。
何か手伝えることはないだろうかと視線を巡らせた瞬間、狐がそれを手で制した。
「こっちは気にするな、お前はお前の仕事をしろ」
「なら、任せる。俺は水の街に行く」
狐の気遣いにローグハンターは甘えると、気絶している髭面の男に背を向けて歩き出した。
やることは山積み。けれどやれなくはない。なら、やる。
「──さあ、反撃開始だ」
どこかで踏ん反り返り、勝利を確信してバカ笑いをしているだろう黒幕を睨みながら、ローグハンターは不敵な笑みと共にそう告げた。
感想等ありましたら、よろしくお願いします。
期限は『Extra Sequence01 いと慈悲深き地母神よ』が完結してから+1週間です。随分と今更な事を聞きますか、ダンまちとゴブリンスレイヤーコラボイベント『Dungeon&Goblins』にログハン一党をぶち込んだものをーー
-
見たい!
-
別にいいです……。