Ace Combat side story of 3 - Emotional Sphere -   作:びわ之樹

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第18話 克己の地(後) ‐青槍(ランサー)

「来るぞ!」

 

 頭上を抑える三日月の雁行がばらりと解け、白く曳いた航跡が濃蒼の空を割いてゆく。

 敵針路、11時から1時にかけて緩降下。いずれも背面。

 敵機の姿勢から『三日月(ハルヴ)』の意図を素早く読み取って、レフは列機に先んじてフットペダルを深く踏み込み、やや針路を下降させながら『デルフィナスE』を加速させた。カールの『デルフィナス』、オーキャス1の『マルティム』も速度を上げて敵編隊の下方を抜け、上空から逆落としに仕掛けるハルヴ隊の射線を後方へと躱してゆく。

 振り返った先には、左右へ2機ずつに分かれるF-35ARの姿。やはり4機によるチームプレイを徹底するらしく、陽がほとんど落ち視界が悪くなった夕刻となっても、その統制に乱れは見られない。いくら有視界内の格闘性能で『デルフィナス』が勝るといっても、数の差に加え火力と連携の差で攻められれば、こちらの不利は何とも否めなかった。

 

 中でも特筆してまずいのが、彼我の機数の差である。ハルヴ隊は当然ながら4機に対し、レフらキャンサー隊は3機。単純に数で劣る上、そのうちの1機は臨時で編入した高速性能特化機の『マルティム』なのである。性能も特性もまるきり違う『マルティム』との連携などそもそも想定しておらず、実質的にチームプレイでは2対4と言っていい。初撃こそ凌いだものの、このまま推移すれば前回と同じ轍を踏むのは火を見るより明らかであった。

 

「ちっ。どうすりゃいい…!」

「レフ、前方に注意を。雲に入ります」

「うおっ!…おまけに足元は通行止めときた!」

 

 耳に飛び込むスフィアの声に、レフは頭を前へ戻すと同時に操縦桿を手前へと引き上げる。後方に気を取られていたためか、知らぬ間に高度が下がっていたらしい。日中から『円卓』の山脈にかかっていた雲は日没とともにいよいよ濃くなり、今や足元を覆う羊毛の絨毯の様相を呈していた。

 

 先にレフが採用した通り、空戦において雲に逃げ込むというのは常套手段の一つである。自身の姿を遮るという視覚的な効果はもちろんのこと、赤外線誘導式のミサイルならばその誘導を攪乱することで回避に用いることも可能なのだ。上下感覚の混乱やキャノピーへの結露・着氷といったリスクを踏まえてなお、攻防それぞれの面において雲を利用することの価値は高い。

 しかしそれは、上空に浮かぶ雲を利用する場合の話である。

 今眼下に漂う雲海は山脈とほぼ同高度に発生しており、当然ながら雲海への突入は山と同高度になることを意味している。戦闘機の速度や悪化する視界を考えるとミサイルが命中するより山へ衝突するリスクの方が高くなるため、低空域の雲への突入は自殺と同義であった。一応センサーをフル稼働させることでおおよその山脈の位置を探ることは可能だが、視界の補助が無い今は危険であることに違いは無い。スフィアの自動操縦ならば安全に抜けることも可能かもしれないが、『デルフィナスE』の後席からでは十分な機体制御は不可能であり、レフもそうさせる気は無かった。

 

 眼下に雲。頭上には濃蒼の空と無数の軌跡、背には『三日月』。どこを切り取っても不利しか見いだせない状況の中、2機ずつに分かれた『アドバンスドライトニング』は後方から距離を徐々に詰めてくる。

 くそったれ。

 上空で入り乱れる敵味方の第3波を横目に、レフは思わず舌打ちを漏らした。上空にはあんなにも両軍がいるのに、どうしてこの低高度域には『三日月』とこちらの3機しかいないのか。上空の乱戦に逃げ込めば数の不利は関係なくなるだろうが、現在の機位と『デルフィナス』の速度では確実に上昇中を狙撃される。せめてR-211『オルシナス』並みの上昇性能があれば逃げ込むことも可能だっただろうが、無い物ねだりをしていても仕方がない。

 あるいは逆に――。

 

《困ったわねぇ。『マルティム』の旋回能力じゃ、また追いつかれちゃう。速さなら負けないのにぃ》

「……!」

 

 ――上空の連中を、低高度に引っ張り込む。

 

「『オーキャス1』、全速力で上空の戦場に突っ込め」

《ちょ…レフ!?そんなことしたら、俺達…!》

「上を引っかきまわして、敵も味方も低空域に引きずり込んで来い。この状況を挽回するには、乱戦に持ち込む以外にねぇ」

《――………。…難しい指示を出すのね、マスターさん。『14(フォーティン)』ちゃんが苦労してそう。成功の可能性は、低いと思うけれど》

 

 背後に殺気が迫る。

 動揺を宿してカールの『デルフィナス』が揺れる。

 最後尾に随う『マルティム』は、しかし針路を保ったまま微動だにしない。まるで冷徹に分析する機械のように。あるいは、面白いものを見つけて膝を落とし佇む少女のように。

 後背、距離2000。1700。死神の鎌のような三日月の塗装は、刻一刻と近づいてくる。

 

「低いのが何だ!!このままじゃ負けは確定だ。低い可能性だろうが何だろうが、それをひっくり返すために頭も技術も馬鹿な意地もぶち込んで足掻くのが人間なんだよ!!」

《………》

「お姉さま…私からも、お願いします。私も、成功の可能性は低いと算出しています。ですが、私はレフのこの作戦を()()()と思いました。怜悧な計算ではなく、情動と熱による人間としての思考。今は、そこに活路を感じるのです」

 

 響き渡る熱を帯びた声に、凪ぎつつも柔らかいスフィアの言葉が重なる。

 重く、長く感じられた時間は、しかし実数にしてわずかに数秒。

 返されたオーキャス1の言葉は、その意志を宿すように灯るアフターバーナーの焔と同時だった。

 

《ふふ…ふふふ!とても、とおっても興味深いわ、マスターさん。あなたと、『14』ちゃんに賭けてあげる。…失敗したら、ごめんなさいね?》

《あの、俺は…》

左右(ブレイク)!!」

《ヒッ!?》

 

 天を駆ける流星のように、細長い『マルティム』の機影がぐんぐんと急上昇してゆく。

 その軌跡を見届ける間もなく、後方から殺到した火線に、レフは反射的に操縦桿を倒した。空気を帯び、ふわりと傾いた主翼の数メートル向こうを、曳光弾の黄金色は引っかくように擦過してゆく。

 

 『マルティム』で上空の敵味方を誘導し乱戦に持ち込むというレフの作戦は、しかしその指摘通り、極めてハイリスクな選択である。上空の戦力を誘導できる保証はないのもさることながら、それまでの間、キャンサー隊は2機でハルヴ隊の猛攻を凌がねばならないというのが最大の危険であった。

 いつになるか分からない『マルティム』の誘導まで、果たして2機が生存していられるかどうか。いずれにせよ上下への離脱を封じられ、機数でも連携でも相手が勝っているとあっては、取れるのは無様に逃げ続けて時間を稼ぐ飛び方以外に無かった。

 

「ここからはひたすら追っかけっこだ。死ぬ気で逃げるぞ!」

《言われなくともっスよぉぉぉ!!》

 

 数で劣り、当面は増援も見込めない以上、2機ひと塊で飛ぶことはデメリットの方が大きい。

 悲鳴のようなカールの声を尻目に、レフは左のフットペダルを踏むとともに右の操縦桿を奥へと押し込み、推力差とエルロンロールを併用して機体を左へ急旋回。迫る火線を左へ躱し、雲海の波を切るように小刻みに旋回を切り始めた。ところどころに浮島のごとく顔を覗かせる山頂を避けながら左右へ弧を描くその挙動は、まさに縫うように飛ぶ、という表現に相応しい。

 

 振り返る。

 後方、2機。わずかに機位は上。

 加速。右旋回、3秒後に左。

 

 操縦桿を倒しかけた腕は、しかしその進路上に置くように放たれた曳光弾によって動きを制せられる。

 速度が鈍る上昇を封じられ、山への衝突のリスクから下降もできないこの状況では、取りうる機動は実質的に左右の二択のみ。尾翼の制動をよく観察されれば先を読むことは極めて容易な状況であり、単機で逃げる側となるレフにとっては圧倒的に不利であった。連戦の疲労を打つように翼には着弾の火花が爆ぜ、宵闇に淀む雲上をわずかに明るく照らしあげる。

 

《う、うわあぁぁぁ!無理無理ムリもうムリぃぃ!!なんで!なんで俺1機で!!『三日月』2機に追われる羽目にぃ!!》

「レフ、3時方向にカール機。被弾した模様、胴体後部より出火しています」

「なんだと!?」

 

 頭上を奔る火線を右旋回で掻い潜る最中に、レフは視界を巡らせ息を呑む。向いた目の先には、スフィアの言う通り機体後部から火を吐き、華奢な主翼のシルエットを浮かばせる『デルフィナス』の姿があったのだ。度重なる被弾で既に左の水平尾翼は脱落しており、傍目にも機動性ががくりと落ちている様が見て取れる。

 

 ――撃墜される。

 その予測が脳裏に浮かび、レフはぞっと心底が冷えるのを感じた。

 

 駄目だ、止めろ。こんな戦いで、こんな我欲塗れの馬鹿な戦いで、お前まで死ぬことはない。命まで懸ける価値なんて、この空には無いというのに――。

 

「カール!脱出し…」

 

 冷や汗とともに爆ぜたレフの言葉は、しかしそこで途切れた。みなまで言う必要は無くなった――有体に言えば、呼びかけた最初の音節の時点で『デルフィナス』のキャノピーが吹き飛び、躊躇なく機体を捨てたカールが落下傘で宙に舞ったためである。

 

 窮地に陥るあまり、レフは失念していた。呼びかけるまでもなく、カールは元々戦場に命を懸けるような手合いではなく、危地にあれば二言目には『死にたくない』『逃げる』と口にする、一般人然とした人間なのである。一昔前、国と国との戦争が基本であった時代では兵士失格以外の何物でもないだろうが、様相の変わった現代の企業戦争においては、その姿勢をむしろレフは全肯定していた。

 それにしても脱出の瞬間には教本通りに機体を平衡に戻していた上、針路もちゃっかりベルカの方角へ向けていた辺り、殊逃走に関してカールは呆れる程に冷静だった節がある。焔に巻かれ墜ちゆく『デルフィナス』、その上で五体満足に舞う落下傘の人影を見るにつれ、レフの心に過ぎったのは呆れ半分、安堵半分のそんな思いだった。

 

「心配させやがって…!」

「カールの脱出を確認。あの保身に係る執念と決断力はレフも見習って下さい」

「うるせえ。それより今どうするか考えろ!上はまだか!?」

「『マルティム』、上空のGRDF編隊を突破。敵機数機が追尾していますが、戦場全体を動かすには至っていません」

 

 上空へと目を向ける余力も無く、レフは右側から殴り抜けるように注ぐ火線を避け、反射的に操縦桿を倒して旋回する。

 こちらの眼前を抜け左へ抜けた機数は2、後方にも相変わらず2機。低空域の戦況を俯瞰すれば、カールが脱落したことで、今は『ハルヴ隊』の都合4機をレフが一手に相手取る形となっていた。このままでは反撃はもちろんのこと、『マルティム』の帰還まで生存することすら覚束ない。もしこちらがあっさりと落ちてしまえば『三日月』の上空への参戦を許すことになり、数的不利を受けたニューコム陣営が壊滅することは火を見るより明らかだった。

 決断を促すように、青い切り欠きの『デルフィナスE』には刻一刻と弾痕が刻まれてゆく。

 どうする。一か八かの反撃か、嬲り殺しを覚悟の上で逃げ続けるか。それとも――。

 

「レフ。質問します。あなたは、『死んでも機械には頼らない』と今でも思っていますか?」

「何だ藪から棒に。思ってるよ今も昔も!このクソ忙しい時に妙な事聞いてくんな!」

「本当に死ぬかもしれない、今この瞬間も、ですか?」

 

 ――…。

 力の限りに操縦桿を右へと倒した、その一瞬。心の最短距離を突くような直截な言葉に、レフは絶句した。

 

 火線が奔る。至近弾の閃光が夜空を照らす。『動』の渦中の戦場にあって、しかし心は静寂の中に内省を深めていく。

 機械には頼らない。それは当然のことである。過去のトラウマに根付く嫌悪感と恐怖はそうそうに薄れるものではなく、機械である戦闘機を駆る今となっても、それはもはや自らの中の線引き――一種の意地として残っている。

 しかし、生死に係る今わの際となればどうだろうか?

 意地を貫き、清廉に死んでいくのか。それとも意地をかなぐり捨て、カールのように『生きたい』と叫びながら、何もかもをつぎ込んで意地汚く生きていくのか。

 

 ふ、と口元に浮かぶのは笑み。小さな悩みを笑い飛ばすような、小さくも確かな感情。

 ――そんなこと、決まっているではないか。先ほど自分で言った通り。頭も技術も馬鹿な意地も、何もかもぶち込んで、生きたいと足掻くのが人間なのだから。

 

「訂正する。死ぬくらいなら機械だろうが何だろうが使ってやる」

「では、提案します。『コフィンシステム』を起動してください」

「…なに?」

「私が機体の索敵能力とデータ分析能力を支援します。雲の中へ逃げ、敵機を振り切りましょう。地形、気流、風速、気圧、土質。複数情報への並行処理および反射的な機体制御には、コフィンシステムは不可欠です」

 

 ぴたりと止まる手。思考の虚を突かれたような感覚。目は自ずと握る操縦桿へ向き、コフィンシステム起動時用のアームレイカーへと落ちた。左右に設けられた半球状の端子は鈍く光を放ち、マニュアルモードの現在でも待機状態にあることを物語っている。

 普通に考えれば、今雲の中へ逃げるのは無謀である。確かに雲の中ならば赤外線誘導式ミサイルの追尾を防ぐことができ、ステルスとは言わないまでもレーダー投影面積の小さい『デルフィナス』なら身を隠すことは不可能ではない。しかし山岳地帯という地形と速度を考えれば、確実に山肌に衝突するリスクの方が高いため、取りうる手としては非現実的だった。

 しかしコフィンシステムを使い、かつ情報分析を全てスフィアに任せるとすればどうか。コフィンシステムはパイロットと機械を疑似的に接続することで操作時のタイムラグを抑え、直感的な操縦を可能にする。これに、リアルタイムで安全な地帯を探られるスフィアを組み合わせれば雲間の飛行は可能となるかもしれない。何せ、スフィア――『オーキャス14』は電子戦や情報分析に特化した空戦用AIなのである。

 

 躊躇は一瞬。

 レフはHMD上のコントロールメニューから『操縦モード変更』を選択し、機体制御をコフィンシステム制御へと切り替えた。もとより戦闘時のマニュアルモードにこだわっていたのは、機体の微調整に手動操作が慣れていたこと、何より機械を介した制御に自身の操縦を任せたくないという思いが多くを占めていたのだが、スフィアを信じ意地をかなぐり捨てた今となってはもはや関係も無い。

 

 座席の背もたれが倒れ、体がゆったりを上を向く。眠りに就くように視界は沈み、それとは裏腹に脳裏は一層冴えわたる感覚に満たされていく。

 伸ばした手が水面に届き、底に佇む別の手を掴む感覚。水底から顕れる、青みを帯びた銀髪の少女――スフィアの幻影が脳裏に過ぎるのと、それを境に視界が開けるのは同時だった。

 

 機体のセンサーが自らの目となり、暗夜でもなお敵機や地形は明瞭に映る。翼や装甲は自らの皮膚と同義となり、風速や温度がまさしく皮膚感覚として伝わってくる。空戦時にコフィンシステムを使ったのは、訓練生時代に嫌々行って以来だが、その時と視界も感覚も全く異なるのは、スフィアが補助的にサブAIとして機能しているためだろうか。

 

 これならばきっと、いける。

 

 左へ抜けた2機が、正面と上の2方向へ分かれて肉薄する。

 後方の2機は、間隔を開けて左右へ展開。それぞれが射程に収め次第、4方向から同時に攻撃する積りなのは明らかだった。

 後方、ミサイル。頭上からは機銃。

 見るともなくそれらを感じ、レフは眼下の雲へと目を向け、翼を翻すように身を捩った。『下へ』。そう意識するだけで、『デルフィナスE』の体は昇降舵を動かし、白く沈む雲海へと飛び込んでいく。

 

 暗い。

 飛び込んだ雲の中は白く暗く、まさに白い闇と表現するのがふさわしい。稜線も地形ももはや定かでなく、レフは一瞬、海に溺れたような錯覚を味わった。

 

「何も見えねえ…!」

「地形を分析し、飛行可能ルートを提示します。レフは操縦に専念してください」

 

 機体の制御システムとほぼ同化しているためか、通信を介している筈のスフィアの声は、先ほどと異なり脳内に響くような感覚となっている。コンマ数秒を置いた後、目の前に次々と現れ始めるのは地形や風速、あらゆる情報を表示したウィンドウ。秒単位で刻々と変化する数字の羅列、脳内を埋め尽くすような情報の奔流に窒息感を覚え、レフは側頭部がずきりと痛むのを感じた。

 

 目の前、山肌の絶壁。1.3秒後に右へ26.3°旋回。その後速度を60落とし、3.9秒後に左へ19.2°。直後に高度を31上げ、稜線を越えて再び下降へ。コンマ以下の調整を強いられる操縦に、レフの集中力と神経は刻一刻と削がれていく。確かにスフィアの分析能力とコフィンシステムによる機体――スフィアとのリンクが無ければ濃雲の山脈を縫い飛ぶという芸当は到底不可能だっただろうが、同時にそれゆえの情報量は、否応なしに人間側の負担を増大させる。この状態であと10分でも飛行を続ければ、誇張無しに発狂しかねない。

 

《雲から出てこないぞ。山に衝突したか?》

《隊長。1機ごときを相手にし続けても埒が明きません。上空の戦場に合流すべきでは?》

《そうだな…》

 

 鉱物を含む山に水平方向を囲まれたためか、混線が明瞭に耳へと届く。内容から察するにおそらく頭上を抑えている『三日月』のようだが、こちらの位置を見失ったらしい。スフィアと繋がったレーダーの情報では、『三日月』は4機ひと塊となり、状況を探るようにゆっくりと高度を上げつつあるように察することができた。言うまでも無く、このまま上空への合流を許してしまえば全ては水の泡である。

 

「一度雲から出て突き上げる!」

「了解しました」

 

 相変わらずの情報の波に頭が痛む。

 敵の位置を見定めて、体が加速を意図する。

 フットペダルを踏むまでもなく、速度を増す機体。意思を受け、風を孕み急上昇する機体。雲を抜け、広がる夜空の中心に雁行の機影を見据えて、蒼の鋭角を染めた『デルフィナスE』はF-35ARの死角から殺到した。

 

《――出て来た!》

《下だ!》

 

 曳光弾が着弾する数瞬前、響いた声とともに敵編隊は四散する。死角からの奇襲といえども流石に一筋縄とはいかず、レフが撃ち放った機銃掃射は虚しく空を切った。宙を返り、再び雲へ向け降下する『デルフィナスE』の背へ、奇襲を躱した4機はおのおのの方向から追撃を仕掛けてくる。

 

「ち…!」

《奴を雲へ入れるな!この数秒で、必ず仕留め…》

《…待ってください!上空の空戦域より、複数の機影が降下中!低空域へ侵入して来ます!》

 

 後方に迫る4つの機動が鈍り、緩く描いた弧が速度を殺す。その隙をすり抜けるように翼を翻して、レフは再びその体を山脈の中の雲海へと沈めて行った。相変わらず目視では何も見えないが、スフィアを介したレーダー上では、敵味方ないまぜとなった10以上の機影が周囲の低高度域へと侵入しつつある様が見て取れる。

 反応を探る限り、その先頭はニューコム機。形式番号、XR-99BI――『マルティム』。

 

「お姉さま!」

《遅くなってごめんなさいねぇ。…あら?あらあら?『14』ちゃんとマスターさんはどこかしら?》

「…!でかした、『オーキャス1』!お前はもう離脱しろ。燃料も無いはずだ」

《?…あ、雲の中ね。そうなの、もう『マルティム』はお腹ぺこぺこ。それじゃ、お言葉に甘えて。がんばって生きて還ってね、二人とも》

 

 遠ざかる声、急速にレーダー上を離れて行く機影。水面のように凪いだ白雲の中とは裏腹に、数多の円弧が描かれる混戦模様と化した低空域の中では、もはや『マルティム』の追撃を企図する機体すらない。どうやら『オーキャス1』は上空の機体のほとんどを低空域へと引きずり込んで来たらしく、遥か空の喧騒が山脈の間まで降って来たような感すらあった。『三日月』を示す4つの反応も分散し、明らかにこちらを見失ったような挙動で円弧の間を縫い泳いでいる。

 

《これは…!》

《『青槍(ランサー)』の反応をロスト!…駄目です、他の反応が多く、位置を特定できません》

 

 脳裏を埋め尽くす情報、錯綜する敵味方の声。そのさなかに、レフは確かに目指す『三日月』の声を捉えた。両軍の機体が周囲に増えたこともありステルス性能に優れるF-35の反応は弱まっているが、電子戦に長けたスフィアの支援がある今は、微かながらもその尻尾は確実に掴めている。

 レフは頭を動かすでもなく、目を動かすことすらなく、意識の中で頭上を見上げた。狙うべきは一点。最短を穿つ短距離かつ低空、こちらの頭上に至った『三日月』が、完全に死角の下腹を晒す瞬間。

 

「――今だ!!」

 

 頭上に幻視する、三日月の翼。

 それが真上を過ぎったその瞬間、レフは翼に力を籠めるように機体を上昇させた。翼に風の渦が巡り、細かな雨滴が蒼を濡らし、やがて雲を抜けた視界は白幕から濃藍の空へと移り変わってゆく。

 高度差にしてわずかに100。正面に見据えた照準の央には、左翼に三日月を刻んだF-35ARの姿。

 

 雲間から心臓を貫くように最短距離で穿たれたそれは、さながら蒼の槍先。

 鋭槍となった25㎜機銃弾の筋は、そのまま左翼から胴体後部にかけてを貫いて、『三日月』の体から血のような鉄片を散らししめた。

 

《……ッ!!馬鹿な…!》

《ハルヴ1!……離脱しましょう、友軍の第4波が到着します!》

《く…!》

 

 敵機の傍らをすり抜けて上昇し、描いた宙から空域を俯瞰する。

 手ごたえはあったが、しかし浅かった。『三日月』の隊長機と思しき機体は尾部から煙を吐きながら、それでも墜ちることなく東の空へと鼻先を向けている。僚機たる他の3機もその左右に随い、追撃に備えた密集隊形へとその姿を変えつつあるところだった。

 他の機数を数えれば、両軍合わせてもはや10機あまり。数にしてニューコム側が優勢となっており、長きにわたる『円卓』の戦闘はようやく終息の気配を見せ始めていた。

 

 そう。上空の雲に紛れて急速に接近する、4つの機影の到来とともに。

 

《ハルヴ隊、撤退する。友軍の支援は任せた。――『ニムロッド隊』》

《承知した。これより空域に侵入。友軍の離脱を支援する》

 

 殺気。

 ぞくりと肌を粟立たせるその感覚に、レフは身を捩るようにエルロンロールで反転し、間髪入れずに背面のまま左へと旋回する。

 奔る閃光は、頭上4連。

 雲を割いて急襲する小柄な機影と、その機首から放たれた曳光弾を避けるには、その一瞬はあまりに遅い。レフが旋回の入った所で、殺到した機銃弾は『デルフィナスE』の左翼と背部に弾痕を刻み、暗い空へ火花を映えさせていった。急降下した4つの機影は傍らを抜け、下方の戦域へと乱入してゆく。

 

「痛ってぇぇ!」

「落ち着いて下さいレフ、コフィンシステム特有の錯覚です。GRDFの増援4、周囲にはその他の機影なし」

 

 銃弾に皮膚を裂かれたような痛みを感じ、レフは思わず目を開いて自らの体をきょろきょろと確かめる。

 負傷は、確かに無い。神経とのリンクで機体を制御する都合上、パイロットが機体の被弾を自らへの負傷と錯覚することは、コフィンシステム特有のデメリットとして一般的に見られる症状であった。あくまで錯覚であり、コフィンシステムを扱い慣れた熟練者ならばそのような錯覚をすることもないのだが、空戦でコフィンシステムを使わないレフの場合はその癖が色濃く残っていたのである。

 

 痛みは、すなわち隙。

 対応が遅れたレフの間隙を突くように、突入した4機は早くも集中砲火で『デルフィナス』1機を撃墜してゆく。頭を振って意識を戻し、確かめた眼下に映ったのは4つの機影。両翼端を黒く切り欠いたように染め、機首に給油プローブを設けた細身のシルエットは、今度は二手に分かれて残るニューコム機の連携を乱しにかかっていった。

 

「F-16…!?」

「いえ。エレクトロスフィア上の識別を参照したところ、系統機種のF-2X(カイ)のようです。塗装パターンより、ウスティオ方面所属『ニムロッド隊』と推定」

「ち…!この状況でまたタグ付き(ネームド)かよ!こっちの増援は!」

「NEU、周辺に増援の反応なし。空域の友軍機も撤退の挙動を見せつつあります」

 

 くそ。

 口内に罵倒を呑み込んで、レフは黒翼の4機を追うように機首を下げて降下した。スフィアの言を物語るように、残ったNEUの機体は少数ずつで編隊を組み、めいめいの方向へ逃走を図りつつある。あるいは火を吐き、あるいは山の稜線を必死に蛇行し、あるいは一か八かに賭けて雲の中へと消えてゆくニューコムの機体。浮足立ったその様相を察するまでもなく、こうなればもはや帰趨は火を見るより明らかだった。

 

「どうしますか、レフ?」

「逃げる以外にあるか。雲の中を通って、抜き足差し足で飛んでいくしかねぇ。行けるな?」

「レフが耐えられるのなら、私は大丈夫です。GRDFの追撃機も多くはありません。離脱は可能と推定します」

「上等だ。行くぞ!」

 

 加速。意志とともに尾部には焔が灯り、加速を得た『デルフィナスE』が見る見る高度を下げて行く。

 眼前には弧を描きふらふらと雲の上を飛ぶF-2Xが1機、左右それぞれに分かれ追撃を図るGRDF機がそれぞれ2と4機。そしてそれらのやや上空で、戦況を図るべく散開する『黒翼』が3機。そのうちの1機はこちらを見て取ったのか、機首を上げて左斜め前から回り込むように旋回に入っている。

 

「邪魔だ!!」

 

 引き金が弾丸を吐き出し、曳光弾の筋が『黒翼』の針路上を穿つ。右旋回へと切り返し射線を逸らした『黒翼』は、しかし回避の目測を誤ったのか、主翼に数発弾痕を受けたのが見て取れた。タグ付きと聞いて覚悟はしたものの、その機動は先ほどの『ハルヴ隊』と比べれば明らかに精彩を欠いている。

 

「見掛け倒しめ…!よし、雲に入るぞ!」

 

 傍らを抜ける瞬間、視界に過ぎった蝙蝠のエンブレム。目に焼き付いたその残照を引きはがす間もなく、視界は再び暗い白一色に塗り固められた。

 痛いほどに冷たい風、利かない視界に募る苛立ち。頭は再び流れ込む情報で一杯になり、圧迫された脳内が痛みを帯びて悲鳴を上げ始める。長時間の戦闘と相まって、もはや体の疲労は限界だった。

 

「カールの奴、生きてるといいが…」

「カールですから、きっと大丈夫です。死にたくないとあれだけ願っていれば、きっと戻ってくる…根拠は全くありませんが、そんな気がします」

「……なんとまあ、人間らしいことを言うもんだ」

「ところで、あと3.6秒で山肌に衝突します。右へ20.6°旋回を……っ!?」

 

 神経という糸に、不意に触れた鋭い針。

 脳裏にそんな感覚を抱くのと、レフが機体()を右へと傾け翼を翻すのは同時だった。感じ取った針はそのままミサイルと機銃の雨となって後方から殺到し、先ほどまで『デルフィナスE』がいた位置を寸分違わず撃ち抜いていく。翼が岩を掠めるのもさることながら、レフはそのあまりにも正確な射撃に、そしてそれが物語る事実に、心の底から戦慄を覚えた。

 

 山脈の雲間を飛ぶこちらに対し、正確に()()()から飛んできた射撃。つまりこの攻撃の主は、こちらと同じく()()()()()()()()()()()

 

「…後ろだと!?そんな筈が…!」

「…!データ照合、後方より3機、真上に1機。いずれもF-2X、『ニムロッド』の機体と推定されます」

「冗談じゃねえ、本当にF-2か!?『グラウラー』でもなけりゃ、こんな芸当はゼネラルの機体には…!!」

「後方の敵機、旋回し稜線を回避。間違いありません、敵は明らかに地形を把握しています」

 

 想定外の状況に、ただでさえ痛むレフの脳内が混乱する。そもそも雲に紛れて逃げるという方法は、敵が雲の中へは入れないという前提の下で採った一手である。しかし、付かず離れず後方にぴたりと占位する敵の姿に、切り札とでもいうべきその手は脆くも霧散した。こうなってしまえば、左右への回避が難しい渓谷を飛び続けるのは却ってリスクにもなる。

 

 惜しむべきは、読みの甘さ。

 それを戒めるように殺到する3筋の光軸は、容赦なく『デルフィナスE』の尾部を、翼を打ち据えていった。

 

「痛え!…くそっ、錯覚だとしても痛えよ!」

《アレックス隊長、次の指示を》

《現方位のまま5秒。1時へ旋回したのち、3秒でさらに1時へ。…雲の中に沈もうと、雲上に突き出た稜線と雲の位置、わずかな雲の濃淡さえ分かれば渓谷の位置は自ずと判別できる。――『観る』ことこそ、ニムロッド隊の枢要だ》

「………!!」

 

 逃げ切れない。

 円卓に宿る魔の力か、偶然拾った混線が壮年の男の声を拾った時、レフは絶望的な確信を以てそれを感じずにはいられなかった。何せこちらはスフィアがいてようやく雲中の峡谷を飛んでいるのに対し、『黒翼』は状況の俯瞰だけでそれをやってのけているというのだ。少なくとも、先ほどハルヴ隊に用いたような雲を利用した奇襲や逃走などもはや望むべくもない。

 

 どうする。どうすれば。

 焦燥と内省は、一瞬の虚を生み出す。情報の奔流に呑まれ、今新たに迷いを生じたレフの頭は、『後方、無誘導ロケットランチャー斉射』というスフィアの声を拾うのが一拍遅れることとなった。

 

 炸裂。

 閃光が針路上や翼下に爆ぜ、揺れる気流が翼を大きく震わせる。

 反射的にレフの口から零れた苦悶の息は、その一拍後には声を生むことなく呑み込まれた。

 

「っ…!?ぐ、ああっ…!!なん、だ、この…痛み…っ!」

「レフ、レフ、気を確かに。全ては錯覚です。先ほどの弾頭の散弾を受けた模様。エンジン損傷、推力低下します」

 

 息が止まるほどの痛みに、レフは蒼白になった顔から脂汗を流す。まるで錐で無数に皮膚を穿たれたように浅くも広範囲に広がる痛みは、錯覚とは思えないほどに耐えがたいものだった。

 震える指で表示した情報ウィンドウ上の機体モデルには、主翼や胴体下部に空いた無数の弾痕。機銃より遥かに小さいもののその痕は鋭く、いくつかの弾は装甲を貫通したらしい。おそらくは通常の散弾ではなく、矢型の小散弾を装填したフレシェット弾頭だったのだろう。威力こそ低いものの、戦闘機のような装甲の薄い目標ならば効果的に戦力を削ぐことも不可能ではない。まして、今のように回避運動が著しく制限される条件下ならば猶更だった。

 

「…くそ!こうなりゃ…」

「レフ!?」

 

 一か八か。その言葉が脳裏を過ぎり、レフは機体を加速させた。幸い、F-2Xは兵装搭載量こそ優れるものの、運動性では『デルフィナス』に圧倒的に劣る。雲上に出て一か八かの接近戦を挑めば、幾分の一でも勝ち目はあった。

 機首を上げ、雲を斬るように翼を翻す。

 出力の落ちた左エンジンを抑え、右の出力を一気に上昇。同時に昇降舵を互い違いに動かし、疑似的なクルビット機動で『デルフィナスE』を強引に反転させる。

 眼前には雲上に迫っていた、おそらく隊長機と思しき『黒翼』のF-2X。正面距離わずかに400、一匕首(ひしゅ)で首を撥ね飛ばせる距離。

 

「こいつらァ!!」

《くっ!!》

 

 機関砲が唸るのは、僅かにコンマ数秒。着弾の火花を爆ぜさせながら、青槍と黒翼の2機は正面から馳せ違う。

 手ごたえは、無い。確かに着弾したが、針路を微調整する暇も無かったため、攻撃角度が浅かった。あれほど肉薄する好機は、おそらくはもう無いと見ていい。

 

《…何という勘だ…》

「ち…!これも、ダメかよ…!」

「レフ。提案があります」

「あ?…オイ、まだ何か隠してやがったのか!?」

「はい。この場を確実に生き延びる、現状で唯一の方法です」

 

 後方を追うように、雲から抜け出る3機のF-2X。よろめきながらもインメルマンターンで反転し、機体を翻す隊長機。もはや友軍の支援も無い絶望的な状況で、藪から棒にスフィアが紡いだのは既視感を覚えるようなその言葉だった。

 意地を捨て、何もかもをつぎ込んだ末に万策尽き、さらに痛みと疲労で頭までパンクしたレフにとって、もはや他に思いつく手は皆無と言っていい。疲労の果てに淀んだ思考にその提案は渡りに船に等しく、レフはことさら期待に声を張り上げた。

 

「どうすりゃいい!?」

「まず、コフィンシステムを解除してください」

「?お…おう」

 

 予想外の第一手に戸惑いながら、レフはシステムを操作し機体制御を手動へと戻す。せり上がる背もたれに体が軋み、電子の海から這い上がったように視界は暗く狭まってゆく。溢れる情報の波から解き放たれた今は、この暗さがむしろありがたい。

 後方には、迫る敵機。左右に1機ずつ、右から大きく2機が迂回。放たれたロケット弾の炸裂を腹側で受け、レフは射線を躱すべく右の操縦桿を力の限りに引いた。

 

「今度は普通の炸裂弾頭か。どれだけ弾積んでんだ!…いや、それより。次は!?」

「以上です」

「は」

「頭を押さえ、口を閉じて、舌を噛まないようにしてください。一歩間違えれば、首を折らないとも限りません」

「は?」

 

 距離を詰める『ニムロッド隊』の存在も忘れ、レフの思考が虚に包まれる。

 確実に生き延びる手とは、何かの秘策ではなかったのか。

 思わず両手を頭に添えて、怪訝に頭を巡らせた一拍後。ことここに至り、レフはスフィアが指示し、そして今自らが取っている体勢の意味を、遅ればせに理解した。

 

 衝撃音とともに吹き飛んだキャノピーと、幾度か回転し宙に舞った自らの体によって。

 

「はあぁぁぁ!!?」

 

 広がる落下傘に、体を包む浮揚感。頭を巡らせれば、ほぼ同高度にはスフィアのものと思しき落下傘が舞っており、こちらとほぼ同じタイミングで脱出したらしいことが伺い知れる。『円卓』に舞う命二つ分の落下傘の下で、尾翼を青く切り欠いた『デルフィナスE』は炎に包まれて、雲の中へと消えて行くのも目に入った。スフィアの言う『確実に生き延びる手』とは、つまりは機体を捨てて逃げることだったのだ。

 

「あ…あんの野郎!勝手に俺の機体を…!」

 

 ふわりふわりと舞うスフィアへ向かい、口を突いて出るのは悪態の言葉。しかし口にするそれとは裏腹に、自らの心にはさほどに敗北感や挫折感が漂っていないことに、レフはふと気づいた。前回と違い、『ハルヴ隊』に負けなかったこと。赤帯の『バラッジ』を始めとして、友軍を救援できたこと。一矢とはいえ、満身創痍の機体で『黒翼』に反撃を見舞ったこと。ベルカに移った当初のことを想えば、成長したと実感を覚えないでもない。

 

 しかしそれ以上に心を満たしているのは、機械であるスフィアとの紐帯だった。

 一度は不信を抱いたものの、歩み寄り、意地を捨てて、歯が立たなかった敵のエースを退けられたこと。そしてスフィアの独断とはいえ、機体を捨てて命を守る選択を断行したこと。そのいずれを取っても、今回の戦闘は、少なくとも自分()()にとって勝利と断ずるに値するものだったと胸を張って言えるだろう。

 

 ふう、と深く息を吐き、レフは閉じた目を再び見開く。墜ちて行った『デルフィナス』の残滓はもはや捉えられず、その目は迷いを断ち切るように光を帯びて、傍らを舞う黒い球へと向いていった。

 

「ありがとよ。相棒」

 

 その言葉は共に空を戦った『デルフィナスE』へ向かったものだったのか、あるいは別の何かへだったのか。

 

 真意は自ら判然としないまま、雲間の月光に黒翼を照り返す、4機のF-2Xが発する轟音に呑まれて消えていった。




《各位、よく生きて戻った。互いに損害こそ大きかったものの、周辺のGRDFの戦力を大きく減らすことができた。また、諸君の()()の甲斐もあり、友軍の輸送部隊はノースオーシア州UPEO管轄空域を通り、無事オーレッドへと到達した。諸君の奮起に感謝する》
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