Ace Combat side story of 3 - Emotional Sphere -   作:びわ之樹

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・こちらでは、本作の設定資料を記載します。本編第36話までのネタバレを含んでいますので、未読の場合の閲覧はご注意ください。
・なお、作中の時間経過に伴い、登場人物の年齢は前編の設定資料集と異なっています。


設定資料集(後編)

【登場人物】

《ニューコム》

〇レフ・ミハイロヴィチ・ヤコヴレフ(26)

・ニューコム経済圏内、サピン行政区南部のル・トルゥーア基地に駐留するNEU(ニューコム非常事態対策機構)航空部門の航空技官。琥珀色に近い、ややオレンジみを帯びた金髪をウルフカットに整えている。不真面目な勤務態度や横柄な口調、気に入らない任務を途中でサボタージュするなどの問題行動を疎まれ、僻地に配置されたという経緯を持つ。当初のTACネームであり部隊名でもある『キャンサー=癌=厄介者』は、そうした背景に因む彼への陰口から派生したもの。その一方で確かな芯も併せ持っており、自分自身の『納得』を最優先とする信念や、ひとたび決めれば敢えて困難に向かうことも厭わない強さを持つ。

・幼少の折、故郷デラルーシで無人機を中核とした反ゼネラルリソースのテロに巻き込まれ、家族を失った過去を持つ。そのため機械やAIに対し強い嫌悪感を抱いており、当初はコフィンシステム搭載機でも敢えて手動操作を選ぶという頑なな姿勢を見せていた。しかし、スフィアとの邂逅と交流、カールやおやっさんをはじめとした周囲からの声により徐々にAIであるスフィアへの歩み寄りも見せるようになり、現在では無二の相棒として信頼するに至っている。信念に基づくゆえに唯我独尊的に行動することも多かったが、こちらも数多の敵味方のエースやスフィアら仲間たちの存在によって他者を客観的に見られるようになりつつあり、その点でも成長している模様。

・主な搭乗機はR-101FR『デルフィナスE』→R-211C『オルシナスC』。いずれも垂直尾翼前方から水平尾翼にかけてをV字に染め、垂直尾翼には甲羅にかに座のゾディアックシンボル(二つ巴の6の字)を刻んだカニのエンブレムを記している。高速性能と縦運動性を活かした縦方向への機動戦を得意としており、特に敵機直上から奇襲を仕掛ける戦法を得意とする。『オルシナス』とは特に相性が良く、綽名の『ランサー』も本機の搭乗時に付けられたものである。

・『ウロボロス』蜂起後はしばらく同組織に囚われ兵力として酷使されていたが、後にヒカリらと共謀し脱出。ルーメンにて独自戦力を要するルーメン・メディエイション・エージェンシーの下、対『ウロボロス』の指揮官の一人として立ち向かう事となる。

 

〇Omen, Autonomy Controlled Aircraft System ver.14 /スフィア

・ニューコム情報環境開発事業部『ニューコム・インフォ』のサイモン主任研究員率いるチームが開発した、空戦用自律式航空機制御AIのひとつ。正式名称は『オーメン』航空機自律制御システムver.14。頭文字を取って略称はOACAS(オーキャス)と呼ばれるが、ベルカの言葉で14をフィアツィエーンと読み替えたカールによって『オーキャス・フィアツィエーン』すなわち『スフィア』の呼び名を提案される。

・本体はバスケットボール大の黒い球体で、CGモデルを表示するモニターは通常時はカバーに覆われ防護されている。また内部のジャイロ機構や底部の衝撃吸収素材を利用することで、転がっての移動やジャンプも可能。CGモデルは少女の姿が採用されており、肩の辺りまで伸びた青みを帯びた銀髪や、耳の上で外側へと跳ねたヒレのような癖毛、ぱっちりと開いたダークブルーの瞳が特徴。AIゆえか感情表現に乏しく基本的には無表情だが、探求心旺盛な性格設定をされているためか口数はけして少なくない。また跳ねる、転がる、回転する等のアクションで感情を表現することもある。

・搭乗機はYR-99『フォルネウス』をベースに改造されたXR-99EC『ヴェパール』。電子戦用に調整された特性を活かし、空戦時には電子妨害や索敵等の支援を行う。

・本編中盤において、その正体はサイモンが開発した次世代自律式航空機制御AI『NEMO』に対人コミュニケーションデータを集積するためのプロトタイプAIであったことが判明。レフの下での任務を終え別れることとなるが、その際にフォルカーの計らいでその人格プログラムのみをエレクトロスフィア上にコピーされた。オリジナルのスフィアがスーデントールへ引き上げられた後は、このコピーがレフと行動を共にしている。戦闘に関する機能は全て失っているものの、エレクトロスフィア上を自在に行き来することができ、携帯端末を始めとしたあらゆる電子機器に侵入(アクセス)することが可能。

 

〇カール・グラッツェル(24)

・レフと同じくル・トルゥーア基地に所属する航空機パイロットで、階級は航空技師。TACネームは『センチネル』、コールサインは『キャンサー2』を名乗り、レフとタッグを組んで行動することが多い。

・元々強行偵察部隊の出身であり、観察眼や情報処理能力は確かなものを持つ。一方で性格は極めて臆病で、先述の強行偵察部隊に所属していた頃は迎撃機やレーダーに映る機影に怯えて偵察を完遂しないまま逃げ帰る等の不祥事を繰り返した結果、ル・トルゥーアに左遷されたという背景を持つ。レフとチームを組んでからもこの点は変わらず、索敵などを担当する一方で戦闘はレフに任せがち。乗機はR-101『デルフィナス』→R-211C『オルシナスC』。

・金髪をスポーツ刈りにした短髪と、青い瞳が特徴。また臆病な割に人当たりは良く、明朗な性格をしている。ややオタク気質。出身は旧ベルカ共和国だが、自らの国籍や出自に関しては大してこだわりは持っていない様子。

 

〇フォルカー・アーノルト(31)

・ニューコム情報環境開発事業部『ニューコム・インフォ』に所属するAI技術専門の研究員。スフィアの教育担当官であり、スフィアの前線派遣とともに自らもル・トルゥーア基地へと赴くこととなった。スフィアの点検管理を行う他、戦闘中はレフ機の後席からスフィアの観察を行う。

・どこか皮肉屋らしい物言いをするものの理性を重んじる性格であり、冷静に目的を見定め行動することを信条としている。一方で自らの信念と誇りを重視するあまり、目的のためには手段を択ばない機械のような冷徹さも持ち合わせる。

・外見の特徴はオールバックの黒髪と、そこから額に一筋垂らした前髪。また研究員という立場上、白衣を着ていることが多い。出身はカールと同じく旧ベルカ共和国で、祖父、父ともに軍事分野に深く携わった研究者の家系である。

・本編では、オーシア周辺のNEUとGRDF、UPEO間での戦火拡大による混乱を画策。その目的は、29年前の東方戦争でオーレッド湾に沈んだベルカ残党の遺産『ヴァルハラシステム』を混乱に乗じて回収し、その集積データをスフィアに搭載することで最強の航空機制御AIを完成。他の技師を見返すとともに、偉大な実績を残した祖父や父に恥じない成果を上げることで自らの誇りを取り戻すことにあった。後に計画は失敗し、自身も責任を取る形でニューコム・インフォを退職することになるが、その折にレフから諭されたことで、人間らしい心を取り戻すに至る。

・退職後は、以前の縁でルーメン・メディエイション・エージェンシーに再就職。レフ達と予期せぬ再会を果たし、彼らの対『ウロボロス』戦線に協力する。

 

 

〇おやっさん/カルロス・グロバール(66)

・ル・トルゥーア基地の航空部門の整備主任。実際の所整備主任としての実権を持つ訳では無く、他の整備員への助言を行う他は墜落機からの部品改修や半ば趣味と化した破損機のレストア、その他使えそうな資材・家具などの回収が主な仕事である。彼の手により格納庫の一角は暇を持て余したパイロットやスタッフのたまり場と化している。

・色の黒い肌に大小の傷だらけの体、長身でないながらもどっしりとした体形など、いかにもなベテランスタッフらしい外見を持つ。いい加減な部分もありながら、後進への面倒見は良い。

・本名はカルロス・グロバール。かつては民間軍事会社の航空部門小隊長を務めていたが、2010年台後半にゼネラルリソースへと移籍。2026年のゼネラル同時多発テロでは鎮圧部隊を率いるも、掌握された無人機部隊の前に部隊は壊滅。部下も、信念をも失ったカルロスはゼネラルを退職し、流れ流れてル・トルゥーアのNEU基地へと行き着いた。全てを失いながらも空への憧憬は捨てられなかったらしく、ル・トルゥーアではジャンク品から密かにMiG-21UPGをレストア。『ウロボロス』による襲撃の際は単機でレフ達が脱出する時間を稼いだのち、グラン・ルギド方面へ遁走した。

 

〇イングリット・ルートヴィヒ(21)

・NEUに所属する航空技官。元はNEUの中でも精鋭部隊が駐屯するベルカ行政区『アヴァロン』基地に属していたが、レフらと転戦するにつれ自身の未熟を痛感。武者修行と称し、ル・トルゥーアへ戻るレフ達と同行することとなる。

・色白の肌、後ろで細く結った金髪が特徴。ベルカの中でもかつては高名な騎士の家系として謳われたルートヴィヒ家の出身であり、自らもその出自を誇りとしている。尤も本人に騎士らしい所はあまりなく、真面目で人懐っこい性格をしている。

 

〇クルス・コンテスティ(23)

・NEUオステア基地所属の顧問航空技官。ベルカ戦争および東方戦争(環太平洋戦争)で活躍した『サピンの英雄』ニコラス・コンテスティを祖父に持ち、祖父が率いたのと同名となる『エスクード隊』を率いる。サピンの英雄の孫という血筋、往時の祖父を上回る技量、そして甘いマスクから、サピン行政区民からの人気も高い。その来歴と功績から無意識のうちに傲慢な態度を示すこともあるが、基本的には真面目な青年である。

・主な乗機はR-211A『オルシナス』。エスクード隊伝統となる盾を模したエンブレムと、深紅地に黄金十字を染め抜く塗装パターンを施している。高速戦闘を得意とするが、レフが単機による縦方向への機動戦を主力とするのに対し、クルスは密集隊形を駆使した小隊単位での封殺戦術を主軸としている。

・『ウロボロス』に捕らえられた際には対サピン方面の戦力としてレフ同様に酷使されていたが、レフとヒカリによる脱走劇に巻き込まれる形で共にルーメンへ逃走する。多くのNEUの人間やサピンの人々を殺めてしまった罪を自覚し消沈していたが、レフの喝破で再起。迷いながらも前へと進むべく、対『ウロボロス』戦線の指揮官の一人として再び空へと上がる。

 

〇ニコラス・コンテスティ(67)

・元サピン王国空軍第7航空師団第19戦闘飛行隊『エスクード隊』隊長、のちNEU航空参事で、クルスの祖父に当たる。かつて参戦したベルカ戦争では持ち前の幸運で撃墜されることなく生き残り、その後の『国境なき世界』鎮圧戦にも参加した。後年の環太平洋戦争の代理戦争に当たる東方戦争では歴戦のエースパイロットとして名を馳せ、戦争末期に発生したサピン空軍第2師団によるクーデター未遂(ベルカ残党により教唆されたもの)の鎮圧にも成功。こうした功績により、1パイロット上がりながら最終階級少将まで昇りつめた異色の経歴を持つ。性格は人好きで冗談を好むが、ややお調子者のきらいがある。

・『ウロボロス』蜂起後は、サピン行政区郡都『グラン・ルギド』でNEU残存勢力を糾合。自らの指揮の下、『ウロボロス』に対し徹底抗戦を続けている。

 

〇イルダ・バーモンテ(28)

・NEUサピン方面駐留部隊に所属する顧問航空技官。『オーキャス6』のマスターでもあり、サピンからベルカ方面へ派遣された際には『円卓』を始めとする戦場でレフ達と共闘する。豪放磊落な性格で、癖の強い赤色のロングヘア―とグラマラスな体付きが特徴。

・コールサインは『バラッジ』。R-101FR『デルフィナスE』を乗機とし、機体の主翼に2本の赤線の塗装を施している。

 

〇Omen, Autonomy Controlled Aircraft System ver.3/オーキャス3

・スフィア同様、航空機制御用AIとして開発されたオーキャスシリーズのうちの1体。デバイスとしての外観はスフィアと共通。固有のCGモデルの方はふわりとボリュームのある深紅の髪に側頭頂に立つ1対の癖毛、口元に覗く八重歯と、子犬を思わせる意匠となっている。性格設定はいわゆるツンデレであり、認めた人間には懐く傍ら、多くの相手には本心を隠さないずけずけとした物言いをすることも多い。マスターはクルスだが、試験終了と同時にスーデントールへ引き揚げた模様。

・時として格闘戦を織り交ぜた、近距離での高機動戦を得意とする。専用機はXR-99CG『グラシャ・ラボラス』。

 

〇Omen, Autonomy Controlled Aircraft System ver.1/オーキャス1

・オーキャスシリーズの1体にして、その試作第1号。CGモデルの外見は白みを帯びた淡い金髪と、かなり癖が強くたっぷりと空気を含んだもこもこの髪質、頭頂にぴょんと飛び出た癖毛が特徴。性格面はおっとりとしており、語尾が間延びすることが多い。外見のモチーフは羊と推測されている。そののんびりとした様子と裏腹に高速戦闘用として最適化されたAIであり、専用機としてXR-99BI『マルティム』を駆る。

・マスターの戦死に伴いしばらくの間はイルダがマスターを兼任していたが、レフがベルカからル・トルゥーアへ帰還する際にオーキャス1を委譲。スーデントールに引き揚げるまでの間、レフをマスターとして認定していた。レフの下にいる間は、オーキャス1(ウーノ)=スゥノ、と呼ばれていた。

 

〇Omen, Autonomy Controlled Aircraft System ver.6/オーキャス6

・オーキャスシリーズの1体。他の姉妹機と異なり厳格な性格が付与されており、直截な物言いが特徴。外観は黄金色の瞳と黒色ストレートのロングヘアー、側頭頂の大きな癖毛が1対で、大型犬や狼を思わせる意匠となっている。専門は隠密戦闘であり、機体のステルス能力を駆使した中~近距離戦を主軸とする。専用機はXR-99AB『バエル』。マスターはイルダが務めている。

 

《ゼネラルリソース》

〇アレックス・ウルフ(48)

・GRDFウスティオ方面部隊所属、『ニムロッド隊』小隊長。落ち着いた物腰の壮年であり、責任感が強い指揮官然とした人物。かつて傭兵であった頃のカルロスの部下であり、カルロスがGRDFを退職した後は『ニムロッド隊』指揮官の立場と、彼の信念を受け継いで戦い続けていた。

・搭乗機はF-2X。ニムロッド隊伝統の蝙蝠のエンブレムと黒い翼端という塗装パターンを施しており、情報処理システムと多弾頭ロケットランチャーを駆使した、戦況に応じた臨機応変の戦術を得意とする。

 

《UPEO》

〇ヒカリ・B・タカシナ(29)

・UPEOオーレッド駐屯部隊所属、『アクティアス隊』隊員の中尉。コールサインは『アルテミス』。150㎝にも満たない短躯と、色素が薄くやや赤みがかった黒髪が特徴。やや短慮なきらいがあるが行動力が非常に高く、他人を引っ張って(巻き込んで)行動するのが大得意。半面、その行動力ゆえに制止が効き辛く、暴走しやすいという欠点も併せ持つ。

・後述のサヤカの娘に当たる。若い頃からL.M.A.のパイロットに手ほどきを受けていたことと天性の勘から比類ない技量を持っており、単機でGRDF等のエース部隊を圧倒するほど。一方で、編隊行動は大の苦手。乗機は『グリペンJ』で、左翼に黄金色の三日月、右翼に主翼付け根から両翼外縁へV字型に切り込むオリーブグリーンの塗装を施している。

・『ウロボロス』蜂起の際は指揮官に引きずられる形で『ウロボロス』に参画するも、その陰で脱走を図り工作を重ねる。レフとの共謀とアレックスの捕縛を契機として後に彼らとともにスーデントールを脱走し、母が会社を構えるルーメンへと移った。

・なお、産まれた時点で父親は故人。父親のことはサヤカから聞いて尊敬しているらしく、ミドルネームに父親の苗字を戴いている。

 

《ルーメン・メディエイション・エージェンシー(L.M.A.)》

〇サヤカ・タカシナ(年齢不詳)

・調達代行業ルーメン・メディエイション・エージェンシーの支社長にしてヒカリの母親。東洋系らしく黄色みを帯びたきめの細かい肌とショートの黒髪、切れ長の目が特徴。常に慇懃かつ穏やかに対応するが、その裏に秘める確とした冷徹さと覚悟は、無意識のうちに他人を畏怖させることも多い。一方で『誰かを想う人の為に力を貸す』という信条を持ち、時として利害を度外視して助力することも厭わない人間味を併せ持つ女性でもある。

 

〇パウラ・ヘンドリクス(46)

・ルーメン・メディエイション・エージェンシーに所属するパイロット。L.M.A.では唯一ジェット戦闘機の操縦が可能な人物であり、J-10XD2『ファイアバードⅡD2』を駆り社の輸送機や設備の護衛に従事する。ヒカリに負けず劣らずの短躯と白く短い髪、主題のみを遠慮会釈なく話す直截な物言いが特徴。

・その素性は、かつて環太平洋戦争においてオーシア‐ユークトバニアの戦争を煽動したベルカ残党『灰色の男達』の一人。戦争の終盤においてオーシア首都オーレッドへの攻撃を図るも、当時独自勢力として対ベルカ残党戦に従事していたヒカリの父親に攻撃を阻まれ、オーレッド湾岸に不時着。一命を取りとめた後はサヤカに保護され、そのままL.M.A.の一員となった経緯を持つ。その背景ゆえか極めて高い操縦技術を持ち、ヒカリが幼い頃から自らの技術を徹底的に彼女へ叩き込んでいた。

 

《ウロボロス》

〇ルカ・クレメンティ(20)

・『ウロボロス』スーデントール制圧部隊『オフィウクス』隊隊長の青年。『ウロボロス』の理想に共感してUPEOから移籍した経歴を持つ。理知的な性格で時折哲学的に独白を述べることもあるが、自らにとっての道理に合わない事態や他者の信条には激高しやすい危うさも持ち合わせている。精神的支柱をカプチェンコの思想に置いている部分が多く、カプチェンコを同僚にして思想上の師として尊敬する。

・乗機はEA-18GR『グラウラーⅡ』、のち『ウロボロス』に接収されたXR-99EC『ヴェパール』。

 

〇『カプチェンコ』(年齢不詳)

・『ウロボロス』オーシア東方方面群の設立に中心的な役割を演じ、前線指揮官としても活躍する謎の老人。発言の端々からベルカ戦争に従軍していたらしい事が垣間見えるが、その他の来歴は全て謎に包まれている。

・その老齢ゆえに自ら手を砕いての空戦は不可能なため、ルカの機体の後席や地上から無人機を指揮する戦術を採る。複数の無人機で対象を包囲し、さながら『巣』の中に取り込むかのような包囲戦術を得意としている。レフ達の脱走の際には送り狼として無人機を出撃。一瞬の隙を突かれ、レフの攻撃を乗機に受けて戦死した筈だったが…。

 

【用語集】

〇ニューコム

・ゼネラルリソースと並び、世界を席巻する多国籍企業の一つ。AI技術やバイオテクノロジー、宇宙開発部門等で先進しており、オーシア大陸においても2020年代から影響力を及ぼし始めるようになった。2040年現在ではオーシアのいくつかの州の他、ベルカ、サピン、ゲベートを経済圏に組み込んでいる。独自の軍事組織であるNEU(Neucom Emergency Unit)を有し、それへの配備機体も独自の機体を開発し運用している。空軍組織としては、配備戦力の性能はGRDFに勝る反面、パイロットの技量は全体的に劣る傾向がある。

・なお民間企業であることを反映し、航空関係の階級は以下のように独自のものを用いている。

航空技師補:サブ・フライト・エンジニア=兵長~伍長相当

航空技師:フライト・エンジニア=軍曹~曹長相当

航空技官補:サブ・フライト・パイロット=准尉相当

航空技官:フライト・パイロット=少尉相当

主任航空技官:チーフ・フライト・パイロット=中尉相当

顧問航空技官:コンサルティング・パイロット=大尉相当

主任顧問航空技官:チーフ・コンサルティング・パイロット=少佐相当

上席顧問航空技官:シニア・コンサルティング・パイロット=中佐~大佐相当

航空参事官:フライト・カウンセラー=少将相当

 

〇ゼネラルリソース

・世界を席巻する多国籍企業の中では一等の大企業。各種産業や経済、司法、軍事にまで影響力を及ぼすほどの圧倒的な資本力を有し、国の枠組みを超えた経済圏を生み出すことで実質的に国という枠組みを崩壊せしめた。また、電脳空間であるエレクトロスフィアや端末となるデータスワローを開発した企業でもある。2039年時点では、オーシア大陸ではオーシアの多くの州の他にウスティオ、レクタ、ラティオ、ファト、ノルドランド、ウェルバキアを経済圏に収める。ニューコムと同様に独自の軍事組織GRDF(General Resource Defense Force)を持つが、配備している機体はF-15など旧来の機体を改良したものとなっている。

 

〇UPEO

・NUN(新国際連合共同体)直属となっている治安維持対策機構。本部をユージア大陸東部に持つ他、オーシア首都オーレッドにもオーシア大陸支部を構えている。中立的な立場で企業間紛争を収める調停役の立場だが、実際にはNUNにゼネラル所属者が多く、実質的に親ゼネラル的な立場を取っている。運用している機体はゼネラルリソース同様に旧来機の改良型だが、こちらはMiG、Su系列の機体や『タイフーン』等が主流となっている。

 

〇コフィンシステム

・Connection For Flight Interface Systemの略称であり、本作の時代の航空機に広く搭載されている機体制御システム。パイロットスーツの掌部分に装着された電極からパイロットの神経系の活動を読み取り、その反応を機体制御へと反映させるシステムであり、疑似的にパイロットの神経と機体を結んだものと言える。また、キャノピーがガラスでなく装甲に覆われており、その内側に外部映像が投影される形式が取られている。

 

〇東方戦争

・2010年にオーシア‐ユークトバニア間で勃発した環太平洋戦争と同時期に、オーシア東方諸国の間で勃発した代理戦争。当初は親オーシア派であるウスティオ・レクタと親ユークトバニア派であるラティオ間における戦争だったものの、後に第三勢力としてサピンが介入、さらに親ユーク派のファトと中立派のゲベートも参戦し、戦況は泥沼と化した。結果的にオーシアとユークトバニアの終戦締結に伴い東方戦争もなし崩し的に終息したものの、経済に大打撃を受けたウスティオ・レクタ・ラティオは財政危機に陥り、数年後にはゼネラルリソース経済圏に入ることになる。

 なお終戦間際に傭兵を中心とした義勇兵部隊が蜂起し、環太平洋戦争の黒幕である旧ベルカ公国軍残党と交戦したとの記録もあるが、終戦前後の混乱もあり、詳細は定かではない。

 

〇カリヴルヌス/アークトゥルス

・東方戦争においてサピン王国軍が投入した超兵器。いずれもベルカ戦争においてサピンが接収したベルカ軍兵器の技術が用いられている。

・『カリヴルヌス』は、かつてベルカ公国軍が運用していたレーザー兵器『エクスキャリバー』の防空兵器として配備されていたレーザー列車砲を前身とする光学兵器である。構造はほぼベルカのレーザー列車砲を踏襲しており、敵に接近された場合の脆弱性を考慮して、サピン北東部ピレニア山脈の中腹に穿たれたトンネルから、国境を侵犯する敵編隊への超長距離狙撃に用いられた。

・一方の『アークトゥルス』は、上記『カリヴルヌス』とセットでの運用を想定された超大型双胴管制機である。こちらはベルカから接収したBm-335『リンドヴルム』を2機横に連結した機体であり、その長大な航続距離とペイロードを活かして、『カリヴルヌス』による狙撃位置の観測およびレーザーの中継を担っていた。後者の役割のため、双胴を繋ぐ接合部分にはレーザー収束器兼偏向器を備える。

・東方戦争の後半において、『カリヴルヌス』はウスティオ・レクタ連合軍による攻撃でトンネルが崩落し、その機能を喪失。『アークトゥルス』は前述の影響を受けて重攻撃機に改装され、後にベルカ残党により運用されたものの、それを察知したサピン空軍により撃墜、オーレッド湾に墜落した。

 

〇アロンダイト

・聖剣の名を冠する、旧ベルカ公国軍が開発した超兵器の一つ。前身はADFX-01/02『モルガン』用に開発された多用途炸裂弾頭ミサイル『ハイパーシン』であり、その量産化のために構造の簡素化を図った廉価版モデルに位置づけられる。

・『ハイパーシン』との最大の相違点は拡散する弾頭の構造で、『ハイパーシン』では炸裂後に分離した子弾が更に炸裂することで、極めて広い加害範囲を有する。これに対し、『アロンダイト』において拡散する子弾は単なる散弾であり、専ら装甲貫徹による直接的な加害を想定している点にある。その実態は、いわばロケットエンジンを持った榴散弾に近い。このため加害範囲では『ハイパーシン』に及ばない一方で、弾頭の小型化に伴い重両面の余裕ができたことから、一定の誘導能力の付加や搭載量の増加というメリットも生まれている。

・東方戦争では重攻撃機に改装された『アークトゥルス』に搭載され、接近するサピン軍機や遠距離のウスティオ機を殲滅。戦後は軍縮と財政悪化の機運に伴い後継兵器の開発は凍結され、サピンに残った余剰品は『アークトゥルス』を運用していた第2航空師団の倉庫に固く封印された。

 

〇ゼネラル同時多発テロ

・2026年に発生した、各地のゼネラルリソース施設およびGRDFを目標とした同時多発テロ。テロの実行母体はゼネラルリソースの勃興に伴い倒産した技術系中小企業や廃止・縮小された各国軍人であり、ゼネラルリソース本社を擁するユージア大陸やオーシア大陸で発生した。

 当時GRDFは擁する無人機部隊で鎮圧を試みたものの、ジャミングによる制御網寸断やコンピューターウイルスの使用によってコントロールを失い、GRDFはおろか民間人にまで犠牲を出す大損害を被ることとなる。しかし、地力に勝るGRDFは残る有人機部隊を結集させて反撃に転じ、テロ組織をことごとく壊滅することに成功。この際の戦功により、アビサル・ディジョンは名を上げることとなる。

・本事件によって、エレクトロスフィアを介した無人機制御に脆弱性が存在すると実証された。コフィンシステムの普及による戦闘機の性能向上と相まって、この事件を境に、GRDFは有人機を主力とする部隊編成へとシフトしてゆくことになる。

 

【独自設定機体】

《ニューコム》

〇R-101FR『デルフィナスE』

・R-101『デルフィナス』をベースとした強行偵察型の派生機。機体の構成はベース機とほぼ同一だが、胴体下部に高高度撮影用ユニット、機首下方に回転式高精度カメラポッドを装備している点が異なる。また各搭乗員席が独立した複座式となっており、偵察用装備を扱う後席は装甲キャノピー側面の一部がガラス張りとなっている。後席の搭乗員は『観測モード』を選択することで目の動きとカメラポッドの方向がリンク可能であり、対象の動きに応じてヘッドマウントディスプレイ上にカメラ画像を投影、追跡することが可能となっている。

 高速戦闘爆撃機R-211『オルシナス』ならびにその偵察型の配備が進むまでの繋ぎとして若干数が生産され、前線における強行偵察に際し運用された。高高度偵察の他、状況に応じては爆装し攻撃機としての運用も可能。

・作中ではレフが搭乗。スフィアの観察役であるフォルカーを後席に載せている。レフ機は通常のFR型とは異なり胴体下部の高高度撮影用ユニットが排除されている為、単座型R-101と比べた性能の低下は若干の運動性低下と兵装搭載量の減少程度に抑えられている。

 

〇XR-99EC『ヴェパール』

・電子戦を得意とするスフィアの為に用意された実験機。YR-99『フォルネウス』をベースとした改造機であり、名称もベース機同様にソロモン72柱の悪魔の名から取られた。基本的な運用理念としては友軍護衛機とともに前線で電子妨害を行うエスコート・ジャミング機という立ち位置であり、多様な攻撃的電子戦装備が施されている。

・外見上ベース機との差異は大きく、中でも胴体上部に設置された大型のジャミングポッドが最大の特徴である。逆カヌー型のこのポッドは空力を考慮し機体に密着してはいるものの、上方へ背びれのように大きく伸びた電波発信装置や、2つのエンジンノズルの間を通り機体後方へ尾びれのように伸びるセンサーユニットを持ち、機体のシルエットをベース機から大きく変えている。機体本体へも可能な限り電子戦装備を搭載したため、胴体内の機銃はオミットされており、状況に応じて機首下部に25㎜連装ガンポッドを装備する。

・電子戦を重視した機体特性上、長距離からの誘導兵器に対し強く、敵レーダーを欺瞞しながらの隠密行動や攪乱でその能力を最大限に発揮する。一方で機体の大型化および重量増による運動性能は著しく低下しており、近距離戦闘や対空砲、散弾等を苦手とする。

 

〇R-502『ストレクタス』

・NEUが運用する主力中型輸送機。ブーメランのように湾曲した主翼に貨物用スペースとして下方が大きく膨らんだ胴体、T字状の水平尾翼といったニューコム機らしい独特のシルエットを持つ機体となっている。輸送量は主力大型輸送機であるR-501『ライコドン』に劣る一方で短距離離着陸能力に優れる特徴から、R-501の運用に適さない中規模の基地で主に用いられる。なお、名称はメイサイオオセ属の学名に由来。

 

〇R-099『フォルネウス』(制式配備仕様)

・2010年代後半に設計されたYR-99『フォルネウス』をベースとし、量産化に当たって見直しを行ったNEUの主力戦闘機。試験機に装備されていた新世代レーダー拡散コートはコスト面の課題からオミットされ、機体の構成素材の一部も見直しが図られたことから、YR-99より若干の重量増およびステルス性能の低下を招いている。それでも同世代の既存機と比べ優れた運動性を持つことから、発足当初のNEU主力を張る貴重な戦力となった。2039年現在では主力の座をR-101『デルフィナス』に譲っているものの、その補完戦力として主に辺境域などに配備が行われている。

 

〇R-141『グリフィス』

・軽空母や強襲揚陸艦向け艦載機として設計された単座単発式V/STOL機。短い胴体に機首付近からLERXが伸びるダブルデルタ翼、主翼中ほどから後方へ向けて設けられた双ブーム構造という、既存のV/STOL機とは一線を画する異形の外見を有する。F-35Bに類似した推力偏向機構を有し、垂直離着陸の際にはエンジンノズルを下方へ向けることで行う。また、艦載時の省スペース化を考慮し、主翼および双ブーム部は折りたたむことが可能。外見上では黎明期のジェット戦闘機である『ヴェノム』の、運用概念や推力偏向機構にはF-35B『ライトニングⅡ』やYaK-141『フリースタイル』の影響が散見されるが、その実態は定かではない。

・その独特の機体構造からV/STOL機としては加速性能や搭載量に優れる反面、整備性、耐久性ならびにステルス性に課題を抱えており、競合するゼネラルのF-35BRと比較しても性能的優位には乏しい。制空戦闘機としての運用ではなく、長所を生かした拠点攻撃機としての運用に適した艦上攻撃機と言える。

・なお、名称はガンジスメジロザメ属の学名に由来する。

 

〇XR-99CG『グラシャ・ラボラス』

・スフィア同様、AI開発プログラムの一環で開発された空戦用AI『オーキャス3』の為に用意された実験機。極めて高い運動性能を活かした有視界格闘戦をコンセプトに設計されており、名称も殺戮を司る悪魔の名から取られている。通常の有人機であれば高Gにより機動性に一定の制限がかかるが、AI制御による無人機ならば人体への影響を考慮する必要がないため、既存機を上回る運動性が付与されている。

・ベース機はYR-099『フォルネウス』。XR-45『カリバーン』の運用データをフィードバックしており、主翼の前進翼への変更や全動式大型カナード翼の追加、推力偏向ノズルの可働領域拡大等の改修が施されている。総じて見れば優れた運動性や加速性能で有視界戦闘では無類の強さを示す一方で、装甲やステルス性能が犠牲となっている。

 

〇XR-99AB『バエル』

・他のXR-99シリーズ同様、空戦用AI『オーキャス6』のために開発された実験機。ベース機であるYR-99『フォルネウス』は元々高い運動性能とステルス性能を兼ね備えた機体であったが、本機はその直系とでも評すべきステルス性能特化機である。人を不可視にする力を持つ悪魔の名を冠しており、その能力を物語っている。

・ベース機と比較し、ステルス性能を向上させるためにエアインテーク形状や主翼後退角が変更され、電子妨害装備やレーダー系統もアップグレードしたモデルが搭載されている。胴体左右下部にはコンフォーマルウェポンベイが搭載可能であり、ステルス性を損なわないまま兵装搭載が可能となっている。

・特筆点として、本機は特殊な機体構造材とセンサーを利用した光学迷彩能力を有しており、レーダーはおろか肉眼での視認すら欺瞞することが可能となっている。これはかつてレサス共和国が開発した『グレイプニル』や『フェンリア』の光学迷彩を発展させたものであり、エネルギー効率の改善を図ることで短時間の使用ならば外部からの電力供給を必要としない。反面、装甲強度や兵装搭載量では既存機種に大きく劣っている。

 

〇XR-99BI『マルティム』

・空戦用AI『オーキャス1』専用の高速性能特化型実験機。ベース機のYR-99と比べ主翼は後退角が大きく小型なものに換装され、エンジンも次世代主力機用に開発されたもののプロトタイプを2基搭載するなど、重迎撃機として特化した設計が取り入れられている。機首には従来の機銃に代わり、内蔵式として新設計されたパルスレーザーガン1門を搭載。また、高速戦闘では照準を付け難く攻撃機会が減ってしまうことを考慮し、範囲攻撃兵器である多弾頭空対空散弾ミサイルの搭載が可能となっている。これはかつてベルカ公国が開発したADFX-02『モルガン』に搭載された多用途炸裂弾頭ミサイル『ハイパーシン』、ならびにその量産検討モデル『アロンダイト』から発展したものである。

・高速性能特化機の宿命として、比類ない加速性能を有する反動として運動性能は著しく低く、着陸時の制動距離も長距離を要するという欠点がある。また、ニューコムは既に高速性能に長けたR-211『オルシナス』やR-311『レモラ』を開発しており、それらと比較した優位性に乏しく、機体自体もXRシリーズの中では保守的な設計となっている。

 

《ゼネラルリソース》

〇F-35AR/BR/CR『アドバンスドライトニング』

・第5世代戦闘機であるF-35『ライトニングⅡ』にコフィンシステムを搭載した機体。各サブタイプはそれぞれA型(陸上仕様)/B型(VTOL仕様)/C型(艦載機仕様)のコフィンシステム搭載型を意味する。コストと性能を両立した多目的戦闘機としてオーシア等で運用された実績を持つが、2039年現在ではレーダー性能の向上によるステルス能力の優位の低下、ならびにニューコムにおける『デルフィナス』の存在から、運用当初ほど絶対的な優位性は無くなっている。

 

〇F-104X『スターファイターⅡ』

・最新鋭機を必要としない辺境域の防衛用としてゼネラルリソースが開発した迎撃機。ラティオ等が運用していたF-104Sをベースに、純粋な迎撃専用機として改修が施されている。

 ベース機からの変更点としては、①コフィンシステムへの換装②FCSの換装③②に伴う高機能長距離空対空ミサイル(XLAA)への対応④胴体内機銃の撤去⑤より高出力なエンジンへの換装、が挙げられる。以上の改修の結果、ベース機にも増して旋回性能・航続距離の悪化や有視界対応能力の低下を招いたものの、一方で加速能力および最高速度の大幅な向上に成功し、迎撃/追撃専用ミサイルキャリアーとしては旧式ながら破格の性能を得ることとなった。基本的に対戦闘機戦は考慮されておらず、専ら領空を侵犯する偵察機や輸送機、巡航ミサイルを主要な目標とする。

・派生機として、兵装搭載スペースを廃し高高度偵察ユニットを搭載した偵察機仕様のRF-104X、兵装搭載量と運動性の強化および主翼・尾翼形状変更によるステルス性向上を図った改良型のF-104XDも存在する。

 

〇A-10CX『サンダーボルトADV』

・A-10C『サンダーボルトⅡ』をベースとし、近代化改修を施した対地攻撃機。改修に際しコフィンシステムへの換装が行われた他、地形追従レーダー等の電子機器の更新や通信機能の強化、装甲材の見直しと強化が図られている。本機の装甲キャノピーは他の既存機と比較してより装甲の厚いモデルが搭載されており、その堅牢性はベース機をさらに上回る。

 戦争の様相が企業間戦争や対テロ戦争へと移行し、想定される戦場も局地的な紛争規模のものが主となりつつある現状から、本機は貴重かつ有能な対地攻撃専門機として2039年現在でも主力の座を務め続けている。

 

〇F-2X

・戦闘攻撃機としてF-16から独自の発展を遂げたF-2をベースに近代化改修を施した多目的戦闘機。ベース機開発国の言語で『改良型』を意味する言葉とアルファベットの『X』から、F-2『カイ』と呼称される。

・同系統機の中でも、格闘戦に特化したF-16XF『ジャーファルコン』、対地攻撃機として発展したF-16XA『セイカーファルコン』と異なり、本機は多目的戦闘機としての運用に主眼を置いて開発が行われた。すなわち、①滞空時間を延伸するために胴体左右上部へのコンフォーマルタンクの増設②①と同様に、機首へ固定式空中給油プローブの追加③主翼強度の向上、およびそれに伴う兵装搭載量の増加④最新式の多目的レーダー及び任務別機体制御システムの搭載、となっている。このうち④はゼネラルリソースが開発した多目的戦闘機XFA-24『アパリス』の技術が流用されており、地形情報解析システム『アースシェイカー』、空中目標追尾補正ソフト『レイヴン』等の発展型を搭載。目標や任務に応じて最適のシステムを選択することで、あらゆる状況に対応可能となっている。

 

〇YFA-47SC『カットラスⅡ』

・オーシアのとあるベンチャー企業が設計・試作した次世代戦闘機開発案をベースに、開発中の次世代戦闘機XFA-36A『ゲイム』の補完プランとしてゼネラルリソースが試作した技術実証機。過去にオーシアで運用されていた艦上戦闘機F7U『カットラス』と、ベース機の愛称が『カットラス』同様に短刀の一種である『マチェーテ』であったことにちなみ、本機の名称も設定されている。

・本機の特筆事項として、新世代のステルス技術とされるCPAS(低温プラズマアクティブステルス)の採用が挙げられる。これはベース機『マチェーテ』において提唱されていた理論を実用化したものであり、機体外殻と内殻の間に低温プラズマを循環させ、その電磁的特性により機体に触れたレーダー波を無効化することによって、機体形状や表面材質によらずステルス性を獲得することに成功している。また、副次的にジャミング等の電子的妨害にも高い防護性能を示すこととなった。ただし、CPASの構造上の問題で機体はベース機『マチェーテ』より大型化し、重量の増大と運動性の低下を招いてしまっている。さらに機体内部スペースも極めて狭くなっておりい、胴体内機銃の省略や燃料搭載量の減少といった影響が生じた。

・主兵装は、胴体下部に搭載するSLPL(短距離プラズマ投射砲)。これは対光学兵器装備であるIPDS(電離プラズマ防御システム)と一式となったユニットであり、電離プラズマの塊を対象へ投射することで極めて高い熱エネルギーを与え、対象を破壊するものである。また、IPDSはこの電離プラズマを放出することで、磁性を帯びたビーム等の光学兵器を湾曲させ無効化することが可能。ただし共通のプラズマ容量を消費するためいずれも多用はできず、SLPLは機銃並みの射程しか有しないなど、欠点も多い。

・サイズを除けば、基本的な機体構成はベース機と同様、W字を描く前進翼と大型カナード、水平尾翼中ほどに設けられた2枚の垂直尾翼という前衛的な姿となっている。これは、『ステルス性能と対誘導兵器技術の向上により、今後は有視界戦闘と光学兵器が主流となる』という前提に基づき、運動性を重視して設計されたためである。また、本項で解説するSC型は艦上戦闘機としての運用も想定したモデルであり、胴体後部下にアレスティング・フックを装備する。

 

《UPEO》

〇EF-2040F『テンペストADV』

・UPEOが運用する『タイフーンⅡ』の後継機種として開発された第6世代戦闘機。設計開発はゼネラルリソースで行われたものの、UPEO独自の性能要求項目が多かったために、既存機体の改修ではなくUPEO専用機として独自に開発が行われた。

・主翼は『タイフーン』等のUPEO主力機を踏襲した無尾翼式デルタ翼。尾翼後端にはV字状に緩く切り欠きが設けられ、主翼付け根には外側へ傾斜した垂直尾翼2枚を持つ。エレクトロスフィアを介したデータリンクシステム、ステルス性を考慮した曲面を多用するシルエットなど、既存のゼネラル機で実用されている機能をふんだんに取り入れられた機体に仕上がっている。また、邀撃・防空に最適化されたこのADV型は胴体内機銃を持たず、代わりに胴体内燃料タンク容量が強化されている。

・従来の無尾翼デルタ形式を採った本機は『タイフーン』『ラファール』『グリペン』といったUPEO配備機からの機種転換が容易であり、UPEO所属パイロットに好評であった。他勢力のステルス戦闘機と比較すると、高出力の双発エンジンと主翼形状から加速性能は群を抜いて高く、コンフォーマル・ウェポンベイの拡張性により搭載量も優れている。反面、近接戦時の運動能力はゼネラルのF-22C『ラプターⅡ』やニューコムの『デルフィナス』、同じUPEOのSu-57タイプに劣っており、デルタ翼機らしい『高速戦闘機』としての色合いが強い。

 

〇J-10XD2『ファイアバードⅡD2』

・原型機は、かつての『ベルカ戦争』末期においてベルカ公国が頽勢を覆すべく開発した簡易量産型戦闘機『Jシリーズ』に属するJ-10A/B。J-10は同時期に開発されたJ-7やJ-8と比べて生産性こそ劣るものの、優れた加速性能や兵装搭載量を誇る第4世代機として完成し、『灰色の男達』と称された未塗装の灰色の機体群がベルカ防衛線の最期を飾った機体であった。本機はJ-10をベースとし、近代化改修を施した改良機種である。

・基本的な機体構成は原型機と変わらず、カナード付き無尾翼デルタ機。ベースとなったJ-10Dからエンジンやレーダーの強化、およびコフィンシステムの搭載といった改良が施されており、性能面では従来の第4世代機と何ら遜色ない能力を有する。一方で、元来が低コスト量産機というコンセプトで設計されているために複雑な駆動系や構成素材は可能な限り簡略化・削減されており、対地対艦目標への精密照準能力や耐久性が犠牲となっている。

・本機は低コストで量産が可能であり一定水準の性能も有することから、発足当初のUPEOにおける貴重なマルチロール戦力として重宝された。その後の『タイフーンⅡ』『グリペンJ』といったより性能に優れる機体への機種転換が進むにつれJ-10は徐々に退役していったが、その整備の容易さや価格の安さがゼネラルリソース傘下の民間軍事会社やエアスポーツ用途の需要に合致したため、2040年現在では民間で多く目にする機体となっている。

 

《ウロボロス》

〇UI-4052Bクラリアス改級空中空母『クラリア・ラベス』『メラス』

・『ウロボロス』が旗艦として運用するUI-4053『スフィルナ』の保管戦力として開発された簡易空中空母。『スフィルナ』と比べ小型であり積載能力は大きく劣るものの、それを補うために船体両舷部に機能拡張用モジュールを搭載することで、戦況に応じた戦術能力の付与を可能としている。また、船体そのものの強度も空中空母として遜色ない程度に強化が施されており、ベースであるUI-4052『クラリアス』で問題となっていた脆弱な防御力は大幅に改善されている。

・オプション攻撃兵装として、イーオン粒子を活用した真空貫通式荷電イーオン粒子砲(Vacuum Piercing Charged Aeon Particle Canon)を装備することができる。これは荷電したイーオン粒子を高速で撃ち出す光学兵器であり、最初に目標へ低出力ビームを発射→周辺の熱膨張による衝撃波で軌跡上を一瞬真空にする→真空中を本命たる高出力ビームが通ることで、大気中におけるビームの減衰や拡散の影響を無視して光学兵器の運用を可能とするものである。

・なお、艦名はいずれもクラリアラベス属(ナマズの仲間)の学名に由来する。

 

〇UI-3042『シュドルカ』

・『ウロボロス』が運用する通常動力多目的潜水艦。ニューコムで開発された次世代型潜水艦のプロトタイプをベースとして建造された小型潜水艦であり、上記クラリアス改級に先行して機能拡張用モジュール機構が搭載されている。装備するモジュールにより、攻撃型、水中空母型、深海探査型など幅広い兵装パターンを採れる点が最大の特徴。

・上述のような新機軸の構成を持つものの、一方で整備性の悪化やコストの高騰、ステルス能力の低下、左右モジュール装備時のダメージコントロールに係る欠陥(左右いずれかのモジュールに被弾・浸水すると両舷同時にパージしない限り転覆の危険大)等の欠点を有しており、結果的に『ウロボロス』でも少数が生産されたに留まり、ユージア方面等での運用はなされなかった。

・ちなみに、名称はオキゴンドウの学名に由来している。

 

《L.M.A.》

〇LMAX-02R『サイファード・ワイバーン』

・旧エルジアが開発した制空戦闘機X-02A『ワイバーン』の損傷機を基に、他機種の部品を用いてレストアされた再生機。公式に開発された機体ではなく、複雑な経緯を経て蘇った『本来存在しない筈のX-02』である。

・出自は2010年の環太平洋戦争においてベルカ残党により運用されていた機体であり、ノースオーシア・グランダーI.G.社で生産されレクタに配備されたうちの1機を母体とする。レクタ所属の同型機が全て撃墜されオーレッド湾に没した中で、唯一不時着した同機をルーメン・メディエイション・エージェンシーが秘密裏に回収し、長年に渡ってレストアしたものである。

・特筆すべき特徴として、本機に搭載された『ヴァルハラシステム』が挙げられる。これは平たく言えば『エースパイロットの戦闘機動を再現する』というものであり、旧エルジアの無人機運用プログラムをベースに、ベルカ残党がかねてより収集していたベルカ公国時代の膨大な戦闘記録を組み合わせることで誕生した。記録されている戦闘機動を再現するのみならず、交戦中に収集したデータをシステムに記録・反映することも可能となっており、いわば『戦うたびに成長するAI』であった。もっとも、有人機でこのシステムを運用する場合はシステムと機体制御がリンクしていないためにパイロットは『システムの指示通りに機体を操作しなければ本領を発揮できない』という課題を孕んでおり、お世辞にも運用上の小回りが利くとは言い難い代物であったようである。

・L.M.A.により回収された時点で機体の損傷は少なくなかったことから、その部品の多くを既存機種のもので代替している。最も特徴的だった主翼は可変部分がオミットされ、切り欠き菱形翼のような形状へと変化。他にもカナード翼は『ラファール』タイプの、推力偏向ノズルはSu-37タイプのものを流用する等、可能な限り既存の部品で補修を施されている。そのため、ベース機と比較して高速性能は維持されている半面、格闘性能は大きく劣ってしまっている。一方で主翼の半分近くを排除し重量に余裕ができたことから、整備性や兵装搭載量が向上するという長所も顕れたため、一概に劣化したという訳では無い。

 

〇An-178UC『クラッカーU(民生機仕様)』

・UPEOで運用されている中型輸送機An-178Uをベースに、一部機能をオミット・低コスト化して民間向けに再設計した機種。輸送能力は同クラスのC-130J『スーパーハーキュリーズ』系列やIl-276系列と比べてやや劣るものの、全幅がこれら2機種より短く、短距離離着陸能力も優れている特徴を持つ。以上の特性から小規模な航空施設でも運用可能であり、各地の航空会社で運用されている実績を誇る。

※なお本機のコード名は本作独自の設定であり、公式のものではない点に留意のこと。

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