パラレル日本国召喚   作:火焔

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登場人物

●日本
阿野:日本国首相
田中:外務大臣政務官

●クワ・トイネ公国
カナタ公爵:クワ・トイネ公国君主(エルフ)
リンスイ :外務卿(人間)
マイラ  :マイハーク市の筆頭外交官(ウサ耳獣人)
マールパティマ:第六飛龍隊所属(人間)

●備考
外務卿  :外務大臣相当
筆頭外交官:都市の外交長官
第六飛龍隊:北東部を管轄とする飛龍隊の1つ


1章 異世界召喚
01. 接触、クワ・トイネ


 2019年元日、日本は混乱に包まれた。

 

 日本国首相である阿野に、夜中にもかかわらず急報が飛び込む。

 

「首相! 日本国のユーラシア大陸地方、東南アジアとの連絡が途絶しました!」

 

 詳しく話を聞くと、大陸にある日本領、東南アジア各国との通信が一切出来ないとのことだった。

 電話、衛星通信はもちろん、ネットワーク全てが麻痺したというのだ。

 

「落ち着きなさい。先ずは、何処まで連絡が取れて、何処から連絡が取れなくなっているのかを把握してください。」

 

 阿野は平静を装うが、内心は相当焦っていた。

 今まで設備不調でいずれかの通信が途絶した事はある。だが、全てが通じないとなれば異常事態であることは分かる。

 

 

 調査の結果、諸外国との通信は一切不可能

 日本国内は本土に限り通信が出来る。しかし、GPSを頼ったものは不可能であった。

 

 北は南樺太、千島列島まで、南は沖縄本島、大島までは連絡が直ぐについた。

 最終的には波照間島、南鳥島まで連絡が取れたが、衛星電話が繋がらなかったため、時間がかかってしまった。

 

 

「つまり日本本土の内外で通信が麻痺したという事ですね。」

 

 阿野は日本海軍と空軍に調査を依頼した。

 迅速に対応しなければ、野党から非難を受けてしまう。

 

 大事には間違いないが、正しく対処すれば世論を与党に傾けることができる。

 この時、阿野首相はここまで非常事態になるとは想定しないなかった。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 中央暦1639年1月4日

 

 クワ・トイネ公国軍第六飛龍隊の竜騎士マールパティマは北東方面の警戒任務についていた。

 彼はワイバーンと呼ばれる飛竜を駆り、洋上を飛ぶ。

 

 天気は快晴で気持ちのいい空だった。

 相棒(ワイバーン)も上機嫌で、軽やかに空を飛ぶ。

 

「暇だなぁ……。ロウリア王国がこんな所にいるわけないし。見渡す限り、海、海、海。」

 

 相棒は、グギャァと鳴きマールパティマに同意する。

 

 ロデニウス大陸の南を制するロウリア王国に対しての哨戒任務だが、

 西には他の部隊が警戒任務についているし、東はクイラ王国がある。

 さらに、西ロデニウス海を大きく迂回したとしても、北東方面は潮の流れが強くクワ・トイネ海軍ですら遠洋に出ることができない。

 ロウリア海軍がここまで来れるわけないのだ。

 

「ん? なんだ?」

 

 北東方向にマールパティマが2つの黒点を見つける。

 それは徐々に大きくなっていき、飛行する『何か』である事がわかった。

 

「な!? なんなんだ! あれは!?」

 

 その『何か』は小型の青色と、大型の白色の種類だった。

 見たことのない物体に、非常に甲高い音、マールパティマは恐れから臨戦態勢を取る。

 すると――――

 

「私は日本国の田中と申します! 貴方と戦う意思はありません!」

 

 白い『何か』は速度を落とし、扉が開くと中から変な服を着た人がでてきた。

 マールパティマは『何か』が人が操るものであると分かり、安堵していた。

 

(すげぇ声デカイ人だなぁ……)

 

 なんて考えがよぎる程に……

 

(いかん!そうじゃない!)

 

「私はクワ・トイネ公国軍第六飛龍隊、竜騎士マールパティマだ!

 貴公はここがクワ・トイネ領海と知ってのことか!?」

 

 マールパティマは声が届くわけ無いと思っていたが――――

 

「よかった!言葉が通じるようだ!貴国の領海に侵入した事は申し訳ない!

 我々は貴国と話がしたい!会談の場を設けさせて欲しい!」

 

 声が届くわけ無い距離で、会話が成立している事を不思議に思いつつも

 

「上には伝えておこう!だが、確約は出来ない!」

 

 ロウリアと緊張状態にある今、上下から挟まれる事は避けたい。

 マールパティマは明日またここに来ることを白い『何か』へ伝えた。

 

「感謝します!」

 

 2つの『何か』は転進して北東へと帰っていく。

 マールパティマは飛竜で追いかけたが、全く追いつくことも出来ず直ぐに消えて行ってしまった。

 

 ワイバーンの最高速度は235km/h。体感だと2~3倍の速度が出ている様に感じる。

 マールパティマは徐々に現実へ戻ってくると恐怖を感じる。

 

「司令部!我、謎の飛行物体と接触した!

 会話は通じるが、速度はワイバーンより遥かに速い!

 その物体には人が乗っていた!会談をしたいといっていた!

 指示を求む!」

 

 報告を受けた司令部は応答する。

 

「何を言っている!?竜騎士マールパティマ!それは敵なのか!?」

 

「戦う意思はないと言っていました!我が国と話がしたいと!北の方へ帰っていきました!」

 

 既に見えなくなった北の空を見つつ答える。

 司令部はマールパティマの要領を得ない回答に、彼が混乱していると判断し帰投を命じる。

 

 

◆◆ マイハーク司令部 ◆◆

 

 彼に事情聴取をした司令部は騒然とする。

 彼の話す飛行物体は、第二文明圏のムーの飛行機というものと似ていたからだ。

 だが、彼らは自分たちのことを日本国と言った。

 

 もし、第二文明圏に関わるものたちであれば会談を受けないだけで侮辱したと判断され、宣戦布告を受ける恐れがある。

 第三文明圏ではそうだと聞いているからだ。

 

 司令部は自分達で判断する事はできないと、公都に報告した。

 

 

◆◆ 公都クワ・トイネ ◆◆

 

 クワ・トイネ公国を治めるカナタ公爵は頭を悩ませる。

 長い金髪で西洋人を思わせる美形だ、年齢は30代くらいであろう。ただ耳は鋭く尖っていてる。

 

「リンスイ、私はどうすればいい?」

 

 外務を統括する外務卿の役職に就くリンスイは主の質問に答える。

 

「ニホンという国が乗っていたものは飛行機だと判断します。

 で、あるならばムー、またはムーに属する国家でしょう。

 彼らはパーパルディア、レイフォルに比べて理性的であるため、いきなり奴隷をよこせとは言ってこないでしょう。」

 

 リンスイの言葉にカナタは落ち着きを取り戻す。

 

「ならば、何故こんな東の果てで飛行機を飛ばしていたのだ?」

 

「それは、私には分かりませぬ。

 ただ、ニホンを丁重に迎えなければ、宣戦布告される可能性もあります。明日はマイハークの外交官を同行させましょう」

 

「そうですね。今日の訪問ですら、失礼にあたるかも知れません。」

 

 

◆◆ 次の日 ◆◆

 

 ――――クワ・トイネ北東洋上

 

 竜騎士マールパティマの後ろには、マイハークの外交官マイラが同乗している。

 ワイバーンは一人乗りだが、速度を犠牲に1人までなら同乗する事ができる。

 

「ここに、ニホンという国の飛行機が来るのですか……?」

 

 兎耳の獣人女性であるマイラは不安に思う。

 自分が文明国の相手を、しかも第二文明圏の列強ムーに属するものとされる国だ。

 自分の言動一つで国が滅ぶ可能性があるのだ。昨日は寝れなかった。

 

「マイラさん。いらっしゃいました。」

 

 マールパティマも列強ムーに属するものと聞いたときは震えが止まらなかった。

 文明国に対してなんて態度を取ってしまったのだと……。

 

 2つの黒点はみるみる内に青と白の飛行機の形になっていく。

 

「なんて速いの……? 本当にワイバーンの2,3倍の速度がありそう。」

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 外交官の田中は、昨日出会ったマールパティマというドラゴンの様な生物に乗った青年の元へ向かう。

 拡声器と指向性集音マイクがC-2輸送機に乗せられている。これで昨日は青年とコンタクトを取ったのだ。

 

 昨日は敵性勢力であるか分からなかったため、安全のためにF-2に同行して貰っているのだ。

 今日は不要だと思ったのだが、万が一を考えて同行して貰う事にした。

 

 元々UAVの高高度偵察で、ここに大陸があり大量の作物がカメラに撮影されていたため、最初に接触する相手に決まったのだ。

 失敗は許されない。食べ物の輸入が出来ない現在の日本では、クワ・トイネからの食料購入は絶対条件なのだ。

 国にある備蓄では1億8000万人の国民は半年しか持たない。

 

「田中さん、例の竜騎士がレーダー圏内に入りました。」

 

「ありがとうございます。」

 

 機長の知らせを受けて田中は立ち上がる。

 安全帯をつけていれば、低速時に限りC-2の扉を開けて会話する事ができる。

 田中は立ち上がりスーツの襟を正し、C-2の扉を開けた。

 

「おはようございます!マールパティマさん!」

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 マールパティマは白い飛行機から出てきた変な服の文明人を出迎えた。

 白い飛行機はワイバーンが並走できるように速度を落としてくれる。

 

「おはようございます!田中さん!今日は我が国の外交官を連れてまいりました!」

 

「はじめまして!私はマイハーク筆頭外交官マイラと申します!私がニホン国の担当をさせて頂きます!」

 

「私は日本国外務省、外務大臣政務官の田中と申します!」

 

 マイラは安堵する。列強ムーは理性的と聞いていたが、事実はわからないし、属するものまで理性的とは限らなかった。

 だが、ニホンのタナカという人物は理性的と判断できる。不思議な服もニホンの民族衣装なのかもしれない。

 

「短刀直入で申し訳ありませんが!日本国との会談はして頂けるのでしょうか!?」

 

「はい!本日このまま案内することも出来ますが!いかがなさいますか!」

 

 タナカという人物の表情は遠くて分からないが、驚いている雰囲気を感じる。

 そして、少し悩んだ後

 

「貴国には滑走路、平たく長い道はございますか!?」

 

 やはりこれは飛行機なのだ。

 飛行機にはワイバーンより長く、強靭な滑走路を必要とすると聞いたことがある。

 

「申し訳ありません!我が国にはワイバーン用の滑走路しかございません!

 お手数をおかけしますが、船でいらっしゃる事は可能でしょうか!?」

 

 失礼に当たるかもしれないが、ワイバーン様の滑走路では不十分だと思うのだ。

 

「わかりました!2日後、こちらに船で伺っても宜しいでしょうか!?」

 

「はい!ただ、この大陸にはロウリアという海賊が現れます!自衛出来る船でお越し下さい!」

 

 再度、タナカが驚いたような雰囲気を発し、了承して帰っていった。

 

 しかし、2日後にここに来るということは既に軍船を用意していたようだ。

 もし、今回ニホンの気分を害した場合、宣戦布告を受けていたのだろうと考えると……

 マイラは体を震わせた。

 




●日本国土
特に物語りに関わりはありませんが一応
北:南樺太、千島列島
南:波照間島、南鳥島

●備考
中央暦1639年は
西 暦2019年です

ワイバーン:最高速度235 km/h
C-2    :最高速度917 km/h
F-2    :最高速度2,470 km/h
今回は890km/hで接触

クワ・トイネは日本国を第二文明圏のムーの勢力圏内文明国と誤解している
クワ・トイネ人が日本をニホン呼ぶのは、日本の発音になれていないから

●人物詳細
カナタ・クワ・トイネ公爵
種族:エルフ
年齢:37歳
身長:186cm
顔 :西洋風の美形
髪 :長い金髪

マイラ
種族:獣人(兎系)
年齢:25歳
身長:163cm
顔 :西洋風のカワイイ系
髪 :ピンク色ウェーブ、セミロング
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