パラレル日本国召喚   作:火焔

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登場人物
●日本
高群一馬:行政特区の製粉工場で働く市民

●クワ・トイネ公国
リコッタ:行政特区の近くに住む村人(猫系獣人)


10. 日本行政特区の一般市民(閑話)

 俺は高群一馬(たかむれ かずま)。

 獣人とかエルフとかドワーフが好きな、所謂オタクって奴だ。

 今はクワ・トイネ公国の日本行政特区に住んでいる。

 長すぎるから日鍬市と呼ぶのが一般的だ。

 

 なんで日鍬市に住んでるかって?

 そりゃあ、この異世界には獣人とかエルフとかドワーフがいるからだよ!

 日本じゃ滅多にお目にかかれないから来ちゃったと言う訳だ。

 

 別に無理やり来たわけじゃない。

 以前、魔法適応検査ってのが任意参加で実施されたんだ。

 そこで、少しだけど俺にも魔法適応能力があることが分かったんだよ!

 

 他の適応者から話を聞くと――――

 殆どの人が30歳以上で童貞または処女という……ちくしょう!

 でもまぁ、ホントに魔法使いになるとか流石異世界!とは思ったけど。

 

 というわけで、魔法適正のある人を優先して日鍬市への移住が国から公募があった。

 メリットとしては月20万の支援金が受け取れ、1LDKの集合住宅が無償で提供される。

 

 デメリットとしては、市なのに人口が1万程しかいないこと、飲食店がチェーン店しかないこと。

 日鍬市の周囲には高い金網が設置されていて、閉じ込められている雰囲気があること。

 日鍬市より外は盗賊が出る恐れがあること。申請すれば日鍬市の外に出られるが……。

 飛行機がリージョナルジェットで土日に1便ずつしかないこと

 日本軍兵士や警察の巡回が多いこと。

 

 まるで現代の島流しの見たいな感じなのに、よくも1万人も集まったとは思った。

 俺?亜人に会えるなら気にならないね。ネットショップの品物が届くのが遅れるけど、アニメもマンガもネットも出来るし。

 

 

 クワ・トイネ公国の兵士さん達がたまに日鍬市に来て、獣人やエルフやドワーフの人がいてテンションがマジアゲアゲになる日々を過ごしていた。

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 2019年6月13日(中央暦1639年6月13日)

 

 俺は今日も製粉工場で働いて帰るところだ。

 働くっつってもラインは殆ど自動化されているから、原料の小麦の補給と製粉された小麦粉の袋をコンテナに詰める作業。途中で出る廃棄物の廃棄、あとは機械がトラブったときにメーカーを呼ぶくらいだ。

 だから工場内にいる人数は100人に満たない。

 

 この工場のいいところは、市内の西端にあるところだ

 西門付近にある作物納品所にくる亜人の人たちが偶に見られるんだ。

 

 俺は工場外の駐車場に留めてある軽トラに乗ろうとしたとき、作物納品所に獣人の子がいるのに気が付いた。

 相手も俺に気が付いたようで――――

 

「あ、あの! 日本の方ですか!」

 

「え、えぇ……そうですが……?」

 

 俺は、獣人の子がいる作物納品所まで歩く。

 獣人の女性は10代半ばくらいで頭には白い猫耳と尻尾、灰色のショートヘアで……胸はそこそこいいモノをお持ちのようで。

 おっと、ジロジロ見てはいけないな。

 

「このお店って、今日は開いてないんでしょうか?」

 

 困っている様子の獣人の娘が作物納品所を指挿す。

 

「あぁ……。ここは午後5時までだから、もう終わっちゃってるよ。」

 

 俺が腕時計を確認するとPM5:23だった。

 行政の管轄だから営業時間はAM9:00~PM5:00だったはずだ。

 

「そんな……。どうしよう……。」

 

 獣人の娘は意気消沈してしまっている。

 そして、隣に置かれているリヤカーには小麦が満載に積まれていた。

 

「もしかして、その小麦を一人で運んできたの?」

 

「はい……。」

 

 マジか……すげぇな。

 

「今日その小麦を売れなかったらどうするの?」

 

「持って帰らないと……。」

 

「もう夕方だし、盗賊とか出るんでしょ? 危なくない?」

 

「そうですけど……」

 

 無茶苦茶危ないじゃん……。

 俺は作物納品所に勤めている友人に連絡を取り、状況を説明した。

 すると、俺が小麦を預かって明日持ってこれば買い取ってくれるそうだ。

 買取金額は1,000円くらいだそうだ。

 

「……というわけなんだけど、1,000円、銀貨1枚で俺が買い取って置くけどどうする?」

 

「いいんですか!? お願いします!」

 

 小麦は俺の駐車場に積んで置けばいいか。この量を持って帰るのは正気の沙汰じゃないし。

 俺達はリヤカーの小麦を俺の駐車場に置いて、両替所で1,000円を銀貨1枚に換金して獣人の娘。(リコッタというらしい)に渡した。

 

「本当にありがとうございます!」

 

 リコッタさんは何度も頭を下げてお礼を言ってくれる。

 

「もしかしてだけど、今から帰るの? 近かったりする?」

 

 小麦を降ろしていたから、もう午後6時を過ぎて、辺りは薄暗くなってきている。

 近場の村なら大丈夫かもしれないけど……。

 

「はい。ここから10kmくらいなのでそんなに遠くはないです。」

 

「遠いよ!?」

 

 歩きじゃ普通に遠すぎでしょ……。

 

「俺が送るよ。車ならそんなに時間かからないし。」

 

 ここで見捨てて盗賊に襲われたら寝覚めが悪すぎる。

 それに、獣人に人たちと仲良くなるきっかけになるかもしれないし!

 リコッタさんは、最初は遠慮していたが自動車に興味があるのかチラチラ見ていて、最後には俺の提案を受け入れてくれた。

 

「すいません、お願いしてもいいですか……?」

 

 リヤカーを軽トラの荷台に乗せて、リコッタさんが助手席の乗る。

 

「あぁ、構わないよ。俺も市外に出るのは初めてだしね。地理に詳しい人がいた方が安心するよ。」

 

 

 西門で外出手続きをして軽トラを発進させると、リコッタさんのテンションが上がって辺りを見回していた。

 

「凄い速いですね! 高群さんは魔導師さんなんですか!?」

 

「いや、日本人は魔法を使えないよ。」

 

「スゴイです!魔法を使わないのにこんな事が出来るなんて!!」

 

 

 

 貨物トラックが通る様に舗装された道路から逸れて20分ほど走ると、リコッタさんが住む村へと到着した。

 周りに柵がある程度で、家の殆どが木造でゲームにあるような村ァ!見たいな感じだった。

 

「こんなに早く着くなんて凄いです! 高群さん! 本当にありがとうございます!」

 

「気にしなくていいよ。それじゃあ俺は帰るね。」

 

「ま、待ってください! ご飯食べて行きませんか? お礼がしたくって……」

 

 日鍬市に来てから殆ど一人飯だったしな。他の獣人の人にも会えるかもしれないし。

 

「いいのかな。じゃあ、ご馳走になろうかな?」

 

「はい!ご馳走しちゃいますね!」

 

 

 

「お母さん!ただいま!」

 

「あら、早いじゃない? どうかしたの? お客さん?」

 

 リコッタさんにお母さんと呼ばれた猫耳の獣人は30歳前半くらいの見た目だった。

 同じ30代で独身と子持ちという事実に俺はダメージを受けつつ挨拶する。

 

「日本人の高群さんが、ケイトラっていうスゴイ早い乗り物で送ってくれたの!あと、小麦銀貨1枚で売れたよ!」

 

「始めまして、高群一馬(たかむれ かずま)といいます。」

 

「日本人の方ですか!? 娘を護って下さりありがとうございます。」

 

「いえいえ、出来ることをしただけです。」

 

 

 リコッタさんのお母さんにも食事に誘われて、俺はその誘いをありがたく頂戴した。

 リコッタさんの家は8人家族で、父親はバニル市で兵士をしていて家にはいないらしい。

 というか、6人も子供がいるのか……えっ!? 30代前半なのに!?

 

「……でね、困ってたところを高群さんが助けてくれたの!!」

 

 食事中、リコッタさんが何度もここに来るまでのことを繰り返していた。

 あんまり褒められると照れるな。

 

「ふふっ、よかったじゃない。どうです、高群さん、うちの子?」

 

「……?? どうですとは??」

 

「や、やだ!? お母さん……。」

 

 リコッタさんは照れる様に、顔を赤くして手で覆ってしまう。

 いや、まさかな……。

 

「ウチの子、貰ってくれませんかってことですよ。日本ではこういうことはないんですか?」

 

「うぇ!? む、昔はお見合いみたいなものもあったみたいですが……」

 

 本当にそういう話なのか!?

 

 話を聞くとクワ・トイネでは15歳で成人となって、農村では嫁ぐことが多いそうだ。

 そしてたくさん子を産んで農作業を手伝って貰うらしい。

 確かに江戸時代では男子は15歳で成人だったし、女性はもっと早かったそうだ。

 中世の概念からするとおかしい事ではないと思うが……。

 

「お気持ちは嬉しいのですが……、日本では女性は16歳以上でないと婚約できなくて。それに、まだ知り合って数時間ですし……」

 

 チャンスなはずなのに、俺は日和ってしまった。

 

「あら、リコッタは今年16歳になるので大丈夫ですね。仲を深める時間が必要なのでしたら、今日泊まっていきませんか?」

 

「いや……ですか……?」

 

 リコッタさんの不安そうな目を見て俺は泊まる事を決意した。

 さすがに寝るのは一人にさせて貰ったが……。

 

 

 

「いててて、敷きパッドがないベットは硬ぇ……」

 

 朝、目が覚めると――――

 隣でリコッタさんが薄着で寝ていた。

 

 何故!? た、たしかこのベッドはリコッタさんと兄妹が寝るベッドとは聞いていたが……。

 

 混乱する俺の頭に、いい香りと柔らかいが更に襲ってくる。

 

「んっ……」

 

 もぞもぞと動くリコッタさんの大きな谷間から――――みえ、みえ……。見えた!!

 何がとは言わないが、俺はリコッタさんが起きるまでずっとガン見してた。

 

「んん……。 ――――!!! わわっ!!! ご、ごめんなさい!!」

 

 飛び起きたリコッタさんは真っ赤になり部屋を飛び出していってしまった。

 

 

「あ、あの……朝はごめんなさい。」

 

「い、いや、謝る必要はない……よ?」

 

 話を聞くにトイレに起きた後、寝ぼけていつものベッド、俺が今日寝たベッドで寝てしまったらしい。

 俺は役得だったし全然いいんだけどね。

 

 

 朝食を終えてリコッタさん達はこれから農作業らしい。

 たわわに実っている小麦の狩り入れを見学させて貰った。

 

「くぁwせdrftgyふじこlp……」

 

 風の魔法を使って鎌の代わりにしているとのことだ。

 範囲は鎌より少し広そうで少しずつ小麦が刈り取られていく。

 だけど小麦畑はかなり広く結構時間がかかりそうだ。

 

「脱穀してからリヤカーで乗せたほうが多く運べませんか?」

 

 休憩しているリコッタさんに不思議に思っていたことを聞く

 

「脱穀は大変ですし……。わらに着いたままでも日本だと買い取ってくれるので。」

 

 あぁ、そうか昔は機械がないから大変だったって聞いた事がある。

 そいや、製粉会社に入社するとき昔の道具はこんなのがあったって聞いた覚えがあるな。

 

「ちょっと待ってて、古い道具だけどこんなのが……」

 

 俺は荷台の工具を取り出して、薪を少し貰って千歯扱きを作り出す。

 形を整えたりするのはリコッタさんの魔法のほうが圧倒的に早かったので手伝ってもらったが……。

 精密機械じゃないし技術法には抵触しないよな……?

 

「これは千歯扱きって言って、脱穀が簡単になる道具なんだ。」

 

 完成した道具を使ってみせる。

 

「わわっ!すごいですね!簡単に小麦が脱穀されてます!」

 

「大したもんだね。これが日本の技術ってやつなのかな?」

 

 リコッタさんもリコッタさんのお母さんも驚いて、脱穀されて小麦を見ている。

 

「これなら、そんなに時間もかからないし一度に運べる量が増えるんじゃない?」

 

 

 

 それから2日、俺はリコッタさんの家にお世話になって休日を過ごした。

 一応、作物納品所で千歯扱きの話をしたところ、スチール製の脱穀機が各市には置かれているので問題ないとのこと。

 家に帰ってからネットショップで脱穀機を調べたら普通に売ってた……。

 

 今度行くとき、買って行こうかな?国から補助金貰ってるし。

 

 




折角だから市民の生活も書いてみたかった
ロウリア戦前後でまた変わってくるでしょうし。
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