パラレル日本国召喚   作:火焔

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登場人物
●日本
阿野:首相

●クワ・トイネ公国
カナタ :君主(エルフ)
リンスイ:外務卿(人間)

●ロウリア王国
ハーク・ロウリア34世:国王



2章 動乱!ロデニウス大陸
01. 各国の動き


 2019年9月(中央暦1639年9月)

 

◆◆ 日本国首相官邸 ◆◆

 

 日本国首相の阿野は、クワ・トイネ公国とクイラ王国にある日本行政特区の報告書に目を通す。

 

(ふむ、どちらの特区も順調の様ですね。)

 

 クワ・トイネもクイラも日本にとって無くてはならない国だ。

 国民レベルで友好関係が築ければ、国交が途絶える事もないだろう。

 それにクワ・トイネ人、クイラ人と国際結婚している日本人もそれなりに居るとのことだ。

 阿野は両国が血を分けた人が存在する日本を見捨てるような国だとは思っていない。

 

(本来であれば、部外者である我々がこの世界に干渉するのはよい事ではないのですが……やむを得ませんか。それで国民に苦労を強いる必要もありませんしね。

 今は国内が安定してきて、内閣の支持率も70%を超えて、私の代が不作だったなんて言わせませんよ。)

 

 阿野が報告書を読み進めていくと、クワ・トイネの特区に住む日本人が私財を投じてクワ・トイネの村に農機具をプレゼントしたという内容がいくつも見られた。

 だが、それによってより多くの作物が特区に納入されているとも書かれていた。

 

(こうやって助けてしまうのが日本の国民性ですからね。国が主導で動くより国民が自分の意思で動いてくれた方が先方への印象も良いでしょうし。)

 

 思惑通りの結果と食料、資源の見込みがついたことに一安心し、阿野は報告書を閉じた。

 

(このまま何事も無く任期を終えれればいいのですが……。懸念といえば、南のロウリア王国ですか。外交官を送っても取り付く島もありませんでしたし……)

 

 阿野はコーヒーを飲んで思案にふける。

 そこに慌しいノックが響く。

 

「首相!大変です!!」

 

 阿野は9ヶ月前を思い出す。

 

「入ってください……。今度は何ですか……。」

 

 阿野は溜息をつきながら秘書を招き入れる。

 

「ロウリア王国がクワ・トイネ公国、クイラ王国に宣戦布告をしました!」

 

「……はぁ……。そうですか……。」

 

 ようやく日本が落ち着いてきたというのに……と、阿野は思う。

 

「分かりました。三軍の将官を招集してください。」

 

「はい!」

 

(はぁ……まだ、楽を出来そうにはありませんね。)

 

 阿野は会議室へと向かった。

 

 

 

◆◆ クワ・トイネ公室 ◆◆

 

 クワ・トイネの君主、カナタ公爵は思う。

 

(日本と国交を結んで早9ヶ月。クワ・トイネも随分変わりましたね。)

 

 軍備に関しては、南西騎士団、南東騎士団の最前線に日本製の武具が行き渡り、今までの様になす術も無く蹴散らされる事はもう無い

 内政に関しては、日本が農機具を譲ってくれたおかげで農作物の生産性が大きく向上した。

 さらに一部の日本人が、「コンバイン」という大型の機械にのって収穫を肩代わりした事もあった。これにより、村全体で脱穀までに一週間以上かかっていたものが、一日という驚異的な速度で終わることになる。

 村人は大いに喜び、村を上げて昼も夜も歓迎した。日本人もそれに答えて精力的に手伝ってくれるようになった。

 村人は余暇で農地の拡張や手工業によって、さらに発展する事となる。

 

 他の村の日本人も、その村と同様に大型機械で活躍するようになり、村の昼夜の歓迎もエスカレートしてった。

 そうして、何組かの日本人とクワ・トイネ人の婚約がわかる事となる。これは大きな前進だ。

 

 いずれ日本が大国になって食料を自前で調達できる様になっても平気で捨てるような事はされないだろう。

 あのパーパルディア皇国ならいざ知らず、日本は血を分けた国民が居たら平気で見捨てるような国ではないと確信している。

 

 クワ・トイネの革新は、まだバニル領とその周辺領だけだが順調に広がっていくだろうとカナタは推測する。

 

 作物の流通も以前とは比べ物にならない。

 電車という交通網も日本の軍隊が迅速に整備してくれて、大都市の多くが鉄道によって結ばれている。

 大都市から中規模の都市間はトラックという鉄の土竜が集めて、大都市の鉄道によって日本特区へと運ばれていく。

 余剰分は他国へと売却し、貿易の優位性を確保も忘れてはいない。

 

(ここまで順調だと、ロウリアが焦って侵攻してくるかもしれませんね……)

 

 

「陛下!!一大事に御座います!」

 

 外務卿のリンスイがカナタの公務室へ駆け込んでくる。

 

「どうしました? ロウリアが動きましたか?」

 

「はいっ! 仰せの通りに御座います!」

 

「それでは、現状知るすべての情報と共に、日本に救援要請をお願いします。」

 

 リンスイは驚く。カナタは既にこの状況を見越していたということに。

 リンスイも懸念はしていたので、ロウリアの情報調査は非常に力を入れていた。

 この情報を使う時が来たのだ。

 

「畏まりました。直ちに日本特区へ使者を飛ばします。」

 

「南西騎士団、南東騎士団との魔信会議の準備をしてください! ハンキ将軍にも同席して貰います!」

 

(ロウリアの侵攻があと一年早かったら……そう思うとぞっとしますね。)

 

 カナタは魔信会議室へと歩みを進める――――

 

 

 

 

 時は少し遡り、2019年6月(中央暦1639年6月)

 

◆◆ ロウリア王国 ロウリア城 ◆◆

 

「第2文明圏、列強ムーの眷属国家がクワ・トイネに付いたのは事実か?」

 

 ロウリア王国国王であるハーク・ロウリア34世は大浴場でくつろぎながら部下の報告を受ける。

 

「物的証拠は見つかっておりません。ですが、ムーの機械兵器に酷似したものがクワ・トイネ、クイラ内で確認されています。」

 

 国王はいらだつ。屈辱の思いをしてパーパルディア皇国に尻尾を振り、多額の借金をしてまで、必ず勝利するための軍備整えている最中に第2文明圏の敵国への介入。

 

「ふん!第2文明圏の文明国であろうが、このロデニウス大陸まで簡単にはこれまい。

 パタジン! 資源(あじん)を使い潰してもよい! あと3ヶ月で軍団を仕上げよ!」

 

(国を動かすのは人間だけでよい。亜人など人間に使い潰されていればいいのだ。)

 

「ハッ!! 陛下の仰せのままに。」

 

(ふんっ! 消費した亜人(しげん)はクワ・トイネ、クイラから仕入れて繁殖施設に放り込めばよい。)

 

 全裸で控える亜人にムチを振るう。

 

「あぁっ!!」

 

 ビシィ!! ビシィ!!っと何度も空を切る音とエルフ、獣人、ドワーフ女性の叫び声が大浴場に響き渡る――――

 

 

 

 

◆◆ ロウリア王国 どこかの亜人繁殖施設 ◆◆

 

 ロウリア王国が非文明国家にもかかわらず3800万人も人口を抱えるのには訳があった。

 クワ・トイネから食料を略奪するだけでは、それだけの数を揃える事はできない。

 

 そもそも、ロウリアは人間至上国家であるが亜人が居ないわけではない。

 事実3800万の内、1500万人は亜人だ。

 

 ロウリアでは亜人は奴隷であり、資産であり、資源であり、動力だ。

 使えば減る。減ったならば補充しなくてはならない。

 その補充するための施設がここだ。

 

 ここでは雌の亜人が飼育されており、ロウリア人に亜人の子を産まされ続けている。家畜に服など無い。

 産まれた亜人が雄であれば、奴隷として売られ使い潰されるまで働かされる。

 

 雌であれば売られるか、ここで飼育されて母親と同じ末路を辿る。

 唯一の救いは自身が地獄に居ることを知らずに生きている事だろうか……?

 

 ロウリア王国にはこの様な施設が各所にある。

 少なくとも大都市には1つ以上存在している。

 

 今日も亜人女性は身重である者もそうでない者も、食い扶持は自分で稼げと農作業もさせられている――――

 




●ロウリア王国
人口3800万人、ロデニウス大陸の南半分を制覇している。
人間至上主義国家で亜人は等しく奴隷になっている。
亜人もそれが当たり前の人生を祖先の代から送っている為、亜人だから仕方ないと思っている節がある
人間至上主義になったのは随分前で、経緯は誰も覚えていない。
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