パラレル日本国召喚   作:火焔

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登場人物
●クワ・トイネ公国
モイジ :ギムの将軍
ラピッド:竜騎士隊の騎士

●ロウリア王国
アデム   :クワ・トイネ討伐軍副将
アルデバラン:竜騎士隊隊長



03. 激突!ギム攻防戦01(クワ・トイネ vs ロウリア)-空中戦闘-

◆◆ ギム南 ロウリア軍先遣隊 駐屯地 ◆◆

 

(海軍も明日、クワ・トイネ領海に入るか。)

 

 クワ・トイネ討伐軍副将のアデムは部下の魔法兵から海軍の進行状況の報告を受け、部隊長クラスの部下を招集した。

 

「諸君!待たせたな。明日、ギムへの侵攻を開始する」

 

「「「待ってました!アデム閣下!!」」」

 

 アデムの部下達は明日の殲滅戦に心を躍らせ目がギラつく。戦利品を思い浮かべ下卑た笑みを浮かべる者達も居た。

 

戦利品(ギムのじゅうにん)はお前達の好きにしていいと陛下からの御達しだ。あぁ、だがモイジ一家の身柄は俺の元に運ばせろ。いいな?」

 

 ギムの住人(おもちゃ)を好きにしていいと聞いた部下達は歓声を上げる。それに応じて士気も最高潮に高まっていた。

 

ゴミ共(クワ・トイネやクイラ)の宣戦布告と共に、第2文明圏の日本からも宣戦布告を受けたが……これはこけおどしだろう。文明国家とはいえ、世界の反対側にある第2文明圏から兵を出すなんてバカげているし、一月、二月でここまで来れるわけも無い。

 あぁ……栄光あるロウリアの歴史に、私の名が刻まれるのもあと少しだ……!!)

 

 アデムは明日の勝利を微塵にも疑わず、モイジを如何やって惨たらしく殺すか考え、下卑た笑みを浮かべるのだった。

 

 

 ロウリア兵達は、ギム周辺の村から奴隷として連行してきた村娘達を複数人で陵辱していた。

 ギムという獲物があるのに、攻める事が出来ずもどかしい想いをしている兵士達だが、毎日、朝も昼も夜も村娘達を陵辱する事で士気を保っていた。

 彼女達の悲痛な叫び声が駐屯地の至る所で響き、兵士達は明日新しい玩具が手に入る事に心を躍らせ何時もより激しく村娘達を犯していた。

 村娘達の最期の夜が明け、ロウリア軍はギムへと侵攻を開始する。

 

 

 

◆◆ 国境都市ギム ◆◆

 

 クワ・トイネ軍とロウリア軍が南門付近で相対する。

 

 クワ・トイネ軍の総兵力は43,000名

 重装歩兵30,000名を中央に、その後ろに弓兵10,000名、両翼に軽騎兵が1,500名ずつ。

 

 対するロウリア軍先遣隊は総兵力70,000名

 配置はクワ・トイネと同じだが、重装歩兵50,000名、弓兵15,000名、軽騎兵が5,000名という内訳だ。

 各軍とも数の少ない魔導師隊は、弓兵の中央に陣取っている。

 

 戦力比は1:1.6、通常であればクワ・トイネ軍は鎧袖一触で蹴散らされていただろう。だが、ここに集うクワ・トイネ兵は南東、南西騎士団の精鋭達。全員が日本から輸入した装備を纏う者達だ。

 クワ・トイネ兵士達は、俺達は本当にロウリアに勝てるのか?という不安はあるが、日本から輸入した装備の心強さのおかげで戦線に立っていられる。

 

 地上軍がにらみ合う中、ロウリア竜騎士150名とクワ・トイネの竜騎士80名が空へと飛翔し、戦いの火蓋が切られた。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 クワ・トイネ竜騎士隊のラピッドは、ロウリア竜騎士隊の火炎弾の兆候を感じ取る。

 

「全騎!上下に分散せよ!」

 

 隊長からの指示により、ラピッドは上昇した。

 ワイバーンの火炎弾の射角は-30~15度。

 15度より高いとワイバーンが分泌する可燃性の液体が喉の奥に入っていってしまい自爆してしまうため、ワイバーンは火炎弾を発射しなくなる。-30度より低いと液体が流れ出てしまい、火炎弾を発射できない。

 今まで発射できない角度があることは分かっていたが、日本の協力で正確な角度を算出できた。

 

 ラピッド達は射角外ギリギリに上昇し、ロウリア竜騎士隊から発生される火炎弾を回避。お返しとばかりにラピッドたちはロウリアへ火炎弾をお見舞いする。

 カウンターを受けたロウリア竜騎士は20騎が直撃を受け墜落する。

 

「よし!行けるぞ!!」

 

 

 ラピッドと相棒のワイバーンは日本から購入したフルハーネス型安全帯を互いに着用し、互いを連結している。

 これにより、手綱だけでは落下していた急激な上昇や下降も容易となり、今回のように火炎弾を回避できたのだ。

 

 それだけではなく、アルミニウム合金鎧を見に纏い、相棒のワイバーン用ヘルムを着用し頭を保護している。

 クワ・トイネが今まで使用していた硬革と鉄の複合鎧とワイバーン用の鉄の額当てよりも軽く、頑丈であった。

 彼らの装備が軽くなったため、ワイバーンの機動力が向上したのも一因だ。

 

 ※ロデニウス大陸の製鉄技術はさほど高くないため、鉄鎧よりもアルミニウム合金鎧のほうが強度が高くなっている。

 

 中遠距離の攻防はクワ・トイネに軍配が上がり、近距離のドッグファイトへと移っていく。

 

 

 

「調子乗ってんじゃねぇ! 農奴風情が!!」

 

「くそっ! 振り切れない!!」

 

 ロウリア軍の竜騎士に背後を取られたラピッドは火炎弾の斜線に乗らないように蛇行して空を駆ける。

 だが努力もむなしくロウリア軍の竜騎士がラピッドを捉え、火炎弾を発射する。

 

(今だ! 今やるしかない!!)

 

 火炎弾が着弾する前にラピッドたちは大きく急上昇する。

 円を描くように90度上昇し――――

 

「ハッ! そんな体勢でワイバーンに跨っていられるかよ! 落下して潰れちま――――っっ!?」

 

 ラピッドたちは空中戦闘機動のループを駆使し、火炎弾を回避してロウリア兵の後ろを取る。

 

「な、何で落ちねぇんだ!?」

 

「あの世で教えてやるよ!」

 

 ラピッドの相棒がループを終える直前に準備した火炎弾を放ち、ロウリア兵を撃墜する。

 だが――――落下するロウリア兵の先に、別のロウリア兵が居た。

 

「勝ったと思い込んでいる時が、一番危ねぇんだよ!! 授業料だ!受け取りな!」

 

 真正面から火炎弾が飛来しラピッドたちを襲う。

 

(くそっ!ダメなのか……!)

 

 そのとき、相棒が首を振りヘルムで火炎弾を弾き飛ばす。

 

「なっ!! そんな事、出来るわけねぇ!!」

 

 余りの驚愕にロウリア兵の動きが一瞬止まる、

 そのチャンスをラピッドは見逃さず、火炎弾を撃ち出しロウリア兵をもう1騎撃墜する。

 しかし、粘性の火炎弾を受けたヘルムは炎上しワイバーンの頭を焼こうとする。

 

「直ぐにヘルムを外してやるからな!」

 

 ラピッドは慌てて相棒のヘルムを取り外し、投げすてる。

 だが、ヘルム外すのに集中し周囲への注意を怠ってしまったのが命取りになる。

 ラピッド達はロウリア兵に囲まれ、火炎弾の集中砲火をその身に浴びて墜落した。

 

「あぁ……。みんな……俺は……やった……ぞ……。ロウリアを……2騎も……落とし……た……ぞ……。」

 

 ラピッドと相棒は炎にその身を焦がし命を落とした。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 クワ・トイネ竜騎士隊はロウリア竜騎士隊との数の差を、日本からの装備と技術で補い善戦する。

 しかし、数の差を覆す事はできずクワ・トイネ竜騎士隊80騎はすべて命を落とし全滅した。

 だが、ロウリア竜騎士隊も大打撃を受け、その数を36騎まで数を減らしていた。

 

「くそがぁ!! ギムの奴ら! 楽には死なせねぇぞ!!」

 

 ロウリア竜騎士隊隊長のアルデバランは激怒していた。

 本来であれば、クワ・トイネの竜騎士なんぞ10騎程の被害で殲滅出来ていたはず。

 今まではそれくらいの力量差があった。それがこのザマだ。

 

「俺達がギムを落とせば……!」

 

 このままでは隊長の任を解かれてしまう。

 戦果を焦るアルデバランは、陸上支援をせずにギムの城壁へ襲い掛かる。

 

 

 

「竜騎士の諸君、君たちは空の英雄だ。」

 

 クワ・トイネ公国国境都市ギムの将軍であるモイジは散って行った竜騎士たちへ敬礼する。

 そして、振り返りバリスタ部隊へと指示を飛ばす。

 

「諸君!これよりワイバーン部隊を殲滅する! 空の英雄達に恥じぬ働きを期待する!」

 

「「「ハッ!!」」」

 

 

 

 アルデバランはワイバーンを駆り、ギムの1km南方まで迫る。

 

「ハッ! バリスタなんぞに俺達を落とせるかよ!!」

 

 

「……とあいつらは思っているのだろうな。」

 

 モイジは日本から借りている距離を測れる双眼鏡で、アルデバランを捉える。

 後200m……100m……50……30……。

 ロウリアの竜騎士隊がバリスタの有効射程距離に入る。

 

「バリスタ隊!! 撃て!!!!」

 

 普通の見た目とは異なるバリスタから、短槍のような矢が一斉に放たれる。

 

「こんな遠くから当たるか!!」

 

 どうせ失速すると高を括ったアルデバランは、速度を落とさずにギムへと詰め寄るが――――

 

「ガァ……!! な、何故…………」

 

 アルデバランと相棒の体に次々と矢が突き刺さり、アルデバランは絶命し墜落する。

 有効射程700mという驚異的な射程を誇るバリスタの射撃に、アルデバランを含め27騎の竜騎士が命を落とした。

 

「差し詰め、コンパウンド・バリスタと言ったところかな?」

 

 モイジはこの不思議な素材で奇妙な形をしたバリスタ。矢が再装填されているコンパウンド・バリスタを見つつ呟く。

 通常のバリスタであれば有効射程は200mも無いだろう。その3倍を超える射程を作り、あまつさえ我々に売るという日本人の力に畏怖のようなものをモイジは感じる。

 

 コンパウンド・バリスタ隊の射撃によりロウリア竜騎士隊は全滅し、制空権を取る戦いは痛み分けに終わるのだった。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「くそがぁ!!!!」

 

 竜騎士隊全滅の報告を受けたアデムは木の机を蹴り飛ばす。

 大きく飛んだ机は地面に落下し、砕け散った。

 

「アルデバランめ!! 油断しやがったか!」

 

 両軍の竜騎士隊が全滅、これは両軍にとって大きく意味の異なるものであった。

 クワ・トイネからすれば奇跡的な大勝利であるが、ロウリアからすれば恥辱に塗れた大敗北だ。

 

 アデムの目算では、クワ・トイネの竜騎士を消し飛ばし、100騎以上の竜騎士が援護しつつ地上部隊を粉砕し、ギムを陥落させる手筈だった。

 もちろん地上部隊だけでもクワ・トイネ兵を蹴散らすのは可能だ。だが、アデムは初戦を完全勝利で飾りたかったのだ。

 

 

(しかし、第2文明圏の日本が武器を支援するなら先ずは竜騎士、次点で城の防備。であるならば、アルデバランの失態も納得がいく。)

 

 アデムは次第に冷静になり、状況を分析する。

 

(竜騎士は1騎で1万の兵士を足止めできる非常に強力な兵種だ。重点的に強化するなら竜騎士に絞るのは当たり前だ。我々は日本の装備に破れたのだろう。

 それでも竜騎士100騎に満たない支援のならば、地上部隊は今までのクワ・トイネと変わりない。そう判断すべきだ。)

 

 アデムは不敵な笑みを浮かべる。

 

(文明国の装備を打ち破ったのならば、それはそれで栄誉なことだ。非文明国と文明国との間には大きな差がある。それを打ち破ったならば、歴史上稀にすら見られない程の快挙だろう。)

 

 立ち直ったアデムは地上部隊に指示を出す。

 

「諸君!! クワ・トイネはあろう事か文明国の支援を受けている。だが、支援は先ほどの攻撃で尽きた! 蹂躙せよ!!クワ・トイネの愚か者どもに、死すら生ぬるい絶望を与えてやれ!!」

 

「「「オオオオォォォォ!!!!!」」」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「諸君!! ロウリアの竜騎士は全て撃墜した! これも竜騎士隊、空の英雄達が獅子奮迅の働きを見せたからだ!!!

 我々は散っていった英雄達に恥じぬ働きをせねばならん!! ここが正念場だ! 自分達を!日本を信じるのだ!!!!!」

 

「「「ハッ!!!!!」」」

 

 モイジの激励にクワ・トイネ兵は今までにない士気の高まりを見せる。

 当然だ。竜騎士たちが奇跡を起こした。俺達だって……!! 誰もがそう思っているからだ。

 

 

 士気は最高潮に達し――――両軍が激突する。

 




●製鉄技術
ロデニウス大陸の製鉄技術は良くありません
クイラの硬貨ですら、ゆがみが発生しているくらいなので。
ロウリアの硬貨は日本硬貨みたいに積み重ねる事すら不可能です。

技術差は、クイラ>ロウリア>>クワ・トイネ
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