パラレル日本国召喚   作:火焔

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登場人物
●日本国
鈴木:外務大臣政務官

●クワ・トイネ公国
カナタ :君主(エルフ)

●クイラ王国
テヘンラ:クイラ国王(狼系獣人)
マシュハ:クイラ王国宰相(エルフ)

●ロウリア王国
パンドール:クワ・トイネ討伐軍大将
ハーク・ロウリア34世:国王



07. 戦後01 ―各国の思惑―

 西暦2019年11月(中央暦1639年11月)

 

◆◆ クワ・トイネ 執務室 ◆◆

 

「ハンキ将軍、ご苦労様でした。」

 

 カナタは帰還したハンキを労い、褒賞を与える。

 クワ・トイネの戦争の傷はギム周辺の農村だけという、今までに比べれば遥かに軽微なものだ。

 

 カナタは思う

 

(日本が魔帝という噂が出ましたが日本は正式に他国であると宣言しましたし、魔帝ではないと判断すべきでしょうね。)

 

 ハーク・ロウリア34世の発言でロデニウス大陸は驚いたが、その後日本からの正式な回答が出された。

 

(ブルーアイなど間近で戦闘を見たものは心の中では信じているでしょうが。)

 

 そもそも暴虐な魔帝であれば私たちに武装を輸出してくれる事、食料を買ってくれる事、クワ・トイネ国民と友好的なことに説明が付かない。

 何より、魔帝ではないという回答をする意味がないからだ。

 私が知る日本の戦力であれば、最強国家である神聖ミリシアル帝国にすら勝利しかねない。

 

(むしろ不安だ何だで、こちらから対応を変えることが最も愚策。)

 

 カナタは、今の関係を維持できるように努めるべきと判断を下した。

 

 

 

◆◆ クイラ 王座 ◆◆

 

「陛下……日本は本当に魔帝ではないのでしょうか……?」

 

 宰相のマシュハは不安が拭いきれて居ないようだ。

 

「マシュハ。そんな事がありえるわけないだろう。心配性なお前に教えてやる。」

 

 カナタと同じ見解を先ず述べる。

 クイラも日本国民、クイラ国民同士で友好的である。

 それに、数ヶ月前から輸入を開始した缶詰や乾麺、レトルト食品など保存のきくもののおかげで、飢える心配が過去のものになった。

 魔帝ならば飢える我らを観賞して笑うだろう。

 

「それに、非戦闘地域にもかかわらず、不安を取り除くために数千の兵をクイラとロウリア付近に置くという心配りまでする様なものたちだ。

 お前の思い描く魔帝はそんなことをするのか? 武力だけで判断するなら、ムー帝国、神聖ミリシアル帝国も魔帝の可能性があるということになるだろう。」

 

「い、いえ。確かに、ドラゴンの革がほしいからと、古代竜種を滅ぼす魔帝がそんなことをするとは思えません……。」

 

 心配性のマシュハはテヘンラの説明により、徐々に心の安定を取り戻してく。

 

「何よりだ。ロウリアは歴史的敗北をした。普通ならば国が割れるだろう、だが、割れていない。それはな、魔帝に負けたと宣言したからだ。

 人知の及ぶ国に敗北したなら、独立するものも出てくるだろう。だが、魔帝に負けたとあれば誰も独立など出来ない。

 万が一にも、次のターゲットが自分たちになったら目も当てられんからな!

 ハークロウリア、賢しい奴だ。相手が魔帝といえば天災と同義。領土を全く減らさずに戦争を終えやがった!」

 

 だからといって、自分達が戦争しても弱体化したロウリアに勝てる気はしない。

 不服に思うテヘンラと対照的に、マシュハは心の安寧を取り戻した。

 

 

 

◆◆ 東京23区 ◆◆

 

 今後の調整の為に、ロウリア国王のハーク・ロウリア34世は東京に呼ばれていた。

 本来であれば日本の外交官が向かう予定だったのだが、国王が東京へ向かわせて欲しいと申し出があったため飛行機で東京に招いたのだ。

 そして内閣に迎えるために、黒塗りの車で東京の中心地を走っていた。

 

(これが魔帝……いや、日本国か。なんと壮大で雄大で偉大なのだ。)

 

 国王は若い頃、自身の器を広げるために各列強を見聞していた。

 エモール王国を除き、列強の序列が高いほど文明的な街並みであると国王は思った。いずれはロウリアもあのような文明的な街並みを作りたいと頭を悩ませていのだ。

 日本のビル群は国王の生涯で見た、どの街並みより文明的だったのだ。

 

(日本国の街並みは、世界最強の神聖ミリシアル帝国よりも遥かに文明的だ。恐らく誰が見ても同じ事を言うだろう)

 

 国王が食い入るように街並みを見ていると、同乗していた日本人外交官の鈴木が国王に良かれと思って説明をした。

 

「ここは首都東京の中心なんです。この一体の超高層ビル群を東京スカイスクレイパーといいます。皆は東京摩天楼って呼んでいるんですけどね。」

 

(トウキョーマテーロウ? 東京魔帝楼!? やはりそうなのか!? 彼等こそが、あの魔法帝国なのだ!!)

 

 国王は誤解により、日本が魔帝であることを確信してしまった。

 

 

 ハーク・ロウリア34世は、車に揺られながら考え込んでしまう。

 

(前回は何とか命を繋いだが、今回の日本からの呼び出しで失敗は許されない。気が変わりやっぱり滅ぼそう!とか、人間パズルをしたいから、お前の家族を解体しておけ、お前の手でな。など、伝承通りの魔帝であればそんなことが起きてもおかしくない。

 戦わずに従属したクワ・トイネやクイラの動向を見る限り、伝承とは異なり寛大でいらっしゃる。

 娘である姫たちを国政に関与しており、人道である方々に嫁がせる事で王族に日本国の血を入れることが出来れば、領土は安泰するかもしれない。日本の血を引く王族を国王に据えれば自身の関与する国を滅ぼそうとなどは考えないはずだ。

 鈴木殿は如何だろうか? 彼は今に至るまでに、外交的な権力があり至って人道的だ。)

 

 日本は立憲君主制なのでハーク・ロウリア34世考えている事は実現しないのだが、鈴木は国王の縁談に如何対応すればいいのか困惑したまま内閣府へと到着した。

 




●各国の日本イメージ
クワ・トイネ:日本≠魔帝
クイラ   :日本≠魔帝
ロウリア  :日本=魔帝
パー皇国の観戦武官ヴァルハル:日本=魔帝
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