パラレル日本国召喚 作:火焔
●日本
田中:外務大臣政務官
●クワ・トイネ公国
ハンキ :中央第1騎士団団長(ドワーフ)
カナタ :クワ・トイネ公国君主(エルフ)
リンスイ:外務卿(人間)
マイラ :マイハーク市の筆頭外交官(ウサ耳獣人)
2019年1月21日(中央暦1639年1月21日)
「本当に海上に浮かぶ城の様だ……」
クワ・トイネ公国 中央第1騎士団団長のハンキ将軍は軍艦「金剛」を見上げて呟く。
全長は150mを越えるであろう、その巨大さに圧倒される。
「陛下が私を指名した意味が、ようやく分かった。」
ハンキは一週間前にカナタ公爵に呼び出されたことを思い出す。
◆◆◆◆◆◆◆
中央暦1639年1月14日 午後――――
「一体何なのだ? 陛下が定例会議以外でお呼びになるとは?」
ハンキ将軍は、クワ・トイネ城の回廊を歩きカナタ公爵の元へ向かう。
2mを超える長身に筋肉隆々でマッシヴなドワーフの肉体、その上に分厚い鉄の鎧を身に纏っている。
まるで岩が歩いているかのようだ。
(先日、文明国がマイハークに現れたと聞いた。まさか、文明国と戦端が開かれるというのか!?)
ハンキは知らず知らずに早足となっていた。
「待っていましたよ、ハンキ将軍」
私が執務室に入ると執務室にはカナタ公爵陛下とリンスイ卿が居られた。
「陛下。それにリンスイ卿も。本日はどうされたのですか?」
陛下たちは随分と落ち着いておられるようだ。
であるならば、文明国と事を構えるという最悪の事態ではないということである。
「はい。貴方に重要な使命を任せたいのです。
将軍としての力量と貴族としての品位を兼ね備えた人物を私はハンキ将軍、貴方以外に知りません。」
「過分なお言葉、身に余る光栄であります。」
私は陛下の前で片膝をつき、最敬礼を取る。
陛下の言葉の続きをリンスイ卿が話し始めた。
「ハンキ将軍閣下。貴方には文明国ニホンへの使節団の特使として皆を纏めて欲しいのだ。」
なるほど、それで私なのか。
将軍としての力量は中央騎士団より、ロウリアと接する南西騎士団や南東騎士団の方が高い。
だが、上位国への対応には些か無骨すぎる。
我々中央騎士団は、将軍としての力量も、他国へ使節として必要な品格も備えている。
「ハンキ将軍、やってくれますか?」
「はい。その役目、拝命いたします。」
「それはよかった。貴方にはニホン国の戦力、戦闘技術、我が国の兵士でも使用できそうな何かがあれば、それを学んできて欲しいのです。
幸いな事に軍事演習の視察を依頼したところ、快諾をしてくれました。」
◆◆◆◆◆◆◆
舞台は中央暦1639年1月21日に戻る――――
ハンキ将軍とマイハークのウサ耳外交官マイラ、そして様々な分野、様々な人種の人間が計10人、イージス艦「金剛」の甲板に立つ。
ハンキ将軍は船の甲板を軽く叩くと、鈍い金属の音が返って来る。
(なんと! 本当にこれは金属で出来ているのか!?)
「どうかされましたか? ハンキ将軍閣下」
政務官の田中は不思議な行動をするハンキの横に片膝をつき尋ねた。
「うむ。本当に金属で出来た船が浮くのだなと思ってな。沈まぬのか?」
そういうともう一度甲板を軽く叩く。
「金剛」は沈むはずがないとでも言うかのように、ゴンゴンと鈍い音を返す。
「ええ、大丈夫ですよ。この海域は既に何度か往復していますし、万が一があったとしても同行する「電(いなずま)」「雷(いかずち)」が必ずあなた方を救出します。」
今回は国賓が乗船するという事で「金剛」だけでなく「電(いなずま)」「雷(いかずち)」が護衛として任務についている。
これならば、ロウリア海賊と呼ばれるものが現れても確実に撃退する事が出来るであろう。それが日本国の見解だった。
本当はもっと護衛を付けたいところだが、いかんせん化石燃料も鉱物資源も不足しすぎている。
ハンキが船内に入ると更に驚かされる。
船内は清潔で、さらに外のように明るかったからだ。
(文明国とは恐れ入る。これほどまでに技術差があるとは……)
魔道技師からは魔力の反応はないと聞いた。
(これが機械文明というものなのか。文明圏の国でこれほどならば、ムーは一体どれほどの……)
ハンキはそう思いつつ、田中に案内されるままついていった。
「皆様、こちらが日本国内での行程表になります。」
田中はクワ・トイネ使節団に行程表を配布する。
ハンキ達は上質な用紙を受け取るが、その紙に書かれている記号に首を傾げる
「タナカ殿。これにはなんと書いてあるのですかな? 世界共通語とは違うようですが……?」
「え!? そ、そんなはずが……」
田中とハンキ達の言葉は通じるが、文章にすると全く通じない。
田中は日本語を喋っているつもりで、世界共通語なるものに変換されているのかと思い
ハンキにお願いして英語で話す。
「ん!? タナカ殿が何を言っているかも分かりませぬぞ?」
田中は驚愕する。
世界共通語=日本語なのだと理解したからだ。
何故文字だけ違うのか分からないが、田中は言葉が通じた奇跡に感謝した。
「あの……。私が世界共通語に書き写しましょうか?
言葉が通じるのでしたら、文字に書き起こせばいいだけですから。」
ウサ耳外交官マイラは、おずおずと手を上げる。
「申し訳ございませんが、お願いできますか?
こちらの準備が足りず、ご迷惑お掛けします。」
田中は深々と頭を下げた。
「いえいえ!こちらもニホンの方々をお招きするとき、手伝って貰う事になりそうですし!」
それを聞いた使節団は、マイラだけでなく全員が田中が読み上げる声を聞き、自分の行程表を世界共通語に翻訳していった。
「お手伝い頂きありがとうございます。それでは、行程を改めて説明させていただきます。」
日程は16日
1~3日目:船旅で来日
4~9日目:日本国研修
10日目:横須賀へ移動。海軍・空軍演習を視察
11日目:座間へ移動。陸軍演習を視察後、東京へ移動
12日目:東京を視察
13日目:東京で会談
14~16日目:クワ・トイネへ帰国
「タナカ殿、質問がある。移動日程は3日とあるが、そんなに早く到着するものなのですかな?」
ハンキは思う。我が国のガレー船ならば、3~4ノット(時速5~7km)が精々だ。
しかも、北東の荒波では転覆してしまい航海など出来ない。
「はい。本艦は20ノット(時速37km)で航行します。
ここから長崎の佐世保港まではおよそ2,000kmですので、およそ54時間、二日と6時間での到着を予定しています。」
(我が国の5倍以上だと!?)
ハンキは呆気に取られる事しかできなかった。
●クワ・トイネ公国騎士団
中央騎士団、北西騎士団、北東騎士団、南西騎士団、南東騎士団がある。
歩兵、騎兵、竜騎士で構成されている。
中央第1騎士団のように、南西第○騎士団と数字で分けられていて、数字が若い方が格は上。
●実力差
中央騎士団:そこそこの実力。団長には気品が求められる。
南西、南東騎士団:騎士団のエリート。対ロウリアの為に精鋭が集められている
北西、北東騎士団:そんなに強くない。新兵の割合が多い。
●日本の資源状況
石油、ガス:若干だが領海内に存在。
鉱物資源:非常に心もとない
●人物詳細
ハンキ
種族:ドワーフ
年齢:36歳
身長:208cm
顔 :中東風で彫が深くゴツイ
髪 :ブロンズで短髪