パラレル日本国召喚 作:火焔
●日本
佐久間:国立魔法研究所職員
佐藤 :外務大臣政務官(クイラ王国担当)
阿野 :日本国首相
●クワ・トイネ公国
シャロット:公国魔法士(エルフ)
●クイラ王国
アフヴァ:王国魔法士(狐系獣人)
●ロウリア王国
ダイダロア:王国大魔術師
「おはようございます、皆さん。今日はお渡ししたいものがあるんです。」
私は2種類の指輪をシャロットさん、アフヴァさん、ダイダロアさんに渡しました。
2つとも材質はアルミで赤と青のメッキ塗装がしてあります。形は無骨で宝石なんかは付いておらず、石があるところは平らで特殊な仕掛けが施してあるんです。
「おはようございます、佐久間さん。これは一体……? ――――!!」
ダイダロアさんは指輪を受け取り、平らな部分を見て絶句しました。
「こ、これは!? まさか魔法陣ですか!!? 何て微細な……!」
「はい。レーザーで1つずつ魔法陣が掘って貰ったんです。赤色が周囲を暖かくする魔法、青色が涼しくする魔法です。火や水を出すだけでしたら皆さんは詠唱で十分ですよね? 折角ですから使えるものがいいかなって思いまして。」
ロデニウス大陸は比較的温暖な場所ですが、日本に比べて防寒具は発達してないようですしあって困るものじゃないでしょう。
周囲数メートル程が効果範囲なので、他の人と共有すれば暖も涼も取ることが出来ますしね。
「あ、ありがとうございます。嬉しいのですが……これほどまでに細かいと全神経を集中した私がギリギリ発動できるくらいでしょうか……。」
ダイダロアさんは苦々しい顔を、シャロットさん、アフヴァさんは残念そうな顔をしています。
私の想定が間違っている様なイヤな予感がします。もしかして、小さければ小さいほど発動が早くて魔力も少ないわけではない?
「もしかして、発動が困難なのですか……?」
「ええ。魔法陣の線が細かいと魔力を流すのが難しくなりますの……。わたくしの力量ではとても……申し訳ございませんわ……。」
指環の台座に書かれている魔法陣はレーザー径が0.3mmで描かれています。
あまり指輪が大きくなっても使い辛いだろうと思ったのが、逆に使えないものになってしまうなんて
魔力を魔法陣に流すのは勝手に流れるわけじゃなくて、自分の魔力を通していくみたいなんです。
私がシャロットさんにやらせようとしていたのは、針穴より太い糸を穴に通せと言ってる様なものだそうで……
「いえいえ!シャロットさんの所為ではありません、私が勘違いしていたんです。あの……例えばですけど、10cmくらいのメダルに描かれていたら如何ですか?」
「それでしたら、私にも発動できますわ!」
よかった……。デザイン性があるわけでもないに、使えないものを渡しても意味がありませんしね。
私が指輪を回収しようとすると、ダイダロアさんから待ったがかかりました。
「佐久間様、私の魔力操作訓練には非常に役に立ちます。頂戴できませんか?」
「大丈夫なのでしょうか……?」
「ええ、見ていてください。」
ダイダロアさんが指輪に意識を集中させていくと、魔力が徐々に魔法陣へ流れて行き――――
周囲が暖かくなっていきました。
「素晴らしいですわ!流石は大魔術師の称号をお持ちになるお方です。魔力をこれほどまでに繊細に操るなんて……!」
「スゴイです!ダイダロアさん!! 俺もいつか貴方みたいになれますかね!?」
シャロットさん、アフヴァさんがダイダロアさんの魔法を絶賛しています。
私だけ如何すごいのかが分からなくて蚊帳の外な気分です。
「お前達も鍛錬を重ねていけば、いずれ出来る様になる。むしろ若い時代に魔法学の革命期を経験できるお前達のほうが羨ましいくらいだ。もう十年ほど早く日本の方々と出会っていれば、魔導師になれたやもしれんな。
佐久間様、彼らに渡してあげるものは実力より少し困難なものをお願いできますか? 少し難しいくらいが丁度いいと今回の経験で学ばさせていただきました。」
「わかりました。でしたら、この魔法陣を100%のサイズから5%刻みで印刷しますので、お気に召すものがありましたらその大きさで作りましょう。」
確かに指輪は原寸の5%で作ったものですから小さすぎだったかもしれません。
私は10%の大きさまで5%刻みでプリントアウトして、皆さんに配りました。
「こ、これは……! 寧ろこの魔法書がほしい位です!! これなら、実力差を問わず誰もが最適な訓練ができる!!!」
アフヴァさんの鋭い目がキラキラ輝き、キツネの尻尾が興奮で毛がぶわっと逆立っています。
シャロットさんもダイダロアさんも「これ欲しい」みたいな顔をしています。
「で、では差し上げますね。プリントしただけですので大した物でもありませんし。」
3人から歓声が上がり、早速自分に合う大きさを探していきます。
ダイダロアさんもやっぱり5%は小さすぎたみたいですね……。
「あ、そうです。今回最適化した魔法陣もプリントして渡す予定でしたが、これみたいに大きさが何パターンもあったほうがいいですか?」
「「「はい!!!」」」
3人が一斉にこっちを振り向き答えます。ビックリした……。
まぁ、喜んでくれているみたいですし、いいか。
◆◆◆◆◆◆◆
「ところで、魔石についてお聞きしたいのですが……」
先ほどの熱も一段落し、今日の本題に入ります。
「魔石は魔素を含んだ鉱石で淡く光るのが特徴です。魔石には様々な種類があって、石や鉱石が普通なのですが特殊な方法で液体や気体にすることも出来るらしいです。あと純度が高い程、透明に近づいていくみたいですよ。」
アフヴァさんの説明を聞いて机に置かれているいくつかの魔石を見ると、確かに若干透明がかってるものもありますね。
一番透明がかってそうなのを手に取ります。
「佐久間様もそれを選びますか。この中では最も純度が高いですね。きっとパーパルディア皇国で精製された物なのでしょう。」
「精製?ですか?」
練成は魔法陣を魔石に刻んで効果を付与するものと聞きましたが……
ダイダロアさんの話の続きを聞く事でわかりました。
「ええ、魔導師が魔石内の魔素を活性化させることです。そうすることで、魔石内の魔素は何倍にも膨れ上がるのです。ただ、熟練の魔導師にしか扱う事ができず、私にはここまで出来ません。」
石炭をコークスにするみたいなものでしょうか? う~ん、例え様が無くて難しいですね。ともかく魔石が長持ちすると言うことなのでしょう。
とすると、今回魔法陣を刻んだこの魔石は不透明なので質がいいものではないのでしょうね。
それに、これもレーザーで微細な線の魔法陣なので……
「ダイダロアさん、この魔石を発動して貰う事はできますか……?」
「魔石でしたら、わたくしでも出来ますわ!」
ん……? 指輪は無理だけど、魔石なら出来る? 何か違いがあるのでしょうか?
この魔法は、ただ発光し続けるだけの簡単な魔法なので、指輪の魔法陣よりさらに小さいのですが……
「そうなんですか。でしたらお願いしてもいいですか?」
「ええ、任せてくださいませ。イキますわよ」
シャロットさんが魔石に起動魔法という、わずかな魔力を流すと魔石が光り輝きだす。
「魔石が魔力を魔法陣へ流してくれるので、魔法陣の大きさは関係ないのですわ。」
なるほど、少しでも魔力があれば誰でも魔法を使えるようになるのが魔石のメリットなんですね。
とすると、雷属性で電気を生み出せば……?
「シャロットさん、簡単な雷の魔法をこの魔石に刻む事はできますか?」
「ええ、出来ますわ? ですが、直ぐ地面に流れて行ってしまいますわよ?」
シャロットさんは、光の魔法を停止魔法で止めてました。
私はシャロットさんに雷魔法の魔法陣を刻んでもらい、測定器の中にいれて起動してもらいます。
「これはすごいです……。少し変圧すれば、家庭用電源に使えますよ……!」
え?もしかしてエネルギー革命起きちゃいます?これ。
普通の発電では水力発電を除いて変換効率が50%行けば超高効率なのに、これって100%にかなり近いんじゃ……?
しかも今までとは違って、使いたいときだけ発電できますし。
安全面とか、魔力を流す媒体とか必要なものは沢山ありそうですが、それだけの価値があるかもしれません。
惜しむらくは、私たち日本人では起動すら出来ないことでしょうか…………。
あと魔石の値段もですか……。
「……? 佐久間様の驚くポイントが分かりませんわ?」
シャロットさん達は、首をかしげているようですが仕方が無いことでしょうか。
電化製品を使った生活をしていなければ、何の意味もありませんしね。
これは報告を纏めなければなりませんね。
きっと専門の機関ができますよ!これ。
◆◆ 日本 首相官邸 ◆◆
「――――という具合です。」
阿野は佐藤の報告を聞き終える。
「素晴らしいですね。日本国にも僅かですが、魔法適正のある人たちがいるでしょう? それに、クワ・トイネ公国やクイラ王国の国民と日本人との間に子供も出来ているという話も聞きました。
もし、彼らが魔石を起動するだけの魔力を持っていれば日本は更に発展を遂げる事でしょう。
その代わり、こちらの世界に留まる理由が出来てしまいますが……」
阿野は思いを馳せる。大陸の日本領土に出張したまま生き別れてしまった妻。
阿野自身は妻の居る地球に帰りたい。だが、この世界の日本には息子や娘、兄妹がいる。
しかも、息子の一人はロウリアの姫の一人といい関係を結んでいるらしい。娘は魔法にご執心用でロデニウスの各地を旅行している。
子供達の事を考えると、本当に帰るのが正しいのかとも思ってしまう。
(きっと、私と同じ思いの日本人は多いのだろう……。)
日本が転移したとき、本土に居なかった日本人はこの世界には来ていないのだ。
肉親と生き別れになった日本人は少なくない。
ただ、それと同じくらいに新たな出会いをしている人もいるのだ。
(何事も無ければいいのですが……)
漠然とした不安が阿野の心の中をよぎるのだった。
魔法陣に関しては
100均の皿に魔法陣を描き、皿の上の食品を温める事ができる皿。
または、冷やす事ができる皿など、日用品に魔法陣を塗装して出荷する魔法陣産業がいい利益を上げます。
塗装とコーティング代だけで、200円でも飛ぶように売れるので。
魔法辞書と訓練書は別の書籍になり、他の地域へ輸出禁止を条件にロデニウス大陸で販売されます。
ロデニウス大陸での魔法学は日本主導で大きく発展を遂げる事になります。
もはや文明国と並べるほどに。(列強には劣りますが。)
魔導師の質も急速に高まっていっています。
その結果魔石に関しても自国で精製できる様になります。
日本が魔石を買い、精錬してロデニウスに販売するという構図です。
パーパルディア公国の人間で日本に対してやらかして欲しい人間は?(パーパルディア結末が分岐します)
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レミール
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レミールとカイオス
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レミールと皇帝
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3人ともやらかす欲張りセット