パラレル日本国召喚   作:火焔

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登場人物
●パーパルディア皇国
ヴァルハル:国家戦略局所属で先の戦争でロウリア側の観戦武官
イノス  :国家戦略局・文明圏外国担当部の課長



06. ヴァルハルの報告

◆◆ パーパルディア皇国 国家戦略局 ◆◆

 

「ただいま戻りました、イノス課長」

 

 国家戦略局所属、ロウリア王国観戦武官の任についていたヴァルハルは報告のためにパーパルディア皇国へ一時帰国していた。

 

「ご苦労、ヴァルハル君。積荷の話は聞いているよ。上手く行っている様じゃないか?」

 

 文明圏外国担当部、南方方面課、課長のイノスはヴァルハルが乗船して来た船と同行して来た船に穀物、ロウリア硬貨、クイラ硬貨が船に満載されている事を既に別ルートから聞いていた。

 その量から、ロデニウス統一は順調なのだろうとイノスは判断していたのだ。

 

「いえ……それが、思わぬアクシデントで想定より統一に時間がかかっており……」

 

 ヴァルハルの苦い表情と口の重さにイノスは首を傾げる。

 ロウリアから徴収する金銭、物資はイノスの想定した量より少し多いくらいなのだ。なのに何故ヴァルハルは言い辛そうにしているのだろうかとイノスは思う。

 

「なに、結果は出ている。多少の失敗くらい構わんさ。何があったんだ?」

 

 イノスの寛容さにヴァルハルはより暗い表情になる。何せ国の為とはいえ、優しい上司を愛する祖国を騙しているのだ。

 だが、それを表に出すわけには行かない。万が一があれば祖国は滅びるかもしれないのだと、ヴァルハルは自分に言い聞かせる。

 

「ロウリアによる、ロデニウス統一は余り進んではおりません……」

 

 ヴァルハルは偽り話す。

 4000隻の船が嵐により7割以上が沈んだと、それによりクワ・トイネ、クイラは神が味方していると調子付き、地上部隊の侵攻もクワ・トイネの領土を2割ほど奪ったに過ぎないと。

 

 

「なるほどな。嵐となればフィシャヌス級戦列艦でさえまともに航行できん。蛮族の船など転覆して当たり前だ。ヴァルハル、お前が無事でよかったよ。

 だがそうなると、どうやってアレだけの金をかき集めたのだ?」

 

 進捗が思わしくないのであれば徴収する金銭、物資も少なくなるはずだとイノスは思う。

 無理に徴収すればロデニウス統一も遠くなる事くらいヴァルハルも分かっているはずだと。

 

「はい。ロウリア海軍は壊滅的で、ロデニウス統一までに再建は難しいと判断しました。ですので、豊富な木材で我が国では旧式、文明国では現役の商船を作らせました。船自体の売却、または交易で利益を上げさせ、これを徴収してまいりました。」

 

 嘘には真実を織り交ぜるもの。殆どは嘘だが最後の交易に関しては真実だ。

 商船は日本による指導で、現時点で皇国とほぼ同等の最新式なのだ。だが利益を徴収してきたのは事実。

 パーパルディア皇国を誤魔化すための資金はロウリア、クワ・トイネ、クイラから捻出して貰っている。この殆どが三カ国の交易による利益から捻出されているのだ。

 

 あとは、これが第4文明圏形成までどれだけ持つか。

 パーパルディアの人間が文明圏外、非文明国は蛮族の住む国と思っており誰も行きたがらない。

 ヴァルハルも最初はイノスの命令で渋々ロウリアにいった位なのだ。

 だから収益さえしっかり持ち帰っていれば、好き好んでロデニウス大陸に行くパーパルディアの人間は皆無だろうとヴァルハルは考えている。

 

 

「ふむ、上手く考えたな。これなら上層部にいい報告が出来そうだ。統一後の予想収益は上方修正しなくてはならないな。

 ヴァルハル、悪いがこのままロデニウス統一の任を継続して貰いたい、頼めるか?

 その代わりに何らかの要望を聞こう。成果を出している部下を僻地に飛ばすのだ。多少の無茶は聞こう。」

 

 ここからが勝負だとヴァルハルは思う。ロデニウスに行くのが自分だけであれば何とでも誤魔化せる。

 邪魔なのは第3外務局だ。あいつらは甘い汁だけ吸いに来るから性質が悪い。あいつらをどれだけロデニウスから遠ざけるかが難関だと。

 

「ありがとうございます課長。要望といたしましては、ロデニウス統一の任を最後まで私に一任させて頂きたいのです。それと第3外務局を抑えて頂けると助かります。ロデニウス統一の功績を国家戦略局のものにしたく思っており……」

 

「うむ。ロデニウス統一の任はお前に任せよう。部下付けられるよう係長昇進の打診を掛け合っておく。

 第3外務局に関しては俺も同じ気持ちだ。最後に出てきて功績だけ持ってかれても敵わんからな。上も同じ想いだろう。

 ふふっ、ロデニウス統一が終わる頃には、お前も俺も昇進してるかも知れんな。席を暖めておいてやるよ、頑張って来い!」

 

「はい!それでは行ってきます!」

 

 ヴァルハルはイノスに心の中で謝罪し、国家戦略局を後にする。

 イノス課長であれば日本のことを話しても……と一瞬頭をよぎらせたが、ヴァルハルはそれを振り払う。

 あれは見なければ納得など絶対に出来ない。出来るはずもない。日本とはそういった類の化け物なのだと。

 

 

 港に戻ったヴァルハルは乗ってきた船、日本の技術で作られたガレオン船を見上げる。

 

(木材加工の技術が高すぎる……。もしかしたら誇りある我が祖国より高性能なのかもしれないな。これだけの技術を簡単に公開するなんて……いや、海に浮かぶ鉄の要塞を作るくらいだ。この程度、なんだろうな。)

 

 ヴァルハルは西ロデニウス海戦を思い出し、心に刻まれた恐怖も同時に思い出し身体を震わせる。

 

 このガレオン船は最初期に作られたもので、現在作られている物は各所に魔法陣が刻まれているらしい。ヴァルハルは見たことはないが、この品質に見合う魔法陣だ。一体どんな魔法が搭載されているのだろうかと……。

 




第3外務局が邪魔さえしなければ、ヴァルハルの思惑通り第4文明圏は成立します。
そして、パーパルディアも正しい判断が出来ます。

邪魔しなければね。

パーパルディア公国の人間で日本に対してやらかして欲しい人間は?(パーパルディア結末が分岐します)

  • レミール
  • レミールとカイオス
  • レミールと皇帝
  • 3人ともやらかす欲張りセット
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