パラレル日本国召喚   作:火焔

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登場人物
●日本国
青井:40代後半の船大工。造船所の1つを取り仕切っている

●フェン王国
クシラ:海軍武将

●ロウリア王国
シャークン:ロウリア海軍の大将軍



13. 海軍事情

◆◆ ロウリア王国 メイプ市 造船所 ◆◆

 

 ロウリア王国の各造船所は誰もが忙しく働いていた。

 今までは商用ガレオン船のみ造船していたが、パーパルディア皇国のアルタラス王国占領後、軍船の技術が日本から、大砲、マスケット銃などの火器がパーパルディア皇国のある人物からもたらされて、軍船も建造する事になったからだ。

 

 だが忙しいのも仕方ないと青井思う。パーパルディアが南征を続ければ次はロデニウス大陸だ。

 日本国ならば日本人が多数住むロデニウスの3カ国を守ってくれると思うが、アルタラス王国から出国した場合、初戦には間に合わない可能性があるからだ。

 そのためにも自衛の力を持たなくてはならない。

 

 造船所では生産体制を確立するために、ロウリア王国内の日本特区にある企業と連携して船のパーツを発注できるようになった。そのため1隻あたりの造船期間は半分以下になった。

 

(まぁ、かなり儲かってはいるんだがなぁ……軍需産業ってのはこういうものなのだろうか……)

 

 収入が大きく増えた事でメイプ市の高級住宅街に屋敷を立てることが出来たが、釈然としない気分が青井にはあった。

 ナイーブな気分になりながらフェン王国へ輸出する戦列艦を見上げる。

 

 

 

 ロウリアの各造船所で造船する種類は大きく分けて4種。

 商用ガレオン船2種、軍用戦列艦2種だ。

 

 商用、軍用に2種類ずつあるのは、ロデニウス大陸国家専用と海外用に分けられているからだ。では、どのような違いがあるのか?

 

 海外用の商用ガレオン船はロウリア戦後、亜人雇用創出のために教授した船体・マスト・内装全てが総木製のものだ。

 これでもパーパルディア皇国の商船より性能がいいため、文明圏外からの発注は多い。だが、一番優先度の低い商品であるため輸出数は少ない。

 工期も海外用の船は総じて長いのも原因だ。

 工期の長さは『海外用戦列艦>>ロデニウス用戦列艦≧海外用ガレオン>>ロデニウス用ガレオン』と言ったところだ。

 

 一方、ロデニウス大陸国家専用の商用ガレオン船は、日本技術による魔改造で外観以外はまったく別物になっている。

 船体は木製だが現代技術により構造が強化されている。

 そして、船首と船尾に『波力沈静』の魔法陣『水神の静寂』と両舷に『抵抗軽減』の魔法陣『水神の抱擁』が刻まれている。

 

 マストは鋼鉄製で偽装の為に薄い木の板が張られている。

 そして内装は鋼鉄や繊維強化プラスチック(FRP)で整形され薄い木板で偽装を施している。

 これら木製以外のパーツはクイラ王国やロウリア王国の日本人特区で製造され、ここでは組み付け作業だけだ。

 このように船体建造のみに注力しているため、工期が短くなっている。

 

 この結果、ロデニウス大陸国家専用の商用ガレオン船は軽量化と強度向上で積載量が海外用よりも大きく向上している。

 甲板がハニカムボードになる軽量化オプションがあったりもする。

 

 ただ、帆はあまり差がない。『起風』は簡単な魔法なので、船員が詠唱発動するため必要なくなってしまったのだ。

 『起風』も名称が変わり、現在は『風神の涙』と呼ばれている。

 効果に対して名称が付けられているので『風神の涙』となった。

 

 

 

 次に軍用戦列艦だが、武装以外は商用の差と同じである。

 海外用の戦列艦に使う大砲は、パーパルディア皇国民のヴァルハルから(もたら)された技術の中で、文明国用の性能を少し向上させた大砲を装備している。

 これはガハラ神国、フェン王国にのみ輸出されている。

 日本自体がロデニウス大陸外ではその2国としか国交を持っていないからだ。

 

 ロデニウス大陸国家専用の戦列艦に使用される大砲は、パーパルディア皇国の大砲をベースにライフリングを刻み安定性を向上。

 火薬自体の品質を上げて射程距離を伸ばしている。

 砲弾の形状も丸ではなく、紡錘型を採用した。砲弾には『空気抵抗軽減』の魔法陣が刻まれているため、弾速が低下し辛くなっている。

 更に大砲、砲弾の製造は日本工場で行われる為、個体差がほぼ無く全体的な性能向上を果たした。

 戦列艦での海戦術も各国の海軍大将に教授しているため、全てにおいてパーパルディアの戦列艦を上回ることとなった。

 

 

 

◆◆ フェン王国 港 ◆◆

 

 西暦2022年8月(中央暦1642年)

 

「ハハハッ! これは堪らないな!」

 

 剣神の名前を受け継いだロウリア王国産の戦列艦をみて海軍武将のクシラは豪快に笑う。

 80門級戦列艦を目の前にしてクシラは興奮を抑えられない。それは、この場に居る水夫全員も同じ気持ちだった。

 

「これなら……これなら万が一が起きても一太刀浴びせる事が出来る!」

 

 パーパルディア皇国に勝つことは出来ないだろうが、一方的に殲滅される事はないだろうとクシラは思う。

 ただ、非常に高価であるため数を揃えるのは難しいだろうなとも思う。

 

 皆が剣神に魅入り、力強さを感じ、士気が大きく高まる中、その隣には大砲を一門のみ備えた、前剣神がポツンと佇んでいた……

 

 

 

◆◆ ロウリア王国 王都ジン・ハーク軍港 ◆◆

 

 日本製大砲を100門備える戦列艦、ロデニウス級戦列艦「ロウリア」が悠然と海上に佇む。

 海軍大将シャークンは改めて日本国の技術力と、それを享受してくれる寛大さに畏怖する。

 

「これがパーパルディア皇国に勝利できる船……。確かにあの力であれば――――」

 

 シャークンは先日行われた軍事演習を思い出す。

 昔、文明国同士の観戦武官として乗船させてもらったときに見た大砲とは桁違いの飛距離と精度だった。

 沢山の砲弾が(異世界基準の)高い精度で目標に降り注ぐ姿に、パーパルディア皇国の軍船を重ねる。

 

 後は数を揃えるだけだ。

 中央暦1642年(西暦2022年)現在、ロデニウス3カ国が保有する軍船は100隻ずつだ。

 

(国民が頑張ってくれているが、これだけでは物量差で敗北してしまう。せめて300隻あれば……

 いや、これ程の最新鋭艦を2年で計300隻も建造したのだ。無理を言うものではないか。)

 

 アルタラスで非道な事が行われていると商人伝手に聞いている。

 

(もし、日本に救われなければロウリア王国も同じ目に遭っていたのだろうな……)

 

 シャークンは改めて日本に感謝するのだった。

 




海軍増強回でした。同様にロデニウス各国の陸軍もマスケット兵が組織されています。

●水神の静寂(波力沈静)
水属性の魔法陣には『水神○○』と名づけられるのがこの世界では一般的
日本では名前から効果が判別しにくいため、『造波抵抗軽減』と呼ばれている。
現在の魔法陣はVer1.13。

●水神の抱擁(抵抗軽減)
日本では『水摩擦抵抗軽減』と呼ばれている。
現在の魔法陣はVer1.05。
この世界では形が違っても魔法陣の名前は変わらないので、Verが異なる場合も『水神の抱擁』と呼ばれる。
同じ効果でも種族、国家で魔法陣の形が異なるため、細かく名前を分けない文化が根付いたとされる

●風神の涙(起風)
第3文明圏で使われている『風神の涙』とは原理が全く異なる。
日本製の方が現時点でも高性能

パーパルディア公国の人間で日本に対してやらかして欲しい人間は?(パーパルディア結末が分岐します)

  • レミール
  • レミールとカイオス
  • レミールと皇帝
  • 3人ともやらかす欲張りセット
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