パラレル日本国召喚 作:火焔
田中:外務大臣政務官
阿野:日本国首相
●クワ・トイネ公国
ハンキ:中央第1騎士団団長(ドワーフ)酒が好き。
ヤゴウ:第三飛龍隊隊長
2019年1月30日(中央暦1639年1月30日)
「ここで日本海軍と日本空軍の演習を見せていただけるのですかな?」
ハンキは自分の使命である、日本軍の戦闘技術の一端でも掴むため来日した。
途中、酒に心を奪われて目的を見失いかけていただが、軍特有の空気を感じ、自然と取り身が引き締まる。
「はい。空軍は浜松基地から、海軍はこの横須賀基地の軍艦が披露します。そろそろですかね、西の空をご覧下さい。」
午後2時――
西の空から、5機の青い飛行機が超高速で飛んでくる。
「あれが我が国のマルチロール戦闘機、F-2です。巡航速度でマッハ0.9、およそ時速1100kmです。
彼らがこれから様々な空中戦闘機動(マニューバ)をお見せします。」
田中殿が話しているうちにF-2と呼ばれる戦闘機は我々の上を通り過でいく。
そして、遠くで反転して今度は先ほどより少し遅くなって、我々の元へやってくる。
(そうか時速1100kmか。ワイバーンの4倍以上の速度か。)
私は最早、達観していた。日本に驚かされるのは当たり前なのだ。
むしろ驚かされないときの方が、驚きだというべきだろう。
「ヤゴウよ。貴公はあのようなマニューバと呼ばれる動きは出来るか?」
田中殿が1つ1つ戦闘機の動きを説明してくれる。
ロールやインメルマンターン、ロー・ヨー・ヨーなど、あれほど高速にもかかわらず自在に空を駆け巡る。
まさに空の覇者に相応しい。
「いえ、我々があんな事をすればワイバーンから転落してしまいます。
ですが、あの中のいくつかでも出来ればロウリア飛竜隊にも善戦出来ると確信します。」
ワイバーンの空中戦はいかに後ろを取り、火炎弾をお見舞いするかにかかっている。
飛行機も戦い方自体は同じ様で、マニューバと呼ばれる技で相手の後ろをいかにして取るかを磨き上げたものなのだろう。
十数分間、飛行技術を見せて貰い日本空軍の演習は終わった。
「田中殿。日本にはあのような戦闘機はどれほど居られるのですかな?」
田中殿は少し考え込み――――
「F-2戦闘機は現在、各空軍基地合わせて141機配備されています。
他にはF-35、F-15JXやF-3が存在するのですがこちらの方は申し訳ございませんが……」
(なるほど、私たちに見せてもいい戦闘機はF-2だけということか。とすると、他の戦闘機はF-2より強力という事だろうか?)
「4機種も存在するという事は、それぞれに役割があるということですな?」
「そうですね。どれがどの役割とは申せませんが、対艦戦を想定したタイプ、低強度の戦線を想定したタイプ、最新機との戦闘を想定したタイプですかね。」
(ふーむ。ただワイバーンだけを育てればいいというわけではないのか。
たしかに、相手にワイバーンがいない場合、火喰い鳥だけでも十分な戦力だ。それにワイバーンより育て易いし使役もしやすい。)
(現在はロウリア王国が多数のワイバーンを使役しているため、そこまでの事は考えられないが、
いずれ、ワイバーンロードなど更に強力な飛竜が育成できたときは考える余地があるということか。)
思案している間に、次の海軍演習が始まる。
「あの軍艦は「那珂」といいます。「金剛」とは姉妹艦、同じ種類の軍艦です。
今回は事前の打ち合わせどおり、海上4km先に浮かぶ物体に命中させます。」
田中殿がそういうとUAVという偵察機の映像が大きなスクリーンに映し出される。
「リンゴが2つ風船に吊るされておりますな。あれを?」
「はい。それでは海軍の皆様、お願いします。」
田中殿の合図で一門の大砲が動き出す
(やはり、パーパルディアの戦列艦に比べると迫力に欠けるな)
そう思っていると、
ドゥッ!ドゥッ!――――パァン!!パァン!!
大砲が二回立て続けに砲弾を発射した。
そして、スクリーンに映し出されたリンゴが弾ける。
「流石日本ですな。大砲の発射間隔といい、射程といい。なにより一発必中とは。」
(うむ!技術力がケタ違いすぎて参考にできるモノがない!!)
先日「金剛」艦長の後藤殿に昔の海軍戦術を聞いておいてよかった。
何も持ち帰れないところであった。
2019年1月31日(中央暦1639年1月31日)
「本日は、この座間陸軍基地で歩兵分隊の演習をお見せします。それでは、陸軍の皆様お願いします。」
兵士4人が斑の禍々しい格好かつ機敏な動きで現れて、黒いアサルトライフルという銃を構えた。
兵士が狙う100m先にはコンクリートブロックが置かれている。
「撃ち方――――始め!」
一人の兵士の合図と共に――――
「タタタタッッ!!タタタタッッ!!タタタタッッ!!」
光の弾が4人の兵士から飛び出す。
数秒後に撃ち方、終わりと言って撃つのを止めてアサルトライフルを肩に掛けなおす。
(ん?もう終わりなのか?)
「さ、ハンキ将軍閣下。皆様、こちらへ。」
田中殿に案内されてコンクリートのほうへ向かう。
すると、コンクリートが穴だらけになっていて、銃弾がかなり奥まで入っている事がわかる。
「なるほど、あれだけの戦力でこれだけの戦果を上げられるのですな。流石日本ですな。」
(私たちの纏う鎧も簡単に打ち抜けそうだな。100mも先から撃たれたら近づく前に終わってしまうな……)
「次は、迫撃砲をお見せします。」
先ほどの4人が変な筒を地面に置き、何か準備をしている。
「準備良し!」
「確認良し!」
「迫撃砲――――撃て!!」
すると上空に何か撃ち出される。
あれは爆弾というものらしく、落ちると周囲が爆発するそうだ。
「だんちゃ――――く、今!!」
隊長らしき一人が男が、今というのと同時に
ドォン!!
500mほど先に爆弾が爆発する音が聞こえる。
(なるほど、あんな遠くから撃たれたら、兵士数が100倍こちらが多くても近づく前に全滅だな)
「流石日本ですな。兵士一人ひとりが非常に強力だ。」
私は決して日本を敵に回してはいけない事を強く誓う。
日本が戦う気になれば、ロデニウス大陸が滅びる。それは間違いないと確信する。
さすにほ
◆◆◆◆◆◆◆
「田中さん、クワ・トイネ使節団の方々は如何でしたか?」
田中は首相官邸に呼ばれていた。
「はい。軍事演習はつつがなく終わりました。皆様、興味を持ってご覧下さいました。」
阿野首相が聞きたい事はそれではなかった。
「それが僥倖です。ですが、将来的に他国から威圧ではないかとつつかれる心配は?」
そう、将来的に不利となる外交カードは貰いたくないのだ。
空軍の調査により、日本周囲には最も近代的で戦列艦「程度」。
だが、南のロデニウス大陸と西の大陸でガレー船と戦列艦程の差がある。
大陸によって文明が大きくことなる場合、日本国のような現代戦力が無い保障はない。
そのときに、この演習が威圧ではないのか? と言われたら困るのだ。
「問題ありません。空軍は機関銃含めて武装を一切搭載していませんし、海軍に関してはウィリアム・テルの様な曲芸を披露したに過ぎません。
陸軍に関しては、銃を持っていたため最も懸念ではありますが、機甲師団は出さず、最小構成の4人で事に当たりました。
外部には演習ではなく、陸軍兵士の武装の紹介と出来るように、日付もずらしてあります。」
「そうですか。では、当面問題ではないという判断でよろしいですね?」
「はい。」
阿野は安堵する。自分の代でこんな事になってしまうとは……自身の政治活動の成否に関わらず、歴史に残ってしまう。
善政であれば歴史に残って欲しいが、悪政でも、大した成果が無くても歴史に残ってしまうのだ。
阿野と田中は今後の予定を話し合い、面会を終えた。
●日本海軍
主に登場するのはミサイルイージス艦、ミサイル駆逐艦、空母、潜水艦、強襲揚陸艦くらい
潜水艦、強襲揚陸艦は出番があるかは怪しい。
・主な命名規則
旧駆逐艦の名前はミサイル駆逐艦、潜水艦
旧巡洋艦の名前はミサイルイージス艦、強襲揚陸艦
旧戦艦の名前はミサイルイージス艦、空母
旧空母の名前は空母
●海軍基地と主な空母
横須賀:大和、赤城、伊勢
舞鶴 :三笠、加賀
呉 :長門、出雲
佐世保:日向、翔鶴、武蔵
大湊 :陸奥、瑞鶴
由来は下記の通り
自衛隊のヘリ護衛艦:日向、伊勢、出雲、加賀
海軍旗艦:大和、三笠、長門、陸奥、武蔵
航空空母:赤城、加賀、翔鶴、瑞鶴
●日本空軍
装備
F-2、F-35、F-15JX、F-3、C-2、E-737、UAVなど
F-2:配備数141機。最も旧式
F-35、F-15JX:ライセンス生産している
F-3:第5世代戦闘機。対F-22を想定して開発された。
UAV:現状は偵察任務で使用されている