パラレル日本国召喚   作:火焔

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●日本国
朝田:外務省外交官
篠原:外務省外交官

●パーパルディア皇国
カイオス:第3外務局局長
レミール:皇族、外務局監査室所属。アッシュブロンドで長い縦ロールの美人。尚、巨乳。

※最後の部分は直接的な表現ではありませんが死者が出ます。


07. 虐殺皇女

◆◆ 第3外務局 上級文明国用 貴賓室 ◆◆

 

(皇女? 王女? ここは皇国だから、皇女だろう。 どちらにしても殿下と呼ばれているのだから、この国を支配する者の一族なのだろう。)

 

「レミール皇女殿下。はじめまし――――」

 

 朝田が無礼な態度を取るレミールに嫌な顔もせず、自己紹介をしようとしたところ

 

「黙れ。貴様達に口を開く事は許可していない。」

 

 ピシャリと先ほどとは比べ物にならないほどの物言いだ。

 朝田は絶句してしまい、時が止まったように固まってしまう。

 それを見たレミールは気分を良くし、カイオスへと向き直る。

 

 

「カイオス。何故、私がここに来たのか本当にわからないのか?」

 

「申し訳ございません。私には見当も付きません。」

 

(この(アマ)……!俺の努力を水泡に帰すつもりか!!)

 

 カイオスは怒りを心の内に留め、皇族であるレミールに華を持たせる。

 レミールは朝田達を無視して話を進める。

 

「先ほどから見ておったが、日本という名も知らぬ蛮族にこのような対応をしている事に私は怒りを感じている。」

 

(他国の人間を前になんてことをいうんだ。この女は……!?)

 

 朝田は余りの異常な出来事に閉口してしまう。

 間違いなく彼女は外交官などではない。邪魔者は早々にお引取り願うよう黙っているべきかと朝田は思う。

 

 

「我がパーパルディアの船が沈められたのだぞ? それがどういうことか蛮族には身を持って思い知らせる必要がある。

 私が手本を見せてやる。どけ!」

 

 レミールはカイオス立たせて朝田の対面に座った。

 目の前で直視すると、レミールが非常に美人である事が良くわかる。

 アッシュブロンドの縦ロールに整った顔立ち、切れ長の目。豪華なアクセサリーで身を飾り、それが派手ではなくよく似合っている。

 だが、それ以上に――――

 

(性格は底辺を突っ切るな。)

 

 余りにあんまりな性格に朝田は心が冷えていくのが分かる。

 レミールはそんな心境など露知らず。

 

「日本といったな? 少しいい船に乗ってきたからといっていい気になっているようだが、私はカイオスのように甘くはない。覚悟しておくのだな。」

 

「ええと――――」

 

「黙れといったはずだ。お前は少し前のことも覚えてられんのか?」

 

 朝田は困惑しつつも上手くこの場を収めようと言葉を発しようとするが、先ほどと同じ様にレミールが朝田の言葉を断ち切った。

 

 

「はぁ……どうしても喋りたいようだな。私は寛大だ、話すことを許す。私の質問に答えよ。

 お前達は何処から来た? 国家の規模は? それに乗ってきた軍船と姉妹艦は何隻ある?」

 

 先ほどの傲慢な態度は変わらないが、会話をする気になったようだと朝田は思う。

 まずは互いを知るのが外交の第一歩。

 

 朝田は日本がここから3000kmほど東にある島国。日本国の国土の大きさ、人口1億6000万人だということ。

 姉妹艦は日本丸、海王丸の2隻。

 6年前に地球という世界から、この世界に転移してきたという事。

 

 

「ふふっ……。虚言癖もそこまで行くと面白いな。ピエロになったら如何だ?私を笑わせられるのだ。中々の才能だと思うぞ。

 大体、そんな狭い土地にそんなに人が住める訳ないだろう。それに東の果ては海流が荒れていて普通の船では渡れぬ。」

 

 レミールはひとしきり笑った後に――――

 

「貴様らに贖罪の機会をやろう。我が国の軍船を沈めた賠償は貴様らが乗ってきた軍船の開発資料、操船の術、関連技術すべてで許してやる。さぁ、今すぐよこせ。」

 

 まるでチンピラではないかと朝田は辟易とする。

 

「我が国の機密なのでお渡しする事はで来ません。」

 

 朝田は毅然とした態度で言い放つ。

 別に最新技術の塊というわけではないが、力を正しく使えるとは思えない彼らに渡すわけには行かない。

 

 

「ほう……? 自分の立場をわきまえていないようだな? カイオス。お前が甘い対応をするからこいつらが付け上がるのだ。

 そういえば……フェンの占領地の捕虜に日本人がいるんだったな?」

 

「はい。捕えております」

 

 レミールの質問にカイオスは答える。

 だが、その話、朝田には聞き捨てならなかった。

 

(な……!? フェン王国は渡航制限が布告されて、日本人は入国できないはず……何故……?

 いや、電話も魔信も繋がらない国だ、可能な限り日本に戻ってくる用に通達したはずだが、全ての人に伝わらなかったのかもしれない……)

 

「映像魔写をここに置け。」

 

 朝田が、捕虜になっている日本人に考えを巡らせている内に、レミールの部下が魔写投影装置を机に置く。

 するとホログラム投影された映像にニシノミヤコが映し出される。そこには一人の日本人と、その隣に赤子を抱いた妊婦がいた。

 

「な――――!? 今すぐ彼らを解放しなさい!!」

 

 朝田はロデニウス連合や友好関係にある国からパーパルディア皇国の捕虜に対する扱いを聞いていた。

 正直、眉唾物だと思っていたが、この物々しさから……

 

「言葉の聞き方がなっていないな。我がパーパルディア皇国に慈悲を望むのであれば、額を床に擦り付ける土下座が最低条件だ。」

 

「な……!?」

 

 朝田は再度、絶句させられる。

 ここで朝田が土下座すれば、日本国が侮辱されたも同じ……

 だが、プライドで日本国民を見捨てる事の方が日本国としてあるまじき行為。

 決心の付いた朝田は――――

 

 レミールの言うがままに土下座した。

 

「彼らを解放してください。お願いします!! 篠原、お前もだ。」

 

 朝田と篠原の土下座にレミールは気を良くする。

 それに対してカイオスは絶句する。一人の自国民のために国の代表者が頭を下げるなど気が狂っていると……。

 

 パーパルディアにとって――――いや、この世界の人々にとって、一人の一般市民の命は日本が考えるよりも遥かに安い。

 黒死病やペストの様な死にいたる病や、飢饉などで簡単に命を落としてしまう。

 クワ・トイネやクイラ、ロウリアはこの世界でも人口の多い地域なのだ。

 それでも日本に比べれば、人口密度は圧倒的に低いのだが。

 

 その意識の乖離がこのような状況を生み出した。

 

「ふふふ……。ハハハッ!!! 愚かさもここまで行けば呆れもしないな!

 ――――――――殺せ。」

 

 

 ホログラフィの先では、鉄の槍を持った複数の兵士がニヤニヤと下卑た笑みを浮かべて、子供を抱えた妊婦に槍を突きつける

 

『やめてくれっ!! 妻はフェン王国人だ。日本人じゃない!!』

 

 組み伏せられた日本人の悲痛な叫び声が響く。

 

『その赤子には日本人の血が流れているのだろう? ならば同罪だ。』

 

 兵士の無慈悲な勧告に、日本人男性は俺だけにしてくれと懇願する。

 

「そういえば、これは全世界に放映されているのは知っているか?」

 

 レミールの言葉に朝田は真っ青になる。

 日本の人口密集地、例えば渋谷スクランブル交差点などには物珍しさをウリに映像魔写のホログラフィが使用されている。

 つまり……日本人の殆どが、このことを知ることになると……

 

「やめてくれ!! 何でこんな事が平然と出来るんだ!!?」

 

 レミールは朝田の言葉を全く意に介さず、ホログラフィを楽しそうに見つめる。

 部屋にもパーパルディア兵がいるため、暴力に訴える事もできない……。

 

 

 その間にも、皇国兵は妊婦の大きくなったお腹と赤子に槍を突きつけて――――

 

 

「ヤメロォーーーーーーーーー!!!!!」

 

 

 朝田の悲痛な叫びはレミールを楽しませるだけであった……。

 

 この日、4人の命が無慈悲にも奪われる事となった。

 

 

 

「面白い催し物だったな。これがお前達が支払う賠償だ。紙は高価なものなのだ、家宝にしていいぞ」

 

 レミールは何事も無かったかのように紙を朝田に突きつける。

 朝田は用紙を受け取り、目を滑らせる。

 

「これは、お前達の宣戦布告と受け取っていいですね?」

 

 全てに目を通さずとも挑発的なこと無礼な事しか書いてなかった。

 これだけでも戦争の大義名分となってしまうほどに……。

 

「宣戦布告? そいういうのはな、対等な力量を持つもの同士で行われることだ。

 これは――――そう。教育……懲罰だ。」

 

「そうですか――――あなた方とは会話をすることが出来ないようだ。」

 

 

 朝田と篠原は怒りに心を燃やし、立ち去るのだった――――。

 

 

 




殺された日本人とフェン人の家族

彼らはフェン王国に渡航制限がかかった後、ガハラ神国を経由してフェン王国へやってきた。
その理由は、妻の両親に一才になった孫の顔を見せるためだった。
日本人男性が転勤となり、ロデニウス大陸の内陸部で仕事する事になった。

仕事の関係上、恐らく1年ほどフェンにはこれない
子供の1年は早い。だから無理をしてでも妻の両親に孫の顔を見せておきたいと――――

それがこんな事になろうとは……
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