パラレル日本国召喚   作:火焔

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●パーパルディア皇国
カイオス:第3外務局局長
レミール:皇族、外務局監査室所属。アッシュブロンドで長い縦ロールの美人。尚、巨乳。



08. レミールの思惑

◆◆ 第3外務局 上級文明国用 貴賓室 ◆◆

 

「皇女殿下。よろしかったのですかな?」

 

 カイオスは日本国がムー関連国家である事を否定できないでいた。

 そうであった場合は第2外務局の案件となり、カイオスが対応すると越権行為となってしまう。

 それ故に、この部屋を用意して軍船1隻くらいと心の内に飲み込んだのである。

 

「あぁ。カイオスはムーとの繋がりを危惧したのだろう? 問題ない、既に確認を取ってからここに来たのだ。」

 

 レミールは部下から書類を受け取りカイオスに見せる。

 

「これは……!」

 

「そうだ。ムーは正式に日本国という国とは面識が無いという書面だ。我が皇国とムーの保障する捺印も押してある。」

 

 そう、レミールは海王丸を見て真っ先にムーの大使館に行き、ムー国大使のムーゲに面会してきた。

 

 

 

◆◆ パーパルディア皇国 皇都エストシラント ムー大使館 ◆◆

 

「これはこれは、レミール皇女殿下。ようこそいらっしゃいました。

 殿下はいつもお美し――――」

 

「今日は確認したい事があって来た。時間は取らせない。」

 

 出迎えたムーゲをレミールは手で制止、すぐさま本題に入ろうとする。

 いつもなら褒め称えないと機嫌を悪くするレミールが、自身でそれを止めた事にムーゲはすぐさま外交官の顔に切り替える

 

「畏まりました。本日は如何なさいましたか?」

 

「単刀直入に聞こう、ニホンという国を知っているか? いや、ニホンは貴公の保護国か?」

 

 ムーゲは『ニホン』という言葉に聞き覚えが無く考えこむ。

 自分が知っている限りの機密を記憶の引き出しから出しては確認し、閉めていく。

 しばし時間が経過しただろうか――――

 

「いえ、存じ上げません。少なくとも我々ムー国に関係がある国家ではありません。」

 

 仮に自分にさえ伝えられていない機密であるのならば、そう答えるべきであるとムーゲは判断する。

 それにレミールが重要な話の振りをして単なるブラフを仕掛けている可能性も考慮すべきだと。

 

(いや、それはないか。そこまで演技が出来るタイプではないな。)

 

「そうか。それを書面に起こしたいが、いいな?」

 

「えぇ。畏まりました。」

 

 

 

◆◆ 第3外務局 上級文明国用 貴賓室 ◆◆

 

「というわけだ。つまり、表向きはムーと日本は無関係だ。仮に戦争が始まった後に文句を言ってきても書面があるからな。何も問題はない」

 

 そう、ワザと戦争になるようにレミールは日本に仕掛けたのだ。

 まぁ、あのようなパフォーマンスは蛮族には何時もやっていることなので手馴れたものではあったが。

 

「なるほど、そこまで読んで居られたのですね?」

 

(レミールの考えではないな。港に居た外1か外2の職員から上に上申があってのことだろう。)

 

 カイオスはレミールの事をそこまで買ってはいない。

 だが、狂犬の様な苛烈さと美貌に心酔する奴もいるのも、また事実だ。

 そのあたりからのフォローによって今回の事態となったのだろう。

 

「カイオスは日本の戦力に危機感を持っているのだろう? 確かにムーの技術が使われているのならば、今までのような蛮族への躾とは趣が異なるだろう。

 そう、vs列強と同じくらいにはな。」

 

 そこでレミールは朝田達の言っていた日本の情報を記した紙を取り出す。

 

「まず、確かに船は大きい。超フィシャヌス級戦列艦の2倍近く船体が大きいくらいだ。

 だがな、日本の名を冠しているという事は最新鋭艦だろう。数も2隻と少ない。

 それに大砲が無いだろう? いかに巨大でも、帆船は大砲が無ければ櫂船にも劣る。」

 

「さらに、日本人の人口――――1億6000万人だったか?カイオス、お前は信じるか?」

 

「いえ、盛り過ぎもいい所でしょう。」

 

「そうだな、私もそう思う。国土の小ささは事実だろう。敢えて過小評価する意味はないからな。

 そすると、人口は――――多く見ても1600万人。それでも多いくらいか。」

 

 カイオスはもう少し少なく、1000万は切るだろうと思うが言う意味も無いので頷いておく。

 

「とすると、アレだけ大きな船を操るのに必要な人間を考えると、最大でも古い軍船を含めて100隻が関の山だ。」

 

 カイオスは思う。アレだけ大きな船が大砲を積んだらと思うと100隻は相手にするには危険すぎると――――

 そして気が付く。

 

「まさか、全戦力を持って相手にするおつもりですか?」

 

「その通りだ。」

 

 レミールはニヤリと笑う。

 

「日本は確かに生半可な相手ではないだろう。だがな、あの造船技術を手に入れられれば我がパーパルディア皇国は、更に強くなる。

 戦争は決定的な戦力差でもない限り、数は非常に大きなファクターだ。

 我々パーパルディア海軍2000隻を持って日本を徹底的に叩く。性能が多少向こうが上でも人が動かしている限り隙はある。

 

 カイオスよ。リンドブルムを擁する陸軍、巨大戦艦を擁する海軍、そして、風竜を擁する空軍……素晴らしいとは思わんか?」

 

 レミールは例え海軍の半数を失ってでも構わないとさえ思っている。それだけの価値はあると。

 カイオスも数の重要性は重々承知している。だからこそ軍船は2000隻も存在するのだ。幾ら櫂船相手でも1:100では分が悪い。それに属国が一斉に蜂起することも想定して、全て鎮圧できるだけの武力を揃えている事も。

 

「なるほど、今回の功績を機に陛下との婚約を発表されるのですな。」

 

「ふふっ、私もいい年頃だからな。だが、陛下のお飾りではない事を国民にアピールする必要がある。

 陛下は聡明でいらっしゃるからな。生半可な功績では足りぬのだよ。」

 

(ふむ、各所からの力添えがあってのことか。確かにアレだけの船を作れるにもかかわらず列強を名乗り出ないのだから、パーパルディア皇国の総力を持ってすれば心配も杞憂という事か。)

 

 カイオスは国家を挙げての事態ということであれば口を挟む理由はないと判断する。

 自分は政治屋であり、戦争屋ではないのだからと――――

 

 

 

 

◆◆ 第3外務局 上級文明国用 貴賓室 ◆◆

 

 レミールは本当に直ぐに引き上げて言った。

 ムーゲは神聖ミリシアル帝国大使館にレミールが来ていないか確認した所、こちらには来ていないとの返答があった。

 

(一番最初にこちらに来た? ニホンとは何だ? こんな文書まで書かせて……?

 まさか、ムーの機械技術がニホンとやらに漏洩して確認を取りに来たのか?)

 

 そうであれば、アレだけ忙しないレミールにも納得がいく。

 だが、そんな名も知らぬ国家にムーの技術が流出するとも思えない。

 

(不安だな。街の様子に違和感が無いか調べたほうが良さそうだ。)

 

 ムー大使館の職員達は、最低限の人員を残して街へと散っていった。

 




何時も誤字報告ありがとうございます。
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