パラレル日本国召喚   作:火焔

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登場人物
●日本国
鳥羽:空軍大尉。10人の特殊部隊の小隊長を務める

●パーパルディア皇国
アルモス:艦隊副司令

●登場架空兵器
・F-15EJ:ストライク・イーグル日本仕様
 ステルスを必要としないケースに使用される。
 F-15Eを近代化改修したもので兵器の搭載量は日本にある戦闘機の中で最も多い。
 コクピットや内部を極力F-35と共通化することで部品単価の改善とパイロット、メカニックの習熟期間の短縮を図った機種

・F-15EJ-UAV:マシーナリー・イーグル
 F-15EJをUAV化した機体。
 人が搭乗しない事による機体寿命の長命化、現役を退いたパイロットが支援機として作戦に同行するなどサポート役としての面が大きい。
 兵装の実験機によく使用される。



10. ニシノミヤコ解放戦

◆◆ 福岡県 築城基地 ◆◆

 

 九州最大である築城基地には、F-3, F-35, F-2, F-15EJ, F-15EJ-UAVなど一線で活躍する全ての戦闘機が配備されている。

 その中で今回出撃するのは10機。それは上記のいずれでもなかった。

 

 

「鳥羽大尉、こちらの準備は全て完了しました。」

 

 航空基地には似合わない白衣を着た男性が、鳥羽と呼ばれたパイロットスーツを着込む壮年の男性に声をかける。

 壮年の男性、鳥羽は優秀なイーグルドライバーであったが、迫る年の瀬には勝てず、後進を育てる任に就いていた。

 だがこの部隊が設立されるとき、夢のような計画に鳥羽も新たな空を飛ぶ先駆者となりたい。そう思いこの計画に志願した。

 

 

「あぁ、こちらも問題ない。いつでも出撃できる。」

 

 普通ならモニター越しの会話だと想像するだろうが、彼らは同じ部屋にいた。

 この部屋にはコクピットだけを戦闘機から取り出したかのような装置が10機、そしてその装置には数多くの計器が接続されていた。

 ここは、F-15EJ-UAV(マシーナリー・イーグル)のコントロールルームを10機のためだけに改装された最重要機密の部屋なのだ。

 

 

「計器は全て正常値です。大尉発進願います。」

 

「これより航空魔装試験小隊、総勢10名。発進する。」

 

 そう。今回出撃する機体はF-15EJ-UAVに、この世界の魔法技術を取り入れた実験機だ。

 開発コードはXMF-15EJ-UAV、愛称は魔装化のMからマリオネット・イーグルと名付けられた。

 見かけはF-15EJと殆ど同じだが、装甲の各所に多数の魔法陣が刻み込まれている。

 

 10tを超える兵装を詰んだマリオネット・イーグルのエンジンが始動すると共に、機体底面に刻まれた浮力発生魔法が魔導回路から魔力の供給を受け光を放つ。

 甲高いエンジン音を放つ10機のマリオネット・イーグルは滑走路を駆け抜けて次々と大空へと飛び立つ。

 各種センサーや計器の示す値は全て正常値。離陸距離は計器よりストライク・イーグルより20%短いことを示していた。

 

 この5年で漸くここまで出来る様になった。

 初飛行のときは揚力と浮力のソフトウェア制御が全く噛み合わず、飛ぶ事すら叶わなかったのだ。

 

「大尉、離陸におけるデータは今まで通りです。加速シーケンスに移行して下さい。」

 

「了解した。これよりスーパークルーズに突入する。」

 

 浮力の魔法が弱くなり、代わりに空気抵抗軽減の魔法が機体全体を包んでいく。

 理由は解明できていないが、この魔法で空気の剥離の減少と機体周囲の速度を一定にする事が出来てしまう。

 結果、音速に達する際の衝撃波が大きく軽減されて、イーグルでさえアフターバーナーを用いずにマッハ1.0を超えることが出来てしまう。

 

「マッハ1.1……1.2…………1.3…………。大尉、本速度のまま作戦地域まで巡航願います。」

 

 イーグルを司るソフトウェアは魔法による超常現象をそういうものだと割り切り、通常の航行制御に加えて速度に併せた空気抵抗軽減魔法の強度、熱消去の魔法のコントロールを行っていく。

 

 そして、音を超えた鷲達はフェン王国最西端の街ニシノミヤコ空域へと到達する。

 

 

 

◆◆ ニシノミヤコ 南東20km 海上 ◆◆

 

「各員、戦線区域へと到達。アフターバーナーを使用し前面に展開する飛竜を迅速に撃破。その後、竜母群を撃滅する。」

 

 鳥羽の号令により、10機のマリオネット・イーグルは更に加速しマッハ2.0に到達した状態で戦線区域へと突入する。

 E-2D(アドバンスド・ホークアイ )からの偵察情報によると障害となる偵察中と思われる飛竜は合計20機。イーグルに装備されているAAM-5(短距離空対空ミサイル)が彼らを捉えた。

 

 

 

「ん……? 上空に微弱の魔力反の――――」

 

 空を警戒する20騎の竜騎士達は、マッハ3.0にまで到達するAAM-5を認識する事もできずに次々と爆散していく。

 そして警戒網に開いた穴にASM-2(空対艦ミサイル)が20発、増援で16隻増加した20隻の竜母と同じ数が発射された。

 

 

 

 少し時間は遡る。

 

 パーパルディア皇国軍東方面艦隊副司令アルモスは20隻からなる竜母艦隊を見渡し、やはりパーパルディア皇国軍は偉大で強大だと実感する。

 

「竜騎士長、我々が第3文明圏の覇者たる所以はわかるかね?」

 

 隣に立つ竜騎士長はアルモスの求める答えが何なのか手に取るようにわかる。彼もまたアルモスと同じ思いを持つものであるからだ。

 

「この竜母の存在であります!」

 

 アルモスは求める答えを聞けて満足気に頷く。

 

「そうだ。地竜リンドヴルムも強い。120門の大砲を持つ超フィシャヌス級戦列艦も強い。

 だが、大海原の空でさえ制する事のできる竜母が皇国を最強たらしめるのだ。空を制するものが地を海を制する。」

 

「全くその通りであります!!」

 

 

「お前は聞いているか?」

 

「何でありましょうか!?」

 

「これから戦う日本という国は大きな船を作る技術を持ち合わせているらしい。だがな、いかに大きな船を作ろうと逸れに見合う兵器を持たなければ宝の持ち腐れだ。

 それを我がパーパルディア皇国が有効活用してやろうというのだ。

 見たくないか? 巨大竜母からワイバーン達が空に飛び立つ様を……。」

 

「正に竜騎士達の楽園かと!」

 

 アルモスは日本を焚き付けたレミール皇女殿下と陛下の策謀に心の中で深く感謝をする。

 自分が生きている間に竜母の新たな姿を見られるのだからと。

 

 

 ――――そこに

 

 

「な、なんだ!? 東の空が爆発したぞ!!?」

 

 突如、空中で強力な爆裂魔法が発動したような爆発がいくつも起こる。

 そして、爆破の雲が晴れた後には警戒していたはずの竜騎士たちの姿は無く……。

 

「ま、まさか!? 敵襲か!? 前方の戦列艦は何をして――――」

 

 アルモスは言葉を全て発する事が出来ぬまま、自分に何が起きたか分からぬままASM-2の爆発に巻き込まれて命を落とした。

 それはアルモスだけでなく、竜騎士長を含む20隻の竜母に乗船していた者達も同様だった。

 

 

 

「目標撃墜完了。海軍へ目標の撃墜を報告、これより帰投する。」

 

 E-2D(アドバンスド・ホークアイ )とマリオネット・イーグルたちのレーダーから竜母が消えた事を確認し、東の空へと消えていった。

 

 

 

 それからは更に一方的な展開となった。

 

 まず、艦隊の要である竜母を全て失い恐慌状態のパーパルディア海軍に対し、原子力空母「翔鶴」を擁する佐世保第2艦隊による強襲作戦。

 海では「翔鶴」の活躍の場は全く無かったが、駆逐艦の主砲によりパーパルディア海軍は竜母の喪失と巨大な軍艦による圧倒的な破壊力で事態を理解できぬまま60隻、全ての戦列艦が海の藻屑と消えた。

 ついでに、コスト的に航空魔装試験小隊が打ち落とさなかった竜騎士も全て打ち落とされた。

 

 この戦いでパーパルディア皇国軍の誰一人として、日本国の駆逐艦の主砲が一発必中だったことには気づく事は無かった。

 

 

 

 そして陸上戦ではアルモスのいっていた通り、制空権を握った日本軍によるF-2艦上搭載型のクラスター爆弾で地竜、騎兵、マスケット兵を爆撃し壊滅的な打撃を与えた。

 そして強襲揚陸艦「足柄」のホバークラフトによる揚陸で地上を完全に制圧し、ニシノミヤコは無事開放された。

 これは作戦開始からたった1時間の出来事だった……。

 

 

 日本の圧倒的な戦果に、フェン王国民はしばらくの間状況を理解する事ができなかった。

 だが、時間が経つにつれ日本国が我々を救いに来たことを理解し、パーパルディア皇国を圧倒した事を理解し、歓喜に打ち震えた。

 

 この年以降、フェン王国ではこの日を「救国の日」と定め、夜に東の空から1時間の間、花火が上がる祭りが行われることとなった。

 そして武士達が命を落とした平原には日本から贈られた千本の桜が植えられた。フェン王国の民は、この平原から花火を見上げ、英雄達を偲ぶことで武士とは何たるものかを己の中に見つめるのだった。

 




うわぁ……通算UA数がレイフォルしてる……

ようやく書きたかった魔導兵器を書くことが出来たっっ!!
音速を超えたときの衝撃波に包まれるってのが良く理解できなくて、上手く表現できた気がしない。。
ただ、魔法と物理現象を切り離したいと思ってたのに、なんか物理に引きずられていたのを吹っ切る切欠にもなったかな。
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