パラレル日本国召喚 作:火焔
●日本国
阿野:日本国首相
●ロデニウス連合
カナタ :クワ・トイネ王国国王
テンヘラ :クイラ王国国王
ハーク・ロウリア:ロウリア王国国王
○用語設定
全滅:部隊の3割を喪失
壊滅:部隊の5割を喪失
殲滅:部隊の10割を喪失
◆◆ 日本 内閣府 ◆◆
日本政府は日本軍の作戦でパーパルディア皇国軍を全滅(実際は殲滅だが)し、ニシノミヤコ解放が無事成功したことを国内のメディアで報道した。
パーパルディア皇国兵の死傷者数はおよそ5万人を超える。
この戦果より、好戦感情を高まらせていた日本人は一定の落ち着きを取り戻す事となった。
日本政府としてもロデニウス大陸という非常に成長力のあるマーケットの開発に注力したく、無意味な戦争を早々に終わらせたいのが本音だ。
「日本は一定の戦果を挙げ、討ち果たす事は困難である事を証明しました。
そのため、パーパルディア皇国と和平交渉を行う所存です。」
阿野はロデニウス連合の電話会談で、クワ・トイネ王国、クイラ王国、ロウリア王国の首脳にニシノミヤコ解放戦の結果と今後の意向を説明した。
「注力して貰う身としては嬉しいのですが……。日本が得るものも無く、戦争を終結させても宜しいのでしょうか?」
クワ・トイネのカナタ国王は、日本が領土も得ずに戦費だけを失ってもいいのだろうかと心配している。
だが、パーパルディア皇国の領土を切り取れば、彼らは不退転の決意を持って挑んでくるだろうから、落とし所としては妥当なのかもしれないとも思っていた。
「問題ありません。日本国軍にはインフラ整備の任を解いて防衛に当たって貰っています。
戦争を続けた方がデメリットが大きいのです。」
平時の日本軍の一部には、ロデニウス大陸のインフラ整備を行ってもらっている。
今まで整備した道路網、線路網、空港の多くは軍が整備したものなのだ。
民間企業は日本特区の建設に手一杯であるし、そちらに注力して貰いたい思いもある。
現在は厳戒態勢を採っているため予定の工程に遅れが発生しており、中規模都市へのインフラ整備がストップしてしまっている状況だ。
結果、新規市場の開拓にまで影響が出てしまっている始末だ。
それにパーパルディア皇国の力を残しておけば、フィルアデス大陸の北半分に彼らと同等の軍船や兵器が大量に売れる見込みだ。
あんな狂犬が同じ大陸にいるのだ。対抗できる装備は欲しくて仕方ないだろう。
「そのため、各国の皆様には、パーパルディア皇国との和平交渉におけるルールを教えていただきたく……」
今回の電話会談の目的は、以前の様の失敗はしてはならぬと、事に臨む前にパーパルディア皇国について日本より詳しい彼らにレクチャーを貰いたかったのだ。
「この世界では軍事に関する交渉ごとの場合、交渉人の後ろには兵隊が控えているのが常識だ。
できれば、陸・空・海全ての部隊を見せれるのがいいだろうな。」
(その様な外交など聞いたことも無い……。やはり、出来るだけ詳細に事を詰めなければ……。)
クイラ王国のテンヘラ国王の言葉に、阿野はこの場を持たなければ和平交渉は破談に終わっていたのだろうと感じた。
陸軍は交渉人、阿野首相の後ろに控える。海軍や空軍は魔写などの映像でもいいらしい。
魔写を多用できるのも資金力の強さを証明するに繋がるかららしい。
「わしの経験上、パーパルディア皇国より圧倒的に高性能な兵器を持ち出すと彼らは偽者扱いするはずだ。
ムー国より圧倒的に高度な技術で作られた日本軍の兵装では、形だけのハリボテと誤解されかねぬ。」
「そうですね。最大でもムー国より劣る程度の兵装が理解できる範囲でしょう」
「日本の兵装は魔法でも再現出来んからな!」
ロウリア王国ハーク・ロウリア国王の言葉に、カナタとテンヘラも同意する。
阿野はムー国の兵装は日本と同じ機械技術と聞いているが、どれ程の年代のものなのかも分からないた為お手上げ状態だ。
「そこでです、我々ロデニウス連合軍を代わりにするというのは如何でしょうか?
日本国の見立てでロデニウス連合の兵装はパーパルディア皇国と同等以上なのでしょう?」
確かにパーパルディア皇国のマスケット銃は火縄銃と同じマッチロック式で、ロデニウス連合軍に卸しているモノはフリントロック式である。
軍船も地球の技術に換算するならば、パーパルディア皇国は初期の戦列艦で、ロデニウス連合軍は後期型だ。
ただ、竜母が存在しないのと空軍については、ワイバーンロードという上位種がパーパルディア皇国には存在するため劣っていると言わざる終えない。
だが、無い物をねだっても出てくるわけが無いので、このカードで臨むしかない。
「各国の皆様にはお手数をお掛けしますが、お力をお借りても宜しいでしょうか?」
「ええ。直ぐに準備を整えさせます。」
「あぁ!もちろんだ!」
「我がロウリアのブルージャケットが世界に初披露ですな。」
そう、ロデニウス連合軍の軍服は各国で異なっており、クワ・トイネ王国は緑、クイラ王国は赤、ロウリア王国は青を基調としている。
これは軍がどの命令系統に属するか一目瞭然とするためであるのと、現代歩兵の様な散開戦術を取らず、密集陣形を取るため敢えて目立つようにしている。
スタイルはイギリスの儀仗兵のように、上はカントリーカラーのジャケットで下は黒のスラックスだ。
それぞれグリーンジャケット、レッドジャケット、ブルージャケットと呼ばれていて、合同訓練時はお互いを意識して最も優れた軍であろうと切磋琢磨している。
実力は元々戦闘経験の多いブルージャケットが錬度が高く、負け戦が多かったグリーンジャケットが最も低い。
「日本軍の戦車や軍艦、飛行機を画面の端に映すのは如何でしょうか?
察しのいい者はムーと関わりがあるのではないかと慎重に事を運んでくれるかもしれません。
私たちも日本国と最初に接触したときは、ムー国かと勘違いしたくらいですから」
「それはいいな。戦車など分かり易い兵装ならパーパルディア皇国も只者ではない事に気が付くだろう。
だが、やはりムーより高度だと逆効果になりかねん。古い戦車を映した方が良いだろうな。」
協議した結果、陸軍には退役済みで稼動できる最古の戦車、74式戦車を映す事とした。(61式は既に稼動するものが存在しない)
軍艦はカナタ達も一発必中の軍艦など理解できる範疇を超えていて、逆に一門しかない事を侮られると判断し映す事を見送る。
戦闘機はムーでさえジェット機は存在しないため、プロペラ機のE-2Cホークアイに無理やり機銃を取り付けた、なんちゃって戦闘機を。
(ムー国には悪いが、使えるものは何でも使わせてもらおう。)
◆◆ 日本 ◆◆
「我々日本はこれ以上の戦闘継続を望みません。」
開放したニシノミヤコにて阿野首相は和平に向けた演説を全世界に向けて行う。
彼の後ろには青・赤・緑のジャケットを身に纏うロデニウス連合陸軍が規則正しく整列していた。
その奥には74式戦車が。
「日本国軍はパーパルディア皇国をニシノミヤコ、フェン王国から撤退させる事に成功しました。
我々はパーパルディア皇国軍に屈する事はありません!
ご覧下さい、我が軍の勇姿を――――」
そして、魔写による映像が映し出される。超ロデニウス級10隻の艦砲射撃の様子、アルミニウム合金鎧を纏った竜騎士たちの編隊行動、マスケット兵たちの射撃訓練。
日本がパーパルディア皇国と同等であることを証明する映像。
そして所々に74式戦車やE-2Cホークアイが映る。
「我々は武力による解決を望みません。
銃を向けるのではなく、話し合いによる解決を望みます。
我々日本は、パーパルディア皇国に対し和平交渉の席に就く事を要求します!」
それに対し、パーパルディア皇国の反応は――――
因みにムーの反応
「おい、見たか? 今の?」
「アレは本物なのか?」
「俺が知るかよ! だが――――」
「俺達、ムーの技術より……」
ムーの技術者達は機械を知るが故に分かってしまった。
画面端に映る74式戦車がE-2Cが――――トンでもない技術の塊だと。
○追記
E-2Cは分類上プロペラ機とのことなので、Notジェット機という扱いにしました。
後、怒涛の誤字報告ありがとうございます。
まだあんなにあったとは……