パラレル日本国召喚   作:火焔

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13. 日本国民とパーパルディア国民

◆◆ パーパルディア皇国 皇都エストシラント ◆◆

 

 ここは第3文明圏で最も繁栄している都市、皇都エストシラント。

 石畳で舗装された綺麗な街路、石材や白い漆喰で建てられた様々な建造物。

 そして白亜の城と呼ぶに相応しい荘厳なる皇城。

 

 区画はキッチリと整理されており、整然と並ぶ建物は誰もが美しいと言うだろう。

 そこに暮らす正規の住民たちは皆、綺麗に身だしなみを整え生き生きとしており、今後も皇都が益々発展していくだろうと誰一人信じて疑わない。

 この都では、奴隷ですら小奇麗な服を着る事ができるのだ。

 これは、汚い服装では景観が美しくないという理由で、奴隷達のためではないが……。

 

 そう。この綺麗な町並みは奴隷達の、属領の血と涙と命で出来上がったものだ。

 第1級市民達は奴隷を財産として保有し、肉体労働は全て奴隷がこなし、家事や雑務も奴隷がこなす。性欲を解消するための奴隷も存在する。

 第1級市民達も知恵、知識が必要な第三次産業に従事しており、のんびりと過ごしているわけではないが。

 皇帝陛下の御力にと、御国の為にと、奴隷を働かせ、自分達も働く。

 

 

 ここまではいい。

 地球ですら、およそ150年前までは奴隷が合法であったのだ。奴隷解放の段階まで来ていないだけだと。

 

 だが、狂気がある。これはこの街でのとある一場面だ。

 

 

「なぁ、今年からアルタラス産の奴隷が販売されるってよ。」

 

「勿論知ってるよ。アルタラスが属僚になって5年経つからな。大体これくらいの時期に新しい産地の奴隷が出てくるもんだろ?」

 

「新しい産地の奴隷は当たりハズレが大きいけど安いしな。優秀な種か卵を持つ奴隷だったら繁殖させて剣闘士や競技に出せるかもしれないからな。夢があるよな!」

 

「あぁ!一山当てて見たいよな~。クーズ産とか属領暦が長い産地だと家庭用、仕事用に買うには安定してるけど、競技用のは交配が進んでてバカみたいに高いしなぁ。」

 

 

 そう、奴隷達はサラブレッドの様に瞬発力が高い、持久力が高いなど特定の能力に特化したモノとして子を作らされている。

 そうして、世代を重ねて能力を最適化させられていくのだ。

 

 最適化させられた奴隷達は、時には剣闘士、時には陸上選手、格闘競技の選手として販売されていく。

 そうした奴隷達は、コロッセオや競馬のように賭け事の対象として第1級市民達の娯楽を提供する役割を与えられるのだ。

 

 だが、彼らは奴隷の中でも最も待遇がいい。

 所有者としても金を産む道具だ。健康管理には気を使って貰えるし、身なりも食事も第1級市民と遜色のないモノが与えられる。

 

 

 知恵と知識と自由と尊厳が無いだけだ。

 

 

 こうした奴隷達は、勝つことに喜びを見つけ己を研鑽していく。勝てば賞賛を浴び、所有者も待遇を良くしてくれる。

 勝てば自分の生活が良くなり、負ければ悪くなる。貪欲になるのも当然だ。

 結果を引退した者は次世代為に種馬や繁殖用として現役と遜色ない暮らしが出来るが、成績が振るわなかったものは一般販売されて一般市民が購入するケースことが多い。

 

 

 そんな、そこそこいい暮らしが出来る奴隷なんて全体の1%にも満たない。

 残りの99%の内、30%は皇都エストシラントにいるような普通の奴隷達だ。彼らは家具位には、良ければペット位の扱いである。

 皇国民にとって普通の奴隷とは替えは効くから失ってもいいが、購入費はかかるから使い捨てにするには、簡単に壊すのは勿体無い。そんな程度だ。

 

 だからこそ、そんな中から金の卵を見つけたいのかもしれない。

 

 そんな30%の奴隷達は奴隷養育施設で徹底的に調教される。彼らは中位に位置して夢を見る事は出来ないが、下には更に哀れな者達がいると自分達に言い聞かせて心の均衡を保つ程に……。

 そうでもしないと、辛い毎日を死ぬまで送る事に心が耐え切れない。本能がそう理解しているのだ。

 どんな扱いなのかはお察しだ。

 

 

 次の15%はほぼ全て女性で構成されて、奴隷生産施設に収容されている。

 彼女達の見た目が麗しいのは、生産されて販売する奴隷は見た目がいい方が高値で取引されるからだ。

 彼女達の扱いは家畜と同等で、何の知識もなく、こんな扱いを生涯受け続けるのが普通だと思ってしまうほどに……。

 

 

 そして残りの44%は家畜以下だ。

 肉体労働は当たり前、鉱山奴隷、大規模プランテーション、物資輸送などの労働力。戦争時の肉壁など皇国民の盾。

 使い捨てるのが普通で、基本的に命を落とす可能性がある危険な作業等に従事する。

 その作業に必要な知識は一切与えられず、男女関係なく狭い収容場に詰め込まれる。

 特に女性は悲惨だろう、奴隷仲間にすら襲われるのだから……。

 

 管理する皇国民にとっては犬猫が交尾する程度にしか思っておらず、労働力が増えるから問題ないかくらいにしか思っていない。

 

 

 と、奴隷達の悲惨な状況ばかりになってしまったが――――

 

 

「そういえば、陛下が新たに奴隷を確保しに行くらしいな。」

 

「あぁ、昨日の発表だろう? 1000万の奴隷なんて豪快だよな! やっぱりアルタラス産奴隷の購入費用は貯めて置いて、日本産奴隷で一発当てようかなぁ?」

 

「悩むところだよな。両方少しずつ買うか、片方に絞るか……。」

 

 

 彼らだけでなく、パーパルディア皇国民は大体こんな感じだ。

 聡明な陛下率いるパーパルディア軍が100%勝利する事を信じて疑わない。事実、ルディアスは帝位に就いてから一度たりとも敗北した事はなかったからだ。今回も圧勝して凱旋して下さるだろうと人々は戦勝祭の準備に大忙しだった。

 

 

 

◆◆ 日本国 各所 ◆◆

 

 パーパルディア皇国のお気楽な感じとは対照的に、日本国民は鎮火しかけていた怒りの炎に大量の油が注ぎ込まれ怒り狂っていた。

 

「彼らは人間ではない! 人の皮を被った悪魔に違いない! 魔法があるんだ悪魔だって居てもおかしくはない!」

 

「奴らパーパルディア人こそが奴隷になるべきだ!」

 

「寧ろ、根絶やしにすべきだ!! バカは死んでも直らないんだぞ!」

 

「俺は軍に志願するぞ! あんなのが海を挟んで隣に居るなんて我慢ならない!!」

 

 

 誰かが声を上げるたびに、それを火種にして更に大きく燃え上がっていく。

 ネット上なんて大炎上なんてレベルでない。民度の低い暴言が至る所で飛び交っている。

 

 そして遂に政府へと怒りの矛先が向いた。

 

 

『何であんなのと和平しようとしたんだ!』

 

『害虫は駆除すべきだ!!』

 

『政府は獣と会話を試みた愚か者だ!』

 

『高い税金を払っているんだからゴミ掃除くらいしろよ!』

 

 

 散々な言い様である。

 現地国家の意見を採用して臨んだ和平交渉であんな回答が返って来るだなんて、誰が予想出来るだろうか。

 阿野首相だけでなく、ロデニウス連合の国王達すら頭を抱えている始末なのだ。

 

 そんな怒りの余り日本人の民度が低下し、混迷を極めていく最中。

 

 

 

「我々は、理性ある人間です。どうか、怒りに捕らわれて、己を見失わない様、切に願います。」

 

 

 

 この事態に心を痛めた天皇陛下のお言葉により日本国民は自身を振り返る。

 

 こんな事を言っていてはパーパルディア人と同じではないかと――――

 

 

 パーパルディア皇国に優しくする事なんで到底出来ないが、根絶やしにするほどでも無いんじゃないかと、そんな声が上がるようになっていった。

 

 再び落ち着きを取り戻した日本国は、パーパルディア皇国の『戦力』を壊滅させる事に決定した。

 簡単な理論かもしれないが、戦う力が無ければ争いになることも無いだろうと。

 この世界では強者であるが故にあそこまで増長してしまったのだろうと。

 

 

 そして、パーパルディア皇国海軍が軍備を整え終えた7月――――

 東パーパルディア海(日本の西南西500kmくらい)で日本国海軍とパーパルディア皇国海軍2,200隻が衝突する。

 




 いやぁ、遅れてすみません。
 EU4とCK2をしばらくやっていましてね。
 封建制はキツイですね。身内で争うんですから……。

 とすると、中世っぽいロデニウス三各国は政治形態が明らかに高度なんですよね。
 原作でもロウリアは絶対王政っぽかったり、カナタも妙に現代っぽい雰囲気してますし。

 本作品の設定としては
 クワ・トイネ:立憲君主制(日本と一緒)
 ロウリア  :絶対王政
 クイラ   :4つの王家による統治(封建制に近い)

 ちょっとクイラだけ特殊で、獣人、エルフ、ドワーフ、人間による4つの王家があって、その中から一つの王家が当代の王として国を治めます。
 各王家で足の引っ張り合いが無いのは、今まではロウリアという大きな外敵がいたこと、これからも無いのは日本という全力で追いかけないと置いてかれてしまう国が居るからです。
 内輪もめしてたら、クワ・トイネやロウリアに大きく差を開けられてしまいますし。

 ちなみに宰相のマシュハもエルフ王家の人だったりします。
 まぁ、これが本作品に生きてくる事は無いでしょうが……


 (丁度、スチームで75%OFFですよ。)
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